実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第188回】DVD第2巻:Act.5の巻(その9)


東北では黄川田将也君の『風が強く吹いている」、関西では松下萌子さんの吉元吉本新喜劇。それぞれ舞台観劇のために奔走されたみなさま、お疲れさまでございます(みなさまって言っても、万丈さんとひろみんみんむしさんしか頭の中に浮かんでいないが)。

1. 沢井美優需要拡張プロジェクト ネズミネコを狙え(2)


さて、この春をもって、NHK教育『おかあさんといっしょ』の着ぐるみ人形劇のコーナー「ぐ〜チョコランタン」が終了する。スプーとガタラットの二人は1999年4月に初登場しているからちょうど10年、翌2000年にジャコビとアネムとズズが加わり、正式に「ぐ〜チョコランタン」になってから数えて9年、長かったけど、新記録まであと一息、というところでもあった。
『おかあさんといっしょ』の着ぐるみ人形劇は、初代の「ぶーふーうー」が大人気で7年半も続いたが(1960年9月〜1967年4月)その反動か、以降1980年ごろまでは、どのキャラクターも短命で(といっても比較の問題だが)だいたい2〜3年周期で入れ替わっている。そこへ現れた中興の祖が、じゃじゃまる・ぴっころ・ぽろりの「にこにここぷん」(1982年4月〜1992年10月)であり、「ぶーふーうー」の記録をあっさり塗り替え、10年半という前人未踏の記録を打ち立てた。
これによってNHKは何かのノウハウをつかんだのであろう、続く「ドレミファ・どーなっつ!」も7年半となかなか息は長く(1992年10月〜2000年3月)、その後を承けた現在放送中の「ぐ〜チョコランタン」が、先にも述べたように、来る3月で9年目を達成し、終了するわけだ。さすがに「にこにこぷん」は越えられなかったけど、歴代第2位の記録はあっぱれだ。おつかれさま。

なおこの3月30日からお目見えするのは「モノランモノラン」。左からライゴー(雷神)、スイリン(水神)、プゥート(風神)だそうです。コンセプト原案は「しゃばけ」シリーズの、というより、名古屋支部的には名古屋造形大学出身の畠中恵。「ぐ〜チョコランタン」では、実写版アルテミスがジャコビの声をやっていたが、今度は関係者がいるのだろうか。
さて「おかあさんといっしょ」の話題が出たので、歌のお姉さんお兄さんについてちょっとだけ。いまだに「三谷たくみ(三谷卓美)」「横山だいすけ(横山大介)」の検索ワードでこちらにお越しになる方が後を絶たないが、お二人の話題は【第140回】にしか出ていないので、そちらをご参照下さい(ここ)。で、そのときの三谷たくみお姉さんに関する記述にいくつか誤りがあるので、この場を借りて訂正してお詫びします。まず、たくみお姉さんを「第21代」歌のお姉さんと呼んだのは「第20代」の間違い。それから、音大を卒業してお姉さんになる、と書きましたが、1987年5月のお生まれだそうなので、昨年の時点ではまだ学生。つまり、神崎ゆう子お姉さんや茂森あゆみお姉さんと同じく、在学中からのお姉さん就任であった。たぶん、この春に御卒業なのではないかな。
そういう客観的なデータに加え、私の主観的な予想もおおきく事実を外れている。私は、たくみお姉さんが「見るからに素人っぽい」ので、最初の1年くらいは「ボロボロのグダグダ」なんじゃないかと書いた。別にケナしたつもりはない。先代のはいだしょうこさんの場合、最初から歌も踊りも完成品に近い、パーフェクトなお姉さんだったので(だって子どもの頃から童謡歌手で、しかも元タカラジェンヌだもんな)、それ以前の歴代お姉さんのように、最初はズブの素人の音大生が、番組の中でだんだん「お姉さん」として成長していく過程を見守る楽しさがなかった。今回はそのへんが期待できそうに思ったのだ。
ところがどうして、今度のたくみお姉さんって、グダグダどころか、もう最初から堂に入ったお姉さんぶりなのだ。新しいお姉さんは、ふつう最低でも半年ぐらいは、スタジオでの子どもあしらいにまごつくものだが、それがない。何をしでかすか分からない3歳児たちを、けっこう上手にさばいている。それでいてルックス的には素人っぽいというか、育ちの良い音大生のお嬢さんらしい初々しさに溢れていて、最初から洗練されていた先代しょうこお姉さんよりも、むしろその純朴なイメージがNHKの「歌のお姉さん」にふさわしいとも考えられる。すごいぞ三谷たくみ。えくぼが可愛いです。


