実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第138回】Special Actの巻(8)



 遅れましたが21歳のお誕生日おめでとう。

1. 僕と事務所とマスコミで


芸能人と所属事務所の関係について語ることを、これまで私は敬遠してきた。そういうことを話すのは好きじゃないんですね。なぜかというと、結論が明るく楽しい方向に向かわないからである。
ひいきのアイドルがいまいち伸び悩んでいるのを「事務所が弱小なので仕事を入れられない」「事務所の売り方が悪い」などと嘆いて批判したり、大手に移籍して売れっ子になった人を後ろ指で「事務所の力」「打算的」とささやいたり、どうもダークでネガティブな感情論になりがちだし、イマイチ信憑性のわからないカラクリの暴露話みたいなのが多い。河辺さんの移籍に関しても、ご存じの方はご存じのように、色々と想像力を刺激する材料があったもんですから、東スポなんて昨年もまだしつこく書いていたな。もういいじゃないですか。
だからこのブログでは、そういうことには極力、目をつぶる。で、たとえば北川さんがいま売れている理由を、事務所の問題などは絡めず、彼女がとっても魅力的だからだ、とだけ考える。大手のスターダストが引き抜いて強力プッシュしたのも、つまり北川さんにそれだけの商品価値があったからで、結局は彼女自身の力だ、と割り切っちゃうわけだ。ここへ来て沢井さんがめきめき赤マル急上昇中という件も、ボックス内での扱いの変化とか、担当が代わったんじゃないか(M14仮説)とか色々考えられるんだけど、名古屋支部の見解としては、沢井さんの才能は、周囲に理解され、浸透するまでなかなか時間がかかるのだ、とだけ解釈しておく。今年に入って、ようやく世間もその実力を理解し始めたのである。河辺さんは現在MC業がメインで、あとネットビジネスなんかもやって、ライフスタイルを提案するファッションリーダーみたいな路線を敷きつつあるが、これも、とにかく芸能界にとどまって夢を継続するために、河辺さん自身が現在、選択している道なのだ、と考える。歌手になって成功したいという夢は、捨てたわけではなく一時凍結しただけである。それ以外のごちゃごちゃしたことは、とりあえず無視します。
北川さんにしても沢井さんにしても、河辺さんにしても、いま自分が置かれている立場に関して、いろいろ考えるところもあるだろうが、それは胸の内にのみこんで、所属事務所と折り合いをつけながら頑張っている。みんな芯の強い努力家である。だから私も、あえてそのあたりのウラまでは踏み込まず、本人たちの笑顔を額面どおり受け止めておきたいと思います。
そういえば、ご存じの方も多いと思うが、『仮面ライダー電王』の第3クール途中までヒロインのハナ役を演じて、その後、体調不良を理由に降板した白鳥百合子さんが、先日(2008年02月17日)ご自身のブログで「私は先日、所属していた事務所を離れました。これまでお世話になった関係者の皆様・お取引先の皆様・出演者の皆様・・・大変お世話になりました」と報告していた。さらに、2月20日のブログでは「今はどこにも所属していませんが、夢を諦めずに女優を目指させていただきます。つまり・・・引退は致しません」と言っている。要するに、もとの「女優志望」の女の子に戻って、最初からやり直すという宣言である。電王降板の頃にはコメント欄が炎上しかかったブログだが「どうぞこれからは・・・私は普通の女の子ですから、遠慮などされずに日々の出来事やちょっとしたことをできるだけ書いてくださいね」とも書いている。こういう記事を読んでいると、結局、事務所と何がどうなったのかさっぱり分からないのだが、もうそういうことはどうでもいいやという気になってくる。白鳥さん頑張ってください。復帰を待っています。
えーと何でこんな書き出しになったかな。そうです。つまり本当は事務所のことに触れるのは気が進まないのだ。けれども、これだけこまごまと『Special Act』をレビューする以上、「梨華」問題と「変身しない北川景子」問題についても何か書かなきゃいけないだろうし、そうするとどうしても事務所とか契約とかいう話題に少しはタッチしないといけないしなあ、という、この揺れる私のオジサン心を少しは理解していただきたかっただけだ。というわけで本題です。

2. そして北川問題(承前)


