実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第331回】北川景子生誕25周年記念『モップガール』第8話レビューの巻(前編)


今年のお盆も息子と行ってきましたよ、ライダーと戦隊の劇場版。今年は『劇場版 仮面ライダーオーズ WONDERFUL 将軍と21のコアメダル』と『海賊戦隊ゴーカイジャー THE MOVIE 空飛ぶ幽霊船』の二本立て。
『仮面ライダーオーズ』は、よく頑張りました、という感じ。テレビ・シリーズのテーマをさらに掘り下げた劇場版であり、松平健も登場するイベント・ムービーであり、ファミリー映画であり、さらに震災後初のライダー映画でもある、という、いろんな課題をつめこんだ小林靖子の脚本を、柴崎貴行監督の演出がよくサポートしていたと思う。柴崎監督は、長いこと鈴村展弘監督や高丸雅隆監督たちのもとで修業を積まれた方ですね。まあしかしこれ以上この作品に触れると長くなって、本日の本題に入れなくなるので止めておく。
ゴーカイジャーの方は、タイトルから連想したほど東映アニメの名作『空飛ぶゆうれい船』と直接は関係なかったが、これも楽しかった。お父さん向けにゴレンジャーが復活するシーンがあって、でもそれほど思い入れもない私みたいなお父さんもいたんだが、そういう困ったオヤジ向けのさらなるサービスとして、ここにG3プリンセスを特別出演で投入してきた点は、高評価です。
私は今回の劇場版にG3プリンセスが出るなんて本当に知らなかったよ。


さて、とりあえず

北川景子さん、25歳のお誕生日おめでとうございます。


はは、なんとなく懐かしい画像を引っ張り出してしまったよ。


北川さん、夏のスペシャルドラマも終わったし、次は映画の仕事かな、なんて思っていたら、ブログで公表のとおり、『謎解きはディナーの後で』の連続ドラマ化だそうである。フジテレビ系で火曜9時といえば、現在『絶対零度』をやっている枠だ。また小松彩夏が被害者役で出るかも知れない。脚本は『ライアー・ゲーム』の黒岩勉、プロデュースは『ダンドリ。Dance☆Drill』や『JOKER 許されざる捜査官』の永井麗子。
相手役(というか主役)は櫻井翔君か。櫻井君は、いままで実写版セーラー戦士と共演した実績はなかったような気がする。戦士のなかでジャニーズ事務所といちばん関係が深いのは小松彩夏だが(誤解を招く表現)、なにか接点はないかな。
2004年に上演されて評判になった劇団猫☆魂の舞台『アンラッキー・デイズ 〜ナツメの妄想〜』が、同年、堤幸彦によってフジテレビの深夜枠でドラマ化された際、主役の「カントク」を演じたのが櫻井翔だった。同タイトルはその後も舞台で再演、再々演されたが、三度目の2007年版でヒロインを演じたのが小松彩夏だった。その程度か。
ベストセラーを嵐のメンバー主演でドラマ化、ということで注目度も高いことと思う。がんばってください。



さて、今年の誕生日企画なんだが、先日、小松彩夏さんの誕生日に舞台『ライトフライト』のレビューをやったとき、じゃあ来月の北川さんはモップガール第8話レビューだ、なんて勢いで言ってしまった。『ライトフライト』のメインキャスト、六角慎司が『モップガール』第8話にゲスト出演しているから、というただそれだけの安直な発想である。
しかしよく考えてみれば、昨年の誕生日にも『モップガール』第1話のレビューを書いたのである(第271回)。改めて冷静になると、北川さんの主演作といえば、『チェリー・パイ』とか『ハンサム☆スーツ』とか『瞬』とか『花のあと』とか、まだ正面きって作品レビューを書いていない映画がたくさん残っているのに、なにも毎年、誕生日が来るたびに1話ずつ『モップガール』のレビューをするのもどうかと思った。思ったが、言っちゃったことなのでしょうがないや。というわけでお付き合い下さい。『瞬』のレビューは、また折りをみて書きますねNakoさん。
なお、『モップガール』全10話のスタッフ・キャスト・あらすじなどのデータベースとして、以前に私が心血注いで作りましたこれがございますので、併せてご参照いただければ幸いです。

1. 誤解を解く


というわけで第8話だ。第8話は、ゲストの加勢大周がその後、覚せい剤と大麻の所持で逮捕されてしまったせいで、再放送でもこの回だけ飛ばされてしまい、今では「幻のエピソード」扱いされているらしい。まあしかし、先日BSデジタルで酒井法子の主演ドラマを再放送していたから、これもそのうちまた観られるかもよ。