いや何の話をしたかったのか忘れかけていた。ニャンちゅうだよ。

『おかあさんといっしょ』の姉妹番組『母と子のテレビタイム(土曜版)』(1992年)から始まり、『あつまれ!わんパーク』『ニャンちゅうといっしょ』『ニャンちゅうワールド放送局』と番組タイトルを転々と換えながら、実に15年以上ものあいだNHK教育テレビ週末に君臨するネズミねこ。こいつはだいたい2年周期でアシスタント(パートナーかな)の女の子を替えるんだが、そのポジションに沢井美優をつけたいという話を、2年前の今ごろした(第64回)。しかしあのとき、ウメコ(菊地美香)に替わってニャンちゅうの新しい相手に抜擢されたのは鴻上久美子さんで、我々は無念の涙を呑んだ。そして2年が過ぎた今、「ぐ〜チョコランタン」のメンバーが『おかあさんといっしょ』を卒業する。鴻上さんのファンには悪いが、『ニャンちゅうワールド放送局』のパートナーもそろそろ替え時である。フランス語のお姉さんとして実績のある沢井さんを、ここになんとかレギュラーとして押し込むことができないか、と相も変わらず考えておりますという話だったんだが、イントロが長いよ。本題だ

2. パパが不在の三人


「ぐ〜チョコランタン」と共に育った私の娘も、この春には中学生2年生になる。私が実写版を見る目も、最近ますます保護者っぽくなってきた。前回、地場衛の年齢を問題にしたのも、実はそういうことなのかもしれない。コメント欄でやりとりしたように、私だって客観的には、実写版の衛は大学生に見えるし、台本に「17歳」と書いてあるのは、「ちゃんと原作の設定を守っています」と武内直子先生に言い訳するためだけとしか思えない。でも実際問題として、中学生の娘が大学生の男と交際するのはちょっと困る。私が父親だったら認めない。せいぜい相手は高校生ぐらいにして欲しい。
まして、ひろみんみんむしさんが書かれたように、衛が大学院の修士課程を修了してから『Special Act』で就職・結婚したと仮定すると、実写版の彼はすでに20歳以上だった可能性もでてくる。大のオトナである。それが中学2年のうちの娘と交際しているっていうんだから、もう淫行条例違反で訴えますよ。
ということはさておき、前回のブログではいい加減な思いつきを書いた。このパジャマパーティーには本当は香奈美や桃子も参加するはずだったんだけど、二人は、亜美も来ると聞いたとたんに引いてしまい、それで結局、来たのはなるちゃんと亜美だけになっちゃったんじゃないか、なんてね。でも観なおしたら、放課後の居残り掃除のシーンで、うさぎは亜美に「ねえ、このあと私んちで、なるちゃんとパジャマパーティーやるんだけど、亜美ちゃんも来ない? ……あ、塾、忙しい?」って言っている。亜美を誘ったこの時点で、香奈美や桃子が来ないことは決まっていたのだ(もしくは誘ったけれども速攻で断られた)。
では、なぜ仲良しグループの香奈美と桃子はパーティーに来なかったのか。【第181回】で考察したように、この日の日付は2003年10月27日と考えられる。月曜日である。週の初めからいきなりパジャマパーティーって言われても「うさぎそれはちょっと……」となるのが、常識的な反応だ。たとえ本人たちが良くても、親が許可しない。私だって、娘が月曜日から友達ん家でパーティーなんて言ったら「そういうことは週末にしなさい」と止めるよ。
香奈美や桃子の家は、きっとそんな常識的な家庭で、良識あるパパがいたのだ。ところが、なると亜美の家にはそもそも父親がいない。母親も仕事をしているから、家に帰っても一人だ。うさぎの家も実質的には同じで、パパはたぶん、例によって出張中だった。しかも、うさぎのママはちょっと普通じゃないので「あ〜らいいじゃない。みんなに来てもらいなさいよ」とか何とかあっさりOKしたのだろう。そんなわけで、家にパパがいない三人によって、このパーティーは成立した。
しかしたった三人で「パーティー」かよ。というか、そもそも「パジャマパーティー」とはどういうものか。みなさんご存じでしたか?私は、実はよく知らなかったので、今回はじめて調べてみた。パジャマパーティーというのは、仲の良い友達同士、誰かの家に一泊して、おしゃべりしたりビデオを観たりゲームをしたりする集まりで、アメリカなんかでよく行われているんだそうだ。ポイントは「仲の良い友達同士で集まる」というところにあるので、パーティーなんだから人数をたくさん揃えて賑やかに、ということは意識しなくていいらしい。三人でもぜんぜん問題ではないのだ。ふうん。
それにしても月曜の夜から泊まり込みのパーティーって、やはりいかがなものか。ひょっとして、亜美が倒れて中断にならなくても、最初から一泊の予定じゃなくて、夜にはお開きにする予定だったのかなあ、とも思ったが、三人がお化粧を終えるのが午後10時近く、それから帰宅というのもどうもおかしいし、やはり本当は泊まりの予定だったのだろう。親としてはあまり感心できませんね。

