すまない。今回はもう、誰も読んでくれなくてもいい(笑)。内容は実写版もセーラームーンも完全に関係ありません。みなさんには全く興味がないだろうが、私がいま記録に残しておきたいことを書く。
1. ドラマが予言した
TBS「火曜ドラマ」枠で放送された森七菜の初主演作品『この恋あたためますか』の第1話(2020年10月20日、脚本:神森万里江/照明:大金康介・宮崎友宏・椙浦明親・都甲幸美・三上直輝/撮影:寺田将人・大西正伸・大塲貴文/演出:岡本伸吾)。主人公の森七菜は、アイドルが夢で、20歳過ぎるまで地下アイドルグループCupid(キューピッド)で活動を続けていた。しかしいつの間にか握手会の列も、自分のところだけ人数が少なくなって、メジャーデビュを控えたところで運営から「卒業」という名のリストラを言い渡される。(森七菜の少女時代を演じているのは落井実結子、運営スタッフはこくぼつよし。)
き き「ちっちゃいころ、親の迎えが遅くて保育園の隅っこで泣いていたんです。そしたら保育師さんがテレビ見せてくれて」
き き「いつの間にか泣くのを忘れて、そのアイドルに夢中になっていました」
き き「人を笑顔にできる、元気にできる。それってすごいなあって」
き き「で、アイドルになりました」
き き「地下アイドルってやつです」
き き「なのに気づいたら、いつの間にか置いてけぼりになっちゃって」
き き「ある日言われました。噛んでるガムの味がなくなったらどうする? って」
運 営「君は噛み続けたガムだ」
き き「新しく入った16歳の子がセンターになりました」
も あ「みなさんよろしくお願いします」
みずは「キキさん、本当にお疲れ様でした」
き き「……ありがとう……」
き き「あれから一年、彼女たち今ではメジャーデビューして、アリーナでライブやっています」
この「Cupid」という地下アイドルグループを演じているのが、いま最も注目の(当社調べ)6人組アイドルグループ「ukka」である。
もともとはスターダストプロモーションがエビ中(私立恵比寿中学)の研究生ユニット「桜エビ~ず」として2015年の春に始めたプロジェクトで、当初はメンバー数も活動内容も流動的、今後もオーディションを重ねて拡充していく、みたいなニュアンスだったが、最初の一年くらいでメンバーが固まってから後は脱退や加入もなく、ライブをこなし、CDを出し、歌と踊りのスキルもどんどん上がって、自然とアイドルグループとして定着して、昨年末に「これから羽ばたく(=羽化)」という期待を込めてukkaに改名した。ただしまだメジャーデビューはしていない。
話をドラマに戻すと、この場面でメンバーが歌っているのは、実際のukkaの代表曲のひとつ「それは月曜日の9時のように」(2019年、作詞:竹内サティフォ/作曲:ONIGAWARA)で、ドラマのなかでマネージャーが森七菜をリストラするときに言う「噛んでるガムの味がなくなったらどうする?」というセリフも、この曲の冒頭の歌詞から引用されている。
ドラマで森七菜に代わる新規メンバーとして紹介される「16歳」の「もあちゃん」(芹澤もあ)は、実際は2006年生まれ、いま14歳の中学3年生で、スターダストの女子アイドル部門では、たぶん最年少の部類に属する。小学4年生のときからすでに桜エビ〜ずメンバーだった。
で、森七菜は20歳になったため、グループをリストラされるという設定になっているが、現実のukkaの最年長メンバーは現在21歳の水春(みずは)だ。ドラマではその水春が、森七菜に卒業の花束を渡しているので、ちょっとドキッとする。
ちなみに森七菜と水春は、かつて櫻井翔主演の学園ドラマ『先に生まれただけの僕』(2017年10月~12月、日本テレビ)で同じ高校の生徒役をやっていた(クラスも学年も違うけど)。
ドラマの中では、森七菜が抜けて芹澤もあが加入した後のCupid(つまり現実のukkaそのもの)がブレイクして、アリーナに進出したり、テレビジョンの表紙を飾っている姿なんかも観ることができて、ファンとしては嬉しかった。現実のukkaのメンバーは、下積み期間の苦労を共にしながら今に至っており、メンバー同士も仲良く、バランスも申し分なく、近年はグループ自体も上昇気流だ。これからメジャーシーンに上がってブレイクして欲しいけど、それまでに、このドラマみたいに誰かが脱退するなんてことは、まずないよな、とファンは思っていた。
