実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【番外編】推し、消ゆの巻


 まいったなあ。コロナで一年間の雌伏を経て羽ばたいたところだったのに。



 このブログのメインコンテンツである実写版セーラームーンとは何の関係もないが、(強いて言えば北川景子と同じ事務所)昨年の暮れ、森七菜のドラマ『この恋あたためますか』に出演していたアイドルグループukkaのことを書いた(ここ)。私にとっては、いま最もアイドルらしくて、いま最もよく聴いていて、いま最もライブが魅力的で、いま最も応援したいグループだったからね。



 2015年に結成されて以来、女子アイドルグループ不遇の時代を、珍しく誰ひとり脱退もせず、6年もの歳月を刻んできた。曲も歌もダンスもスキルアップして、さあこれからもっと大きな舞台で、というところで、昨年末にメンバーひとりが卒業を決めた。なぜだろう。本当は納得いかないんだけど、そのことを自分に納得させるためにブログを書いたら、後半はどっちかというと卒業するメンバーの桜井美里より、最年長21歳、主力メンバーの水春(みずは)のことばかり書いてしまった(しつこいようだがここ)。



 ところが、その水春が3月18日、突然グループから脱退してしまった。ブレイク前のアイドルにはよくある分裂話だ。よくある話なんだけどな。なんだろうこの文章。

 水春のukkaグループ脱退に関してのお知らせ
 メンバーの水春ですが、マネジメントとの方向性の違いにより2021年3月18日(木)付けでグループを脱退する事になりました。今後、個人で活動していく予定です。
 3月27日(土)以降のukka New Style Zepp Tour「WINGS〜スタートライン〜」も含め、今後ukkaとしての活動には参加いたしません。水春以外のメンバーで予定通り開催させていただきます。(ukka公式サイト)


 ひどい。「ukkaグループ脱退」という書き方もヘンだし、「今後、水春はウチとは一切関係ありません。ウチは影響なく平常運転です」と言わんばかりの突き放した書き方で、グループに多大な貢献をはたしてきたメンバーに対する敬意のかけらもない。何様だよ。
 ともかく、昨年暮れの桜井美里とはぜんぜん違う。桜井美里は11月末に卒業を発表して、12月の終わりには急遽「卒業公演」が組まれた。今回は3月18日に、いきなり「脱退しました」のお知らせである。もちろん卒業公演のたぐいも一切なし。公式サイトのトップ画像からも、速攻で水春の存在が消された。(でも急ぎ過ぎて、よおく見ると右端に水春のTシャツのそでがほんのわずか見える)





 彼女たちは現在Zeppツアーを始めたばかりで、5人のメンバーをフィーチャーした新曲を、全国5ヶ所のZeppで順番に1曲ずつ初披露していく予定だった。一発目の札幌では、茜空の「ガールズナイト」が披露された。で、ラストの6月東京公演が水春の担当で、最終日ということもあって、チケットは発売後まもなく予定枚数を売り尽くしている。水春も札幌のステージで、東京で初披露する「俺の歌」(本人談)が仕上がり中なので待っていてね、的なことを語っていたという。



 ただその札幌公演では、突然、髪をミルクティー色(本人談)に染めて登場してファンを驚かせたうえ、特典会も途中でリタイア。その後で更新したブログの内容は、ちょっと尋常ではない空気を感じさせた。


みずはです。
本日の2部の特典会、参加できなくて本当に申し訳ありませんでした。
楽しみにしてくれてた方、本当にごめんなさい。
初めての北海道で、ツアー初日で、
ukkaとの、私との思い出を残したいと思ってくれた方がいてくださったのはもちろんわかっています。
その気持ちにまずは、ありがとうございます。


ですが、特典会に出なきゃ出なきゃと思うほど、体と心が辛くなってしまって、自分を追い込んでしまいました。
こういう状態は初めてではなかったのに、自分で理解して解決できなかったことに、自分に腹が立ちました。
2部の後で、みなさんが届けてくださるはずだった気持ちや言葉を、なしにしてしまって、本当に申し訳ないです。
謝ることしかできないけど、本当にごめんなさい。


そして、見てくださってるかわからないけど、ご迷惑をかけてしまったスタッフのみなさん、本当に申し訳ありませんでした。
自分のやってしまったことは取り戻せないけど、今後の活動で少しでもファンのみなさんやスタッフさんに返していけるように頑張ります。
ですが、無事にツアーも開催できて
これから6/20まで続いていきます。
今日来てくださった方、本当にありがとうございました!
遠征してくださった方も、北海道にお住まいの方もたくさんいらっしゃってすごく嬉しかったです!


