実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第310回】実写版Act.8 撮影台本全部公開の巻


以下に紹介するのは、実写版Act.8の撮影に使われた本物の台本です。
東映の関係者でもない私がなぜこれを所有しているかというと、こういう台本のたぐいが、ネットのオークションにしばしば出品されるのである。といっても3年前にこれを落札したのは私ではなくてM14さんだ。当時の『M14の追憶』に、だいたいこのAct.8台本の面白いところはすべて紹介されている(こちら)。で、ブログで使用済みの台本がこちら名古屋支部に送られてきて、現在私が保管しているわけですよ。いずれどなたかがセーラームーン記念館を建てたら寄贈する予定である。
私のところには他にもM14さんやこっちよ!さんから送っていただいた実写版台本の実物やPDFファイルがある。過去に紹介したのはまだAct.48Final Actだけなんだけど、おいおいすべて紹介するつもりなので、こういうのが好きなみなさんは、気長にお待ち下さい。

以下は実写版『美少女戦士セーラームーン』Act.8の撮影台本の全文です。テキストを一字一句たがわずに写したものです。あくまで研究のための資料提供を目的としております。利用される方はその点をよくご承知おきください

 

『美少女戦士セーラームーン』Act.8  原作:武内直子/脚本:小林靖子

 

1. 前回より



   セーラーVと戦うタキシード仮面。
うさぎのN「プリンセスかもしれないセーラーVに、タキシード仮面に近づくなって言われちゃった。でも、タキシード仮面を敵にするなんて絶対無理。だって……」
   タキシード仮面にハンカチを巻くセーラームーン。
うさぎのN「セーラーVもわかってくれたんじゃないかなぁ。私達の敵は、妖魔だけで充分だもんね!これからも頑張ろうっと!」

タイトル

 

 

2. クラウン・中


   亜美、レイ、まこと、ルナがいる。
   亜美はノートPCを広げてキーを叩いている。
   画面には『セーラーVについてのまとめ』とある。
まこと「……遅いな。うさぎ」
亜 美「掃除当番みたい」
まこと「それにしてもな。ちょっと様子見てこようか」

   まことが立ち上がるが
レ イ「大丈夫でしょ。もう子供じゃないんだから」
まこと「けど、うさぎの事だから何かドジ踏んでるかも」
レ イ「そこまでいくとおせっかいなんじゃない?」
   レイを見るまこと。
   亜美も顔を上げる。
レ イ「違う?」
   まことがソファに座る。
まこと「悪いとは思わないけどね」

3. 同・受付


   亀とツーショット写真を撮っている古幡。
   うさぎが息せき切って駆け込んでくる。
うさぎ「こんにちはー!」
古 幡「あ、うさぎちゃん。この間は迷惑かけて――」
   うさぎは、もう奥へ走ってしまっている。
古 幡「(寂しく)ごめんね……」

 

4. 同・中


   静まりかえっている。

   そこへ飛び込んで来るうさぎ。
うさぎ「ねぇねぇ、聞いて聞いて!」
   途端に賑やかになる室内。
まこと「うさぎ、遅い!」
レ イ「何してたの。呼び出しておいて」
   うさぎがチラシを見せる。
うさぎ「これこれ! ちょっと見てよ!」
   亜美がチラシを見る。
亜 美「『愛野美奈子マスコットキャラなりきりコンテスト』」
うさぎ「ほら美奈子がデザインしたナコナコ。知ってるでしょ」

   チラシには、ブサかわいい系のキャラ『ナコナコ』のイラストがあり、吹き出しに『くぴっ』とか書いてある。
まこと「ようするに仮装コンテストみたいなもんか」
うさぎ「そ。で、このコンテストに何と! 美奈子が審査員で来るんだって〜! 入賞賞品は、コンテスト限定のナコナコぬいぐるみなんだよ、欲しい〜」
レ イ「そんな事で呼び出したの? 勝手に出れば」
うさぎ「や、やっぱレイちゃん出ないよね。亜美ちゃん達は?」
亜 美「塾があるから……。セーラーVのことも調べたいし」
まこと「私も、美奈子は好きだけどさ、ぬいぐるみとかは興味ないな……」
うさぎ「じゃあお願い助けて!」
   突然なうさぎに「え」と見る一同。

   カバンから問題集を取り出すうさぎ。
うさぎ「実はこないだ出た宿題、せっかくやったのに、間違ってノート捨てちゃったんだよね〜」
レイ達「えー!」
うさぎ「明後日提出なんだけど、コンテストも明後日だし〜、これやってたら準備間に合わないよ。お願い手伝って〜」
レ イ「何やってんのよ」
まこと「ったくしょうがないな−」
   まことが問題集を手にする。
まこと「じゃあ、四人でページ割って――」
レ イ「私はお断り」
まこと「え?」