と思っていた矢先、2020年11月30日、芹澤もあの次に若い桜井美里(17歳)が、年内をもってukkaから卒業することを発表して、ファンはおおいにどよめいた。このドラマは何かの予言だったのか。
2. 別れる理由
ただその予感がまったくないわけではなかった。ちょうど一年前『渋谷LOFT9 アイドル倶楽部 vol.11』(2019年12月16日)に桜井美里が出たとき、今のグループの方向性に対する異和感みたいなことを語っていた。このイベントは、ニッポン放送の超売れっ子ラジオアナウンサー吉田尚紀が、自主的に(ノーギャラで)定期開催しているアイドルのトークショーで、その時の回は参加アイドル全員がスターダスト所属だったので、テーマは「スタプラ(STARDUST PLANETの略、スターダストの女子アイドル部門の総称)に何かひと言、言いたいことを自由に言ってください」というものだった。
吉 田「はい、じゃあ桜井さん」桜 井「はい」吉 田「桜井さんの「スタプラに何かひと言」は」
桜 井「もっと仕事をくれ!」(笑、拍手)桜 井「ホント、ホントこれです」吉 田「でも、あのう、本当にそういう意味ではスターダストさんは、あのアイドル活動もあり得るし、モデルもあればドラマもあれば、舞台とか、何でもやってるじゃないですか……」
桜 井「そうですね、なんか、そのぉ、桜エビ~ずというユニットが最初に出来たときは、アイドルじゃなくて、何か女優とか演技をやるグループ、って聞いていたんですよ」吉 田「ちょ、ちょっと待ってください、それはかなり、リアルなクレームじゃないですか」
桜 井「はい(爆笑)ホントなんですよ……聞いていて、あ、そうなんだって、一応、女優事務所だし、スターダストは」吉 田「一応って(笑)付いちゃいましたけど大丈夫ですか?」
桜 井「で、その当時は演技レッスンとか、けっこう毎週通っていたんですよ。けど……あれ? 仕事が来ない……って気がついて、演技レッスンもけっこう、メンバーみんな、もう今、ちょっとサボってて。で何か、女優事務所だけど女優の仕事が来ない(笑)。うん。だからグループとしても舞台とかもやってみたいし、そっち系も目指したいなって。なのでね、あの、スタプラというか、スターダストの事務所のほうに、これは言いたいです、はい」
確か桜井美里は、今年のTIF(TOKYO IDOL FESTIVAL オンライン2020)に出演した時も、徳井健太(平成ノブシコブシ)のインタビューに答えて、子役をやっていたこと、その後芸能の仕事はしていなかったが、スターダストから声をかけられ、女優やモデル、いろいろな道があると言われて所属したことなどを語っていた(TIFオンライン2020 楽屋裏配信 DAY3, 2020年10月4日)。
それから、今年の春のツアーがすべてキャンセルになって、代わりに7月に行われた無観客配信ライブで「Poppin’ Love」という新曲を披露した後も、こんな発言をしている。
も あ「はい、えっとこのブロックの一曲目はですね、カップリングの新曲の『Poppin’ Love』という曲をダンス付きで初披露したんですけど、この曲の好きな所とか、おすすめポイントはありますか? 桜井さん」
桜 井「はい桜井です(笑)。私ね、この曲のね、個人的に好きなのは、あの、♪可愛いだけの女の子はもう卒業よ♪ という歌詞があって、そこの歌詞も好きだし、振付けも可愛いのよ。ぜひチェックして欲しいです」
まあ別にアイドル業を「可愛いだけの女の子」と思っていたわけではないだろうけど、メンバーのなかでも「みっぴ可愛い」というフレーズが特にしっくりする子である。しかしそういうのは「もう卒業よ」というパワーワードがここでピックアップされた。
3. 卒業
こういう経緯を経て、2020年11月30日の卒業発表にいたる。公式ブログより。
