実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第499回】新春企画 これがAct.28台本だ!の巻

 

 

 今年は紅白歌合戦も(個人的に)イマイチ盛り上がらないなあ。わたしが事前のチェックポイントにしていたのは、(1)Dream 5が正規出場するか、(2)ももいろクローバーZがセーラームーンの主題歌を歌うか、(3)森進一が「冬のリヴィエラ」を歌うか、の三点だったけど、ぜんぶハズレみたいである。
 (1)Dream 5については、NHK生まれということもあるし、今年一番のサクセスストーリーでもあるので、ぜひ正規枠で出場して欲しかった。でも企画枠でも出られて良かった。(2)ももクロについては、セーラームーンファンとしては残念至極だが、まあ田中将大がらみで来られちゃしょうがないよな。一方(3)森進一については、NHKの見識のなさが露呈した。

 

 

 大瀧詠一が亡くなったのは2013年12月30日だったので、2013年の紅白歌合戦で曲目変更して「冬のリヴィエラ」を歌うことは不可能だった。でも今年は、森進一としては、もし紅白に出られるなら、ぜひ「冬のリヴィエラ」を歌って大瀧さんを追悼したい、と思っていた。ところが今年「ダメよダメダメ」が流行語大賞を取ってしまったので、NHKは日本エレキテル連合とのコラボで「年上の女」を歌うよう、森進一サイドに要請してきたわけだ(以上すべて私の臆測)。しつこいようだが、おそらく森進一自身は「冬のリヴィエラ」を歌いたかったんじゃないかと思う。これを実現していれば、私は今年の紅白をだんぜん支持したのに。聴きたかったなぁ。
 ほんとうは、私個人としては、大瀧詠一の代表曲は松田聖子の「風立ちぬ」なんだけど、あれは松田聖子自身があまり買っていないんだよね。あんな名曲で、松田聖子の声にピッタリだと思うのに、残念である。

 

 

 まあいいや。今回は年越し特別企画、実写版セーラームーン台本紹介である。
 当サイトでは、M14さんやこっちよ!さん、ひろみんみんむしさんといった方々のご協力を得つつ、過去に計10本の実写版台本を紹介している。
Act.1Act.5Act.8Act.12Act.13Act.15Act.16Act.40Act.48Final Act
 こうして見ると、20番台、30番台のエピソードがまだなかったことに気付く。加えて、私の個人的な想いとして、今年『仮面ライダー鎧武』を見ていて、泉里香さんが女優業をやりたいんだかやりたくないんだか、いまいちハッキリしないという思いが残った。
 たとえば仕事量や知名度という点では、沢井美優と北川景子の間には、もはや比較にもならないレベルの開きができている。が「女優魂」という点でいえば、沢井さんと北川さんの間には今でもたいした差はない。だから沢井さんの仕事が少ないことは気にかかるけど、女優としてのクオリティについての心配は不要なわけですね。
 それと同じ意味で、昔の浜千咲には沢井美優に匹敵する女優のオーラがあった。それが今の泉里香から、さほどに感じられないのが(名古屋支部調べ)何とももどかしいのだ。これだけの逸材である。2015年はぜひ、もういちど女優業に開眼して欲しい。そういう願いを込めて、脚本と演出がみごとにスイングしているという意味では文句なしの傑作、Act.28をあらためて噛みしめながら、みなさんと新年をお迎えしたいわけです。

 

 

 いつものお約束。これは実写版セーラームーンマニアのための研究資料として提供するものです。閲覧されるみなさまは、その点をよろしくご了承のうえ、扱いにはくれぐれもご注意ください。

 

 

『美少女戦士セーラームーン』Act.28
原作:武内直子/脚本:小林靖子

 

1. 前回より

 



  セーラールナへ変身するルナ
ルナのN「ルナです。幻の銀水晶の力を浴びたおかげで、セーラー戦士に変身できるようになったの」
  セーラールナが猫ルナに。
  驚愕するセーラームーン。
ルナのN「前世の記憶もハッキリしたし、これからはセーラームーン達の教育係として――」
  N枠内でくしゃみをしたルナが猫ルナに。





