前に全国規模の記事になったのは、お二人の結婚披露パーティーで「上原さくらの夫(当時)」という人が暴れたときだった(笑)。これ、来週のワイドショーに出るかは微妙だが、ともかく、おめでとうございます。お母さん似の女の子らしくて、良かったですね。家族を持つというのは大変なことだが、楽しいことでもあります。
1. 「あなたはサブよ!」
しつこいようだが、このドラマって「篠原さんと林さんと北川さん、三人の誰がキムタクの本命か?」みたいな興味で視聴者を引っ張る話じゃなかったんですか?でも第1話オープニングのキャストクレジットの順序は、まず「木村拓哉」、続いて「篠原涼子」と「リン・チーリン」で、その次に「松田翔太」と入った後に「北川景子」である。これって「メインキャストは木村・篠原・林の三人です」「サブプロットとして松田と北川のラブストーリーがあります」と公言してるようなものではないですか?念のため第2話の(木村さんと林さんのキスシーンをバックに流れる)エンドクレジットも確認したが、やはり北川さんは松田翔太くんの後で、「木村・篠原・林」とは明確に区別されている。さらには、今月末に原作が出版されるというので、その作者のブログを読みに行ったら、こう書いてあった。
今度スタートする月9ドラマ『月の恋人 〜Moon Lovers〜』の原作を書かせていただきました。
主演は木村拓哉さん、ヒロインが篠原涼子さんとリン・チーリンさん、そのほか北川景子さんや松田翔太さん、西山茉希さんや渡辺いっけいさんや長塚京三さんも出演が決まっていて、なんだかかなり豪華。
(『道尾秀介@あらびき双生児』4月21日「ドラマの原作を書きました」)
なんだ最初から「ヒロインが篠原涼子さんとリン・チーリンさん」で、「そのほか北川景子さんや松田翔太さん」じゃん(笑)。
前回も申し上げたが、結局のところ「キムタクと篠原」ではアラサー以上が対象の「豪華なナイトドラマ」になってしまうので、もっと若い層を狙って北川さんを起用した、というあたりが実情なんだろう。なかでも初回は重要だ。「キムタクの月9」の初回視聴率は、高くても低くても、ぜったいYahoo!ニュースのヘッドラインに出る。だから当初は「北川景子がヒロインかも知れない」と煽って十代にもアピールしたのではないだろうか。今月末に原作本が出版されるというが、たぶんそのあたりで「誰がヒロインか」的な興味は、一般の視聴者にもあたりがつくようになって、フェードアウトしていくんだろう。まあそうなったらそうなったで、北川さんは今回「月9ヒロイン」の縛りがないということで、さばモグでも何でも、自由なお芝居を見せていただきたいものである。
ちなみにこの原作者のブログ、なんか様々な、言うに言えない事情を背後に感じさせて、同情を禁じ得ません。
ストーリーや登場人物たちのバックグラウンドに対して先方からの希望や禁止事項が山ほどあって、なかなか大変な仕事ではありましたが、普段なら絶対に書かない内容のキラキラしたラブストーリーだったので、楽しみながらやらせていただきました。
ドラマ制作の過程でいろいろと問題が生じ、ドラマ版は小説版を大きくアレンジして放映されます。
ドラマと小説で、二倍楽しんでいただけるのではないかと思っています。
(『道尾秀介@あらびき双生児』4月21日「ドラマの原作を書きました」)
「ドラマ制作の過程でいろいろと問題が生じ」というのが、なんとも含みのある表現ではないですか(笑)。いろいろ制約があって、その結果「ただのつまんない恋愛モノになっちゃったじゃん」「もうあんなドラマ、私の小説とは別物だ!」と叫びたいところを、「普段なら絶対に書かない内容のキラキラしたラブストーリー」「ドラマと小説で、二倍楽しんでいただけるのではないかと思っています」とまとめるあたり、オトナだ(笑)。いや断っておくが、いま書いた舞台裏事情は、例によって、上のブログを読んでついつい私が勝手に妄想した話に過ぎない。ただの邪推ですよ。
2. 華麗なるアクション(脇道)
さて前回、Act.7冒頭のアクションシーンについて「セーラームーンが妖魔を追う、なんて緊迫した場面から始まるエピソードなんて、後にも先にもこれっきりだ」なんて書いたが、コメント欄でStreamKatoさんが「Act.43のセーラームーンのアクションが好き」と書かれているのを読んで、「ああ、それもあったよな」と思った。この時のセーラームーンは、何度かPムーン化したせいでメンタル面が壊れかけていて、そういうドラマ上の設定もあって、より緊迫感を与えるアクションシーンである。
右張り手→左かかと落とし→右フック→返しの裏拳でボコボコにしたシーンです。(StreamKato)