ついでだが、モップガールのDVDそのものが発売されない理由も、加勢大周の不祥事が原因である、というありえない説が、かなり前から出回っている。これが間違いであることはしつこく指摘してきたが、この際なのでもう一度きちんと説明する。モップガール前後の「金曜ナイトドラマ」のDVD発売状況をご覧いただきたい。


タイトル平均視聴率最終回OA日DVD発売日
『特命係長・只野仁』14.4%2007年3月16日2007年6月22日
『帰ってきた時効警察』12.0%2007年6月8日2007年9月28日
『スシ王子!』07.5%2007年9月14日2008年1月18日
『モップガール』10.2%2007年12月14日発売なし
『未来講師めぐる』09.1%2008年3月14日2008年6月4日
『キミ犯人じゃないよね?』08.9%2008年6月13日2008年9月26日
『打撃天使ルリ』07.2%2008年9月5日発売なし


これらのうち、モップガール以外の作品でDVD化されていないのは菊川怜主演の『打撃天使ルリ』のみ。視聴率が低くて全8回放送の予定が7回に短縮された作品だから、仕方ないかも知れない。堂本光一主演『スシ王子!』も、普通だったらとてもDVD化されるような数字ではないが、これはそもそもジャニーズ事務所が劇場版の公開を前提に、そのプロモーション的意味合いで放送したという特殊事情があるので、触れないでおく。
ともかく、上のリストから、金曜ナイトドラマの人気作品は、通常のスケジュールだと、だいたい放送終了の3ヶ月後にDVDがリリースされていることが分かる。だから平均視聴率10.2%を獲った『モップガール』だって、2008年の3月か4月にはDVDボックスが発売されておかしくなかったのだ。ところがそうならず、逆に2008年の春ごろ、テレビ朝日はファンの要望に回答するかたちで、モップガールのソフト化は予定にないことを明言する。一方、加勢大周の逮捕はその年の秋、2008年10月5日のことである。タイミングがまったくずれている。
ついでに言うと加勢大周は、『モップガール』第8話(2007年11月30日放送)の放送から半年後に、釈由美子主演『7人の女弁護士』第10話(2008年6月に放送)に出演していて、連ドラへのゲスト出演はこれが最後になる。この加勢大周出演エピソードを含む『7人の女弁護士』第2シーズンのDVDボックスは、加勢大周の逮捕直後の2008年10月15日に、とくに問題なく発売されている。以上、加勢大周の逮捕が『モップガール』DVDお蔵入りの理由とは決して考えられない点、ご理解いただけましたでしょうか。

2. オープニング


いいかげん本編に入ろうね。
大手出版社「山浦出版」のロビーで、誰かしら偉いさんに頭を下げる長谷川桃子(北川景子)と上司の大友将太郎(谷原章介)、そして桃子の親友、大河内日奈(浅見れいな)。
雑誌編集の仕事をやっている日奈の仲介で、山浦出版の人事部長に引き合わせてもらったらしい。
桃子と大友が勤めているのはご存じ葬儀会社「リトルエンジェルス」で、出版業務とはあまり関係なさそうな感じもするんだが、大友に言わせれば「ありがと日奈ちゃん。日奈ちゃんが人事部長さんを紹介してくれたおかげで、山浦出版さんからご依頼をいただくきっかけができたよ」とのことである。
でもそんな大友の言葉をよそに、ロビーをきょろきょろ見回していた桃子は、沢山の人々が談笑している一角を指さして「ねえねえ、あの人だかりって何?」
日奈が「ああ、あれは……」とつぶやくと、その人だかりの中心にいた、なかなかイケてる中年男が日奈の姿を認め、笑顔で近づいてくる。いま人気の作家、早乙女愛二郎である。ペンネームだろうが、どういう由来なんだろう。早乙女愛のファンだったのかなぁ。

  
早乙女「やあ、日奈ちゃん」
日 奈「早乙女先生、ご無沙汰してます」
早乙女「やあごぶさたごぶさた、いやあ人事で君が異動になったって聞いてさ、寂しかったんだよ……こちらの方たちは?」
  
