実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第189回】DVD第2巻:Act.5の巻(その10)

1. 最初は可愛い千恵子さん



名古屋支部はやっぱりすごいよな。ズムサタのみゅうみゅうに、2メートルの至近距離まで接近することに成功した方がいらっしゃるという。これ以上近づけばもう犯罪者という、ぎりぎりの記録ではないか。


さて右のポートレートなんですが、えーと深い意味はありません。実は次週、2月24日のお誕生日も近づくということで、特別企画「河辺千恵子関連全CDリスト」を作成しようと思い立ち、情報を整理している最中です(間に合うかどうかは定かでない)。しかし待ちきれないKyoroさんが(笑)前回のコメント欄に、早くもべっちさんのお誕生日のことを書きこまれたんで、なんとなく画像を一枚、出してみようかと思い立っただけです。
まあ、現在Act.5のレビューってことで、河辺さんがセラミュのセーラーマーキュリーだった話題にも触れましたし、現物がどんな感じか、ご存じない方にも知っていただければとも思いますしね。
というわけで、これが熱狂的なファンを生んだ、セーラームーンミュージカル、ラスト・ドラクル・シリーズの河辺千恵子マーキュリーです。


2. みなさまのおかげです


さて、ほかにも前回のコメント欄には色々と教えられることが多かった。後半いただいた書き込みについては、ちょっと私ここんとこ、異動になる方の送別会のたぐいが続いたために、きちんとレスをつけられなかったので、この場を借りて触れておきたい。まずStreamKatoさんの『制服サバイガール』……じゃなくて、園子温監督『愛のむきだし』の話題。ベルリン映画祭でカリガリ賞と批評家賞をダブル受賞した。カリガリ賞って、たぶん『カリガリ博士』のカリガリなんだろうけど、これ何だ?
とにかくおめでとうございます。でもよく考えたら、これは満島ひかり関係のニュースで、セーラー戦士とは関係なかった。すみません。

次、Nakoさんからのご報告。2009年2月12日付「KEIKO'S BLOG」に、左手で何か書いている北川景子の写真が登場。これまで『ハンサム★スーツ』のキャンペーンなんかで、時々何か書いている北川さんの写真は目にしたが、モロに左手で書いている姿というのは、初めてではないか。思いつきで書いた左利き問題だが、けっこう根が深い。もう少しデータが揃ったら改めて考察してみよう。


続いては、本文のAct.5レビューと直接関わってくるご指摘。
まずはパジャマパーティー問題。前回書いたように、私は、亜美はきっとパジャマパーティーってどんなものかも知らず、パジャマも持参せずに来たので、うさぎのパジャマを借りることになったんだろう、と想像していた。ところが、こっちよ!さんからのご教示によると、うさぎたちが使っている英語の教科書は『NEW HORIZON』で、そのBOOK3のUnit4は「A Pajama Party」というタイトルなんだそうだ。ひょっとすると亜美はそれを読んで、パジャマパーティーの何たるかをすでに知っていたのかもしれない。
ただし、こっちよ!さんが確認されたのは平成9年(1997年)本の『NEW HORIZON』だが、ドラマで使われているのは平成14年(2002年)本で、同じ内容かどうかは保証の限りではないという。それに、うさぎたちは2年生でBOOK2を使っているのに、問題の「A Pajama Party」のユニットが入っているはBOOK3だそうだ。3年生の教科書ってことだろう。まあ亜美なら3年のぶんまで勝手に進んでいると考えもおかしくはないが。
ともかく、その「A Pajama Party」というユニットがどんな内容なのか知りたいですね。うちの娘の中学校でも『NEW HORIZON』を使っているが、東京書籍のHPをみた限り、たとえ3年になるまで待っても、現在刊行されている版には、そんな内容のユニットはもう存在しない。ま、そのうち確認できる機会があったらまた結果をご報告します。
そういうわけで、亜美がパジャマ・パーティーを知っていたか知らなかったかについては、結論を控える。ただどっちみち、パーティーの時に亜美が着ていたポップな水玉模様のパジャマはうさぎのもので、亜美自身のではない、という意見は変わらない。
次は、なると香奈美と桃子の問題についての、M14さんの書き込み。

4人の仲良しグループは、「なる・香奈美・桃子」と「なる・うさぎ」の小グループがなるを媒体にしてくっついているように見えました

これはちょっと、私「あっ」と思った。なると香奈美と桃子と、そしてうさぎはいつも四人でお弁当を食べている。仲良しグループだ。でも、Act.1で居残り掃除をさせられたうさぎにつき合ったのは、なるだけだ。てことは、うさぎとなるが親友で、後の二人は付け足しか。いやしかし、Act.8では、勉強で寝不足のうさぎをよそに、なると香奈美と桃子は三人だけでナコナココンテストに出場する準備をしていて、「クピッ」とかポーズの練習に余念がない。どうも関係性が分からなかったのだが、大家さんのおっしゃるように考えれば非常にすっきりするのだ。なるほど。

3. 時計を探せ!



