実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第458回】台本から美奈子の心境の変化が読めるか?:Act.12の巻


本日はマクラの雑談なしね。
ただしNHK『ごちそうさん』ご出演中の松浦雅さんは、これまでどおり全力で応援します。
がんばれ戦時下の水野亜美!正しい腐女子の姿を全国のお茶の間に見せつけてやれ!

 

 

 

 

 



というわけで今回は台本紹介。次回から予定しているAct.12レビューの基礎資料です。

 

以下に紹介するテキストは、実写版セーラームーンの撮影台本(スタッフやキャストが撮影時に使っていた台本)である。こっちよ!さんがネットオークションで落手したものをご提供いただいた。ちなみに当ブログでは、ほかにもM14さんやひろみんみんむしさんから頂いたものに基づいて、過去に計8本の実写版台本を紹介している(Act.1Act.8Act.13Act.15Act.16Act.40Act.48Final Act)。こっちよ!さん、改めてありがとうございました。

 

Act.12の担当は、前回Act.11と同じく高丸雅隆監督。今回の台本と較べていただければ分かるように、削ったシーンも足したシーンもなければ、セリフの改変もほとんど見られない、ほぼ台本に忠実な出来。でもシーン6(亜美とレイが真面目に話し合っている背景で、まこととうさぎがユルい鬼ごっこをする)とシーン31(妖魔との戦いのはずが、昔懐かしい長縄跳びになる)といったあたりに、台本とは無関係な「遊び」が入っていて、このへんをどう考えるかが、高丸監督の評価ポイントを左右しますね。というわけでみなさん、ぜひ実作品をレンタルビデオなりなんなりで入手されてから、以下の台本をお読みになられますよう、お願い申し上げます。

 

いつも申し上げておりますように、これは実写版セーラームーン研究の一次資料として提供するものです。いやマジで。閲覧される際は、その点よろしくご了解のうえ、取り扱いにはくれぐれもご注意ください。



  



『美少女戦士セーラームーン』Act.12
  原作:武内直子/脚本:小林靖子

 

 

1. 前回より

 


  仲間同士で戦うセーラー戦士たち。
美奈子のN「プリンセスを狙う敵は、セーラームーン達を操って私を倒させようとした」
  セーラームーンを庇ったタキシード仮面とゾイサイトが記憶を蘇らせる。
タキシード仮面「あれは……プリンセス……」 
セーラームーンで「え?! セーラーVの事?!」


╳    ╳    ╳


  セーラーVとしての美奈子の姿(別話)。
美奈子のN「私はプリンセスとしてずっと一人で戦ってきた。それは使命を果たすためにどうしても必要だったから。歌の仕事も戦いも、どっちも頑張ってきたつもり。でも……、初めてセーラームーンである月野うさぎと会って……」
  散らばるうさぎのカバンの中身。
  美奈子に会って浮かれているうさぎ。
美奈子のN「何だか……、空しくなって……」
  うさぎのおばかな顔のプリクラ。


 

タイトル

 



 

2. 病院・全景

 

 

3. 同・病室



  ソファにいる美奈子が、ぼんやりとナコナコのデザインをしている。
アルテミスの声「美奈子、戦いがイヤになったのか?」
美奈子「……」
アルテミスの声「セーラームーンがどんな人間だろうと、君にはプリンセスとしてやるべき使命がある」
美奈子「……ちょっと、一人にしておいて」
アルテミスの声「……わかった」
  静かになる病室
美奈子「……」

4. 同・廊下

 


  病室に近づいていく齋藤の影は妖魔の形。

5. クラウン・全景

 

 

6. 同・中



  うさぎ、亜美、レイ、まこと、ルナがいる。
まこと「まいったね。敵がセーラーVを狙って来るなんて。向こうもプリンセスだって思ってたわけだ」
うさぎ「タキシード仮面もプリンセスの事知ってそうだったよね」
まこと「泥棒の事はどうっでもいいよ」
うさぎ「ひどーい」
ル ナ「私達でセーラーVを守らなきゃ」
レ イ「でも、セーラーVがちゃんと名乗って正体明かしてくれなきゃやりにくいわ。どうして言ってくれないのかしらね」
亜 美「私達にも知られたくない何かがある……とか」