レ イ「うさぎ、自分の失敗は自分で取り返さなきゃ。すぐ人に頼るのはよくないわよ」
うさぎ「う……」
まこと「うさぎだってわかってるよ。でも困ってんだから、助けてやるのが仲間だろ」
レ イ「面倒見過ぎるのはお互いにマイナスよ。強くなれないもの」
   うさぎと亜美が不安げに二人を見る。
まこと「助け合って強くなるんだよ」
レ イ「一人一人が強くなるべきよ」
   うさぎが割って入る。
うさぎ「待って待って、ごめん。私、自分でやる。忘れて、ね」
   うさぎが急いで問題集をカバンにしまう。
まこと「(レイに)冷たいんだな」
レ イ「……」
うさぎ「やめてってば〜」
   半べそのうさぎ。

5. 学校・全景(本編未使用シーン)

 

 

6. 同・ベランダ(本編未使用シーン)


   うさぎと亜美が並んでいる。

うさぎ「昨日は参ったな〜。あんな事頼まなきゃ良かった。まこちゃんとレイちゃん、あんまり相性良くないのかな」
亜 美「ん……何て言うか……、距離感が違うだけなんじゃないかな。仲間に対して」
   うさぎがあくびをする。
亜 美「宿題の問題集、進んだ?」
うさぎ「頑張ってる。絶対ナコナコ欲しいもん。美奈子と握手できるかもしれないし!」
   教室の中では、なる、香奈美、桃子が、ナコナコのポーズをして「くぴっ」とか言っている。
うさぎ「なるちゃん達もライバルか〜。頑張らなきゃ!」

7. 一室



   ピアノを弾いているゾイサイト。
   そこへ入ってくるジェダイト。
ジェダイト「ゾイサイト、頼みがある」
ゾイサイト「私は今、セーラーVに心を合わせている」
   目を閉じてピアノを弾き続けるゾイサイト。
   ジェダイトが鍵盤を叩き、不協和音を奏でる。
ジェダイト「聞け。俺はセーラー戦士を倒したい」
   目を開けるゾイサイト。

8. ダーク・キングダム・中



   クイン・ベリルの前に歩み寄るネフライト。
ベリル「ほぅ、ジェダイトがセーラー戦士を……」
ネフライト「はい。エナジー集めも失敗続きのくせに大きな口を……。そろそろ見限られてはいかがかと」
ベリル「ネフライト、わらわに愛されたいと懸命な者の方が、口ばかり動かす者より可愛いと思わぬか?」
ネフライト「! お、仰せの通り、かと……」
   ネフライトが悔しそうに一礼する。
ネフライト「ジェダイトめ……」
   微笑でネフライトを見詰めるベリル。

9. 学校・玄関(本編ではシーン11に回想場面として挿入)



   まことに絵馬を差し出すうさぎ。
まこと「え、火川神社に?」
   絵馬には『祈 ナコナコget!』とか書いてある。
うさぎ「私今日中に問題集終わらせて、コンテストの準備もしなきゃいけないから。代わりに行ってもらえないかな」
まこと「……見え見えなんだけど」
うさぎ「あ、やっぱ……? でも、お願い! レイちゃんと話してよ。ね?」
まこと「……」

10. 火川神社・全景

 

 

11. 同・境内


   様子を窺いながら来るまこと。
   絵馬を見て、ちょっとため息。
   と、そこへレイの声が聞こえる。
レイの声「……行きたくありませんから!」
まこと「?」

 

12. 同・裏手

 

   携帯で話しているレイ。
レ イ「もうそういう親子ごっこには飽きたって、伝えて下さい。
   ……いいです。私……、会いたくない!」

   レイが携帯を切り、宙を睨む。
   が、砂利を踏む音にハッと振り返る。
   立っているまこと。
レ イ「……」
まこと「……なんか、困った事?」
   寄せ付けない雰囲気のレイ。
レ イ「盗み聞きなんて、趣味悪いわ」
まこと「(カッと)そういうつもりじゃない」
レ イ「じゃあほっといて。何でも話すのが仲間とは思ってないの」
まこと「あ、そう。こっちも聞くつもりないし」
   まこと、絵馬をポケットに突っ込んで立ち去る。

 

13. 月野家・全景(夜)

 

 

14. 同・うさぎの部屋の中(夜)

 