今の私にこんなこと言える資格はないかもしれないけど
これからも応援よろしくお願いします。
次は3/27 福岡です!
ワンマンで行くのは初めてです!
観に来てくれたら嬉しいです!(ukka公式ブログ2021年3月13日)


 プロ意識が高くてストイックな人だけに、ファンへの謝罪や自分への腹立ちは、まあ水春らしいと言える。が「ご迷惑をかけてしまったスタッフのみなさん、本当に申し訳ありませんでした」という一文はおかしい。スタッフともどもファンに謝るのならいいけど、なぜアイドルが公の場でスタッフに謝罪しているのか? 謝罪せざるをえない状況だったのか?



 このことについては、多くのファンも推測しているように、たぶんサプライズで髪を染めたのは彼女の独断で、それも運営側との揉め事のひとつとしてあったのかもなぁ、と私も思う。ただ、突然髪を染めたのは、自分勝手な行動ではなく、そこに至るまでのあれこれがあったのだ、きっと。何にせよ新衣裳に似合っていて可愛かった。舞台裏写真での表情は硬かったけど。



 このグループは昨年、運営スタッフに人事異動があったらしいんだけど、新しいマネージャーが入り、ちょっと様子がおかしくなった、という話は、コアなファンの間でささやかれていた。でも私は、未確認情報なのであまり気にしないでいた。


 
 昨年末に桜井美里が突然の卒業を発表したときも、そのあたりの事情との関連がネットで話題にされていて、う〜んそうかな、と思いつつ、やっぱり私は気にしないようにしていた。でもこうなると、本当に何かあったとしか思えない。
 水春自身は、2021年3月18日に脱退が発表されたのと同時に、公式ブログを更新した。これまたちょっと異様だった。


発表があった通り、3/18付けでグループを脱退しました。

急なお知らせで本当に申し訳ありません。


せめてツアーを完走することを最後の恩返しにしたかったのですが、マネジメント側と私とで、いろいろな差が開いてしまい脱退という事になりました。


これからは、違う場所で大きくなります。
もしよろしければ、応援してください。


ファンの皆様へ
私に出会い、愛をたくさんありがとうございました。
私にはもったいないほどの愛情や優しさ、届いてました。
ukkaとしての終わりがこのような形で本当に悲しいです。

ですが、ここで私の人生が終わったわけではないし、芸能を諦めてるわけはありません。もしみなさんがまだ私のことを好きでいてくれるのならば、これからゆっくりにはなるかもしれないけれど、もっとみなさんを幸せにしたいです。

ukkaとしていられて良かったです
あなたに出会えたから

今までありがとう。
さよならは言いません。


ダンス、ボイトレの先生方へ
こんな形のお別れでとても悲しいです。
ですが、今まで本当にお世話になりました。
指導以外の話も聞いてくださり本当にありがとうございました。
これから教わったことをたくさん生かして、教えてもらったことを無駄にせず生きていきます。


たくさんお世話になったメイクさんへ
私の外見の悩みなど聞いてくれて、それを生かすアドバイスやメイクのことなどタメになるお話をたくさんありがとうございました。
また一緒にお仕事できるように頑張ります。


様々な場面でお世話になったスタッフの皆様へ
ご挨拶もまともにできずに申し訳ありません。
今までukkaの水春として、大変お世話になりました。

これからも、お仕事でお会いできることを願ってます。
そのために私も頑張ります。
そのときはまたよろしくお願いいたします。


最後にみなさんにお願いなのですが、
この事に関して、誰かを責めたりすることはやめてほしいです。言葉は時に凶器になるから。

いろんな人間がいて、誰も誰かの人生を壊す権利はないのです。


本当に今までありがとうございました。
これからは別の場所にはなってしまうけれど、私の人生をまっとうしたいと思います。

みなさん愛してます(ukka公式ブログ2021年3月18日)


 ダンス、ボイトレの先生、メイクさん、スタッフさんへのお礼と謝罪があって、メンバーへのメッセージが全くない。しかも最後が「この事に関して、誰かを責めたりすることはやめてほしいです」となっている。



 メンバーへのお別れがひと言もないので、メンバーとの不仲を脱退理由にあげるSNSもあったが、それはこのグループをご存知ない方の臆測である。川瀬あやめがこの直後に更新したブログに「水春には私から個人的に連絡をしてお話をしました」と書いていて、村星りじゅは「水春といろいろお話しをしていて 私もできる限りのことをしようと思って したつもりだったのですが、水春には水春の考えがあったのだと思います」と、ちょっと謎めいたことを書いている。メンバーとは、おそらくブログのような公の場所には書けないことも含めて、本当の脱退理由を共有しているのだろう。
 インスタの方にもメッセージが書いてあって、ブログとだいたい一緒だけど微妙に違う。