猫ルナ「あー、くしゃみすると元の姿に戻っちゃうのよね。でも、今までよりずっとセーラームーン達の役に立てるわ」
  セーラールナがクンツァイトをハリセンで叩く。



猫ルナのN「と思ったんだけど……」

  なぎ払われて猫ルナになるセーラールナ。
  対峙するセーラームーンとダークマーキュリー。
クンツァイトの声「戦え。今のお前であり続けるために」
うさぎの声「今日は絶対亜美ちゃんを連れて帰る。お尻叩いてだって連れて帰るから!」
  戦うセーラームーンとダークマーキュリー。
セーラームーンの声「亜美ちゃん……! 苦しいんだ……、亜美ちゃんが一番……!」
  セーラームーンから放たれる光を浴びて後じさるダークマーキュリーに亜美の姿が重なる。
セーラームーン「亜美ちゃん!」

マーキュリー「うさぎちゃん……」
クンツァイト「マーキュリー! 惑うな!」
  ダークマーキュリーが剣を振り下ろす。
  ゆっくり倒れるセーラームーン。
ダークマーキュリー「うさぎちゃん……、うさぎちゃん!」
  割れるティアラ。
  悲鳴を上げるダークマーキュリーが亜美に戻る。

2. ビル・ロビー



  セーラームーンを抱きしめたままの亜美にクンツァイトが歩み寄る。
クンツァイト「来い」
  亜美の腕をとって無理矢理立たせる。
  ショックで抵抗できない亜美。
  ただセーラームーンに手を伸ばす。
亜 美「うさぎちゃん!」
  動かないセーラームーン。
  亜美の手がセーラームーンに届きそうになる。
  同時にマントを翻して消えるクンツァイトと亜美。
  そして、セーラームーンの姿もない。
猫ルナ「うさぎちゃん……!」

タイトル

 



 

3. ダーク・キングダム・通路

 


  黒い花びらと共に、一人戻ってくるクンツァイト。
  ふと周りを見る。
クンツァイト「マーキュリー、どこだ」
  返事はない。
クンツァイト「……」

4. 森・滝の前



  うさぎと亜美が倒れている。
  亜美が目を覚ます。
  一瞬ぼんやりとするが、傍らのうさぎに気づく。
亜 美「! うさぎちゃん!」
  うさぎを抱え起こす亜美。
亜 美「うさぎちゃん、目を開けて! しっかりして!」
  必死の亜美は、滝に走り寄ると、ハンカチを濡らして、うさぎの額や口元をしめらせる。
亜 美「お願い、お願い、お願い……!」

  その時、ようやくうさぎがうっすらと目を開ける。
うさぎ「亜美ちゃん……?」
  「!」とうさぎを抱きしめる亜美。
亜 美「よかった……! 死んじゃったかと思った……!」
  一瞬飲み込めないが、すぐに笑みを浮かべるうさぎ。
うさぎ「亜美ちゃん、元に戻ったんだね……。よかった!」
亜 美「うさぎちゃん……」
  笑顔のうさぎ。
うさぎ「でも、ここって……」
  見上げる空はダーク・キングダムと同じ色。

5. ダーク・キングダム・通路



  刀を半分ほど鞘から抜いているクンツァイト。
  刀身に映る森にいるうさぎと亜美。
クンツァイト「セーラームーンのせいで飛び損ねたか。マーキュリーも完全に私の手を離れている……」 
  乱暴に刀を納める。
クンツァイト「……まぁいい。あの森ならばダーク・キングダムの庭も同然」
  クンツァイトが踵を返して奥へ向かう。
クンツァイト「ゆっくり楽しんでいってもらおう」

6. 森・樹の前

 


  携帯をかけながら歩いて来るうさぎと亜美。
うさぎ「ダメだ、通じない……」
亜 美「……ねぇ、ホントに大丈夫? どこも痛くない?」
うさぎ「うん。大丈夫。多分スティックが盾になったんじゃないかな」


╳    ╳    ╳

 