  その時、カバンを覗き込んだうさぎが叫び声を上げる。
亜 美「どうしたの?」
うさぎ「昨日もらった愛野美奈子のサインがない!」
  一同ため息。
  うさぎ、半泣きで、
うさぎ「多分美奈子の所だよ。ちょっと取ってくる!」
  飛び出して行くうさぎ。
レ イ「ホントに緊張感ないんだから」
まこと「ま、ある意味大物かもよ」
うさぎ「そうだね」

7. 同・外

 


  飛び出してくるうさぎ。

8. 病院・病室



  美奈子の筆は進んでいない。
  そこへ入ってくる齋藤。
美奈子「あ、社長――」
  齋藤は乱暴に扉を閉める。
美奈子「?」
  と見た瞬間、齋藤の手から放たれる蜘蛛の糸状の物。
  腕を絡め取られる美奈子。
美奈子「!?」

齋 藤「セーラーV、いや、プリンセス……」
美奈子「! まさか、妖魔……!?」
齋 藤「幻の銀水晶はどこにある」
美奈子「!……知らない」
齋 藤「お前が持っているんじゃないのか」
美奈子「……」
齋 藤「お前がプリンセスなんだろう!」
  一瞬答えようとして、口を閉じた美奈子が視線を落とす。

齋 藤「答えろ!」
  だが、美奈子は三日月型カッターで蜘蛛の糸を断ち切って窓を開ける。
齋 藤「逃すか!」
  襲いかかる齋藤を蹴る美奈子。
  窓から落ちる齋藤だが、窓枠をかろうじて掴む。
  美奈子は後ずさり、一瞬後には部屋を走り出す。
  窓からはい上がってくる齋藤。

9. 同・廊下

 


  走る美奈子を、皆が驚いて見る。
  非常階段ホールへ入る美奈子。

10. 同・門

 


  美奈子ファンが何人もたむろし、警備員に抑えられている。
  走って来るうさぎ。
うさぎ「これじゃ美奈子んとこまで行けない……」
  うさぎが携帯を取り出す。


 

11. 同・廊下



  医者に変装したDうさぎが歩いて行く。
  その時、非常階段を駆け下りていく美奈子が見える。
Dうさぎ「あ……!」
  少し遅れて、齋藤が降りていく。
DうさぎのM「美奈子、昨日も社長から逃げてたけど……」
  「あ」と何か気づくDうさぎ。
Dうさぎ「そっか!」
  Dうさぎが駆け出す。

12. 同・地下



  非常階段から通路へ走り出る美奈子。
  美奈子がさらに走ろうとした時、別通路へ引っ張り込む手。
美奈子「!」
  その直後に現れた齋藤が別通路へと入る。
  と、前方から来るのは、ソリを引いたサンタクロースに変装したSうさぎ。
  すまして、齋藤とスレ違っていく。
  ソリに乗せた袋の中には美奈子。
  齋藤は気づかず、奥へ。
Sうさぎ「やった!」
  と思った刹那、齋藤がすごい形相で引き返してくる。
齋 藤「待て!」
Sうさぎ「きゃー!」
  走るSうさぎ。

13. 同・裏門



  元の姿のうさぎと美奈子が走り出てくる。
  追いかけてくる齋藤。
美奈子「!」
  うさぎは丁度来たタクシーを止める。
うさぎ「ストップストーップ!」
  止まったタクシーに二人が乗り込む。
  齋藤が迫るが、間一髪走り出すタクシー。

14. 走るタクシーの中



  うさぎが大きく息をつく。
うさぎ「はぁ、逃げられたぁ」
  と言って、美奈子と並んでいる事に気づき。慌てて出来るだけドアの方へ体を寄せる。
うさぎ「あ、あの、どうも……」
  美奈子はうさぎを訝しく見る。
美奈子「どうしてあそこに?」
うさぎ「私、サインしてもらったノート忘れちゃって……。取りに来たら、丁度……」
美奈子「社長に怪しい気配を感じたわけね」
うさぎ「え、気配とかじゃなくて、よくマンガとかでアイドルが脱走するのありますよね。自由な時間欲しくて。あれかなーって」