 
急な発表でごめんなさい。
私にとっても急な発表でした。

せめてツアーは完走したい思いがありましたが、
マネジメントとの方向性の違いがあり、そのお話しをされたその日にて脱退ということになりました。(水春公式インスタグラム2021年3月18日)


 「私にとっても急な発表でした」だって。ブログの方には「せめてツアーを完走することを最後の恩返しにしたかった」と書いていたし、おそらく、脱退は避けられないと思いつつ、このツアーは最後までやり切るつもりだったのだろう。ところが「マネジメントとの方向性の違い」が修復不可能になってしまった。これもおかしな言いまわしで、本当は「マネージャー」なんだけど、あえて「マネジメント」という特定個人を避けた言い廻しでぼかしたというふうに感じる。



 で「マネジメント側」と「その(方向性の違いについての)お話しをされたその日にて脱退ということになりました」ということだ。ツアー途中にもかかわらず即日脱退という結論に至ったのだ。この「脱退しました」ではなく、「脱退ということになりました」という言い方にもいろいろ含みを感じる。3月18日にマネージャーと話をして、水春自身は残りのツァーをやり切るつもりだったのに、その場で望まない脱退を受けいれざるをえない状況に追い込まれた、そんな印象。何にせよ今回のツアー、私は5月の名古屋の2公演と東京1公演のチケットをおさえているが、楽しみだったのが一転して子供の発表会に行く保護者の気持ちになっている。がんばろう。



追記(2021年3月27日)

 期待していなかったが、水春自身から今回の件についての説明が聞けた。これまで2回、個人のインスタライブで音声のみの配信をしてくれたのである。
 といっても私はインスタがよく分からなくて、そんな配信があったことすら知らなかった。動画サイトにアップしてくれた人、本当にありがとうございます。
 最初の2021年3月21日の配信はファンへの感謝と「私は元気です」のメッセージくらいのシンプルなものだった。問題は2回目、3月25日の配信分、特にその前半30分くらいの語りである。水春は、いろいろ制約があるなかで、時には言いよどみ、時には長い沈黙のあとに涙声になりながらも、訥々とファンにメッセージをくれた。ここではそれを出来るだけ手を加えずに文字に起こしながら、内容を整理してみたい。本人は望んでいないかもしれないけれど、やはり残すべきだと思った。
 まず冒頭。水春は鼻歌を歌いながら配信を始めている。ほんと、歌が好きなんだね。でもその後の、最初のひと言が胸を衝く。


 歌いたいな。……はぁ……。特に配信の題材はございません。はい、ごめんなさい。うん。……歌いたいですね。歌いたいし、踊りたいよ。うん……。(コメントに対して)ごはん食べたよ。ごはん食べましたよ。……もう歌って踊ることなんて無いもんで、踊りたいし歌いたいし……。
 でもなんか、うん。なんか自分の励ましのためにインスタライブ始めたつもりなんですけど、なんか皆さんのコメント見ちゃったら、ちょっと、泣いちゃいそう。
 なんか私も、なんかさ、あんまり、その、何て言うんだろ、この、これ聴いてて不快に思った人は、すぐに消してね配信。なんかさ、あの、何て言うの、(グループを)辞めたっていうか、そのことに関してさ、あんまり長引かせたくないからさ、もう、話して終わりにしたいんですけど、話すのがあんまり許されていないから、あんまり話せない、っていう辛さが、ありますね。
 うん……。だってみなさん正直、私が辞めた理由もよく分かっていない状態だと思うんですよ。で、それも私はちゃんと説明したいし、別にしても良いと思うんですけど、て言うかするのが当たり前だと思うんですけど……うん…………うん……。
 その……あのタイミングで辞めるっていうのは、1ミリも望んでいなかったので、正直。だから、ね……ていう感じです……うん……。まあ、そうね、人ってやっぱり感情があるから、で、その感情って毎秒毎秒やっぱり変わるものだからさ。それは別に誰に限ったことではない、私だってそうだし、みなさんだってそうだし、みなさんの回りの人だってそうだから。別に私はそれが悪いとか言うわけでは全くなくて、うん、まあいつか、この、なんて言うんだろうなぁ……これが……ん……なんか……くぅ~っ……はは……いつか、これがね、私の人生を一個変える、転機でした、って話せる時が、来たらいいな……うん……。
 だって正直、めちゃめちゃ悔しいもんね、私は。でも、そう、なんであんまり話せないんだって思う方、いると思うけど、それはまだ私が、もと居たグループの関係で、同じ事務所に少しまだ、居なきゃいけない、っていう言い方は、なんか、なんだ、ちょっと違うけど、まだその事務所に所属させてもらっているから、まあ何かあんまり話しちゃいけないっぽくて、でも別に嘘のことじゃないから、私はそんなに、何が悪いのかよく分かんないけど……。ただただ、そう、ただ私と、その、相手が合わなかったっていうだけの話だから。なんかそれに(ファンの)皆さんを巻き込んじゃったのは、すごい申し訳ないけどなぁ……うん……。(水春インスタライブ 2021年3月25日)