私、桜井美里は12月28日のライブを最後にukkaを卒業します。まずは、突然の発表となってしまいごめんなさい。たくさんの方を驚かせてしまったと思います。理由としては、いつからか自分の人生について考える時間が増えていきました。本当にこのままでいいのかな自分の今やりたいことは何かなどたくさん悩みその結果、中途半端な気持ちでこのままukkaにいたら一生懸命頑張っているメンバーに申し訳ないという思いもあり卒業という選択肢にしました。
ということで、もちろんこんなのは、よくある話だ。よくある話なんだけど、2010年から始まった「アイドル戦国時代」(福田花音)が2015年を境に明らかな衰退期に入り、様々な少女アイドルグループが活動停止、解散、メンバーの脱退などで変貌して行った(そして今年はとうとうAKB48が紅白歌合戦に落選して、E-girlsも活動終了する)。そんななか、このukkaは2015年に結成されたにも関わらず、逆流に爪を立て、今年のコロナ禍にも決してへこたれず、メンバーは一人も脱退せず、じりじり前進していた。それだけに、まあちょっと惜しいなと思うわけです。メンバーの反応もこんな感じだ。
わたしはいずれ誰かの卒業だったりグループの解散だったりメンバーの増員があるとは思ってました。でも心のどこかではこの6人で大きくなりたいと思っていて、6人じゃないukkaを想像出来ませんでした。今でも出来てません。改めて当たり前なんてないんだなって気づきました。(川瀬あやめ)
嫌なことあったのかな、辛かったことあったのかな、苦しかったことあったのかな、自分のせいだったかな、
辞めるって聞いたその時から毎日毎日何時間も沢山考えたけど分からなくてもっとなにかできたんじゃないかなってまだみんなで一緒に居れたんじゃないかなって
他のアイドルさんが卒業や脱退、解散していくのを見てきてたけど、くだらない話でげらげら笑ってその日限りの流行りでみんなでツボって私たちは大丈夫だーって、いつからか 6人 が当たり前になってた(茜空)
いや今日のブログは番外編なのにだんだん長くなってきたね。だから省略するけど、村星さんと芹澤さんのコメントもほぼ同じ気持ちを表現している。ただ最年長の水春姐さんだけは、大方のファンの予想どおり、ブログの反応がちょっと違ったわけね。
私は、私の好きな人には幸せでいてほしいと思う人間です。美里ももちろん大好きな人なので、この話を聞いて理由も聞いたとき止めることはありませんでした。
美里の1度の人生、自分が選んだ道で輝いてほしいと思います。(水春)
4. 説教をするオタクにマトモな人はいない
私はもともとエビ中が好きで、エビ中のテレビ番組とかも観ていたので、妹分である桜エビ~ずに関しても結成時から知っていた。だけど、本格的に気になり出したのは2017年の末からだ。
さっきも触れたドラマ『先に生まれただけの僕』で弓道部のエースを演じていた水春(みずは)がまず目を引いて、それから2018年のお正月映画『咲 -Saki- 阿知賀編 episode of side-A』で、大阪代表高校の、飄々としたボーイッシュな美少女を演じていた水春にまたまた引っかかった。
それから初期のMVを観て、水春と川瀬あやめは歌がうまいなあと思って、その春に出たファーストアルバムを聴いて、初夏に出た「リンドバーグ」を聴いて、だんだんのめり込んで、もう長いことアイドルのライブの現場は引退したつもりでいたのに、最近また老体に鞭打って会場に通うようになってしまった(笑)。
私をそういう世界に引きずり戻した水春の魅力はどこにあるかというと、もちろん歌と踊りとMCと、オールラウンドでバランスの取れた才能にあるのだが、ここではちょっと違うポイントをあげたい。それは、常にいろいろなことを考えていて、あれこれ屈折したあげく、最後にはファンのハートのど真ん中にストレートな気持ちを投げ込んでくる、ある種のツンデレっぽいところです。
特に面白かったのは『猫舌SHOWROOM 豪の部屋』にゲスト出演したときのトークだ(2020年1月31日配信)。インタビュアーの吉田豪さんを相手に子供の頃からの話をいろいろして、後半はアイドルになってから、思い悩むところもあって変わってきた、という話になった。
最近は昔と違ってブログもそんなに更新しないし、ステージでも、以前は最年長という責任感があって、トークのとき進行担当のメンバーをフォローするようにしていたけど、控えるようにしている。そのことで「最近水春はやる気がなくなった」とか言われたり、アドバイスされることもある。心配してくれるのはありがたいが、それは全部、ただ自分なりに考えながらやっていることなのだ。
