実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第950回】復活!乃木坂セラミュを楽しむために:幻のアイスショーの巻


『ゴジラ −1.0』アカデミー視覚効果賞受賞おめでとう。経費ばかりが話題になりがちだが、それは失礼である。日本は少人数だから人件費が安い上に時間外労働をやりすぎるし、アメリカは仕事の分担もはっきりしていて人件費が高い上に時間外労働をしなさすぎるから、べらぼうな製作費の差が出るのだろう。でもそのことと関係なく、レジェンダリー版のゴジラと『ゴジラ −1.0』を較べれば、巨大生物に街を蹂躙される威圧感や恐怖において、どちらが表現として優れているかは明らかだろう。金の問題ではなく志の違いだ。



 ぜひ続編に期待したい。その際、参考にしていただきたいのが、1984年に復活した『ゴジラ』の続編 『ゴジラVSビオランテ』(1989年/東宝/原案:小林晋一郎/脚本・監督:大森一樹)である。冒頭、ゴジラに破壊され、立ち入り禁止の被曝区域となった新宿で、世界各国の組織が、被災地に残ったゴジラの破片、通称G細胞(すさまじい再生能力がある)を狙って暗躍している。G細胞を手に入れた中東の某国は、遺伝子工学の権威、白神博士(高橋幸治)に、砂漠でも育つ生命力の強い穀物の開発を依頼する。 しかしアメリカの組織がテロ攻撃を仕掛け、博士の研究室は爆破、助手を務めていた娘のエリカ(沢口靖子)が巻き添えで死んでしまう。



 最愛の娘を失った博士はマッドサイエンティストと化し、娘のDNAをG細胞と掛け合わせて、バイオ怪獣ビオランテを創造してしまうのだ。<ゴジラ>対<ゴジラ細胞と沢口靖子のキメラ>。なのでこの作品は別名『ゴジラVS沢口靖子』とも言われているが、そう呼んでいるのは私だけかも知れない。ビオランテは倒される一瞬前、沢口靖子の面影を浮かべてから散ってゆく。



 今回の『ゴジラ −1.0』で、どう考えても無事であるはずがない浜辺美波がぴんぴんしているのは、これはもう、何らかのかたちでG細胞が移植されたに決まっている。



 戦争もゴジラも去り、神木隆乃介と浜辺美波と永谷咲笑(子役)にも平穏な生活がやってきた、と思ったが、浜辺美波の生命を救ったG細胞の活力は、そんなことでは収まらない。とめどなく暴走し、ついに浜辺美波は『フランケンシュタインの怪獣 サンダVSガイラ』みたいなヒト型巨大怪獣と化してしまう。



 そこへ復活ゴジラが上陸——アクションを苦手とする浜辺さんが、怪獣スーツを着た激しい戦闘場面を経て、俳優としていちだんと成長することを期待したい。
 などとバカを言っている場合ではないのだ。今週もぜんぜん時間がないのに、なにをやっているんだ私は。

5. 美少女戦士セーラームーン Prism On Ice


 平昌五輪で銀メダルを獲ったフィギュア・スケーターのエフゲニア・メドベージェワさんが、セーラームーン好きを公言するきっかけを作ったのは、浅田真央さんだという。



 「初めて優勝した2015年の世界選手権の表彰式の前でした。浅田さんにどうしても話しかけたかったのですが、日本語が話せないので、覚えていた『セーラームーン』の歌を日本語で歌いました
 彼女はすごく驚いていましたが、すぐに笑顔で『ぜひ今度、テレビカメラの前で歌ってください』とアドバイスしてくれました。私が『セーラームーン』が好きだというニュースが世界中に広まったのは、浅田さんのおかげなんです」
  (「Smart FLASH」2020年6月29日



 そこで彼女は2016年7月、新潟県長岡市で開催されたアイスショー「Dreams on Ice 2016 in Nagaoka」で、セーラームーンのコスプレで「ムーンライト伝説」などの楽曲を披露する。



 しかもそのときメドベージェワは武内先生にお会いして、色紙をもらったんだそうだ。



 7月2日(土)に新潟県長岡市で開催されたアイスショー「ドリーム・オン・アイス2016」では、武内直子先生がロシアのフィギュアスケート選手エフゲニア・メドベージェワさんの応援に駆けつけました。



 ショーでは「ムーンライト伝説」などメドベージェワ選手がセレクトされた楽曲に合わせた滑りを披露されました。
 (セーラームーンオフィシャルサイト/2016年7月5日)


 私はこのときのショーを知らなかった。だからその翌年の2017年4月、代々木で行われた世界国別対抗戦、試合後のエキジビジョンをたまたまテレビで観てびっくりした。このときのパフォーマンスは前年よりバージョンアップしていて、寝坊したうさぎがめざまし時計で起きる場面から始まり、家を飛び出して通学路でルナと出会い、初めてセーラームーンに変身する、第1話のエピソードをしっかり演じているんだからたまんない。