前々回、【第136回】の最後「3. そして北川問題」で書いたとおり(って言うか、みなさんご存じのとおり)北川さんはセーラームーンに出演中の2004年2月にスターダストに移籍した。だから本編が終了して『Special Act』『ACT ZERO』の2本を撮ることについては、あらためてスターダストと契約が交わされたのだろう。
といっても、事情はほかの戦士も変わらない。前々回のコメント欄でMC-K3さんから「浜千咲さんは本編のみで続編には出ない契約になっていた」という、グッズ販売業界から聞いた情報を教えていただいた。これはおそらく浜千咲に限ったことではないだろう。沢井美優以下の5人(の事務所)にとって、セーラームーンへの出演は、世間に広く顔を知ってもらう絶好の機会であるが、かといって、かつてのアニメ版のような大人気になって、2年も3年も続編が作られて、なんてことになってしまうと、それぞれの今後の活動の足かせにもなってしまう。要するに事務所的には、1年間やって、知名度を上げて、タレントとして次のステージにステップアップ、というシナリオが理想である。だから5人が5人とも「1年間のみ。もし好評で、翌年続編シリーズが制作されることになっても、その時はキャスト総入れ替えで」というような、期限をきっちり区切った契約を交わしていたのではないかと推測いたします。ところが、続編シリーズではないんだけれど、あと2本だけ「特別版」を制作するというビミョーに変則的な状況になったわけだ。
沢井・小松・安座間(の事務所)は、まあそれくらいならオプションというかアフターサービスというか、いいでしょう、みたいな感じで、追加2本のビデオ作品の出演を承諾した。しなかったのが浜千咲で、スノーラビッツは「浜千咲との契約は1年ぽっきりだったはず」をタテに断ったようである。それで東映は、代役を立てなきゃならない状況に追い込まれたんだが、しかしここで「スノーラビッツの浜千咲は契約上出演できないので、代りにそっくりなフリーの新人、梨華を出しますが、何か?」という、とんでもない奇策が飛び出す。これはもう「梨華」さんの厚意と協力なしには実現不可能だ。つまり梨華自身は出演に積極的だったが、事務所がそれを遮ろうとしていたと、と考えられるのだ。前々回にも書いたとおり、その後のスノーラビッツにおける「飼い殺し」状態を見ても、浜千咲はこの段階で、事務所との関係がいろいろこじれていたのではないかなあ。
ま、それはいいとして、北川さんだ。こちらも、1年前に契約したときの事務所は神戸のノイエだったが、今度は大手のスターダスト・プロモーションである。ここもいろいろ、交渉が大変だったわけだ。しかしそこから先は、よく分からないね。『Special Act』において、北川さんひとりが「出番が少なく、変身もせず、他の戦士と共に戦いもしない」という「特別扱い」になった背景には、どういう「オトナの事情」が絡んでいるのか。
他の仕事による多忙が理由か。いやそれは違うよね。北川さんの最初の出演映画『水に棲む花』は、公開は2006年まで伸びたが、当初は2005年の秋に公開の予定で、予告編は夏に、東京のどこだったかの街頭ビジョンにお目見えしている。だから2005年に入ってからの撮影開始、春ごろには終了、ぐらいのスケジュールだと思う。一方『Special Act』も『ACT ZERO』も2004年の年末には終わっている仕事だから、重なっていない。とするとどういう理由がほかにあるのか。
私に思いつくのは、まあせいぜい、スターダストに移籍した彼女についたマネージャーが、物を見る目がない人だったんじゃないか、ということぐらいだ「う〜ん。まあノイエさんにいたときの契約ですから今まで黙っていましたけどねぇ。ウチ的には北川に、かなり期待しているわけですよ。大型女優としてね。そのキャリアの出発点がね、こんなキャバクラ嬢みたいな格好して、怪獣と戦うなんていう子供ダマシの作品だってのは、ほんとうは、ちょっとプロフィール的に困るんですよねぇ。まあしかし、あとビデオ2本ぽっきりだと言うし、これまでのお付き合いもありますから、そこまでおっしゃるんなら、出しましょう。ただしその、もう一度あのコスプレに変身してCGの怪獣と戦うというの、これはちょっと、カンベンしてもらえませんかねぇ」みたいな、大手の力を背景にしての対応で、まあ東映サイドとしても、条件を呑まずにすませられなかったのである。あの、例によってこれは完全な想像ですからね。北川さんの当時のマネージャーがどんな人かなんて、私まるで知りませんから。