だいたいそんなニュアンスの話をしてから、で、これは私(水春は自分のことを「ボク」と呼ぶことも多い)ひとりの問題ではなくて、アイドル全般に言えることだ、とアイドルオタクたちに訴えるのである。
水 春「たとえばグループにひとりだけ、ずっと写真で真顔な子がいたりとか、ブログやSNSをあんまり更新しない子とか、それから『この子、ライブでいつもちょっとやる気がないんじゃないか?』とかいう子がいるかもしれないですけど、それもその子の理由があって、ちゃんとその子の道でやってるから。それにとやかく言うのは、あなたたちがすることじゃない、っていう」吉 田「ついね、単純に『なんかブログ、さぼり気味じゃない?』みたいな感じでイジリをしちゃうんだろうけど、それには理由があるんですよっていうことですよね?」
水 春「そう。だから皆さんはそう思っても……思うのはいいんですよ、自由なので。発信しなければいいんです。思って消化すれば……もしTwitterとかに書きたくなったら、その指はスマホじゃなくて自分の手の甲を叩けばいいの」吉 田「これで我慢して!っていう(笑)」
水 春「そう。手の甲に文字を打てばいい。それか、ノートに書いて捨てればいいんですよ」吉 田「まあね、なかなかね、そこまでの想像が回らないと思うんですよね。『しんどい思いをしている結果、何かをしていない』みたいな風には考えない。『ただサボっている』とか『ただ手を抜いてる』みたいに思っちゃう。『昔、あんなにちゃんと踊っていたのに、最近は踊りで手を抜いているね』みたいになっちゃうわけじゃないですか。違うんですよ」
水 春「そう。違うんですよ」吉 田「かならず何かあるっていう」水 春「そう。だからただ単に『こいつサボってるな』とかは決して思わないでほしい。これはもう本当、みんないろんなアイドルさんがね、もしかしたら同じことを思ってる方がいるかもしれない。だから、そう。その子の味方でいることが、たぶんファンの方のできることだと思うので」
水 春「だからもしね、水春のファンの方だったら、ボクが今後どんなお仕事をしても、ブログの更新をしなくても、ましてや、めっちゃ更新しても、どんな時もやっぱり、普通に味方でいてくださるのが、こちらとしても嬉しいし。それはめちゃめちゃ安心するし。たぶん他のアイドルさんもそうだと思います。ファンの方って、そういう存在だから」吉 田「ファンだけは味方であって欲しいですね」
水 春「そうなんですよ。だって、こんな自分のこと好きな人って、いないじゃないですか。世の中に。ファンじゃないと。たぶん。だから、そう。そういう方にはボクもちょっと、安心したい部分もあるから。アイドルさんが好きな方はね、それはそれでちょっと大変だと思うんですけど。まあ、ラフにその子のことを『これも個性なんだな。そういうところもいいな』って思って見ていることが、いいと思います。あははは」
吉 田「いやすごく良いことを言ってると思いますよ。なんかねぇ、本当によくあるんですよ。オタあるあるですけど。なんか『きつく注意できるのは俺ぐらいだ』みたいな感じになりがちなんですよね。『俺は関係が近いから、これぐらい言えるんだ。ダメだぞ!』みたいなこと」水 春「そうですね」吉 田「いやそういう単純な話じゃない可能性があるよ、っていう」
水 春「そう。まあね、それもその方の個性と言ってしまえばアレなのかもしれないんですけども。まあちゃんと指導して下さるのは、親という存在があります」吉 田「そう。運営とかね、いろいろいるんですよっていう。はい」水 春「はい。皆さん、いろいろとすいません(笑)」
吉 田「いや、素晴らしいです。素晴らしいです。良いことを言っています。うん。説教をするオタクにマトモな人はいない。そう思いますよ、本当に」