  驚きと呆れで見つめる美奈子。
うさぎ「一緒に体験できるなんて、もう感動です!」
美奈子のM「あれだけ強い気配だったのに妖魔かどうかもわからないなんて……、信じられない」
  うさぎは、緊張しながらも舞い上がる。
うさぎのM「信じらんない! 美奈子と蓋里っきりだよ〜! お礼にお食事とか言われたらどうしよう」
  走り続けるタクシー。

15. 一室

 


  ピアノの前にいるゾイサイトとネフライト。
ネフライト「ゾイサイト、なぜセーラー戦士どもを追い込みながら途中で引き上げた?」
ゾイサイト「あの瞬間、何かを思い出した……」


╳    ╳    ╳


  イメージ。
  女性と、黒いマントの男性の姿。


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ゾイサイト「あれは……」
  鍵盤の上に指を置く。
ネフライト「プリンセス潰しもお前には荷が重すぎるのではないか?」
ゾイサイト「ならばお前がやればいいだろう。出来るかどうかは知らんがな」
  ゾイサイトを睨んだネフライトが、ピアノを叩きつけて出ていく。
  ゾイサイトは目を閉じるが、指は動かない。


 

16. 衛のマンション


  ソファに座っている衛。
  背もたれに頭を乗せ、目を閉じている。


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  イメージ。
  ゾイサイトの手を掴むタキシード仮面。
  夢の女性。


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衛のM「プリンセス、だと思った……。でも、どうしてそんな事……。一体誰の事なんだ……」
  頭の痛みに呻く衛。

17. モール街



  タクシーから降りるうさぎと美奈子。
美奈子「それじゃ」
うさぎ「え」
  あっさりと去っていく美奈子。
うさぎ「あ……」
  名残惜しいうさぎ。
うさぎのM「だよね。せっかく自由になったんだし。はぁ〜」
  と思いつつ、美奈子の後ろを追ってしまう。

うさぎのM「いや、ダメだって。後なんかつけちゃダメ〜」
  それでも、視線は美奈子から離れない。
うさぎのM「後ろ姿もカッコいい〜」
  突然美奈子が振り返る。
うさぎ「!」
美奈子「何か?」
うさぎ「ごめんなさい!何か足が勝手に」
  足を叩いたりしているうさぎを一瞥して、再び歩き出す美奈子。

  だが、うさぎはまたついて来る。
  その気配が気になってイラッとした表情で歩く美奈子。
美奈子のM「もういや。ホントにこの子がセーラームーンなの?」
うさぎ「あの!」
  美奈子、懸命に笑顔を作って振り返る。
美奈子「サインなら今度マネージャーに届けてもらうから」
うさぎ「そうじゃなくて、……危ない!」
  いつの間にか道をそれていた美奈子は、ペンキ塗り立ての看板に突っ込む。

うさぎ「大丈夫ですか?!」
  美奈子の服にべったりつくペンキ。
  うさぎは感動している。
うさぎ「うわぁ、美奈子もドジ踏むんだぁ」
  美奈子、決まり悪さを隠して、うさぎに歩み寄る。
美奈子「この辺詳しくなくて。服、換えられるようなお店、あるかな」
うさぎ「ありますあります! スッゴクいいとこ!」
  興奮して意気込むうさぎ。

18. ブティックの中


  美奈子が、目深に被れる帽子と服を試着。
  うさぎはもう嬉しくて溜まらず見ている。






うさぎ「ステキ〜!」
  思わず拍手しているうさぎ。
  その夢中ぶりを、美奈子がどまどいで見る。



╳    ╳    ╳


  着替えの終わった美奈子が、汚れたジャージを店員に渡す。
美奈子「捨てといて下さい」
うさぎ「え! じゃ私がもらいます」
美奈子「いいけど……。 汚れてるし」
うさぎ「そこがいいんです! うわぁ!」
  ジャージを抱きしめるうさぎ。
  と、そこへ別の店員が来て、
店 員「お客さま、外に、気づいたファンが結構集まってしまっていますが」

