実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第259回】DVD第2巻:Act. 7の巻(その4)


相変わらず見ていませんレポ『月の恋人』第4話。前回あげたキーワード「かぶりもの」は今のところ正しいみたいだ。モデル業に関してはともかく、女優としての北川さんがこんなに帽子を着こなす作品って、今までになかったんじゃないでしょうか。
あと、ひとこと釘を刺しておきたいのが今回のエピソードのラストカット。木村さんと林さん、いいムードのところ失礼とは存じますが、その場所は我々にとっても、マーキュリーがずぶ濡れになったり、プリンセスがハープを奏でたりした聖地です。そこんところ配慮してください。(どういう風に?)

1. 飛び出せベリル


昨冬の映画『仮面ライダー×仮面ライダー W&ディケイド MOVIE大戦2010』のビデオソフトがリリースされました。血色は悪いけど胸の谷間はふくよかな沢井美優を確かめたいキミは今すぐ買いに走れ!金のないキミはせめてレンタルだ!
この映画は、前半が『仮面ライダーディケイド』のテレビシリーズの大完結編、後半が『仮面ライダーW』テレビシリーズ第1話につながる序章(ビギンズナイト)という構成になっていて、最後に両者の話が合流する。といっても、ふたつのシリーズをリンクさせる特別な物語上の工夫があるわけではない。双方のクライマックスのバトルでふと隣を見たらバイクで併走していたもんだから「あれぇあんたもここでロケ?一緒だったの?だったら火薬も節約できるし、ここで合同で撮っちゃおうか。ドカーン」みたいな勢いノリである。
バイクアクション、巨大メカ、いろんな要素を取り入れながら、ごちゃごちゃすることもなく、明快な画面構成で分かりやすくアクションを見せてくれる田崎監督の手腕は健在だが、ラストのアイデアそのものについては、はっきり言って安易だと思うね。でも、うちの息子なんか、最後に2つの話がドッキングしたところでやんやの喝采だったから、まあいいか。ライダーのメインユーザーは、あくまでこいつら(あと最近は女子高生)なんだから。

で、この夏にも劇場版が来るわけだが、StreamKatoさんによると、その作品『仮面ライダーW FOREVER AtoZ/運命のガイアメモリ』には、冬版のプリンセスに続き、今度はベリル様が登場なさるそうだ。ベリル様は劇場版ウルトラマンでも「人工知能をそなえた宇宙戦艦の開発者ドクター・キサラギ」なんて役を演じたこともあって、得意分野は性愛と特撮である。今回は、特殊任務で国際犯罪者を追っている、「マリア」という名前の秘密捜査官を演じるそうだ。……あれ、デジャブか?

それって私、聞いたことがあるぞ。私は杉本彩様が、同じ「マリア」という名前で、そういう特殊な捜査をやるVシネマを、15年ほど前に観たような気がする。今回はあれの続編なのかな。ということはまたまたあのときみたいに、女囚となって刑務所に入ったり、サディストの某国大使に捕まって、縛られて(着衣ではあるが)あんなことをされちゃったりするのだろうか。しかも今回は3Dだ。飛び出す杉本彩。どこが飛び出すのか。
同時上映は『天装戦隊ゴセイジャー エピックON THEムービー』で、2本とも3D映画だそうである。戦隊ものは、昨年の『シンケンジャー銀幕版』がすでに3Dだったが、コストがかかるのか手間がかかるのか、テレビのレギュラー放送より尺が短くて、正味20分しかなかった。私(と息子)は、3Dではない、普通のスクリーンで鑑賞したので、結局、ただ短いだけ。しかも妙に正面からの構図のアクションシーンが多い(笑)。これはちょっと辛いよ。
たとえばワーナー・マイカルは、現在全国に60劇場、500弱のスクリーンを持っているが、3Dデジタル対応になっているのは、そのうち50劇場60スクリーンくらいのはずだ。数自体は、昨年の暮れから、いわゆる「アバター効果」でぐっと増えていて、この勢いなら、近い将来どのシネコンでも、最低1スクリーンは3D上映ができるようになるだろう。努力は認める。
でも夏休みになって、ハリウッドの超話題3D大作が続々とやって来たりすれば、3Dスクリーンがひとつしかない地方都市のシネコンは、そういう作品の方に3Dスクリーンを提供して、結局ライダーは2次元で観るしかしょうがない、というケースが増えるんじゃないでしょうかね。
まあしかし『飛びだす冒険映画 赤影』(1969年)とか『飛びだす人造人間キカイダー』(1973年)とか『飛びだす立体映画 イナズマン』(1974年)とか、この分野における東映特撮の取り組みが、決して昨日今日の話ではないことくらい、我々世代はリアルタイムで知っておるよ。映画館に観客を呼び戻す新たなコンテンツの開発に向けてがんばってください。じゃ本題だ。