以上、このときのトークの採録が「miyearnZZ Labo」というブログ(ここ)に出ていたので、多少加工しながら勝手に使わせていただきました。最後の「説教をするオタクにマトモな人はいない」というのは、そういうコメントを吉田豪が読み上げているわけだけれど、至言ですね。よく握手会やSNSでアイドルに「教育的指導」みたいな助言を言ったり書いたりするファンがいるけど、ホント、それは親の仕事であり、スタッフの仕事である(だから、ちゃんとしたアイドルにいちばん必要な条件は「親がちゃんとしていること」だと思う)。ファンはただ全面肯定して応援すればいいのだ。
というわけで、水春はかなり屈折した自分の考え(でも大抵のアイドルが考えているだろうこと)を、あれこれ言葉を費やして説明しながら、結論としては思い切りストレートに「だからアイドルはファンに甘えたい。甘えさせてください」と言う。これって殺し文句ですよね。そんなわけで、もういくらでも甘えさせてあげちゃう、なんて、自分の娘よりも年下のアイドルに萌えてしまうわけだ。
今回の桜井美里のグループ卒業についても、水春はメンバーでただひとり、淋しいとも言わず、引き止めるようなことも書かず「美里の1度の人生、自分が選んだ道で輝いてほしいと思います」とブログに綴っているけれども、その裏でいろいろ考えていることは間違いない。だから水春のファンとしては、そういうモヤモヤも吐き出して、甘えちゃっていいよと思っていたわけですよ。
5. 味方しかいないと思うから、言っちゃった
そしたら先日、そのとおりの配信をしてくれたんですね。1時間ぐらいの雑談トークだったが、後半、45分あたりから、彼女が好きなK-POPアイドルのIZ*ONEが、もうすぐ活動終了となる話題になって、それを呼び水にして、自分たちも今年いっぱいでオリジナルメンバー6人での活動を終えることへの想いを語り出します。今日はその語りを書き起こし、水春さんのツンデレぶりを記録にとどめたくて、ここまで長々とブログを書きました。以下、2020年12月15日にファンクラブ限定で配信されたネットラジオから、水春の独り語りの一部です。ちなみに栃木県の話が出てくるけど、彼女は栃木県宇都宮市の出身です。
私ね、韓国のアイドルさんとかがすごい好きなんですよ。それで何か私、IZ*ONEさんがすごく好きなんです。韓国の、日本人のメンバーも3人いるグループなんですけど、その方たちが最近、アルバムを出しまして、そのリード曲の「パノラマ」っていう曲があるんですけれども、もうね、その曲がね、何て言うんだろうなぁ、本当に、もう聴くたびに涙が出そうになるんです。てか、もう最初聴いたときに、もうめちゃめちゃ泣いちゃったんですけども。
IZ*ONEていうグループは「PRODUCE 48」っていう、韓国の「PRODUCE 101」っていうオーディション番組があって、その系列のなかで日本人の、AKB48さんとの合体みたいな感じで、「PRODUCE 48」ていうオーディション番組から出来たグループなんですよ。私は正直ね、まあその時のオーディション番組からは見ていなかったわけですよ。IZ*ONEていうグループも知ってはいたけれど、歌はちょっと知ってるというぐらいだったんですね。知ったきっかけが、IZ*ONEのメンバーのなかにね、栃木県の子がいて、本田仁美ちゃんてメンバーがいるんですけど、そのひぃちゃんがAKB48の、チーム8の栃木代表の子なんです。でそこから、仁美ちゃんがIZ*ONEにいるっていうのを知って、そこから私も好きになって、でまあ見事にファンになったっていう感じなんですけど、うふふ。
それでね、このIZ*ONEていうのは、期間が決まっているんです、活動できる期間が。もともとそれは「PRODUCE 101」ていうもの自体、IZ*ONE結成前から何組かあって、それも全部、期間が決められていて、今はだから、残ってないんですね、I.O.IとかWanna Oneさんていうグループがあって、それでIZ*ONEっていうグループが出来たんですけど、その期限が迫っているんですよ、もう終わってしまう期限が。
で、今回の新曲の振付けのなかとかに、今までの曲の振りがちょくちょく埋め込まれていたりとか、歌詞もこう、適当な和訳で言いますけど「私たちのこと忘れないでね」とか、「ひとつになって今を見ていてね」とか、すごいメッセージが強いんです。それを見ると何か、何て言うんだろう、その、「永遠じゃない」っていうか、それが個人的にはすごく美しく見えるんですよ、うん。だから何か「期限が迫っているからこそ見える美しさ」みたいなものをすごく感じてしまって……。