大 友「葬儀社リトルエンジェルスの大友です」
桃 子「部下の長谷川です」
  
早乙女「へえ。よろしく!作家の早乙女です」
大 友「『その時は彼女にグッバイ』の早乙女愛二郎先生ですね。愛読してます」
大 友「サインしましょうか?」
  
桃 子「愛二郎ってペットの名前みたいですね」
  
   大友が桃子の鼻をつまみあげる。
早乙女「ははは。君たちって面白いね。……あ、そうだ日奈ちゃん、良かったらさ、今夜僕の別荘で、僕の新作の脱稿パーティーがあるんだけど、良かったら来ない」
日 奈「いいんですかぁ!」
早乙女「うん歓迎するよ。(マネージャーを振り返って)花房、部屋の準備を」
花 房「はっ」
大 友「いえいえ、僕ら場違いですから、じゃ」
早乙女「残念だなぁ。海外から女性のゲスト呼んで、盛大にやろうと……」
  
大 友(「海外からの女性ゲスト」と聞くなり豹変)「必ず行きます。行かせて下さい。絶対行きます、行って見せます」
  


念のため説明しておくと、大友は、なぜか外人女性に目がない、という設定である。桃子は、そういう大友の性癖にうんざりしているだけであって、別に嫉妬しているわけではない。
ところで出版パーティーというのはよく聞くが、これは「脱稿パーティー」だ。つまり新刊を書き上げた、でもまだ出版には至らない、という段階で賑々しくパーティーを開くという意味だね。初耳だ。でもこれから起こる事件の真相から逆算すると、真犯人にとっては、出版されてからでは手遅れなのである。どうしても「脱稿パーティー」でなくてはいけないので、無理を承知でそういう設定にしたのだろう。(もしも出版界にそういう風習もあったとしたらすみません、私の不見識です。)
それはともかく、ここで桃子のモノローグが入る。

桃子のM「大友さんのこういうところに、最近すっかり慣れてきた。遺品に触れて時間が戻るようになった私は、死ぬはずの運命だった人を助けてきた。危険な目にもあったけど、何だかんだでいつも大友さんが私を助けてくれる。13年前の耳鳴りが手がかりなのか、自分がなぜ時間が戻るようになったのか、私はその理由をまだ探せずにいる」



大友の昔の恋人、葉月涼子(堀まゆみ)が特殊な予知能力で、バイクに轢かれそうだった幼い桃子(美山加恋)の命を救い、逆に涼子が命を落とす。そのとき不思議な耳鳴りがして、涼子の予知能力が桃子に受け継がれる。
それは死者の遺品に触れると、その死の24時間前に桃子自身がジャンプする、という変な力だった。桃子はその力を駆使して、死ぬ運命にある愛すべき人々を、なんとか助けようとする。
もっとも桃子はずっと前からタイムリープ能力を発揮していたわけではない。つい最近、大友に会ってから、いわば大友に触発される形で超能力に目覚めたのである。
これまでのエピソードで、この事件は「12年前」の出来事ということになっていた。でも前回(第7話)のラストで、大友が涼子を墓参りするシーンがあって、墓前で「13回忌か」なんてつぶやくもんだから、今回からはナレーションもそれに合わせて「13年前の耳鳴り」と、そういうことになる。細かいね。

3. 魅せられて河口湖


というわけで、早乙女愛二郎の別荘に招かれた桃子と大友。なにしろ今が旬の流行作家のパーティーである。セレブが来るだろうというので、桃子はアパートのお隣さんからそれなりの衣裳を借りてくる。ここはもう、話の流れとはまったく関係のないコスプレのためのシーンだ。それをなぜ公園で大友に見せるのかも意味不明だが、ジュディ・オングの「魅せられて」をBGMに北川さんがひらひらと衣裳を披露する場所は港区芝公園。



ところで前回の最後に、Act.14でマーキュリーが駆けながら変身する場面をご紹介したけれど、何とこれが同じ芝公園なのである。何も考えていないように見えて、このブログもいちおう伏線とか貼ってあるわけよ。



さて本筋に戻って、場面は早乙女愛二郎の別荘に移る。もともと日奈の友人ということで招待されたのに、日奈は仕事の都合で来られなくなってしまい、やってきたのは桃子と大友のふたりだけ。ロケ地は富士河口湖畔のEGUCHI河口湖ハウス。ミステリや刑事ドラマのパーティー場面でよく使われるロケ地である。

  
桃 子「うわ。すっごいお屋敷ですね。ていうか、こんな普段着でいいんですか」
大 友「おかしな格好で行って恥かくよりはいいだろう」
桃 子「はい。でも早乙女さんってそんなに人気作家なんですか?」
大 友「アホのお前には分からんだろうがな、早乙女愛二郎と言えば、いまや日本の文壇を代表する恋愛小説家だ」
桃 子「恋愛小説家?」
  