 フラッシュ。



  砕けるロッドのクリスタル。


╳    ╳    ╳


  亜美が視線を落とす。
  自分の黒いブレスレットに気づいて、むしり取るように捨てる。
  ハッと見るうさぎ。
亜 美「……私が、やったんだ……。私がうさぎちゃんを……」
うさぎ「覚えてるの?」
亜 美「(首を振り)でも、うさぎちゃんの事はわかる……。私、どれぐらいあんな風だった? 何してたの?」
うさぎ「何って……、ずっと敵と一緒にいて……」
  うさぎ、調子を変えて元気づけるように、

うさぎ「亜美ちゃんは操られてただけだよ。全然悪くないんだから、気にすることないよ」
亜 美「……」
  うさぎが立ち上がる。
うさぎ「早く帰れる道探そ」
  と亜美の手をとって歩き出す。
  うさぎの背中を見詰める亜美。


╳    ╳    ╳

  フラッシュ。
  ダークマーキュリーの腕の中に倒れるセーラームーン。



うさぎ「気にすることないよ」


╳    ╳    ╳

亜美のM「うそ……。うさぎちゃんにあんな事したぐらいなんだから、きっと、みんなにひどい事してる……」
  一瞬目を閉じる亜美。


 

7. ダーク・キングダム・一角


  ゲーム番の前のクンツァイト。
  盤上には、コマが二つ置かれている。
  クンツァイトがおもむろに別色のコマを最初の二つの前に置く。



 

8. 森・坂道



  歩くうさぎと亜美。
  突然、その前に妖魔が現れる。
  驚く二人に攻撃を仕掛ける。
うさぎ「ムーンプリズムパワーメイクアップ!」
  しかし、変身できない。
うさぎ「あれ?!  何で?!」
  亜美が空を見る。
亜 美「ここ、普通の空間じゃないのかも……」

うさぎ「変身できないの? うそ……」
  妖魔の攻撃。
  危うく避けて転がるうさぎと亜美。
うさぎ「亜美ちゃん、逃げよ!」
  だが、亜美は尻餅をついたまま。
うさぎ「何してんの、早く!」
  うさぎが亜美を引っ張り起こして走り出す。

9. ダーク・キングダム・一角

 


  盤上のコマ二つが僅かに移動していく。
クンツァイト「マーキュリー、束の間とは言え共に戦った仲だ。生きて脱出できれば、今回は見逃そう。



  笑みを浮かべてコマを見詰める。
クンツァイト「出来れば、な」

10. 森・道

 


   懸命に走るうさぎと亜美。

11. クラウン・全景

 

 

12, 同・中



  荒い息で飛び込んで来るルナ。
ル ナ「レイちゃん、まこちゃん、大変よ!」
  驚いて振り返るまこととレイ。
まこと「また……、ちょっと今たてこんでるから、話なら後で、ね。あんまり勝手に入って来ちゃダメだよ」
  まことがルナを外へ出そうとする。
ル ナ「ちょっと、まこちゃん!」
  レイがまことを止め、ルナを見詰める。
レ イ「あなた、ルナね」
まこと「ルナ?!」
ル ナ「さすがレイちゃんね……」
まこと「うそ……」


╳    ╳    ╳


  座って話しているまこと、レイ、ルナ。
まこと「じゃあ、うさぎは亜美ちゃんと一緒に敵に……」
レ イ「……」
ル ナ「亜美ちゃんは元の亜美ちゃんに戻っていたと思うわ」
レ イ「どうして私達に言わなかったの」
ル ナ「みんなで行ったら亜美ちゃんが出てこないかもしれないし、亜美ちゃん元に戻りかけてたから、チャンスだと思ったのよ」
まこと「うさぎまで捕まるなんて……。マジでまずいよ」
レ イ「(頷き)まさかこんな……。ルナ、何か方法は……」