 
 これを聞いても、やはり水春がこのツアーを途中で投げるつもりなどなかったことは明らかだと思いますね。たとえば自分からキレて、ツアー途中なのについ勢いで、もう今日でグループを脱退するなんて言ったわけではない。それは確実だろう。なにか話し合いのなかで感情のもつれみたいなものがあったわけですね。それでいまはグループ脱退で個人活動という状態だけれども、いまの契約期間が終わったら、おそらくスターダストプロモーションを退社せざるをえないことを本人は自覚している。それにしても冒頭の「歌いたいし、踊りたいよ」が、ほんとうに切ない。



 で、続いて脱退の真相みたいなことに入って行く。このあとの話の前半を私なりに解釈すればこういうことだ。アイドルとして、ファンの皆さんと特典会などで接触することは楽しみのひとつだ。ただ自分(水春)は心が弱くて、誰かの些細なひと言にも傷ついて、それをいつまでも引きずってしまうところがある。良く言えば繊細だけれど、アイドルである以上、克服するよう努力してきた。でも先日の札幌の特典会でひさしぶりにファンの人と接した時、あるひと言でものすごく傷ついてしまった。ひょっとすると、このコロナの一年で接触の機会が減って、自分の側の心の耐性が落ちてしまったのかも知れないし、あるいは逆に、会う機会が少なくてファンの方の思いが強くなり過ぎたせいかもしれない。いずれにしても、コロナの「前の気分とはちょっと違う」感じになっていて、久しぶりに会う倍の楽しみが、逆に倍の恐怖になってしまった。
 もちろんファンの方は、別に自分を傷つけようと言ったわけではないと思う。自分をコントロールできなかった自分にもむかつく。それでも特典会第2部を欠席するほどのダメージを受けてしまった。そしてその痛手の深さは、残念ながら運営スタッフには理解してもらえず、たんなる甘えと捉えられてしまった。