桃 子「三年前、携帯小説を書籍化した『その時は彼女にグッバイ』が100万部の第ベストセラーを記録。その後、映画化して、興収50億円の大ヒット。一躍トップに昇りつめた人気作家だ。まあ作品の内容はともかく、最近では珍しい、出せば売れる作家だ」
桃 子「へぇ、お金持ちなんですね」
桃 子「金持ちには金持ちの知り合いが集まる。俺たちはそういう方々とお近づきになって仕事の幅を広げる。いいか、手ぇ抜かずにしっかり人脈つくるんだぞ」
  
桃 子「はい」



まあ誰かをモデルにしているわけでもないだろうが、『そのときは彼女にグッバイ』というタイトルと、「平山雄二郎」監督によって映画化、という展開は、市川拓司の『そのときは彼によろしく』のもじりだね。でも、このドラマのオンエア半年前に公開された平川雄一朗監督『そのときは彼によろしく』(2007年)は、興収50億円ならぬ5億円に少々足りなかった。これ、北川景子も出演しているので私も観たんだが、ほとんどロクな印象がない。平川雄一朗監督の劇場映画では、これと『ROOKIES 〜卒業〜』(2009年)の2本を観た。どちらも手の施しようがないというか、甲乙つけがたく困った作品だが、でも劇場版『ROOKIES』は85億円を越えるメガヒットになったし、テレビドラマの仕事まで目をむければ、平川雄一朗は『JIN -仁-』のメイン演出家でもあるので、評価しづらいですね。
ケータイ小説で一躍有名になった若作りのオヤジ作家というところは、『Deep Love アユの物語』や『Dear Friends』のYoshiのイメージでもあるが、この2作品も、映画版はほとんどヒットしなかった。そういえば、ちょっと前に(第319回)『Dear Friends』の興行収入がよく分からないので、きっと関係筋が隠蔽するほどすさまじいコケ方だったんじゃないか、と邪推を書いたが、その後もう少し丁寧に調べてみたら、データはあった。2007年2月に封切られた『Dear Friends』は、初登場10位で4000万円、トータル3億円にやや足りない稼ぎだったという。
つまりケータイ小説は、映画化してもほとんどヒットしないのだ。でも例外もある。美嘉の『恋空』の劇場版は、2007年の11月3日に公開されて、最終的には40億近いヒットとなっている。このモップガール第8話の放送日が同年11月30日だから、制作段階で映画化の大ヒットが知られていたかどうかは不明だが、少なくとも、ドラマの中に現れる『そのときは彼女にグッバイ』の装丁は『恋空』とか『君空』っぽいです。


えーと余計な話をしているうちに長くなっちゃったので、やっぱりこれ前後編にします。だいじょうぶ次回でかならず完結しますって。
この後二人は、宿泊用のゲストルームに案内されるのだが、それがダブルベッドの寝室だったり(結局、大友がベッドを使い、桃子はソファに寝ることになる)色々あるんだが、そのへんは飛ばす。落ち着いた二人は、何はさておき早乙女に面会して、挨拶と招待への感謝を述べる。そのとき、早乙女は恋人の柚原曜子を紹介する。演ずるのは原史奈。放送当時から実写版セーラーマーズとミュージカル版セーラームーンの邂逅として話題になった場面だ。この初対面のシーンを紹介して、今回はおわり。

  
早乙女「失礼。彼女は、柚原曜子さん。僕のミューズ」
桃 子「シューズ?」
大 友「バカ。ミューズだ。女神ってことだよ」
桃 子「ああ」
  
曜 子「初めまして」
早乙女「僕は曜子に出会って心から癒されたんだ。彼女といると創作意欲がわいてくる。まさに僕の女神だ」
花 房「先生にとって曜子さんはなくてはならない存在なんです」
曜 子「そんな…」
  
大 友「いやいや。曜子さんはいまどき珍しいほどの大和撫子です。こいつと較べたら月とスッポン、アゲハチョウとダンゴムシですよ」
桃 子「ダンゴムシ?」
  


今回は以上で、次回完結編を待て。こんなペースで、次回で終わるのかって思ってる人もいるでしょ。だいじょうぶ、飛ばしますから。
ところで『Dear Friends』の原作者Yoshiって、最近どうしているんだろう。2002年の『Deep Love アユの物語』以来、毎年のように新作を上梓していたが、2006年を境にパッタリと音沙汰なし。公式HPも、閉鎖されてはいないけど、2006年以降の情報がいっさい載っていない。どこへ消えちゃったのかな。


……まあいいか。じゃ。