3. あなたはサブよ


ただ、どのような事情があったにせよ、『Special Act』のストーリー構成それ自体から見て、後半における北川景子の不在に、不自然なところは別にない。もう改めて言うまでもないことだが、レイの負傷と欠場は、むしろ物語上の必然だ。
テレビシリーズ本編からの流れで言えば、かつてマーズは、Act.47で還らぬ人となったヴィーナスの「弔い合戦」として、前世に向き合い、前世を終わらせることを決意した。そして星を破滅から救うために戦った。Final Actのマーズが、自分の分とヴィーナスの分と、2つのセーラースタータンバリンを持っていて、それを武器に替えて、2本の剣を手にするシーンは、マーズのヴィーナスへの、あるいはレイの美奈子への想いが凝縮された名シーンだった。レイは美奈子のぶんも戦ったのだ。そしてこの『Special Act』の最後のバトルでは、今度はヴィーナスが、負傷したマーズの分も剣を手にして戦うのである。
もうちょっと言えば、美奈子は戦士のリーダーを自認していながら、終盤は病気療養中につきリーダーの役目も果たせないままたおれてしまった。そういう美奈子に、せっかくだから、今一度きちんとリーダーらしい役を振ろう、というのも、この『Special Act』という企画の目的のひとつだったと思う。
『Special Act』の美奈子は痛快だ。変身能力を得る前から、敵を殴る蹴るのやりたい放題で、何をしようにも立ちくらみばかりだった本編終盤のうっぷんをはらしている。でもここにレイが出てくると、またリーダーは私だアンタはサブだとか、内輪もめになる。だからレイは負傷欠場で引っ込ませておいて、今回は美奈子が大活躍だ。そういう意味で『Special Act』の主役は美奈子である。だから私も、まあ確かに、最初に観たときは「え〜っ、レイちゃん変身しないのお」と思っちゃったんだが、二度、三度と繰り返し観ると、これはちゃんと納得のいく話だ。なんか、Final Actのマーズが2本の剣を持っていて、ここでのヴィーナスも同じ2本の剣を持っている、というのも、すっごくいいしさ。レイも美奈子も実は両刀づかい。二人はとても熱い女の友情で結ばれていて、どちらも両刀づかい、ってちょっと書いてみたかっただけだから、あまり気にしないでね。
それに、あとひとつ付け加えると、【第132回】の「2. 卒業式の朝」に書いた通り、なんかこの『Special Act』には、卒業式の朝の雰囲気がある。もう本編は終わったんだというユルさと、もうこれでセーラームーンをやるのもお互い最後だよね、と名残を惜しむ切なさが同居していると思うのだ。そんな中、これまでの日々を思い出してちょっとセンチメンタルになっているのが沢井美優だとすれば、対極的に、もう心は卒業後の新生活の方に行っちゃっているのが北川景子である。そんなふうにも見える。
まあ要するに私は、この『Special Act』がこういう構成になった理由は、別に事務所とか「オトナの事情」とかは考えずとも、物語そのものの必然性として解釈できますよと、そういうことが言いたいわけだ。それに最後のチャペルウェディングには、レイもちゃんと出席して、うさぎがブーケを投げようとするとき、美奈子とレイがつばぜり合いをするというか、そういうシーンもきちんと入っている。ここまで帳尻を合わせてくれたんだから、私としては文句のつけようもないよ。

4. さて、次回は


 ドラム缶や廃材が転がっている片隅から、赤っぽい霞が立ち上る。「下がって!」ルナを制して、近寄る怪しげな気配に立ち向かおうとしたが、いきなりそのもやもやした霞が強烈なフラッシュを放ち、レイは一撃で倒される。
「レイちゃん!」と叫んで、レイの安否を気づかうルナ。一方、光が消えたあたりには怪しい人影が。ニッと笑う口もとのアップ。おおっ、みおぼえある派手な鼻と口だぞ。これは誰だ?というところでCM。
が入るわけはないが、ここまでがAパートという感じになるかな。やれやれ、やっとAパートが終わったぞ。今年の最初におおざっぱに立てた計画では、2月で『Special Act』レビューが終わり、そろそろシリーズ本編レビューに戻ってAct.5を始めているころで、Act.5のパジャマパーティーのレビューと共に、「亜美」と「なる」の顔をもつチョーポジティブ(しかし意外とワキが甘い)美少女、河辺さんの21歳のお誕生日を祝うはずだったのだ。まったくぅ。


深夜の遊園地。でもすっかりさびれている。金網にはこんな看板が。

この度を持ちまして営業を
終了する事となりました。
永年のご愛顧まことに
ありがとうございました
     ピエロの王国

が、その、風の音がびゅうびゅう吹きすさび、遊具が錆にきしんでぎりぎり音をたてる以外は、しんと静まりかえっていたはずの遊園地に、不意に灯りがともる「ちょっと狭いけど、新しいダークキングダムができるまでは仕方ないか。ねぇチャッピー」。ダーブロウちゃんだ。ということで、いよいよ話は佳境に入った!続く(いつまでやるんだよ)。