2. 仮面の少女、頭隠して脚隠さず。


颯爽と登場したタキシード仮面だったが、一瞬の隙をついた藁妖魔の返り討ちに、タキシードの肩を引き裂かれてしまう。思わず妖魔に釘を投げ返して「待ちなさい!」と鋭く叫び、後を追おうとするセーラームーン。こんなに短い間隔で、二度も「待ちなさい!」が出るのも珍しい。ということはともかく、妖魔の逃げ足も早い。あっという間にひとっ飛び。
悔しげに「逃げられちゃった……」と振り返ると、こっちも逃げ足が速いというか、タキシード仮面も煙を巻いて姿をくらまそうとしている。

セーラームーン「あ、タキシード仮面」

妖魔を追うのはわりとあっさり諦めたくせに、タキシード仮面の後はしつこく追いかけるセーラームーン。が、そのとき、誰もいないと思っていた深夜の東京ドームに響く、妙に鼻にかかったような甘え声。

謎の声「追ってはなめ!」


そう。ついにセリフつきで登場したその人こそ!
間違えました。
さらに間違えました。(いい加減にしようよ)
そう、その人こそ、愛と正義のセーラー服美人戦士、セーラーVだ。


いやー、やっぱり「セーラーV登場!」ってだけで、ウキウキしませんか?
セーラーVに関しては、かつて『コードネームはセーラーV』アニメ化の話が一度ならず持ち上がったけど、結局は実現しなかった。そんなわけで、この実写版の放送終了後にリリースされた『美少女戦士セーラームーンAct. ZERO セーラーV誕生!』こそ「初のセーラーV主演の映像化作品」ということになっている。まあそうなんだけど、でもみなさん『Act. ZERO』に満足しましたか?私も……いやこれはこれで楽しいし、好きなんですけどね。でも、しつこいようだけど、私は『美少女戦麗舞パンシャーヌ』の面白さを実写版セーラームーンに求めていたわけではないのでね。セーラームーン20周年を迎える来年あたり、改めてセーラーVのきちんとした企画をやるとか、そんな話はないものか(小松彩夏はセーラーVがロンドン時代に知り合った日本人女優、実はFBIの秘密捜査官の役で特別出演)。
まあいいや、話の続きです。

セーラーV(声)「追ってはなめ!」
セーラームーン「えっ…誰?…」(あたりを見回す)
  
セーラームーン「…セーラーV!」
  
セーラーV「彼に近づいてはだめ。……絶対に」
セーラームーン「え、どういうこと?」
セーラーV「危険なのよ。彼は敵だと思いなさい」
セーラームーン「そんな……」
  
ルナ「セーラーV、やっぱりあなたがプリンセスなのね」
  
セーラーV(一瞬、ルナを凝視するが、答えずに去る)
セーラームーン「待って!」
後を追おうとするセーラームーンだが、すでに姿はどこにも見えない。
  
セーラームーン「……タキシード仮面が敵って、どういうこと?」

ちょっとよく分からないのが、ルナの呼びかけに対して、セーラーVが何かしらもの言いたげな表情で(と言ってもマスクをしているので、私の誤解かもしれないが)ルナを見返す点。結局、ルナに対しては一言も発さずにその場を去ってしまうわけだが、この表情にはいったいどんな意味があるのか。ないのか。

3. 解けない謎


いや本当は、そんなのは氷山の一角で、分からないことだらけなのだ。以前、再放送のレビューという形でこのブログを始めたときも、このAct.7の冒頭で、ひとまずセーラーVの行動原理について考えてみた。でも、考えているうちに頭がこんがらがってきたので、宿題ということにして放り出した。それからだいぶ経ったけど、何ひとつ判明していない。
タキシード仮面はまあいい。本当はタキシード仮面だって、なぜAct.3で異次元空間の中に入れたのか、とか、考えれば意味不明な出没の仕方をしているのだが、とりあえず「何をしに出てくるか」という疑問に関しては(1)「幻の銀水晶を探す」(2)「セーラームーンが気になって仕方ない」この2つの原則でほぼすべて説明がつく。唯一の例外はAct.24でクンツァイトに襲われたとき、タキシード仮面の姿で反撃に出たときくらいだ。タキシード仮面がどのエピソードにどういうふうに登場したかは、前々回の記事(ここ)の後半にまとめてあります。
一方、セーラーVはどうか。そうだ、ついでにここで、タキシード仮面と同じように、セーラーVの出番を総まとめしてみよう。Act.12でマスクを外してセーラーヴィーナスになっちゃうから、これも簡単だ。