3. パジャマでおじゃま



いずれにせよ、パジャマパーティーがなぜ「パジャマ」かというと、集まったメンバーが、お互いに着飾ったり構えたりする必要のない、気心の知れた仲間同士であることを意味してるんだろうね。しかしながら、これは亜美にとって、かなりストレスになっているはずだ。Act.3で初めて月野家を訪れた亜美は、きちんとした服装で、お行儀よく座っているので、うさぎから「亜美ちゃん、そんなにちゃんと座らなくていいよ」なんて言われてしまう。亜美がこの部屋に来るのは、あのとき以来なのだが、それがいきなりパジャマを着せられてしまうのだ。

しかもその亜美のパジャマは、前回のブログにも画像を貼ったが、『Special Act』で道化妖魔に化けた時の衣装にも通じる、ポップでくっきりした水玉模様である。そのために、化粧を落として鏡をのぞき込む亜美の姿が、よりいっそうピエロっぽく見えるわけだが、その色合いは、Act.5の冒頭で着ている淡いパステル調のパジャマと対照的である。つまり亜美が自分で持ってきたパジャマではないと思う。
たぶん亜美は「パジャマパーティー」と聞いても、それがどんなものなのかよく分からないまま「うん、行く」と返事してしまったので、パジャマも持参してこなかった。だからうさぎのパジャマを借りて着ることになった。
しかし、普段は、よその家に行ったら常にきちんとして、お行儀の良い亜美ちゃんである。それがいきなり、ざっくばらんにパジャマでと言われても、簡単にそうなれるものではない。ましてそのパジャマが、普段プライベートで着ているものとはぜんぜん違う派手めなデザインなのだ。リラックスどころか、ほとんど裸にされたも同然な不安を感じたであろう。
うさぎは亜美の日ごろの態度が、堅苦しくよそよそしくて、友達らしくない、と感じている。だから「月野さん」なんて呼ばずに名前で呼んで、と言ってみたり、パジャマで夜通し語り合うパーティーに誘ったりして、繰り返し「そんな他人行儀にならないで。遠慮しないでよ」というメッセージを送り、亜美を自然体に戻そうとしている。残念ながらそれはことごとく逆効果で、パジャマを着せられた亜美はむしろ、内心で(こんなことなら、いつものように誘いを断って、塾に行っておけばよかった)とさえ思い始めている。

亜 美「今、塾に行けばまだ……」

と、こっそり盗み見る時計の針は、だいたい7時57分あたりを指していますかね。

うちの娘は現在、家から自転車で5分ぐらいの場所にある学習塾に、週2回通っている。時間は午後8時から10時までである。塾のある晩は、7時くらいに夕食を済ませて準備をして出て行く。でも勉強部屋も机もぐしゃぐしゃなので、いざ8時5分前くらいになっても「テキストが見つからない!ああ、間に合わない、遅刻だぁ〜」とか「あった!まだ大丈夫だぁ〜」とか叫びながら家を飛び出して行く。ま、だいぶシチュエーションは違うが、時刻が一緒というせいもあって、亜美のこのつぶやきは、何となく微笑ましい。
このシーンでは、バックに流れている「C'e la vie」の音が一瞬止まり、亜美が時計を見て「今、塾に行けばまだ……」と内心でつぶやく間、しーんとした無音状態になるのがいい。亜美がなんらかの想いに深く沈むとき、すうっと周囲の雑音が消えてしまう、という描写は、このAct.5でもう一度、ポヨン妖魔との戦いのクライマックスで再現されるし、さらにはAct.28で、ダークマーキュリーの呪縛から自由になった亜美が、流れ落ちる滝のほとりで意識不明のうさぎを膝に抱くシーンでも繰り返される。うさぎが意識を取り戻した瞬間、背後をどうどうと流れる滝の音がよみがえるのだ。こういう音の演出は、舞原監督ならではですね。

4. いちいち保護者目線で恐縮です


そんなふうに屈折した亜美の心中も知らず、うさぎとなるは、カラオケやら何やらでひとしきり盛り上がり終わってボーッとしている。と、不意になるが目をまん丸にして叫ぶ。

な る「あっ。そうだ私新しいマスカラ買ったの。これ睫毛長くなるんだよ、もうバッサバサ」
うさぎ「あっ私も。このあいだ買った新作リップ」
な る「あーっそれ私も欲しかったの。ねえつけさせて」
うさぎ「うん……あ、じゃどうせならちゃんとやろうよ」
な る「あっ、そうね」
亜 美「……私もやっていい?」
うさぎ「当然。やろやろ」