あとM14さんの書かれていたAct.15も良いアクションシーンなのだが、いいかげん本題にはいろうよ。あまり画像が多いと、携帯で見られなくなるそうだしさ。
3. 華麗なるアクション(タキシード編)
ルナ「セーラームーン、うしろ!」
ルナのアドバイスで振り向いたときには、妖魔は大量の五寸釘をセーラームーンに投げつけたところだった。なぜ手裏剣ではなく五寸釘なのかというと、前回も述べた通り、変わり身=藁人形=丑の刻詣りという連想以外に思いつかないが。
あわや無数の釘に貫かれて穴だらけ、というところでいつものアイツ見参。ステッキ一振りで釘をたたき落とす。セーラームーンの言葉にちらっと振り向くタキシード仮面。その一瞬の隙をついて妖魔がもう一本放った釘が、危うくタキシード仮面の肩を切り裂く。とっさに逃亡する妖魔。セーラームーン「タキシード仮面!」
この、肩の破れ目を繕ってもらうために、衛は親友の古幡元基の母親にタキシード一式を預けるのである。
以前「衛はAct.7で衣装を元基の母親に預けるが、同じAct.7からタキシード仮面のマスクがデザイン的に少し凝ったモノになっているから、あの新マスクは元基のおふくろが作ったものに違いない」と書いたことがある。でもこのオープニングシーンを見落としていた。この段階で、すでにマスクは新型になっている。だから元基の母親が作り変えたんじゃなくて、地場衛がパーティーグッズ売り場で新しいのを買うかなんかしたんだね。訂正してお詫び申し上げます。タキシード仮面って、セーラーVとつばぜり合いをやり合っていた間は、別に『てれびくん』の付録みたいなマスクでもかまわなかったのに、セーラームーンを助けるようになってから、マスクとか、見かけにこだわるようになったわけだ。ということはつまり、このあたりから、セーラームーンを異性として意識しているわけだね。
Act.7以前にタキシード仮面が登場したのはいつだったか、と思って確認してみると、Act.4である。(Act.5の最後にも申し訳程度に出てくるが、対象外とする。)なるほど。Act.4のラスト、タキシード仮面は、セーラームーンと一緒にビルから落ちたんだけど、セーラームーンのスティックが発した不思議な光のおかげで助かった。あのとき、すっごく優しい顔でセーラームーンを見つめていたもんなあ。それで急に「このマスクちょっとださくね?今度カノジョに会うときのために買い換えよう」とか、色気づいたわけだね。
4. 追想のタキシード仮面
と、このように考えているうちに「タキシード仮面って、結局どれだけのエピソードに出てきたんだっけ。一覧表にまとめておこうか」と思い立った。実写版の場合は、Act.25の「エンディミオーン!」でプリンセスが覚醒するまでしか出番がないので、調べるのもけっこうラクだしさ。
タキシード仮面の想ひ出 | ||
Act.1 | ジェダイトが投げた短剣からセーラームーンを守る | |
Act.2 | 最後に出てくるが特に何もしない | |
Act.3 | 妖魔の触手を断ち切って、セーラームーンと異空間から脱出 | |
Act.4 | セーラームーンとビルの屋上から落ちる | |
Act.5 | 「幻の銀水晶」の疑惑がかかった石を確認しただけ | |
Act.7 | 冒頭で納豆妖魔から、ラストでジェダイトからセーラームーンを守る | |
Act.9 | 偽タキシード仮面に扮して警官に追われるセーラームーンに「変身しろ!」 | |
Act.11 | ゾイサイトからセーラームーンを守る | |
Act.12 | ヴィーナスを襲うゾイサイトの前に立ちふさがる | |
Act.13 | クンツァイトがセーラームーンに術を仕掛けるところに駆けつける | |
Act.14 | クンツァイトからセーラームーンを守る | |
Act.19 | 敵を見失ったセーラームーンに「上だ!」 | |
Act.20 | まことが待ち伏せ「お前だったんだな、地場衛」 | |
Act.21 | 上の続き(回想)まことにぶんなぐられる | |
Act.24 | クンツァイトと直接対決 | |
Act.25 | 「これが、最後だ」クンツァイトの剣に斃れる |
まあともかく、このAct.7あたりを境に、物語におけるタキシード仮面の行動の意味は「セーラームーンのピンチを助けること」からどんどん逸脱していく。もちろん表面的にはあまり変わっていないが、戦う相手が、ゾイサイトやクンツァイトといった四天王メンバーばかりになってくるので、テーマはむしろセーラームーンよりも「前世、オレは何者で、こいつらとどういう関係だったか」という、衛自身の「自分探し」的方向に大きくシフトしていくことになります。
というわけで、もうちょっとタキシード仮面の分析を続けてみたかったが、例によって気力体力ともに尽きてきた。もう眠くてしかたがないので今回はこれまで。