うさぎ「え!」
美奈子「あ、そうですか」
  慣れた様子の美奈子だが、うさぎはいきなり髪をほどいて美奈子の帽子を被ってジャージを羽織る。
美奈子「何するの?」
うさぎ「私が引きつけますから、その間に出て下さい」
美奈子「そんな事しなくていいわよ!」
うさぎ「この先の観覧車がある広場で待ってて下さーい!」
  うさぎが荷物を持って飛び出していく。

19. ブティックの前



  出てくるうさぎ。
  キャップにロングヘアーのうさぎを美奈子と思ってむらがるファン。
ファン達「美奈子ー!」
  うさぎはもみくちゃにされながらも、素早く走り出す。
  ファン達が追いかける。
  店内から見る美奈子。
美奈子「裏口があるのに、……ホントにバカ」

20. モール街・各所


  走るうさぎと追うファン。


╳    ╳    ╳

  途中隠れてファンをやり過ごすが、新たなファンに発見される。


╳    ╳    ╳


  囲まれたうさぎに差し出される色紙。
ファン「サインして下さい!」
  うさぎはペンで『うさぎ』とサイン。
ファン「え?」
  キャップを取るうさぎ。
うさぎ「残念でしたー」
  一瞬の間の後、大ブーイング。
ファン「ふざけるな!」
  色紙を投げつけられるうさぎ。
  ファン達が去っていく中、うさぎはケーキ屋に気づく。鳴っているジングルベル。

21. 観覧車・下


  待っている美奈子。



  と、箱を持ったうさぎが手を振りながら駆けてくる。



美奈子「……!」


22. 同・中



  美奈子とうさぎが乗り込んで、ゴンドラが動き出す。
  大きく息をつくうさぎ。 
美奈子「……大丈夫だった? 裏口から出れば良かったのに」
うさぎ「あ、そうか。でもアイドルになったみたいで、気持ち良かった〜。こういうの、ヒゲ武者、でしたっけ」
美奈子「……影武者……」
うさぎ「あ、影武者。ホントにやったらきっと大変ですよね〜」
美奈子「……」
うさぎ「あ、そうだ」
  うさぎは、箱からショートケーキを出して美奈子に渡す。

うさぎ「はい、どうぞ、アイドルってお腹空きますね」
美奈子「……」
  美奈子、ケーキを受け取る。
美奈子「……私達、同じ年でしょ。敬語、やめない?」
うさぎ「え! そんな事言ってもらえるなんて、そんな……!でも憧れだから。私、ホンットに大好きなんです」
美奈子「……そんな事……ホントはもっと大事な事が……」
うさぎ「全っ然ないです! 愛野美奈子が一番なんです!」
  まっすぐ笑顔で見られて、視線を落とした美奈子が、ごまかすようにケーキを食べる。
うさぎ「あー!」
  ビクッとする美奈子。

うさぎ「ケーキの食べ方一緒!」
  うさぎも美奈子もトップのイチゴを取って、手につまんだまま本体のケーキを食べている。
  顔見合わせる二人。
美奈子「……イチゴは最後でしょ」
うさぎ「最後だよねー!」
  二人が大きな声で笑い出す。
美奈子「こんなに笑ったの、久しぶりかも知れない」
うさぎ「えー、そんなに大変なんだ、アイドルって」
美奈子「……(Mで)こんな風に笑ってもいいんだ。戦士だって、プリンセスだって……」
  観覧車は高いところまで来ている。
  美奈子が歌を一節だけ歌う。
うさぎ「あ! それってもしかして新曲!」
美奈子「終わり。ショートケーキ分」
  外は夕方の景色になっている――

23. ダーク・キングダム・全景

 

 