セーラーVの想ひ出
Act.1 冒頭いきなりタキシード仮面と対決。
Act.2 なし(亜美が美奈子のMDを聴く)。
Act.3 夜中にVちゃん走り。追いかけるルナ。
Act.4 なし(美奈子の歌でサボテン妖魔を同時攻撃)。
Act.5 なし(うさぎがレイに美奈子のMDを薦める)。
Act.6 なし(まこと初登場回)。
Act.7 セーラームーンに、タキシード仮面と接近するなと忠告。
Act.8 アバンの「前回のあらすじ」のみ(美奈子としては登場)。
Act.9 なし(ニセタキシード仮面騒動の巻)。
Act.10 なし(愛野美奈子、ロンドンから帰国したとたん、不審事故に)。
Act.11 病室で、セーラーVの衣装を観ながら過去を回想。
Act.12 マスクを外してプリンセス(ヴィーナス)の名乗りをあげる。

私は改めて「へー」と思っちゃったよ。愛野美奈子としてではなく、セーラーVとして出演したエピソード、しかも、アバンや回想シーンを外すと、実質Act.1とAct.3、そしてこのAct.7、後は正体をバラすAct.12と、4回しかないんだ。思ったより少なかったな。見落としがあるのかも。もしあったら、コメント欄でご指摘ください。

しかし、こんなに少ない登場回数であるにもかかわらず、セーラーVは幾多の謎を我々の前にばらまく。たとえば、このAct.7におけるセーラームーンへの忠告は、Act.1のオープニングでタキシード仮面の前に立ちふさがる構図と合わせて考えると、二人を引き離そうという狙いがあるように思える。が、さらに考えてみると、話はそう単純ではない。
『Act. ZERO』によれば、Act.1以前に、セーラーVは、すでにタキシード仮面の正体をつかんでいる。彼がただの宝石泥棒ではなく、記憶を取り戻すために「幻の銀水晶」を探していることは知っているのだ。しかし前世の記憶がよみがえって彼とセーラームーンが結ばれれば、再び星は破滅する。だから彼女はタキシード仮面の仕事の邪魔をするし、「彼に近づいてはだめ」とセーラームーンに忠告する。
そう考えると筋が通っているように見えるが、これはおかしい。この時点でセーラーVは、前世の記憶がよみがえっているのだから、幻の銀水晶が、実はセーラームーン(プリンセス)と共にあることを知っているはずだ。つまり、衛がいくらタキシード仮面に扮してあちこちの宝石店を荒らそうとも、銀水晶なんて見つからないことを唯一知っているのが美奈子である。むなしく「幻の銀水晶」を探し求めるエンディミオンが、そのうち泥棒として警察に捕まって刑務所送りになってしまえば、うさぎと出会うチャンスも奪えるから、しめたものである。むしろ、ヘタにちょっかいを出して(彼女自身がタキシード仮面と交錯した瞬間、前世の記憶を取り戻したように)彼の前世の記憶を蘇らせたりしたら、ヤブヘビである。要するに放っておけばいいのだ。それなのに、わざわざセーラーVとしてタキシード仮面の前に現れて、セーラー戦士と「幻の銀水晶」の結びつきを示唆したり、セーラームーンに「彼に近づいてはだめ」と忠告して、かえって二人の絆を深めたり、ちょっと行動が浅薄に過ぎるように思う。

もうひとつ謎をあげよう、Act.11、Act.12によれば、美奈子の使命は、他の戦士たちとは別個に単独行動をとり「プリンセス」として敵の注意を引きつけ、本物のプリンセスの身の安全を確保することのようだ。Act.3で意味もなく夜の町を「Vちゃん走り」してルナと追いかけっこをしているのも、そういう陽動作戦の一貫なのかも知れない。それはいいとして、ではなぜヴィーナスは、当初マスクをして「セーラーV」を名乗り、Act.12でそれを外したのか。
タキシード仮面がマスクをしている理由は、Act.24のラストで明確に示される。マスクを取ったとたん、正体が地場衛だと分かるのである。この考え方で行くと、当初テレビなどに頻繁に出ていたセーラーVは、正体が愛野美奈子だとばれないためにマスクをしていた、と言える。
でもセーラー戦士は、タキシード仮面のような「変装」ではなく「変身」(メイクアップ)なので、原則としてマスクをしていなくても、正体バレは無いはずなんだと思っていた……けど、どうだろう。もう一度、考えてみよう
アニメ版では、たとえば大阪なるは、何度セーラームーンに助けられて、その姿を間近で見ても、正体が親友のうさぎだとは気づかない。弟の進吾もセーラームーンに憧れている。原則として、戦士はメイクアップしてしまえば、マスクなしでも顔バレしないようになっている。