まあそれってちょっとね、「いま言う話か?」ってことだけど、ちょっとその、何かすごく、期限つきのものって美しく見えるんだなって、私は思ったんですよ、そこで。で、まあそうすると必然的に、自分たちのことも考えてしまうんですよね。それをみなさんに結びつけて欲しいわけでもないし、まったくそういうつもりじゃないんですけど。その、何て言うんだろうな、その、熱というか、今回の、IZ*ONEさんのステージ、「パノラマ」っていう新曲のステージを見ると、やっぱりちょっと今までの新曲のステージとは何かね、メンバーみんなの目から出る熱とか、パフォーマンスから湧き出る熱さとかが、なんかやっぱ違く見えちゃうのね、そう。
何かそうすると、そういうのを見ると、何かまあ、私たちもさ、言ってしまえばもう、6人でやっていけるのも、あと2週間……ぐらいじゃないですか。だから、何て言うんだろうなぁ……いや難しいね……その、終わりに近いものって、すごく魅力的に見えてしまうんだよ、ミズハは。で、これはオタク目線、ファン目線なんだけど、それを引きずっちゃうことがあるのよね、ミズハは。で、それはIZ*ONEも含めてだし、それ以降のオーディション番組を見ていたりして、すごく感じたんですよ。最後ってキレイに見えるんですよ、すごく美しく。
で、自分がその気持ちを味わったことがあるから、なんかね、複雑なの。この「こういう気持ちを自分たちがファンに思わせていいのか」って思う気持ちと「でも、そう思って欲しい」っていう気持ちと、どっちもあるんですよね。……「こんなことをファンに言うのかい!」って方もいるかも知れないけど、私はいま、もやもやしているから言っちゃった。たぶんファンクラブで、たぶんみんな、ミズハの味方しかいないと思うから、言っちゃった。
なんか、最高で終わるのも、やっている側としてはそれが理想かも知れないけど、ファンから見て、見ている人から見たら、最後に最高を見ちゃったらさあ、もっと見たかったって思っちゃうよね。そうね。でもミズハとしては、まあ正直、そう思って欲しいって気持ちが、今はちょっと強くなったのよ。そう思わせたくない、っていう気持ちもあるんだけれども、最後で、みなさんが今まで見てきたukkaの最高得点を、最後で見せたいって思うのよ、やってる本人としては。自分がやってる側になって、初めて気づいたの。うん。そうね。
何かね、だから私も、いちばん自分が見て思ったのは、そういうオーディション番組の最終回で、もちろん脱落しちゃう子とかもいるんですよ、選ばれなくて。で、その脱落しちゃった子にとってはそのオーディション番組の最終回が、最後になっちゃうわけじゃない。でその最終回で、今までにない表情とかパフォーマンスが見えて「うわぁ、この子、こんな表情もできるんだ」とか「こんな踊り方もあるんだ」ていうのを見せられて、でもデビューできなかったから、そこで終わっちゃった、ってことがあってね。そうすると「うわ、もっと見たかったのに」みたいな、「もっと見たい」という気持ちと、でも逆に「最後に見せてくれてありがとう」っていう気持ちがあって……だからみなさんには本当に、何か複雑っていう気持ちが、個人的にあっちゃうけれども、うん。まあそうですね。何か今まだそういう悲しい話をするのはいけないんだけど、正直ね、私もね、だんだん実感し始めちゃうっていうか、うん。……それがね、ちょっとね、っていう感じ。悲しいとはまあ、あまり言いたくないから言わないけど。そうなんですよ。
正直ね、こういう話をメンバーにはちょっとできない。これ聴かれてたらちょっと嫌なんだけど、聴かれてたら終わりなんだけど私。そうね、メンバーには私はやっぱり、最年長っていうのもあるし、何か自分のなかでも、そういうちょっと「プライド高め女子」みたいな部分があるから、ふふっ、ちょっと強気のね、強いっていうか、そういうミズハでいたいなぁ、って思っているから、あまりそういう話はしていないし、これからもあまりすることはないと思うんだけど、ね。
じゃあ何でそれをファンに言うんだって、いま全員が思った! 聞いている230人が全員思った。それを何でファンに言うんだって思った!