 まあちょっと、多分、これも話して良いのか分かんないけど、まあ、こうなっちゃったきっかけみたいな、なんでそんな、こんな掘り返して、何だよこいつ、いつまでネチネチしてんだよ、と思う人もいると思うんだけど、そりゃネチネチするよ(笑)。そりゃネチネチするよぉ。……そう、なんか、私がちょっと、あんまり……こうね……心が強い人じゃないから。
 もしかしたら、まあ普通の、普通の人っていう言い方も、すごい嫌な言い方かも知れないけど、ちょっとその、回りの人よりも、まあ色々、何て言うの、良い言い方をすれば繊細だった(笑)。なんかすごいキレイに聞こえるけど。なんか、私はちょっとそういう人間でいてしまった、っていうのもね……ちょっとあんまり自分を否定するのも良くない、ダメ……だから、それが、やっぱり分からない人も沢山いるんだな、って改めて思ったし、だから私はなんか、たぶん私以外にもこういう人って沢山いると思うから、うん、私はそういう人の味方でいたいな、うん……。
 だからあんまり、何て言うんだろうな、アイドルさんにね……しかも今ってさあ、まあ、もう一年ぐらい経ったけどさぁ、コロナでさ、ほかの……たとえば会社の人も学校の子だってさ、もうだいぶそういう、会社とか学校は、そんなに影響は少なくなっているかも知れないけどさ、その、感染症が、わ~ってなっちゃった時はさぁ、結構その。学校だってオンラインとかが多かったじゃん? アイドルとかのイベントも、なかなか直接会うことって少なかったんですよね。でもそれでやっぱり、会えた時ってさ、まあ私たちも久しぶりだし、みなさんも久しぶりだからさぁ、まあ、何て言うんだろうな、ちょっと(コロナの)前の気分とはちょっと違うじゃない、うん。
 でもそれが、私の場合ね、これはあくまで私の場合なんですけど……まあその、なんか一個の、自分にとってちょっと傷つくきっかけがあっちゃうと、やっぱその、たまにある、ファンの皆さんと直接お話する機会が、普通だったらなかなか出来なくなっちゃったからこそ、楽しみがいつもより倍くらいになるんですよ。でもそれがやっぱ、一個傷つく、トラウマじゃないけど……が出来ちゃうと、もうそれをぜんぜん気にしないというかね、そうやって出来る人だって沢山いるんだけど、それが出来ない人も沢山いて、でまあ私はそっちの(できない)人だったから………うん………それで、そうね、倍楽しみになるものが、倍、怖くなっちゃう理由でもあったりしちゃってね……。
 でもそれも、傷つけてしまう人はさ、たぶん自分では傷つけようとは思っていないのよ。だからさ、私もさあ、「あ、あなたそんなこと言ったら、わたし傷ついちゃうよ」なんて言えないの。そんなん自分の意見を押し付けてるじゃん。だからさ、言えないから、でも、言ってきちゃう人ってさ、やっぱりそういうのが分からない、……「分からない」っていう言い方はダメだな。何て言うんだろ、自分は傷つける言葉と思っていないと思うんですよ、うん。だからそこが……うん……ね……。
 でも、これは皆さんには、あの、分かって欲しいのは、そういう、いわゆる特典会がイヤだったからアイドルじゃなくなった、っていう理由では、まったくないです。それは本当に分かって欲しいな、って思います……うん……。
 だって、普通イヤなわけなくない? 自分のこと、何て言うの、好きな人がさ、ほとんどって言うか、まあ皆さん(私たちのことを)好きって前提で私たちはやっぱり、いつもいるんですよ。そんなさあ、いちいち、そういう握手会とかの前に「ああ今日も私のことキライな人が来る」なんていう、たぶん……まあそういうトラウマがあったら思っちゃうけど、普通のアイドルさんってやっぱり、そういう気持ちってあんまりないと思うんですよ。普通に、応援してくれてる人が来る、今日も楽しく頑張ろう、みたいな、そっちの気持ちの方がたぶん強いと思うんですけど……うん……。
 でも、それも私ほんとうに何か悔しいの。たったひとりの人からの言葉で、何か自分がすごい深い傷を負っちゃってさぁ、でもそのせいでさ、私のこと好きな人に、何か、何て言うの、返せないっていうの、すごい、悔しいよね。だからそこはまあ、うん、すごい、自分に、うん、本当むかついたよね。
 でもそれでその、やっぱり、そういうもの(特典会)に出れないっていうのが、やっぱりあっちゃうと、まあ皆さん、皆さんってファンの皆さんじゃなくてね……からの信頼もさぁ、なくなっちゃったのよね。だからそれで、まあ、何やかんやあって、こういうことになっちゃった、っていうわけで。
 もっとやりたいこと一杯あったんですよ、本当は、ふふっ。ね。私の、あの、なんていうの、フィーチャー曲もやっぱり、聴かせたかったしね、うん。……なんか涙より鼻水が出てくるんですけど、花粉症だからかな。みなさん花粉症大丈夫ですか? 
 でもこれはあれよ、別に誰が悪いとか、もう「水春ちゃん可哀想」とかじゃないよ。まあこれも私のもともとの、運命だったのかな、とも思ってる。たぶん神様は、これが悪いことじゃないよって、あなたにとっては、これは悪いことじゃないんだよって言うので、試練をくれてるのかな、って思っているよ。で、私がもうちょっと……活躍できるようになったら、この、いまインスタライブ見てる、見てる?、聴いている人もそうだし、もうホント、私のこと知ってくれている人みんなと、お話したいね。だから絶対にそういう機会を、ぜったい作る、うん。
 ごめん、何かこんな、ホンマ、ぐちぐち、グズグズしてるから、むかついたら切ってね、ははは。それだけはちょっと、お願いしますね。なんでこんなぐちぐち言ってるんだよって文句は、言わないでね。切ってね。(水春インスタライブ 2021年3月25日)