それから、こっちよ!さんが、うさぎの部屋の時計について触れていたけれど、これについて、私は前回の記事に書くつもりで、画像資料まで準備しておきながら、うっかり忘れていたよ。指摘されてようやく気づいたので、改めて書いておきます。この時計、ブルーの色合いと言い、イルカをあしらったデザインと言い、明らかに亜美のための時計のように見える。
これまでも何度か書いたが、水野亜美の特技は水泳とチェスである。水泳は敏捷さ、チェスは戦略を練る知力をそれぞれ象徴しているわけだが、アニメ版ではもっぱらチェスの方ばかりが強調されていた。けれども原作漫画には、亜美が水玉模様の水着を着て「まるで魚のようなフォーム」でプールをすいすい泳ぐ場面がある。実写版で浜千咲のそういうシーンが観られなかったことは極めて遺憾であるが、しかしAct.5のこのパジャマ・パーティーのシーンは、水玉模様のパジャマとか、イルカのデザインの時計といったイメージが、そういう連想を誘うようになっている。

と言っても、このイルカの時計は、そういう演出上の意図で、今回初めてうさぎの部屋に置かれたわけではない。この時計は最初からちゃんとうさぎの部屋にあった。
そもそもうさぎの部屋には、沢山の時計が置かれている。Act.1は、フトンから伸びたうさぎの手が、ベッドサイドの目覚まし時計を探すカットから始まるけれども、そこにはすでに、2つ時計がある。いつも遅刻ばっかりしているので、うさぎは毎晩、いくつもの時計のアラームをセットして寝るのだろう。

そのひとつがこのイルカの時計なんだが、これはもともとは勉強机の上の棚に置かれていた。Act.2、セーラー戦士として戦う意志のない亜美をルナが説得しようとすると、うさぎが「やめなよ、嫌だって言ってるんだから、かわいそうだよ」と止める。その場面のうさぎの机の上にこの時計が置いてあるんだけど、分かりにくいですね。

で、ついでだから、ちょっとレアな画像を。実写版の放送開始に先だってオンエアされた『メイクアップ! 〜少女がセーラー戦士に変わるまで〜』からの画像。渡辺美香(CBCアナウンサー)のナレーションで、間もなく始まる新番組、実写版セーラームーンの見所、戦士たちを演じる美少女たちのプロフィル、リハーサルや撮影風景、田崎竜太のおっかないダメ出し、などなどを紹介する30分のメイキング&宣伝番組なんだが、残念ながらビデオソフト化されていないんですよね。
この番組の真ん中へんで、沢井さんが「うさぎの部屋にはウサギが何羽いるか?」を数えるコーナーがある。うさぎの部屋のセットって、ぬいぐるみから飾りから、あちこちウサギだらけですよね。それを沢井さんが片っ端から数えるわけです。ウサギって「匹」じゃなくて「羽」で数えるんだそうですが、結局、部屋の中には43羽、これに「月野うさぎ」を加えれば44羽のウサギが見つかった。で、その19羽目が、勉強机の棚に置かれたビックリ箱ふうの飛び出すウサギで、そのとなりに、いま問題にしているイルカの時計が映っているんですが、分かるかな。