  と見たルナはコテっとテーブルに突っ伏している。
まこと「ルナ?……もしかして、寝た?」
レ イ「(溜息)猫っぽい所はそのまんまなのね」
  寝息を立てているルナは、猫ルナに変わる。
レ イ「仕方ないわ、ヴィーナスとアルテミスに協力してもらいましょう。今は手段は選んでられないわ」
  厳しい表情で立ち上がるレイ。
まこと「けど、ヴィーナスの居場所、知ってる訳?」
  レイ、ちょっとまことを見て考えるが、
レ イ「ええ」
  驚きで見るまこと。

13. 森・樹の下



  走って来るうさぎと亜美。
  うさぎは後ろを振り返りつつ、
うさぎ「いなくなったかな……」
  だが亜美がハッと立ち止まる。
亜 美「うさぎちゃん、あれ……」
  落ちている亜美の黒いブレスレット。
うさぎ「え……。うそ……。さっきと同じ場所? 何で?」
  そこへ、妖魔がまた迫ってくる。
うさぎ「亜美ちゃん、こっち! こっち行ってみよ!」
  亜美を引っ張って横道へと走るうさぎ。

14. ダーク・キングダム・一角

 


  移動している盤上のコマを見つめるクンツァイト。
  おもむろにクラックのコマを行く手に置く。

15. 森・道


  突然、走るうさぎと亜美の足下が斜面になる。
亜 美「きゃあ!」
うさぎ「亜美ちゃん!」
  二人が斜面を落ちていく――


 

16. ダーク・キングダム・メタリアの間


  ベリルの前にいるジェダイト
ベリル「クンツァイトが何やら騒ぎを起こしておるようだな」
ジェダイト「セーラー戦士と子供のような遊びを。一体何を考えているのか」



ベリル「まぁよい。もし幻の銀水晶を手に入れる事があれば、すぐにも……」

17. ラジオブース



  公開録音で、ブース前は人だかりがしている。
  ブースの中に入ってくる美奈子に歓声が沸く。
  ファンに手を振る美奈子。
  離れた所から見ているまこととレイ。
  まことは愕然と見つめるのみ。
まこと「愛野美奈子が、セーラーヴィーナス……? ホントに? 何で今まで……」
レ イ「私一人が知ってればいい事だと思ったから」
  チロッとレイを見るまこと。

レ イ「わかってるわよ。黙ってた事は謝るわ」
  ブースの方へ進み出るレイ。
まこと「変わったのはルナだけじゃないか……」
  見つめたまことも後に従う。
  ブース内の美奈子が二人に気づく。
  見つめるレイ。
美奈子「……」
  足下のバッグを足で軽く蹴る美奈子。
  顔を出すアルテミス。

18. ビル・前

 


  レイとアルテミスを抱えたまことが駆けてくる。
アルテミス「クンツァイトが空間を移動したなら、入口はまだ完全に閉じていないはずなんだ。それを使えば、プリンセス達のいる場所に行ける」
まこと「このビルのロビーだって言ってた」
  レイがドアを開けて、全員が入るが――

19. 同・廊下



  ただの廊下に入って来ているレイ達。
レ イ「?!」
まこと「え?! 今確かロビーに――」
  レイが慌てて閉じたばかりのドアを開くが、その向こうには、また廊下がつながっている。
レ イ「そんな……!」
アルテミス「空間がねじれてしまってる!」
まこと「どういう事!」
アルテミス「空間移動した時にトラブルがあったのかもしれない。これは面倒くさいぞ」

レ イ「ロビーに出られないの?」
アルテミス「とにかくどこかの廊下か扉がロビーにつながってるはずだ。片っ端から探すしかない」
まこと「え……」
アルテミス「早くしないと、入口が閉じてしまう」
レ イ「!」
  まことはアルテミスを胸元に押し込む。
まこと「落ちないでよ」
  走り出す二人。
  扉を開け、デタラメにつながった廊下を走る。
  

20. 森・斜面下



  転がってきたうさぎと亜美が顔を上げる。
  そこには、やはり黒いブレスレット。
うさぎ「どうなってんの、一体……」
亜 美「ごめんね。私のせいで……」
うさぎ「違うって。行こうよ」
  亜美が首を振る。
うさぎ「どうしたの? さっきから変だよ! 早くしないと……」
亜 美「私、帰れない……。みんなにひどい事して……」
うさぎ「亜美ちゃん……。でもそれは操られてたんだから仕方ないって。誰も何とも思ってないよ。だってさ、私達みんな仲間じゃん!」

