実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第872回】残暑お見舞い申し上げますの巻

 開演前の会場。真ん中の「Ran」というネオンの下のドアから蘭ちゃんが登場する。後半になると、右上にうっすら見える「Candies」という看板が輝き出して、キャンディーズの曲が次々に歌われる。



 てなわけで「伊藤蘭コンサート・ツアー2022 〜Touch this moment & surely Candies!〜」開幕。最初が8月20日のZepp Yokohamaで、次が8月27日のZepp Nagoyaだ。どちらも満員札止め。もちろん私が参加したのは名古屋公演。



 2019年に伊藤蘭さんがソロで歌手活動を開始し、ファースト・アルバムをオリコン8位に送り込み、東京と大阪でライブをしたときは、このブログもけっこう盛り上がった(ここ)。でも私は結局、その時のTOKYOドームシティホールにも、翌年2020年の愛知県芸術劇場にも、LINE CUBE SHIBUYAにも、さらにその翌年の日比谷屋音にも諸事情により参加できずにいた。それが、ついに行ってきましたよ。



 ファースト・アルバム『My Bouquet』(2019年)、セカンド・アルバム『Beside you』(2020年)、どちらも楽曲だけ聴くと21世紀の新譜とは思えないくらいレトロでストレートなんだけど、それで良いのである。むしろ70年代そのままの世界を伊藤蘭が歌うことに意義がある。ライブで聴けばそのことが一層明らかに分かる。それに、変にイマふうのことをやっていないぶん、新曲たちと後半のキャンディーズのナンバーがスムーズにつながる。このへんは 佐藤準をはじめとする豪勢なバックバンドの腕もあるのだろう。伊藤蘭は4回衣装替えをした。アンコールも入れると5回か。



 キャンディーズを応援していたころのハッピを引っ張り出してきた50年来のコアなファンもいたし、意外と女子、というかマダム勢も多かった。もちろん客席の年齢層は高いが、グッズ売り場ではペンライトやタオルやカレンダーもばんばん売って現役アイドル感バリバリだったし、客は紙テープを投げ入れずに(当たり前だ)ペンライトを振っていた。そういうところはちゃんとアップデートしている。



 キャンディーズの楽曲のコーナーでは、先日「引退」を発表した吉田拓郎に対する伊藤蘭の敬意と感謝がにじむ演出もあり、まあとにかく、良いライブであった。なんか、年をとるのも悪くないなあ、なんて思ってしまいましたよ。

 というわけで、今日はもう余韻に浸ってブログは休む。……つもりだったけど思い出した。みなさん、アメリカでサバンのセーラームーンのパイロットフィルムが「発見」されたニュースはもう読まれたかな?



 サバンというのは、東映のスーパー戦隊を素材に『パワーレンジャー』を制作して一山当てたあのハイム・サバン(Heim Saban)である。『パワーレンジャー』が放送され始めたのが1993年で、ちょうどこのころ、同時期にセーラームーンの北米版を制作する計画もあったらしい。



 『パワーレンジャー』の場合は、あちらの俳優によるドラマパートをルネッサンスアトランティックが撮り、変身後の戦いは日本の素材をベースに作っていったわけだが、セーラームーンも同じ方式で、ただし変身前は実写パートで、変身後はあちらのアニメ会社、トゥーンメーカーがオリジナルで制作するというものだ。要するに変身するとアニメになる実写版。『パワーレンジャー』開始の翌年、1994年に全米に配給される予定だったという。










 欧米では黒猫は魔女の使いである。中世ヨーロッパでは黒猫を飼っていただけで魔女裁判にかけられて処刑された女性もいるという。



 だから黒猫のキャラクターというのはリスクが大きい。そんなわけでルナは白猫である。アルテミスはいない設定なんだろうね。



 面白かったのは戦士たちのウインドサーフィンみたいな乗り物。欧米ではセーラー服というのは水兵の服装で、セーラー服=女子中学生・女子高生というふうには結びつかない。セーラーだから帆船ふうの乗り物、という意味なんだと思う。



 パイロット版の実写パートは人気学園ドラマ『セイブド・バイ・ザ・ベル』(Saved by the Bell)のセットを利用して撮影されたという。


うさぎ役はステファニー・デッカー(Stephanie Dicker)


亜美はメリンダ“ミンディ”コーワン(Melinda "Mindy" Cowan)、まことはタミ・エイドリアン・ジョージ(Tami-Adrian George)


燃えるカーリーヘアのレイはダニー“ダニ”デレイシー(Danny "Dani" DeLacey)、美奈子役は不明だそうです(不明って……)。


 1994 年に『パワーレンジャー』と同じFOXでの配給を目指していたが、 結果的にはボツとなり、FOXは1995年、日本のセーラームーンをそのまま吹き替えて放送した。もちろんルナも黒猫のままだったが、結果はご存知のとおり。いやみなさん、ご存知かな。




 放送開始当初は(平日の早朝という時間帯もあって)人気が出ずに打ち切りとなるが、それが逆にコアなファンを刺激して、放送継続希望の署名運動「セーラー戦士を救え」略称SOS(Save Our Sailors)が立ち上げられ、少しずつ支持を広げ、1998年にカトゥーンネットワークの夕方の時間帯をゲットしてめでたくブレイク、というお話である。



 今回の幻のパイロット版は、厳密な意味では「幻」というわけではなく、以前もどこかのアニメエキスポで非公式に上映されたこともあるんだけど、映像自体がきちっとしたかたちでネットに乗ったのはこれが初めてとのことである。Ray Monaさんというユーチューバーがいて、この人は未発表に終わった女子向けのDSソフトとか、そういう「幻のメディア」を掘り起こすドキュメンタリーをいくつかアップしているけど、今回はこの幻のアメリカ版セーラームーンを取り上げ、米国議会図書館から映像を入手、バンダイアメリカ側と交渉して、公開の許可を得た、とのことである。



 というような話題もあったけど、本日はここまで。で、次回はこれをレビューしてみようと思う。



 東映がサブスクリプションで配信しているスピンオフ作品までいちいちフォローしていちゃ身が持たんよ、とは思うが、沢井美優と渋江譲二、それに黄川田雅哉(将也)がメインの作品とあっては、放っておくわけにもいかない。ていうか、ウチがやらなきゃ誰がやるんだという気もしてきた。最近、生活に沢井が足りない気もしてきたし。



 これは、東映特撮ファンクラブで2021年10月に配信された『騎士竜戦隊リュウソウジャー』の前日譚、1話15分ほどで全3話ある。1回につき1話ぶん消化していきたいが、ま、私のそういう宣言がうまくいった試しはないので、せいぜい『高嶺のハナさん2』に大きく食い込まないように努力したいと思う。ではまた。