しかし実写版はそのへんが若干、微妙ではある。Act.2の亜美もAct.6のまことも、特殊事情があるとはいえ、セーラームーンを見て「月野さん?」「うさぎ?」と気づいているし、ネフライトがネフ吉になってネフリンになって、クラウンでバイトをしていてうさぎや亜美と再会したときも、一発で二人の正体に気づいたようだ(この件についての専門的な議論に興味をお持ちの向きは、私の疑問M14 さんの台本考察をお読みください)。つまり、実写版のセーラー戦士のメイクアップは「よく見れば正体が分かる」レベルなのかなあ。でも「よく見ると」ってどのくらいだ。ゼブラクイーンをよく見ると「仲里依紗だ!」と見抜けるくらいか。それってどのくらいだよ。自分でたとえておいて、分からなくなってきたぞ。
ともかく、セーラーヴィーナスも、何も顔につけずに悪人退治をアピールしして、テレビで報道されたりすると、いずれ「愛野美奈子だ!」と顔バレする危険性が高い。それで当座はマスクをして顔を隠していた。ところがAct.12以降、ダーク・キングダムとの戦いはさらに厳しいレベルに入る。そこで、敵の攻撃の矛先を、もっと自分に集中させるために、マスクを外して顔をさらした。顔出しした以上は、「セーラーV」としてマスコミなどには出られなくなるが、いずれ「プリンセスはアイドルの愛野美奈子」ということがダーク・キングダムに知られて、敵の注意を自分に引きつけるためには最も効果的にはたらく。過酷な使命だが、Act.11でアルテミスが「これからが本当に大変だよ」と言っているのは、そのことを指しているのかも知れない。

とも考えたんだが、どうなんだかね。レイは教会で美奈子にあっても、目の前で変身されるまでそれがヴィーナスだと気づかなかったし、まことは、Act.28でレイから教えてもらうまで気づかなかった。そしてうさぎは、Act.35で本人からライブのチケットをもらってさえ、事態が呑み込めずに衛に笑われた。このへんを見ていると、戦士の仲間うちでさえ、顔バレはないようにも思える。だったらわざわざ赤いマスクをして「セーラーV」というのは、たんなる趣味だったのかなあ、とも思えてくる。
まあそんなふうに、セーラーVに関しては、あちらを立てればこちらが立たず、という類の矛盾がいつも出てくる。でも今回はこれくらいでお時間だ。また考えます。
もう最近は歳のせいか、人生の何事においても、死ぬまでにぜったい結論を出そうとか、そういう気持ちが薄れてきたよ。むしろ余生はセーラーVのことを日がな一日考えて暮らしたい、とか思うようになってきた。大丈夫か私?
ではまたね。

『Act. ZERO』より、前世の記憶を取り戻した瞬間。やはり聖地だよこの場所は。




【今週のおまけ】
ひろみんみんむしさんのブログで「黄川田将也まつり」が開催中で、これがとにかく良いです。便乗して、いくつかおまけ画像を出しておきます。ますます重くなって申し訳ないけど。
名古屋支部的には、古幡元基以降の黄川田君で特筆すべきは『仮面ライダー THE FIRST』(2005年)および『仮面ライダー THE NEXT』(2007年)の本郷猛役であろうと考える。これは、極端に言えば、映画としての出来よりも、石森章太郎漫画と黄川田将也の相性の良さを楽しむべき作品である。特に2作目の『THE NEXT』は、ホラー映画としては弱いけど、黄川田君の魅力が存分に活かされたという意味では文句の付けようがない。
本郷猛(黄川田将也)は、ショッカーとの戦いも一段落して、城南大学附属高校の生物教師としてひっそりと暮らしていたが、一人の女子生徒(石田未来)が怪事件に関わったのをきっかけとして再び新しい戦いに巻き込まれていく。結局、その生徒をしっかり守ったものの、代償として自分の特殊能力の一部を学校に知られ、退職せざるを得なくなる。実に黄川田君らしいキャラクターで、元祖『仮面ライダー』世代の私は「この本郷猛は藤岡弘を越えている!」と感嘆した。
古幡元基が、セーラー戦士と同じような力を手に入れたとき、どのようなタイプのヒーローになるか興味のある向きは、ぜひ『仮面ライダー THE NEXT』をごらんください。




【さらにおまけ】
6月6日放送『仮面ライダーW』第38話のラストで出てきた、次回(第39話)予告。StreamKatoさんが念写したかと思った。驚いたよ。