   机で懸命に問題集を解いているうさぎ。
うさぎ「レイちゃんとまこちゃん、仲直りしてくれたかな」
   一瞬、窓を見たうさぎだが、すぐに問題に戻る。
うさぎ「頑張んなきゃ!」
   ドアの隙間から進悟が覗いている。

15. 同・居間(夜)



   階段の方を見ている育子の元へ、進悟が降りてくる。
育 子「どうだった? お姉ちゃんやっぱり勉強してる?」
進 悟「うん、信じらんないけどすげぇ真剣」
育 子「昨日からどうしちゃったのかねー。でも、良い事よね」
進 悟「どうかな。ムリするとプツッていっちゃう事もあるし」
育 子「え?」
   不安そうにもう一度上を見る育子。

16. 同・うさぎの部屋の中(夜)


   時計は12時を回っている。
   うさぎが問題集を閉じる。
うさぎ「よし、終わった! 後はコンテストの準備!」
   うさぎは眠そうな目をこすりながら、かぶり物を取り出して頭に被って、鏡の前に立つ。

うさぎ「くぴっ、くぴっ?くぴっ〜」
   と色々ポーズを研究する。だが、それをドアの隙間から見ている育子。
育 子「う、うさぎ……?」
うさぎ「くぴっ」
   育子が飛び込む。
育 子「うさぎー!しっかりしなさい」
うさぎ「え、ちょ、やだ!何なのー!」
育 子「うさぎー!」
   育子がうさぎを揺さぶる。

17. 学校・全景(朝)

 

 

18. 同・教室



   うさぎがなる達とナコナコの振りを練習している。
   入り口から見ているまことと亜美。
まこと「へぇ、うさぎ、ちゃんとやったんだ……」
亜 美「うん。コンテストもすごい張り切ってる。私行けないけど、まこちゃん応援行くでしょ?」
まこと「ああ、うん……」
   まことがポケットの絵馬を触る。

19. 一室

 

   ゾイサイトが弾くピアノの横に立つジェダイト。
ゾイサイト「心を飛ばせ。セーラームーンの所へ」
ジェダイト「場所は……」
ゾイサイト「知らん。ただ想い、飛ばせばいい」
   ジェダイトが両手を広げる――

20. 火川神社・近く

 

   まことが絵馬を手に来る。
   と、前方に高級車が止まっているのに気づく。
   そして秘書の倉田真美と二人の男と言い争っているらしいレイも見える。
まこと「?」
   囲まれたレイは、倉田に腕を掴まれるが、それを振りほどいて、車に乗る。
まこと「え……。まさか誘拐……?」






 

21. ホテル・正面


   レイを乗せた車が滑り込んでいく。
   窓から見えるレイの表情は堅い。

 

22. 会場

 

   『ナコナコなりきりコンテスト』という看板。
   お面だけだったり、着ぐるみだったりする参加者が集まっている。
   ナコナコの扮装で来るうさぎ、なる、香奈美、桃子。
うさぎ「うわぁ、結構いるなー」
香奈美「美奈子、まだ来てないのかな」
   そこへ微かに響いてくるゾイサイトのピアノの旋律。僅かに室内が暗くなる。

23. ホテル・廊下



   周囲を見回しながら来るまこと。
   と、一室に入っていく倉田が見える。
まことのM「!」
   ドアへ走り寄ったまことが、中の様子を窺う。
   だが、その肩を突然掴む男達。
 男 「何をしているんだ」
まこと「! はなせ!」
   咄嗟に男二人を突き飛ばしているまこと。
   男達が派手に倒れる。
   ドアが開いて倉田が顔を覗かせる。

倉 田「どうしたの?」
   倒れた男達とまことに驚く倉田。
倉 田「何なの、あなた!」
まこと「私は――」
倉 田「ちょっと、誰か――」
レイの声「倉田さん、いいの!」
まこと「!」
レイの声「私の友達だから」
倉 田「え?」
   まことを見つめる倉田。

24. 同・部屋の中

 

   まことが入って来ると、部屋の中央に、上品なワンピースで着飾ったレイがいる。

まこと「……!」
レ イ「二人だけにして」
倉 田「でも……」
レ イ「お願い」
   倉田、つかの間疑わしそうにまこととレイを見ているが、
倉 田「もうすぐお父様がお着きになるから、手短にね」
   ドアを閉めて出ていく倉田。
まこと「お父さん……?」

レ イ「そう。政治家で忙しいから、月に一度、食事する事になってるの」
まこと「何だ……。言っとくけどプライベート覗きに来たんじゃないよ。たまたま見かけて、その、誘拐かって……」
レ イ「それで…助けに来てくれたわけ?」
まこと「バカすぎた……」
   レイの表情がちょっと緩むが、
レ イ「当たってるわよ。こんな所来たくなかったんだから」
まこと「……」