分からないかな。じゃ次はAct.3の、亜美が夜、うさぎの家を(たぶん初めて)訪れるシーンから。ママがカフェオレを持ってきて、なぜかうさぎとのプロレスごっこが始まる。そんな展開にやや困惑気味の亜美、という場面である。
余談になるが、Act.3のこのシーンは、Act.5への伏線として考えると、けっこう重要である。うさぎは子どもの頃からずっと、そういうふうにママと本音でぶつかり合える環境にいて、そんな中で彼女の裏表のない性格が育った。それで亜美にも、率直な感想をそのまま口にした。「月野さん」なんて呼び方、友達らしくない、とかね。一方、亜美がママと対話する主な手段はずっとホワイトボードだった。目の前にいないママが何を考えているのか、どうすればママに気に入ってもらえるか、いつも考え考えコミュニケーションしてきたのだ。だからうさぎに対しても、「うさぎ」と呼んで気に入られようとする。それぞれが育った家庭環境の違い、そこから生まれたすれ違い、Act.5はそういう物語であると私は思う。
ということはともかくとして、勉強机の上の棚、魚眼レンズでアップになった亜美のすぐ右側に、小さく問題の時計が映っている。これは小さいけど分かるでしょう。
だからAct.3まで、この時計は、うさぎの勉強机の棚に置かれていたのです。ところがAct.5の撮影中、舞原監督は考えた。亜美が「今、塾に行ばまだ……」と盗み見るに一番ふさわしい時計はどれか。そして、うさぎの部屋のセットのあちこちに置かれた時計をぐるりと見渡したとき「これだ!」と目に止まったのが、このイルカの時計だったわけですね。それで亜美が座っている背後の棚に移動されたのである(推定)。

4. 最後は怖い千恵子さん


いや、たかだか時計ひとつの話でけっこうな字数を使ってしまった。後はサクサク進もう。
うさぎやなるに借りたコスメでお化粧をしてみた亜美だけど、不慣れなせいで、お化けみたいな厚塗りになってしまっう。洗面所でメイクを落としながら、ひとり鏡に向かい、ニッコリ微笑んでみてからつぶやく。

亜 美「どうしてかな…何か、勉強より疲れる…」

そのままその場に倒れる亜美。流れる水の音とともに画面がフェードアウト。
というわけで、パジャマパーティーはお開きだ。うさぎは倒れてしまった亜美を自分のベッドに寝かせて、見守っている。ノックの音がして、ドアが開くと、育子ママと、帰り支度をすませた大阪なるだ。

育 子「ママ、なるちゃん送っていくから、亜美ちゃん、たのんだわね」


うなずくうさぎ。
この場面で目を引くのは、なるが、うさぎと亜美と二人きりの部屋から隔離される、という印象が強い点だ。ドアの前に立つ育子ママは何だか、なるが中に入るのを防いでいるようにも見える。
さっきまで三人で楽しくパジャマパーティーをやっていたのだから、この場面、例えばパジャマのうさぎと、帰り支度を整えたなるが二人で、ベッド脇で心配そうに亜美を見守っている、そこへママが入って来て、なるを連れて出て行く、という展開でも不自然ではないはずだ。でもなるはそんなふうに、うさぎと亜美、二人の部屋に居ることを許されない。部屋の外にいて、家に帰されてしまう。彼女の表情には、亜美に対する心配よりも、そのことへの不満が強くうかがえる「うさぎと二人のパーティーの予定だったのに、飛び入りの亜美ちゃんが倒れて、それでどうして、私が閉め出されなきゃなんないの」。

これと同じ状況はAct.14で繰り返される。今回はうさぎの部屋で亜美が寝込んでいるが、Act.14では逆に、亜美の部屋でうさぎが寝込む。しかしなるの役回りは変わらない。部外者として、二人だけの空間から強制的に退出させられるのだ。亜美よりも前からうさぎの親友なのにね。
そういう意味で、このAct.5の、帰宅するなるの暗い表情は、Act.15の下駄箱前で、亜美を睨みつける険しい表情へと、ダイレクトにつながっていくと考えても良いと思う。実際、なるが去ったとたんに、寝ていたと思った亜美は、うさぎに語りかける。つまり、なるちゃんが居ては話が出来ない、っていうことで、もうはっきりと邪魔者あつかいである。

亜 美「ごめんね。せっかくのパーティーなのに」
うさぎ(首を横に振って)「……亜美ちゃん、無理してたんだ」
亜 美「え?」
うさぎ「バッグから落ちてた」
    『本当の友達になれる本』を取り出す。思わずひったくる亜美。
うさぎ「なんで?こんなことしなくたって友達じゃん。もうやめようよ、倒れるようなこと、良くないって」
亜 美「でも、でも月野さんだって、名前で呼ばないと友達じゃないみたいって……変わったら喜んでくれたじゃない」
うさぎ「そうだけど……嘘だったんなら嬉しくないよ。そういうの、一番友達っぽくないと思う……お水取ってくる」

このAct.5では、さっきの「洗面台の前で倒れる亜美」とか、節目節目に当たる場面で「水」の音が流れるのだが、この場面でそれはない。水の音は出ないが、しかし代わりに「お水取ってくる」といううさぎのセリフでパジャマパーティーのシークエンスは締めくくられ、翌日のクラウンへと場面転換する。
というあたりで、以下、次週へ続く。