  亜美は頑なに首を振る。
亜 美「もう仲間にはなれないよ……」
うさぎ「そんな……」
  座り込んだままの亜美。
  その時、斜面上から足音が聞こえる。
うさぎ「! 亜美ちゃん、早く行こう」
亜 美「うさぎちゃん、一人で行ってよ」
うさぎ「!」

亜 美「……」
うさぎ「亜美ちゃん……」
  突然、うさぎが亜美の腕を乱暴にとる。
うさぎ「もう、何言ってんの! バカ!」
  驚いた勢いで立たされている亜美。
うさぎ「そんな事もうどうでもいいよ! ほら! 急いで!」
  と亜美のお尻をひっぱたく。
亜 美「いたーい! ひどい!」
うさぎ「ひどいのはそっちだよ。私達のこと仲間だと思ってないのは亜美ちゃんじゃん!」

  うさぎは亜美の手を引いてズンズン行く。
うさぎ「何があったって、亜美ちゃんの事嫌いになるわけないのに。私達の事、信用してくれてないんだよ!」
  お尻をさすりながら従っていた亜美だが、恐る恐る拳を握り、やがて思い切ってうさぎに近寄ると素早くうさぎの頭をコンと叩く。
うさぎ「いたーい!」
  うさぎの手から離れ、立ち止まる亜美。
  驚きで見るうさぎ。
亜 美「信用、出来ないよ……」
うさぎ「え……」


╳    ╳    ╳

  回想。



  クラウンで一人いる亜美。


╳    ╳    ╳


亜 美「ちっともクラウンに集まらなくて、戦う時もバラバラで、全然仲間みたいじゃなかった!」
うさぎ「……」
亜 美「私、いつかは元通りになるって信じてたけど、でも心のどこかで、もうダメかもって……」



うさぎ「……」
亜 美「……」
  そこへいきなり上空から襲いかかってくる妖魔。
二 人「きゃー!」
  危うく避けて走り出す。
  妖魔が追う。

21. ダーク・キングダム・角

 


  クンツァイトが盤を眺める。
クンツァイト「なかなかねばるな」
  岩のコマを置く。
  その姿を、離れた所から見るネフライトがいる。



ネフライト「……」

22. 森・岩場



  懸命に走るうさぎと亜美。
  転びそうになる亜美の手をつかむうさぎ。
うさぎ「早く!」
亜 美「うん」
  手を繋いで二人が走る。
亜 美「……ごめんね」
うさぎ「(首振って)亜美ちゃん、私達、ちょっとずつ変わってるんだと思う。もしかすると、亜美ちゃんの期待する仲間になっていないかもしれないけど――」

23. ビル・廊下

 


  必死に廊下を走り、ドアを開け、迷路のようにつながったビル内を走るまこととレイ。
うさぎの声「亜美ちゃんを待ってた気持ちはホントだから」

24. 森・岩場の上



  懸命に岩場を上がるうさぎと亜美。
  先にたどり着いたうさぎが亜美に手を伸ばす。
  亜美が手を伸ばし、うさぎが引き上げる。
  倒れ込む二人。
  大きく息をついて無言。
亜 美「……」
  ようやく顔を上げたうさぎは、またも黒のブレスレットを見る。

うさぎ「何で……。入って来られたのに、どうして出られないの……」
  それを聞いた亜美がハッとなる。
亜 美「……そうだよ。出られないはずない……」
うさぎ「でも出口がないし」
亜 美「こっちからの出口は、向こうからの入口」
うさぎ「え?」
亜 美「同じなんだよ。最初の場所に戻ろ!」
  亜美が走り始め、うさぎもそれに続く。

25. ダーク・キングダム・一角


クンツァイト「気付いたらしいな……」



  立ち上がるクンツァイト。

26. 森・坂道

 


  駆け上がるうさぎ、亜美。
  だがその後ろから妖魔が迫る。
二 人「!」

27. ビル・階段室

 