24. 同・中



  ベリルの前にいるネフライト。
ベリル「ゾイサイトの様子はまだ変わらぬか」
ネフライト「はい、何かを思い出そうとしているような……」
  ベリルが鋭くネフライトを見る。
ベリル「思い出す? 何をだ」
ネフライト「わかりません」
ベリル「……ネフライト、お前はゾイサイトに近寄るな。たわごとを聞いてはならん」
ネフライト「は?」
ベリル「よいからゆけ」
ネフライト「……は」
  ネフライトが下がる。
ベリル「ゾイサイトが……」

25. 一室



  鍵盤に置いたゾイサイトの指が動き出す。
ゾイサイト「そうだ……遠い昔、あれは……」
ベリルの声「ゾイサイト!」
  ハッと動きを止めるゾイサイト。
ベリルの声「過去を見るな、わらわを見よ……」
ゾイサイト「う……」
ベリルの声「わらわへの愛と忠誠だけを示せ……」
  抵抗するゾイサイトから、やがて表情が消える。
  鍵盤からダラリと落ちるゾイサイトの手。

26. ダーク・キングダム・通路

 

  ネフライトが来る。
ネフライト「なぜゾイサイトの事などお気になさるのだ。早くプリンセスを仕留めてベリル様のお心を私に向けていただかなくては……」
  宙を睨むネフライト

27. 街(夕方)



  道行く人々の間を齋藤が周囲に目を配りながら歩く
ネフライトの声「妖魔よ、何をしている! 暴れろ。片っ端からエナジーを吸い取ってやれ。セーラーVを、プリンセスを引きずり出せ!」
  小さく頷いた齋藤は歩きながら蜘蛛の糸を飛ばす。
  それは人々の顔に張り付き、エナジーを吸い取る。
  悲鳴を上げてバタバタと倒れていく人々。
  齋藤は一人無表情に歩き続ける。
齋 藤「プリンセスを……」
  そこへ駆けて来る亜美とレイ。
レ イ「妖魔!」
亜 美「!」


 

28. 観覧車・下(夕方)



  美奈子と一緒にいるうさぎが、携帯を畳む。
うさぎ「美奈子ちゃん、ごめんなさい。私、どうしてもいかなきゃいけない用事が出来ちゃって。一人で大丈夫?」
  頷く美奈子。
美奈子「……ありがとう」
うさぎ「こっちこそ。それじゃ」
美奈子「それじゃ……」
  笑顔を残してうさぎが駆けていく。
  見詰める美奈子。

美奈子「アルテミス……」
アルテミスの声「美奈子――」
美奈子「私、ちょっと疲れてただけみたい」
  明るい決意の表情で振り返る美奈子。
美奈子「敵はプリンセスを探してるんでしょ。行かなきゃ」
  美奈子が走り出す。
  その姿がセーラーVと重なって――


 

29. 広場(夕方)



  齋藤を追ってくるマーキュリーとマーズ
マーズ「待ちなさい!」
  そこへ走って来るうさぎ。
マーキュリー「うさぎちゃん!」
うさぎ「妖魔は?!」
マーキュリー「え?」
マーズ「そこにいるじゃない!」
齋 藤「プリンセスはどこだ!」

うさぎ「うそ、社長さん?!」
マーズ「妖魔に操られてるのよ! 早く変身して!」
うさぎ「ムーンプリズムパワー! メイクアップ!」
  うさぎが変身
セーラームーン「愛と正義のセーラー服美少女戦士セーラームーン! 月にかわって!」
三 人「おしおきよ!」
齋 藤「お前達に用はない……」
  齋藤から妖魔が抜け出てくる。
マーズ「(牽制技)!」
セーラームーン「ムーンティアラブーメラン!」
  蜘蛛の糸を焼く炎、断ち切るブーメラン。
  斬りかかってくる妖魔を避けるマーキュリー。


 

30. 一室(夕方)

 

ゾイサイト「……ベリル様のため、プリンセスの命を……」
  ゾイサイトがピアノを弾き始める。

31. 広場(夜)



  妖魔が蜘蛛の糸を四方に放つ。
  絡め取られるセーラームーン達。
セーラームーン「やだ!」
  そこへ現れるネフライト。
  「!」と見る一同。
ネフライト「プリンセスはどこに隠れた?」
セーラームーン「知らない!」
  妖魔が爪を突きつけて迫る。