……そうね、何が言いたかったかよく分かんないんだけど、まあ残り少ない時間も、みんな楽しんで欲しいし。私、アイドルやってるのって正直、自分のためなんですよ、一番は。自分がやっぱりアイドルになりたいからやっているし、アイドルとして叶えたいことがあるからやってるんですけど、でも何か、残りの2週間は、ちょっと一回、今までももちろん、「自分のため」って今言ったけど、もちろん100、自分のためじゃないよ、それはもちろんファンの方とかお世話になっている方のことも、もちろんそれは思ってる、って思っていて欲しいけれども、この6人でいられる残りの期間はちょっと、より自分よりも、ファンの方を含め、いままでお世話になってきた方に、伝える時間にしたいなって思ったよね、うん。
ほんとうは、オリジナルメンバー6人でいられるのがあと僅かな期間になってきて、淋しさや不安もあるのだけど、それをファンはおろか、メンバーにもストレートに語れないというか、語らないのが水春さんなわけです。だからここでも、自分たちではなくIZ*ONEの話題に寄せて、やっぱり最後の瞬間は最高の姿を見せたい、でもそうであればあるほどファンには淋しい想い、せつない想いをさせてしまうんだよね、というふうにファン心理まで引きずって、とりとめのない胸の内を語る。だから結局は形にならない、もやもやしたおしゃべりになってしまうのだが、先ほどの吉田豪とのトークを踏まえれば、それをまるごと「そうかそうか、誰かに言いたかったんだね」とポジティブに受け止めるのがファンの流儀である。だから、大丈夫だよ、ファンはちゃんと受け止めていますよ、と言いたかった。そのためにこの記事を書いた。水春だいじょうぶ、みんな味方だから。
私立恵比寿中学のドキュメンタリー映画『劇場版 EVERYTHING POINT -Other Edition-』(2018年2月11日公開、監督:近藤キネオ)より。廣田あいか転校(脱退)後、最初の学芸会(2018年1月4日)を観賞中の水春。舞台のエビ中と一緒に「♪君に涙は似あわない♪」と歌いながら目には涙がいっぱいという、この矛盾が水春だ。(この映画の案内役は、松野莉奈の大親友でセーラーマーズの奏音。)
ということで、今回は終わり。私は、実は先日12月6日のワンマンに日帰りで渋谷公会堂にGO TOしてしまったが、12月28日の桜井美里卒業ライブも第2部のチケットを押さえてしまった。6人体制の最後を見とどけに行きます。しかし水春さん、先日の、クリスマスパーティーでのトナカイのコスプレはとてもセクシーでした。
あとあれだな『この恋あたためますか』って、ものすごくベタな恋愛ストーリーなのに、何だかつい見入っちゃうねえ。というようなところで。
さらに補記
(2020年12月28日)というわけで、新木場STUDIO COASTで開催された『ukka 桜井美里卒業公演 ~ My Graduation ~ 』第2部に行ってきたので、これも自分のための備忘録としてここに書いておく。ともかく、6人最後の舞台をしっかり輝かせたい、というメンバーの気迫がステージのテンションを高めていた素敵なライブでした。少女の涙は美しいが、おじさんが泣くのは見苦しいだけなので、本当はどうしようか迷っていた。だけど思い切って行ってみて良かった。ていうかチケット当選して良かった。
本音を言うと、私、ここまで文章にして整理してみても「みっぴ、なぜいま卒業なのかな」という疑問はあまり解けていなかった。それが今回のライブを観て、言葉としてではなく、気持ちで納得した。なので説明は難しいが、ひとことで言えば、彼女は何か、ある種の達成感と区切りを感じたのだろうか。
第2部のセットリストは、最新曲からデビュー曲、昔やっていた3B Juniorのカバーやエビ中安本彩花のソロ曲カバーまで、彼女がこのグループでアイドルとして歩んできた歴史と今がよく分かる構成になっていた。最後の「ボクエール」にはやはり泣けた。ただ、ここから先に見える未来は、いまのukkaが指さしている、ひたすら歌と踊りをチャージして攻めて行くような方向性とは、ちょっとズレて行くかも知れないな、という気もしたのだ。もう少しフワッと優しくてバラエティに富んでいる、というか(個人の感想です)。そういう意味では、今がukkaの桜井美里の頂点なのかも知れない。
いちばん泣きじゃくってた茜空さん、貞子みたいですみません。村星さんは笑顔を通してがんばった。
桜井さんは最後のあいさつで「私のアイドル人生」と何回か言っていたけど、自分のアイドル人生の幕をどう引くか、よくよく悩み抜いた答えという印象だった。これがもし、次にやりたいことが少しずつ高まってきて、グループとの一体感が120%から100%になり、90%くらいになったところで、そろそろ卒業ということであれば、ファンはなかば納得しながら、感謝と名残惜しさを込めて送り出してくれるだろう。そういうのが個人的には安心できる。