こういう化粧品って、中学生のお小遣いで買えるものなのだろうか。うちの娘は風呂から上がると何かパックをしているけど、普段は特に何もつけていないのでよく分からない。中学2年生が「新しいマスカラ」とか「新作リップ」等々と言う場合、どんなものがあるのかな。ちょっと調べてみたけれど、中高生のメイクと言えば、カネボウのKATEとか資生堂のMAJOLICA MAJORCAとかキャンメイクなんだって。ぜんぜん知らねえよ。どなたか中学生のコスメについて詳しい方、教えてください。でも娘にはぜったい勧めないけどね。
いや今回はすぐに保護者としての発言になってしまって済まないが、この時の亜美の心理状態も複雑だよね。まず「本当の友達になれる本」のマニュアルが頭の中にあるので、(1)「自分も一緒にメイクしなくちゃ、月野さんや大阪さんと友達になれない、という焦り」がメインだろうが、ここにちょっぴり(2)「ずっとお母さんのお仕着せを着ているうちに貯め込まれた潜在的な変身願望」が混ざっているはずだ。さらに(3)「せめて化粧で顔を覆うことによって、パジャマ一枚で無防備ないまの自分を、少しでも外界からガードしたい」という気持ちも確実にあると私は思う。
だいたいそんな様々な強迫観念が絡み合って整理がつかず、しかも亜美は、今までまともに自分でメイクなんかしたことがない(推定)。さらには、メイクをするためには眼鏡を外さなければいけない。しかしこれは、無防備なパジャマ姿の今の亜美にとって、自分をプロテクトしている最後のアイテム、裸にされても唯一つけていた前バリみたいなものである。それを剥がされちゃうのだ、って喩えが下世話ですまない。

うさぎ「あれ、これほとんど度が入ってないね。外しても大丈夫なんじゃない。外した方が可愛いし」
亜 美「でも、かけてないと、なんか照れくさくて」

そりゃ照れくさいよな。前バリだもん。ということはともかく、こういうあれこれがあって、ストレスがピークに高まったところで、あの異様な厚塗りになってしまったのだろう。

うさぎ「どうかしら私のメイク」

な る「ちょっと濃いけど良いんじゃない?」
うさぎ「そういうあなたも、ちょっと良いわよ」

な る「そうかしら」
うさぎ「で」
二 人「亜美ちゃんは?」

うさぎ「亜美ちゃん」
な る「やりすぎ」
亜 美「え、ほんと?」

ほんとだよ。
えーと時間が着たので今回はこれまで。またね。


P.S. 三人がメイクを始めるのが9時5分、終わるのが9時50分で、その直後に亜美が倒れるわけだから、倒れた亜美に気づいてベッドに運んで、なるが帰り支度を整えてうさぎのママと家に出て、このパーティーがお開きになるのは、だいたい10時半ごろではないかと思う。ではこのパジャマパーティーは何時ごろに始まったのか。
本文に書いたように、この日は2003年10月27日(月)と考えられるから、うさぎたちの学校の授業は6時間目の数学まである。ということは、遅くても3時30分ごろには授業が終了して、それから学活や掃除とかがあって、部活とかがない人は、4時には下校する感じだろう。そうすると、亜美となるが自分の家に帰るのが4時半から5時。それか支度をしてうさぎの家に集合したとすると、たぶん6時になる。ただし晩ご飯をすませてから、となるともっと遅い。
しかし月野育子は、Act.3で亜美に晩ご飯を食べていくように勧め、Act.21で、朝うさぎの家を訪れたまことに、いきなり塩カラ入りオムレツを食べさせようとした強者である。自分の家で娘がパジャマパーティーを開くと聞けば、当然晩ご飯はうちで食べて、ということになるかと思う。
以上のことから考えると、だいたいこんなタイムテーブルになるかと思う。

2003年10月27日(月)
 【午後6時頃】亜美となるが月野家に集合、みんなで1階のダイニングで育子ママの手料理をごちそうになる。
 【午後7時頃】2階のうさぎの部屋に上がってパーティーがスタート。
 【午後8時前】亜美が「今、塾に行けばまだ……」なんて思いつつ「C'est la vie」を歌う。
 【午後9時前】三人がメイクを始める。
 【午後10時頃】亜美が倒れる。
 【午後10時半】亜美をベッドに寝かせ、育子はなるを送り、パーティーはお開き。

それがどうした、と聞かれても困るんだけどね。