  まこととレイが汗も拭わず駆け上がる。
アルテミス「急げ。もう時間がない!」

28. 森・坂道

 


  うさぎと亜美が妖魔の攻撃を避けて走る。
  前方に見える滝。


 

29. ビル・ロビー


  大きく扉が開いて飛び込んでくるレイとまこと。
まこと「着いた!」
アルテミス「あそこだ! 中央の空間!」
  「!」と見た中央に、歪む空間と向こう側にいるうさぎと亜美の姿――


 

30. 森・滝の前


  うさぎと亜美も、滝の水の向こうに、汗をかき荒い息のまこととレイを見る。
うさぎ「レイちゃん、まこちゃん!」
亜 美「!」
まこと「亜美ちゃん!」
レ イ「亜美ちゃん!うさぎ!」
  レイ、まこととうさぎが手を伸ばす。
亜 美「みんな……!」
  そして亜美も手を伸ばし、そこに戻るブレスレット。途端に周囲が白くフェードアウトして――












 

31. ビル・ロビー

 


  戻って来るうさぎと亜美。
うさぎ「出られた!」



  だが、四人の前に現れる妖魔、そしてクンツァイト。
クンツァイト「ゲームは私の手で幕を引こう」
  立ち上がるうさぎ、亜美、レイ、まこと。



うさぎ「ムーンプリズムパワーメイクアップ!」
亜 美「マーキュリーパワーメイクアップ!」
レ イ「マーズパワーメイクアップ!」
まこと「ジュピターパワーメイクアップ!」
  四人が変身。



セーラームーン「愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーン! 月にかわって!」
四 人「おしおきよ!」
  身構える妖魔とクンツァイトの攻撃。
  かわすセーラームーン達。








  クンツァイトの二度目の攻撃を弾くのは、ヴィーナスのチェーン。



クンツァイト「つ……!」
アルテミス「ヴィーナス!」



ヴィーナス「みんな、セーラースタータンバリンの力をセーラームーンに集めて!」
  ジュピター、マーズがタンバリンを構える。



マーキュリー「え?」
  そこへ走り来たセーラールナがタンバリンを投げる。



セーラールナ「マーキュリー、受け取って!」



  「?!」とキャッチするマーキュリー。



  セーラームーンが手にするロッドも元に戻っている。



  セーラームーンが掲げるロッド。
  マーキュリー達が奏でるタンバリンの光がロッドに集中される。
  セーラームーンがさらにロッドを輝かせる。
  後じさるクンツァイト。
セーラームーン「×××××××(新必殺技)!」








  妖魔が光に包まれて消滅していく。




ジュピター「やった……」
  が、いつの間にかマーキュリーの後ろに移動したクンツァイトが剣を振り上げる。




クンツァイト「マーキュリー、束の間、楽しませてもらったぞ。
セーラームーン「亜美ちゃん!」
マーキュリー「!」



  だが、クンツァイトの剣を止めるのはネフライト。
クンツァイト「……何のマネだ」
ネフライト「お前の邪魔をしたかった……」
クンツァイト「バカが……」
  姿を消すクンツァイト。



  ネフライトも一瞬マーキュリーを見る。
マーキュリー「?」
  が、すぐにネフライトも姿を消す。
  ホーッと息をつくセーラームーンが、笑顔になってマーキュリーに駆け寄る。
セーラームーン「亜美ちゃん」



  マーズとジュピターもマーキュリーを囲む。



マーズ「亜美ちゃん。待ってたわ」



ジュピター「おかえり」
  マーキュリーの肩に乗る猫ルナ。



猫ルナ「亜美ちゃん、良かったわ」
マーキュリー「みんな……」



  マーキュリーがみんなに抱きつく。
セーラームーン「亜美ちゃん……」



マーキュリー「ありがとう……! ただいま!」
  抱き合う四人。
  見詰めるヴィーナス、アルテミス。
  セーラームーン達はいつまでも一つになっている。



つづく。




 というわけでみなさん、よいお年を。


2015年もよろしくお願いします。