実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第389回】北川景子@みをつくし料理帖の巻(前編)


これは私には未知の作品ゆえ、いまは特にコメントないです。



1. 子役は鬼門


さて、珍しくすぐに本題に入る。今回から前編・中篇・後編の全3回で、2012年9月22日の夜にテレビ朝日系で放送されたスペシャルドラマ『みをつくし料理帖』のレビューをやる。本当は原作を読んでからにしたかったのだが、『悪夢ちゃん』が後に控えているので、まだ原作本を見入手のまま始める。全3回と区切ったのも、そうしないと『悪夢ちゃん』のレビューをこなせないからです。



プロローグ。享和二年(1802年)七月。大坂の歴史に残る大水害が起こった年である。集中豪雨で淀川の堤防が200メートル近くも決壊し、多くの命が洪水に呑まれた。この舞台設定に、北川景子ファンなら、誰もが『輝く女』の彼女の発言を思い出すはずだ。
そんな大災害が起こる前日の大坂の町から物語は始まる。大の仲良しの少女、澪(みお)と野江(のえ)。「あした天気になあれ」の下駄が井戸に落っこちてしまって澪がしょげていると、萌もわざと自分の履き物を井戸に落としてしまう「叱られるんもバチあたるんも一緒や」



で、その様子を見とがめられて大いに叱られる二人。やっぱりしょげかえる澪と、励ます野江。


  


野 江「みおちゃん、弱みそやな。涙はコンコン」


  


コンコン。キツネか。キツネはセーラームーンの極めポーズでもある。東映の公式ホームページでコレオグラファーの彩木エリさん自身がそういうふうにおっしゃってました。



沢井@セーラームーン「えっ、あのポーズもこのポーズも、じつはキツネさん?」
彩木@振り付け仮面S「そう! キツネさんは、すべての基本よ!」

というわけで、セーラー戦士のポーズを決めるには、まずキツネさんのマスターから!
  (東映公式HP『美少女戦士セーラームーン』エピソードガイド「Act.11」)


どういう設定か分らないが、二人は履き物を井戸に落とした罰として、女郎の置屋みたいなところの店先に座らせられている。
そこへ、客の占いを終えた易者(六平直政)があらわれる。通りすがりに二人の少女を一瞥するや仰天して、まじまじとその顔を覗き込む。二人ともどもただならぬ相が出ているのだ。野江の相は「旭日昇天」で、「これはまさに天下取り。太閤はんにも勝る旭日昇天の相や!」というのだから凄い。一方澪はどうか。


  


易 者「雲外蒼天の相やな。頭上に雲が垂れ込めて、真っ暗に見える。可哀想やが、おまはんの人生には艱難辛苦がふり注ぐやろ。けんど、その苦労に耐えて精進を重ねれば、必ずや真っ蒼な空を望むことができる。他の誰にも拝めんほど、澄んだきれいな空をな」


ここで澪、つまり北川景子の少女時代を演じているのは出ました小林星蘭。そして野江は谷花音。小林星蘭は、2010年夏のドラマ「夏の恋は虹色に輝く」で、ヒロイン竹内結子の娘、北村海の役で出ている。彼女が通う大崎第一小学校1年1組の副担任は、小松彩夏だった。(実は野江役の谷桃音も、小林星蘭の小学校のクラスメイトとして出ているそうだが、ちょっと確認できなませんでした。)



しかもこの当時、日テレでは『ズムサタ行列特捜隊隊長』なるものをつとめていた。隊員は安座間美優であった。私はキャプチャしていないので、下のは『M14の追憶』から無断でもらってきたものです。



ズムサタでは安座間美優より上手にトークを回していたし、ドラマでは小松彩夏よりも感情を込めてセリフをしゃべっていた子。もし今回「ヒロインは子供時代の方がずっと芝居が上手かったよなあ」なんて評判になったら、セーラー戦士はこの子の前に3連敗なのである。そんなヒクソン・グレイシーみたいな子供を相手に、がんばれ北川景子。負けるな北川景子。

2. 美人過ぎる板前が牡蠣を炊く


と、ファンとしては、北川さん本人の登場前から、手に汗にぎるスリリングなオープニングとなったわけだが、しかしこの六平直政の易者、二人の少女の運命は読めたが、間近に迫った災難の方はどうだったのか。その晩から大坂の町には豪雨が降り続け、ついには最初に述べたような、史実に残る淀川堤防の大決壊が起こる。氾濫する濁流は多くの命を奪い、その中には澪の両親も含まれていた。



天涯孤独となった澪は、身を寄せるあてもないまま、災害の跡も生々しい大坂の町を何日もさまい、ひもじさのあまり露天の押し寿司に手を出して捕まってしまう。



そこを助けてくれたのが、大坂でも名の知られた料亭「天満一兆庵」のおかみ、芳(原田美枝子)だった。子供に恵まれなかった芳は、身寄りのない澪を哀れに思って連れ帰り、碗を一口食べさせる。