 その時、彼女がアニメ『ユーリ!!! on ICE』(2016年)のファンでもあることを知って、ちょっとおかしかったことも憶えている。まあとにかく、こういう流れがあって、2019年6月に、メドベージェワがセーラームーン/月野うさぎを演じるアイスショー「美少女戦士セーラームーン Prism On Ice」の開催が発表された。



 このときは詳細不明だったが、年が明けた2020年2月13日、前々回に紹介した東京・麻布十番のショーレストラン「美少女戦士セーラームーン -SHINING MOON TOKYO-」にて、メドヴェージェワ自身が来日してプレスリリースが行われ、スタッフ・キャストの詳細が発表された。



セーラームーン/月野うさぎ:エフゲニア・メドべージェワ
セーラーマーキュリー/水野亜美:宮原知子
セーラーマーズ/火野レイ:長洲未来
セーラージュピター/木野まこと:アリッサ・シズニー
セーラーヴィーナス/愛野美奈子:ベッキー・ベレスウィル
タキシード仮面/地場衛:アンドリュー・ポジェ
クイーン・セレニティ:ANZA
クイン・ベリル:坂槙眞三子


 なんとANZAが出演、脚本は平光琢也、音楽は小坂明子、さらに声の出演として、三石琴乃以下、新アニメ版の内部5戦士が参加することまで発表された。実写版が、ルナの声を潘恵子にしたものの、あとは先行作品をほとんど無視してアニメ原理主義者から叩かれたことを思うと、周到なキャスティングと言えよう。地場衛/タキシード仮面を演じるアンドリュー・ポジェは身長190cmということで、城田優以来の大型タキシード仮面となるはずであった。



 が、しかし、このプレス発表があったのは2020年3月13日。その前後がどういう状況だったかを思い出していただくと、こんな感じだ。


2020年1月31日WHO が緊急事態を宣言。世界の感染者は計 9,692 人・死亡者 213 人に
2020年2月4日大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」に乗船し香港に帰国した乗客に感染が確認され、5 日に予定していた清水港への入港を中止
2020年2月11日WHO が新型コロナウイルス感染症の正式名称を「COVID-19」と命名
2020年2月13日「美少女戦士セーラームーン Prism On Ice」プレスリリース
2020年2月17日天皇誕生日の一般参賀の中止を発表
2020年2月26日日本政府が今後 2 週間の大規模イベントの中止、延期又は規模縮小等の対応を要請
2020年2月27日日本政府が 3 月 2 日から春休みまで、全国全ての小学校・中学校、高校などについて、臨時休校を行うよう要請
 ご覧のように、プレスリリースのわずか4日後に、政府よりイベント中止要請が出る。これを受けて、2月13日プレスリリースからの流れがどんなことになったか、ざっと示せば以下の通り。
2020年2月13日「美少女戦士セーラームーン Prism On Ice」2020年6月5日・6日・7日にかけて、KOSÉ新横浜スケートセンターで全5公演の開催を発表
2020年4月16日1年後の2021年6月4日・5日・6日への延期が決定
2021年4月7日再延期の決定。1年後の2022年6月3日・4日・5日での開催を予定
2022年2月24日ロシアがウクライナへの本格的な軍事侵攻を開始
2022年4月8日再々延期の決定。1年後の2023年6月2日・3日・4日での開催を予定
2023年2月24日公演の中止が決定したことが発表される
 ということで、アイスショーの企画は立ち消えとなってしまった。メドベージェワはロシアのウクライナ侵攻が始まった2022年2月25日、インスタのストーリーズで、真っ黒な背景を世に「悪い夢のようです。一刻も早く全てが終わることを願っています」とのメッセージを発信して、世界の注目を集めた。



 2023年6月2日(金)、6月3日(土)、6月4日(日)に振替公演の実施を予定しておりましたアイスショー「美少女戦士セーラームーン Prism On Ice」につきまして開催に向け尽力してまいりました。しかしながら不安定な世界情勢による様々な影響により、出演者、スタッフの準備が困難な状況が現在も続いております。つきましては、協議の結果、現段階において開催日までに最高のショーを皆さまにお見せするための準備が整わないと判断し、本当に残念ではございますが本公演を中止させていただくこととしました。
 度重なる延期にもかかわらず、それでも今までお待ちいただいたファンの皆様のご期待に沿えることができず深くお詫び申し上げます。
 なお、公演は中止になってしまいましたが、本公演に向けて原作者の武内直子先生より描き下ろしていただいたイラストが届いておりますので公開いたします。



 (セーラームーンオフィシャルサイト/2023年2月24日)


 以上、幻に終ったアイスショーも、ミュージカルに準ずる企画ということで記録に残しておいた。ということで本日はこのくらいが限界である。たぶん5月の連休明けぐらいまでは、こんな青息吐息の状態で続けることになると思うが、よろしくお願いします。あと30周年記念ミュージカルと、もうすぐ始まる乃木坂5期生ミュージカルの話題を取り上げてから、『セーラー戦士 20年目の同窓会』レビューに戻って、それが終ったらドラマW『眼の壁』だからね。忘れている人もいると思うけど。では。