  動けない三人。
ネフライト「言え! プリンセスはどこだ!」
  その時――
セーラーVの声「ここにいるわ!」
  同時に、三日月の手裏剣が飛び、セーラームーン達に絡んだ糸を断ち切る。
ネフライト「何……!」
  「!」と周囲を見る一同。
  すると、少し離れた位置に立っているセーラーVが見える。

セーラームーン「セーラーV!」
  ちょっと笑うセーラーV。
セーラーV「これ以上隠しているのは無理なようね」
  セーラーVがおもむろに仮面をはずして逃げる。
  同時にセーラーVの体が発光。
  まぶしさに一同が「!」と目を閉じる。
  そして目を開けた時、立っているのはセーラーヴィーナス。
  王冠の水晶が光る。

ル ナ「プリンセス……!」
  驚愕で見詰めるセーラームーン達。
ネフライト「ようやく現れたな。それが幻の銀水晶か!」
  ヴィーナスの前に現れる白猫アルテミス。
アルテミス「近寄るな! 月の王国シルバーミレニアムのプリンセスにして、幻の銀水晶の後継者、セーラーヴィーナス様だぞ!」
セーラームーン「プリンセス、セーラーヴィーナス」
ネフライト「(妖魔に)行け! 幻の銀水晶を奪え!」
  妖魔が爪を振り上げてヴィーナスに走る。

 身構えるヴィーナス。
ル ナ「みんな、プリンセスを守って!」
  妖魔の前に回り込むマーキュリーとマーズ。
  セーラームーンがスティックを構える。
セーラームーン「ムーンヒーリングエスカレーション!」
  セーラームーンの必殺技が妖魔を包む。
  妖魔が消滅する。
ネフライト「くそ……!」

  だがその時、ヴィーナスの後ろに突如としてゾイサイトが浮かび上がる。
マーキュリー「プリンセス! 危ない!」
  「!」と振り返るヴィーナス。
  ゾイサイトが武器を振り上げるが――
  ゾイサイトの前にタキシード仮面が割り込んでくる。
ゾイサイト「!」
  ハッと見るヴィーナス、セーラームーン。
  タキシード仮面を見詰めるゾイサイトの動きが一瞬止まる。
  その隙にヴィーナスが手を掲げる。

  指先から走る激しい光がゾイサイトを包む。
ゾイサイト「うあぁ!」
タキシード仮面「!」
  消えかかるゾイサイト。
  だがその手を懸命にタキシード仮面に伸ばす。
ゾイサイト「……マスター、エンディミオン……」
タキシード仮面「?!」
  ゾイサイトが消滅
タキシード仮面「エンディミオン……?」


╳    ╳    ╳


  イメージ。
  夢の女性とマントの男――


╳    ╳    ╳


タキシード仮面「……!」

32. 一室


  ピアノに突っ伏しているゾイサイト。
  その体が輝き、水晶に変わる。



  鍵盤の上に落ちた水晶が一つだけ音を鳴らす。

33. 広場



  アルテミスと共に立つセーラーヴィーナス。
  ルナが数歩歩み寄る。
ル ナ「プリンセス……。やっと姿を見せてくれたのね……」
セーラームーン「プリンセス……」
  セーラームーン達が見詰めて――
  タキシード仮面もヴィーナスを見る。
タキシード仮面「あれが……プリンセス……」
ル ナ「プリンセス、これからは私達が守ります。どうか私達と一緒に――」



アルテミス「それはダメだ」
ル ナ「アルテミス」
アルテミス「久しぶりだな、ルナ」
ル ナ「……」
ヴィーナス「みんな、私にはプリンセスとしてどうしてもやらなきゃいけない事があるの。私は大丈夫だから、みんなは敵から地球を守って。いいわね」
ル ナ「プリンセス……」
  ヴィーナスが一瞬セーラームーンを見るが、すぐにアルテミスと共に踵を返す。
セーラームーン「あれが、私達のプリンセス……」
  セーラームーン達が見送って――

  




つづく