  


澪 「……おいしい……」


  


あまりのかわいさに澪を抱きしめる芳。当然というか、澪はそのまま天満一兆庵に置いて育てられることになる。



いきなり10年後。
この間、天満一兆庵は火事で焼失し、主の嘉兵衛(笹野高史)はその傷と心労から寝込んでしまい、やがて還らぬ人となってしまう。亡くなる間ぎわ、嘉兵衛は「江戸に店を出したい」というかねてからの夢を、芳と澪に語る。




嘉兵衛は、澪が幼い頃からその才能を見抜き、店の銘が入った包丁を与え、板場に立たせて。当時としては女が料理人を目指すというのも滅多にない話であったが、澪は生まれつき、たぐいまれなほど繊細な味覚の持ち主であった。嘉兵衛はその澪の舌に将来を託したのである。
このあたりのいきさつは、原作では時系列に沿って語られているのだろうが、ドラマでは断片的な回想シーンが少しずつ挿入されて、後から徐々にわかる仕掛けになっている。で舞台の方は、とりあえずいきなり10年後にジャンプする。



主の嘉兵衛が死んで、やもめとなった芳(原田美枝子)は、主の夢をかなえるべく澪を連れて江戸に出て、かつては上方屈指の大料亭のおかみだったとは思えない、ささやかな長屋住まいを始める。澪はこじんまりとした「つる屋」という蕎麦屋に奉公に出る。
「つる屋」の主の種市(大杉漣)は良い人で、女の澪を差別もせず板場に立たせてくれるが、澪は苦戦する。味のベースを昆布だしにしたくても、水が違うので江戸では思うような味がでない。そのうえ、くっきりした味を好む江戸っ子に、上品な上方風の味付けはなかなか受けない。たとえば江戸では、小ぶりで味の濃い深川牡蠣は、変な細工をせず網で炙ってサッと醤油をかけて喰うものと相場が決まっている。なのに澪は自分のやり方にこだわり、白味噌を使って土手鍋に仕上げてしまう。だもんだから、客は怒りだし、出て来た料理に箸もつけずに出て行ってしまう。



  


 客 「なんだいこりゃ。せっかくの深川牡蠣を、こんなむごいことしやがって。食えたもんじゃねえや」


  


 客 「おう、だいたい女が作る料理なんてな、食えねえってんだよ」



しょんぼりと、自分の作ったうまそうな鍋がぐつぐつ煮えているのを見つめる澪。すると居合わせたひとりの客が面白そうに声をかける。名を小松原数馬(松岡昌宏)という常連のお侍だが、くわしい素性は「つる屋」の主、種市(大杉漣)も、良くは知らないらしい。



  
  


小松原「こんなに美味いのに箸もつけずに何て野郎だ……か?」


  
  


小松原「こうまで考えていることが顔に出る女も珍しいな」


  


ここ、北川さんの芝居もまあ悪くないけど、たぶん原作の描写に較べて美人過ぎるのがマイナスポイントなんでしょうね。最初に書いたように、私は原作を読んでいないんだが、Wikipediaの「みをつくし料理帖」の項目を見ると、ヒロインのキャラクターが「眉は下がり気味、鈴のような眼、小さな丸い鼻は上向き。緊迫感のない顔をしており、芳からはよく『叱り甲斐がない』と言われるが、料理のこととなると感情を抑えられず、表情に出てしまう」と紹介されている。こういう人物イメージを頭に入れておかないと、ここは「こうまで考えていることが顔に出る女も珍しいな」という松岡君のセリフが活きて来ない。



それはともかく、謎の侍、小松原は、主の種市が下げようとした牡蠣鍋にさっと箸を伸ばし、味を試す。そしてひとこと「面白い」とつぶやくなり、店を出て行く。



小松原の反応に何かを感じた澪は、そのまま店を飛び出して後ろ姿を追い求める。


  


 澪 「お待ちくださいまし。教えていただけませんか?ウチの料理はどこが駄目なのでしょう。あの店に雇われて三月、初めて作らせていただいたお料理があのありさまです。これでは旦那さんに申し訳がのうて、せやから、どこが……」
小松原「お前は上方の生まれか。上方では奉公人が客を捕まえて教えを請うのか?」


  


「あ〜あ。またやっちゃったあ」という失敗顔の北川さんも可愛いね。
といったあたりで今回はこのくらいで。


ここまで、まだドラマが始まって正味10分。こんなペースで前・中・後編3回で終了できるのか心配の向きもあろうが、私もわからん。ただ、最初の方は基本設定とかの紹介で多少手間ヒマかかるのである。次回はダーッと話が進むよ(本当か?)





主演女優と、主題歌を歌うももいろクローバーZのみなさん