そうじゃなくて今はまだ120%で、ukkaのみっぴとしてピークだってところで、みんな「えっ?」て言うなかで、でもいちばんきれいなかたちで退場、という美学を17歳の彼女は選んだ。しかも本人が語っていたように、今まで一人もメンバー脱退のなかったグループから初めてで、大好きなukkaを自分の手で壊してしまうのではないか、というプレッシャーもあったなかで、ですよ。いやもう言うことありませんよ。お疲れ様でした。これからも応援します。いや、どっちも。
さらにさらに追記
(2021年3月21日)ということで、いちおう自分を納得させたはずだった……が、事態は想定外の方向へ。
年が明けて2021年、Zeppツアー初日の2月23日福岡は緊急事態宣言延長のため3月27日に延期され、3月13日札幌がツアー開始となったわけだが、その5日後、3月18日の夜、公式サイトに突如「水春のukkaグループ脱退に関してのお知らせ」が出た。詳しいことはこのブログの3月20日付け番外編(ここ)にまとめたけれども、とにかく不可解。といって誰かに説明を求めても仕方のない問題にも思える。
今回のツアーは、各会場とも昼と夜の2部制になっている。珍しくないスタイルであり、1部と2部の両方に参加するファンも多い。だから1部と2部では曲順も曲目も半分ぐらいは入れ替えるのが通例であった。ところが今回は、2部ともほぼ同じ内容、同じ曲順のセットリストであったという。(まだツアー中なのでセットリストは公式発表されていないが、ブログに参加レポートを書いている方がいて、そういうのを参照させていただきました。)
だから曲目はそれほど多くない。気になったのは、ワンマンだったら入るはずの代表曲のいくつかが、1部・2部のどちらかにも出てこなかったことで、しかもそれらは、落ちサビが桜井美里だったり、桜井美里の声がないと、どういうふうになるんだろう、と私も興味をもっていたナンバーだったのだ(「おねがいよ」「グラ・ジェネ」「Magic Melody」)。
すでに2021年1月3日、Zepp Tokyoで、5人体制の前哨戦となるステージがあった(TOKYO IDOL PROJECT New Year Premium Party)。私は配信で視聴した。基本的にはすごく良いステージだったとは思うが、メンバーはまだ新しい歌割りに慣れていないらしく、もともと桜井美里のパートだったところで、何度か歌が飛んでいた。でもその時は、まあ5人になってまだ1週間ぐらいだから仕方がないし、むしろメンバーが簡単に「6人のukka」を忘れられないでいることが逆に嬉しくもあった。でももう、あれから2ヶ月は経っているのだ。1部と2部にほとんど同一のプログラムしか用意できなかったこと、桜井美里の歌が印象的だったナンバーを5人体制で新たな形で聴かせられなかったこと、そういったあれこれを考えると、元気に振る舞っていても、みっぴロスの傷はことのほか深かったと言うほかないし、周囲の大人がもう少しフォローしてやれなかったのかな、と不満も感じてしまう。そこへ来ての水春の脱退である。これが疑問だらけの脱退であることは、さっきも言ったとおり3月20日付け番外編に書いた。
そして、ここからさかのぼって考えると、桜井美里の「卒業」も、今回の件とまったく無関係とは思えない。だから自分を納得させるために書いたここまでの記事も一部を訂正せざるをえない。桜井美里さんは、方向性の違いとかそういうのじゃなくて、何というか、一番楽しかったアイドルグループukkaの「終わりの始まり」を、いちはやく予感してしまったのかもしれませんね。
良心的なファンの方からは「残りメンバーでツアーをやり切ります、というメッセージが出ているのだから、今はネガティヴな発言をするよりも、とにかく4人を応援してあげようよ」と言われてしまうかもしれない。実際、公式ブログのコメント欄などを見るとそういう流れになっているし、私もライブに行って応援しようとは思う。でもそういう善意を利用して、なんとも不可解で後味の悪いこの脱退劇から、出来るだけ早くファンの目を逸らし、過去の話にしようとしている思惑がはたらいていることも確かである。6年間続いて来た、とてもチームワークが良くて、ユニゾンで歌えばきれいに声が整う6人組グループが、会社の人事異動で運営態勢が代わり(と言われている。まちがっていたらすみません)わずか半年足らずでボロボロにされてしまったのだ。もう事情説明なんかどうでもいいから、何よりも少女たちのケアに必要な体制を組んで欲しいと切に願う。とりあえず5月の名古屋公演を待ちます。