 札幌の特典会で、誰かの、特に悪意から言ったわけではないかも知れないひと言でダメージを受けてしまって、第2部の特典会にどうしても出られなかった。そこまではいいよね。問題は後半の発言にある「やっぱり、そういうものに出れないっていうのが、やっぱりあっちゃうと、まあ皆さん――皆さんってファンの皆さんじゃなくてね――からの信頼もさぁ、なくなっちゃったのよね。だからそれで、まあ、何やかんやあって、こういうことになっちゃった」というくだりの不可解さだ。特典会第2部で水春と会うことを楽しみにしていたファンに会えなかった、ファンの皆さんの信頼を失ったかも知れない――それなら分かる。でもここではわざわざ「ファンの皆さんじゃなくて」それ以外の人の信頼をなくした、と言っている。つまり運営スタッフである。おそらくツアー初日からファンのひと言で傷ついて、第2部をキャンセルした水春を、運営スタッフが問題視したのだろう。ここから先のことは明言されていないが、「あのタイミングで辞めるっていうのは、1ミリも望んでいなかった」という水春のことばを信じるならば(信じて良いと思う)、3月18日の話し合いのだいたいの内容は見当がつく。運営スタッフは、最年長メンバーでありながら特典会を休むような甘えた態度なら、もうグループに置けないという態度をとり、水春は、自分の弱さを認めた上で、辞めるにしても、せめてツアーは完走させて欲しいと訴えた。ただ、ステージはやり切る自信はあっても、特典会についてはメンタル面で自信がなくて、そのへんの休養をとりながらツアーを続けるかどうかで、意見の相違があった。具体的には、特典会を休みたいなら、グループを脱退してゆっくり休養を取ったらいい、という話になった(推定)。



 思い出すのは2019年の9月の後半、セカンドアルバム『octave』のリリースイベントを、水春は体調不良を理由に3回くらい立て続けに欠席した。そのうちの1回に名古屋タワーレコードのミニライブも含まれていて、その時は(たぶん)水春がいないために、定番だった「それは月曜日の9時のように」がセットリストから外されて、ちょっと残念だったのを憶えている。あるいはひょっとすると水春は、たとえば福岡と大坂とか、ツアー途中で少しの休養を申し出て、そんな我がままは認められない、と言って切られたのかも知れない。とにかく、水春はステージには意欲的でツアーはどうしても続けたかった。でも特典会にはトラウマが残っていて、運営はプロとして甘えを許さなかった、だいたいそんなところだろう。
 私自身は、そもそも特典会なんて参加したことがないし、ライブさえよければ一向に困らないのだが、まあアイドルのビジネスモデルとして、物販プラス特典会・握手会などの直接接触は欠かせないものだろうから、仕事として安定的にこなせないタレントはプロとして不要、という考え方もあるにはあるだろう。ただ次の話に関しては、運営側に対する疑問を禁じえない。


 いや、ほんと、ごめんなさい。グチみたいになってごめんなさい。いや、でも私も、もうちょっとなぁ、いや、いろいろ考えていたことって、あったんですよ。もう言っても無駄だけど、でも何か伝えたい。やっぱり皆さんには伝えたいの。これから私が振りをつける予定だった曲だってあったし、なんかそれもやっぱりね、なくなっちゃったのが、皆さんに見せられなくて、まず本当に悔しい。本当に悔しいし(笑)。私が作りたかったダンスを……世に出ないのが本当に悔しい。
 まあ私がね、まだきっぱり「エイッ!」って勢いついてないから、説得力ないんですけど、なんか、皆さんがもし、この私に関して「もっとアイドルしている水春見たかった」とか「悔しい」とか思ってくださっている方がいたら、その気持ちは、過去の私とかグループに送るんじゃなくて、未来の私にぜひ贈ってください。そのぶん、悔しいと思ってくれたそのぶん、私が未来で活躍していたら、そこにぶつけてください。あの、いい応援としてね。ははは。それが私も嬉しいし、たぶんいま続いているグループにも嬉しいと思いますね。
 うん。あとはさ、多分、私があんまり、何ていうの、(グループを)辞めちゃってから、その「グループの応援もお願いします」みたいなことを言っていないことに対して、多分引っかかっている方も多いと思うけど……まあ……言えない……よね。――うん、やっぱり言えないよね。
 (メンバーのことを)思ってない、ってことは絶対ないけど……言えないね。でもそれは、あれよ、皆さんそんな、応援しないで、とかでは絶対ないから。もちろん応援している方だって沢山いるし、それはもちろんグループにとって、すごくありがたいことだから……でも、私の気持ちとしては、そうね……だって……自分の希望じゃなく終わっちゃったからさあ……なかなか、口にするのはちょっとむずかしい……のは、あります……うん。
 正直私、たぶんその、残っている――って言い方はダメね、続けているメンバーにも(自分の脱退が)どういう伝え方をされているか、分かっていないんですよ。たぶん本当の、本当のことっていうのはアレだけど、何て言うのかな、たぶん私の気持ちはあんまり伝わっていないのかなって思うね。だからそれもいつか、なんか、将来、なんか、じゃあ「5年ぶりに共演で~す」なんて、もしなった時にね、話せたらいいよね。
 続けてるメンバー、頑張ってるのはもちろんだから、だから私はその、悪く言うことはまったくないですよ、それはもちろん、うん。だって悪く言う意味がないもん、そんな頑張っている子たちに。でもね、まあ私としては、あんまりつらくて(今後のグループの活動を)見れないな、って思っちゃう。でも……ごめん、なんかいっぱい言うと、もうややこしくなっちゃうね。本当に、ただの私の自己中みたいになってる、ダメダメダメ。はい、巻き戻し……ごめんなさい。本当ごめんね。違うのよ、本当に、続けているメンバーのことを、もちろん応援してください、応援してくださいですよ、本当に、ね。なんて、雑な言い方になっちゃった、ホントごめん。あんまり、そうごめんなさい。でもそうなの。そう、ちょっと私のことも言わせてもらっちゃうと、うん、私メンバーに直接、ありがとうとか、さようならとかも、言えてないんですよ。もうLINEの文面でしか言えていないからさ……。
 ごめんなさい、そう何かね、たまにこう、引き戻されちゃうの。何か普通に、今さあ、まあ何も無くなっちゃった毎日を生きているわけなんですけど、そのなかでももちろん、面白いこととかさあ、まあ、笑ったりすることなんていっぱいあるんだけどさあ、何か本当に夜って怖いよね。私、夜になるとさ、やっぱり静かでさ、無になっちゃうからさ、その、そっちの思い、「私何やってんだろう」って気持ちが出てきてしまうのよ。何かダメね。ホント、夜怖いよ。やだ。夜キライ。
 ……そう。だからもうちょっと大人になりたいなって思う。私、今年22歳になっちゃうんだよ。どうしよう。22歳ってさあ、もうちょっと、何か気持ち的にも見た目的にも、大人になっていたいなって思ってたのにさ。ふふふっ。もう全然子供よ。ダメダメ。
(水春インスタライブ 2021年3月25日)