25. 会場


   司会者が参加者を整理している。
司会者「はい、受付終わった人はこっちに集まって下さーい」
   ピアノの旋律はまだ続いている。
   さらに暗くなる室内。
   ようやく異変に気づくうさぎ。
うさぎ「何……? この音……」

 

26. ホテル・部屋の中



   ドアが開いて、倉田が顔を出す。
倉 田「お父様がもうレストランの方へ向かわれたわよ。レイさんも急いで」
   レイとまことが見る。
倉 田「それと今日は取材も入っているから、そのつもりでね」
レ イ「取材って?」
倉 田「理想の親子っていう記事ですって。さ、行きましょ」
レ イ「理想……?」
   レイ、腕をとろうとする倉田を振り払う。
レ イ「記者の人に言ったら? パパはママが死んだ時だって帰ってこなかったような奴ですって!」
まこと「……」

倉 田「レイさん――」
レ イ「何が理想よ。こんな事するのだって、政治家のイメージを気にしてるだけのくせに!」
倉 田「レイさん! お父様はそんなつもりは――」
レ イ「出てって!」
   倉田を押し出そうとするレイ。
倉 田「落ち着いて! 待ちなさい!」
   踏ん張る倉田。
   だがそれを、押し出すのはまこと。
倉 田「ちょっとやめなさい!」
   驚いてまことを見るレイ。

 

27. 同・部屋の外

 

   追い出された倉田が男を振り返る。
倉 田「ちょと時間おきましょう。火野先生に少し遅れるって伝えてくるわ」

28. 同・部屋の中

 

   ベッドに座るレイを見詰めるまこと。
   話す事もなく、手持ち無沙汰のまことは、床に広げられた洋服の入った箱をテーブルに置く。
   落ちたカードには『レイへ パパより』とある。
   拾って見るまこと。
レ イ「見せかけよ。パパはね、私の持っている力が嫌いなの。だから神社に預けたのよ」

まこと「……ホントに?」
レ イ「私は、パパなんかいなくたって一人でやってける」
まこと「……」
レ イ「強くなれたってパパに感謝してるくらいだけど、でももう見せかけはうんざり!」
   イヤリングを外して床に投げ捨てる。
   まことがそれを拾って、しばらく見詰める。
まこと「じゃあ……逃げちゃえば?」
レ イ「え?」
   イヤリングをポイッと箱に投げ入れる。
まこと「逃げちゃおうよ。何か、もういいじゃん」
レ イ「……」

 

29. 同・廊下

 

   ドアに寄りかかっている男達の前に、ルームサービスのワゴンを押したベルガールが来てノックする。
ベルガール「ルームサービスです」


       ╳    ╳    ╳


   ベルガールがワゴンを押して部屋から出て来る。
   何となく見詰める男達。
   ベルガールは実はまことが変装した姿。
   ワゴン上の料理カバーが持ち上がり、ワゴンの中に潜んだレイが顔を覗かせる。
まこと「大成功」
レ イ「(まことを見て)家族は仲良くするべきとか言うと思った」
まこと「言おうと思ったけど……考えたら、私も家族いないからさ、そんなのわかんないよっ」
   と勢いつけて走り出すまこと。
   ワゴンが崩れ、台車に乗っているレイだけになる。
   風を切って走るワゴンにレイが面白そうな悲鳴を上げ、まことも笑顔でさらにスピードを出す。
   驚く客達を後目に台車は走り続け――

 

30. 同・駐車場

 

   台車を間にして息を整えているまこととレイ
まこと「そろそろ行かないと、追ってくるかも」
   まことが台車からカバンを持ち上げる。
   その途端、フタが開いて中身が落ちてしまう。

まこと「あ!」
   転がった中に、ナコナコのミニぬいぐるみがついたキーやら、シールやらがある。
   「!」と拾い集めるまこと。
レ イ「へぇぇ、かわいいの好きなんじゃない」
まこと「これは別に……」
レ イ「へぇぇ」
まこと「……好きだよ! 文句あるか!」
   小物をバッグにしまうまことに、ちょっと笑うレイ。
   そこへ二人の携帯が鳴る。
   同時に取る二人。
ルナの声「大変よ!」
レイ・まこと「⁈」

 

31. 会場

 