 
 水春は昨年のシングルに入っていた「時間。光り輝く螺旋の球」の振付けを担当していたが、また新しく曲の振付けを任されていたらしい。これは観たかったなあ。でももうなくなってしまった。このあたり、インスタの本人も涙声になっていて、聴くのがつらい。水春としてはツアーは続けたかったし、脱退したくて脱退したのではないから、どうしても今は、これからのukkaをよろしくとは言えないし、当分は彼女たちの活動を見ることもできないだろう。それはそうだ。
 ただ分からないのは「続けているメンバーも、どういう伝え方をされているか分かっていないんですよ」というところと「私メンバーに直接、ありがとうとか、さようならとも、言えてないんですよ。もうLINEの文面でしか言えていないから」というところ。
 なぜきちんとメンバー同士の話し合いの場なり、意見を言う場を設けてあげないのだろう。スターダスト・プラネットってそういうところだと思っていた。メンバー個人の意志を尊重するから、突然脱退する子が出たりするんだと。
 今回は本人が投げたのではない。ただ特典会の接触が自分の弱さでトラウマになったので、そこを克服する余裕が欲しかっただけのように思える。少なくともステージをやりたくないという話はぜんぜん出ていない。それでも彼女は脱退すべきか。6年間も一緒にやってきたメンバーになぜそのあたりを正確に伝え、可能な限り5人でやり続ける道(それは決して困難な道ではないと思うんだけど)を探さなかったのか。なぜこれまでにないような異様な脱退の告知となったのか。
 インスタの談話を踏まえて脱退直後のメンバーのブログを読み直すと、やっぱり4人は詳しい事情を知らないんだという気がする。運営スタッフは双方の接触を禁じて、水春が自分から脱退の意志を表明したことにしてしまった。もちろん推測ですよ。でも、そうとしか理解できない。
 私が知りたいのは、詳しい事情を知ったうえで、それでもメンバーは水春脱退は仕方がないと思うだろうか、というその点に尽きる。ステージで歌って踊ることについては何の問題もないけど、今後も特典会でパニックを起こす懸念のある最年長メンバーは、リスクが大きいから切っておいたほうが良いと、思うのであれば仕方ない。そこはメンバーの意志を尊重すべき問題ではないか。ずっと一緒にやって来たのだ。
 これを書いているのは3月27日で、福岡で4人のukkaの最初のライブが行われているころだ。4人でこのツアーをどこまでやりきれるかは、メンバーの頑張り、特に歌と踊りと表情と進境著しい村星さんがどこまで伸びきれるかによると思う。もちろん頑張って東京まで走りきって欲しいと思う。それでもやっぱり、これはあまりにもやり切れない脱退劇で、「歌いたいし、踊りたいよ」と淋しそうに呟く声が、繰り返し頭を離れない。