   ピアノの旋律が流れている暗い会場内に、なる達参加者が倒れ伏してる。
   その中に立っているうさぎ。
うさぎ「なるちゃん……?何なの、これ」
   突然、正面に浮かび上がるジェダイト。
うさぎ「!」
ジェダイト「見つけたぞ、セーラームーン……」
うさぎ「確か……。ジェ、ジェダイト……!」
ジェダイト「貴様をこの手で……!」
うさぎ「ムーンプリズムパワーメイクアップ!」
   うさぎが変身。
   かろうじてジェダイトの攻撃を受け止める。

 

32. 会場の外

 

   愛野美奈子の乗った車が近づいてくる。
   微かに聞こえるピアノの音。
   と、バックミラーにゾイサイトの姿が映る。
美奈子「! 止めて!」
   車が止まると、ゾイサイトは消えている。
マネージャー「どうかした?美奈子ちゃん」
   厳しい表情で手を握りしめる美奈子。

 

33. 会場



   ジェダイトの放つ黒い光に包まれるセーラームーン
セーラームーン「きゃぁ!」
   倒れるセーラームーン。
ジェダイト「ここまでだ。よくも今まで……」
ジュピターの声「待て!」
   駆けつけるジュピターとマーズ。
マーズ「炎と情熱の戦士セーラーマーズ!」
ジュピター「雷と勇気の戦士、セーラージュピター!」
マーズ「火星にかわって!」
ジュピター「おしおきだ!」

   マーズとジュピターの攻撃
マーズ「ファイヤーソウル!」
ジュピター「フラワーハリケーン!」
   だがそれらをかわすジェダイト。
ジェダイト「お前達も地獄へ――」
   ジェダイトが再び黒い光を放つ。
   ジュピターとマーズが包まれようとするが……、
ジェダイト「う……! うあぁ!」
   突然苦しみ出すジェダイト。

   マーズ達が「?」と見る。
ジェダイト「あ……あ……」
   ジェダイトが薄くなって消える。
マーズ「どういう事……?」
ジュピター「さぁ……」
セーラームーン「う〜」
   マーズ達がハッと駆け寄る。
マーズ「うさぎ、しっかり」
ジュピター「大丈夫⁈」
   抱き起こされ、朦朧と目を開けるセーラームーン。

セーラームーン「あ〜、まこちゃん達仲直りしたんだ〜」
マーズ「え……」
ジュピター「いや……」
セーラームーン「レイちゃん、私ちゃんと一人でやったよ。コンテスト出るよ。ナコナコゲットするよ〜」
マーズ「うさぎ……」
   だが、ガクッと気絶してしまうセーラームーン。
ジュピター「うさぎ⁈」
   ルナが来て
ル ナ「徹夜続きだったし、ジェダイトの攻撃が強すぎたみたい。コンテストはムリね」
マーズ「……またチャンスはあるわ」
ジュピター「頑張ったよ、うさぎ」
   眠っているセーラームーン。


       ╳    ╳    ╳



司会者「えー、愛野美奈子ちゃんですが、スケジュールの都合で来れなくなってしまいましたー、すみません!」
   会場からブーイング
司会者「でもコンテストの賞品、ナコナコぬいぐるみにサインしてくれたそうなんで、皆さん頑張ってください!」
な る「うそ!」
桃 子「がんばろー!」
   そんななる達の後ろへ、顔を隠すように並んでいるのは、ナコナコの簡単な着ぐるみをきたまこと。
   気づかれないように、周囲を見回す。
   だがその時、バッタリ視線が合うのは、着ぐるみを着たレイ。

レ イ「……」
まこと「……」
レ イ「……うさぎには甘いんだから」
まこと「どっちが」
レ イ「入賞、するつもり?」
まこと「出来なきゃ意味ない」
レ イ「そうね」
   ステージに立つレイ。
レ イ「くぴっ」


       ╳    ╳    ╳


   ステージのまこと。
まこと「くぴっ」


 

34. 同・外


   レイとまことが横に距離をとって歩いている。
   腕に持っているのは『参加賞』と書かれた箱。
   二人が同時に溜息をつく。
   歩き続ける二人。
   二人の距離は縮まらず、広がらず。

 

35. 月野家・うさぎの部屋

 

   ベッドでうさぎが熟睡している。
   枕元のルナ。
ル ナ「敵が強くなってる気がする……。うさぎちゃん達が戦士として本当に目覚めなければ危ないかも……」
   うさぎが眠り続けて――

36. 一室

 

   悶えて倒れ伏しているジェダイト。
ゾイサイト「慣れない者が最初から飛ばしすぎたか」
   クッと笑うゾイサイト。
ゾイサイト「だが、感じたぞ……。セーラーVを……」
   再びピアノを弾き始め――  

  

つづく