さらに追記(2021年3月29日)

 メンバーのことを悪く書きたくないとは思いつつ書いてしまう。(いや別にメンバーのことを悪く思ってもいないし、書いてもいないけど。)粘着質ですみません。
 福岡ライブ2部の終わりに、川瀬あやめさんのリーダー就任が発表されたそうだ。
 別にこれまでだって彼女は「桜エビ〜ずの自称リーダー」だったし、水春の抜けた現在、実質的なリーダーとして奮闘していることは、誰だってわかっている。なのに、あえて正式に、このタイミングで正式にグループのリーダーに任命されたというところに、またモヤモヤしてしまうわけですよ。誰が決めた。まさかメンバー4人で相談して自主的に決めてステージで発表した、なんてはずはないしね。
 水春脱退時の川瀬あやめのブログには次のように書かれている。


先程発表がありましたがメンバーである
水春が3月18日付でグループを脱退しました。
突然のお知らせになってしまい
皆様を驚かせてしまって申し訳ありません。
私を含め4人も本当に突然のことだったので
まだ驚いている状況です。
 
3月13日 Zepp Sapporoからスタートした
ukka New Style Zepp Tour
「WINGS~スタートライン~」を含め
これから先の活動を一緒にすることはありません。
 
水春のパフォーマンスを楽しみに
チケットを買って待ってくれていた方
5人のukkaを見たいと思ってくれていた方
悲しい思いをさせてしまいごめんなさい。
 

水春には私から個人的に連絡をしてお話をしました。


 ここまでが前半だけど、ものすごく「事務所の方針どおりに書いた」感が強い(ここから後は、個人的な水春との想い出が綴られている)。「これから先の活動を一緒にすることはありません」というキッパリした断定は、公式発表と同じ言いまわしだ。公式のほうの突き放した言い方には腹が立ったが、メンバー自身がそう言うのであれば、ファンとしても反撥しにくい。悲しんでいるファンへのフォローも、公式発表よりも丁寧だ。
 もうひとつ重要な点は「水春には私から個人的に連絡をしてお話をしました」と書かれていることだ。つまり少なくとも脱退にあたっての連絡は取り合っているということだ。もうちょっと穿った見方をすれば「私から」連絡をとったという言い方もポイントで、水春が勝手にやめちゃったので、私の方から連絡をとって事情を聞いた、というふうに読める。実際、私はこれを読んで、少なくとも川瀬と水春は、脱退に関してきちんと十分なコンタクトをとったんだな、そしてたぶん、その情報をほかのメンバーとも共有したんだな、と思っていた。
 ところが、上のインスタライブで水春は「私メンバーに直接、ありがとうとか、さようならとかも、言えてないんですよ。もう、LINEの文面でしか言えていないから」と言っている。ここは双方の発言が大きく矛盾する部分である。
 要するに川瀬あやめさんは、事態を鎮静化させるために、運営スタッフが指示したとおりのことを(あるいは事務所がメンバーに言って欲しい、そのとおりのことを)ここで言っている。別に批判しているわけじゃないよ。むしろ偉いと思う。今はグループ最大の危機で、ここを乗りきるためには、メンバーが、そして自分自身が感じているモヤモヤをのみ込んででも、運営としっかり連携することをまず優先しなければならない。それ以外の何が出来るだろう。それで彼女は水春のことは措いて、グループをまとめて運営スタッフの意向どおりに動いた。福岡のライブは無事終了したらしい。よく頑張ったよ。
 そうしたらリーダーに任命された。要するに、運営の方針に忠実だったので、ごほうびを与えられたのである。でも川瀬あやめ自身を含め、メンバーのだれも、さしあたってブログなどではそのことに触れていない。「自称リーダー」が晴れて公式リーダーになったのだから、すぐにネタにしても良さそうなものだが、こういうところにメンバー本人たちの良心を感じずにはいられない。水春がいなくなった途端にリーダーって、さすがにちょっと気まずいし、それに「自称リーダー」と言いながら、正式なものではなく、リーダーもセンターもなく6人平等でわちゃわちゃやっているところがこのグループの良さだったことを、本人たちが一番よく知っているのだ。
 でも今回の一連の動きで明らかになったのは、今後のukkaの体制だ。簡単にいえば、運営の方針に忠実であれ、忠実であれば望み通りリーダーに取り立ててやるし、従わない人間は、ツアー途中であろうが主力メンバーであろうが、容赦なく切る、そういうことだ。水春の脱退は「今後は逆らえばこうなるぞ」という見せしめみたいなものかな。