実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第258回】DVD第2巻番外編:真夜中は別の顔の巻

 

『月の恋人』相変わらずちゃんと観ていないので憶測で書くが、ドラマのテーマはやっぱり「ヤンキー復活」と「かぶりもの」なのかも知れない。

 

ikidomari青年は、2010年5月27日名古屋ラシックの北川景子さんのトーク・イベントに行かれたそうです。このあいだの清浦夏実のイベントの時は、彼が青森から来たと聞いて、清浦さんは目を丸くして絶句していたが、いまの北川さんだったら、青森はおろか、北方領土や沖縄から、階上の手すりから見るために集まってきたファンの方々がいたとしてもフシギはないだろう(「会場の手すり」とはどういうことかというと、つまりikidomariさんのブログでご覧いただきたいのですが、現場はこんな感じなんです)。んで、私はパスしてしまった。すみません。
いや私だってさ、こんなにメジャーになってしまったからには、北川さんも、もう昔の北川さんではないだろうし、だから私の役目は「人ごみに流されて変わっていくあなたを/私はときどき遠くで叱ります」ってことだろうと、ユーミンのような気持ちで考えていたんだ。でもあの人、メジャーになっても基本あまり変わっていないからね。嬉しい誤算だが、そうなると、あえてこっちが人ごみに流されるために、現場まで行く必要もないかと。
……って、こんな理屈が理解されるかどうかはよく分からないが。

 

ああ、あと、これもikidomariさんのブログで教えてもらったんだが、有紗はすでに芸能活動を再開して、ブログも先月からアメブロで復活している。そういうことは、ちゃんと旧ブログにも報告してよ。私なんか、いつ戻ってくるのかと、毎月一度は巡回していたんだから。と思ったら旧ブログはすでにきれいに削除されていた。
あと復活するんだったらチャッピイ連れてなくちゃだめじゃん。

 

1. いつもの言いわけと本日のお題


さて、今週末は、土曜日が小学校の運動会(当然、弁当づくりあり)と仕事のかけもち、日曜はこれからちょっと仕事でお出かけと中身がつまっている。それでも何とかレギュラー更新をしたかったのだが、やはりちょっと時間がなくなってしまったので、Act.7レビューの続きとして書いていた文章の、最初の部分だけ載っけておきます。結局Act.7本編には進めなかった。最近こういうケースばかりで申し訳ない。

今回のお題は、そもそもAct.7のAパートの導入部って、夜は夜だけど、本当は何時ごろなのだろう…って考え始めたのがきっかけだ。
私はもともと「これは当然、深夜だろう」という印象をもっていた。でもよく考えると、がらんとした東京ドームに「待ちなさい!」の声が響く冒頭でそんな先入観を持ってしまっただけで、客観的な根拠らしい根拠がない。うさぎが深夜まで起きているわけがないから、夜8時とか9時くらいだろう、とか言われても、反論するだけの材料はない。それじゃ、なぜ私は、これは深夜のシーンだとすぐに思い込んでしまったんだろうね。
原則としてセーラー戦士たちは、深夜には戦わない(と思う)。だって中学生だもの。でもその一方で、そう毎回毎回、白昼堂々、街なかで戦うわけにもいかなくて(だいたい、世間はダーク・キングダムも、セーラーV以外のセーラー戦士の存在も知らないことになっている)結局、セーラー戦士対妖魔のバトルは、何か微妙な時間帯に行われることが多い。具体的に言うと、変身して戦い始めた時には明らかに真っ昼間で、窓から陽光がさんさんと差していたのに、戦いが終わる頃には、外は漆黒の闇、なんてことはしょっちゅうある。

私は、こういうのはつまり、ちょうど日が暮れて、あたりが暮れなずむまでの曖昧な時間帯の出来事なのだろうと考えることにしているが、日本古来の「見立て」の伝統を理解しない心の汚れた人は「いったいあんたたちは何時間戦い続けたんだ?」などと突っ込むことだろう。
とにかく、セーラー戦士が妖魔と戦う時間帯は、そういう「逢う魔が刻」が多い(名古屋支部推定)。だから、あたりが暗い中で戦っているシーンは幾つも思い出せるが、明らかに真夜という事例はさほど多くない。具体的なエピソードで言うと、このAct.7と、後はAct.14、Act.33、Act.43くらいではないか。なんだ、結構あるか。

2. 亜美がパソコンにモニタしていたデータは結局何だったのか


Act.14のクライマックスシーンは、真夜中と考えていいですよね。クラウンで楽しい戦士の新年会、のはずだったのに、正月早々うさぎの身体に異変が起こる。年末に戦ったクンツァイトの術が原因だ。それも体温が15.4度まで下がるという、もはや医学の常識ではどうにもならない異常事態。亜美はうさぎのママにいつわりの電話をかけて、うさぎを自分の家に泊めることを伝え、徹夜で看病するのだった。

だがその夜遅く、うさぎはクンツァイトにさらわれる。亜美は後を追って変身する。そして助っ人に現れるジュピターとマーズ。
ダーク・マーキュリー誕生、プリンセス覚醒、プリンセス・ムーン登場といった、これから始まる大イベントを、あらかじめサックリなぞって予告したような小粒のエピソードでしたが、いい話でしたね、同時に、「深夜」という状況設定は、直後のエピソードへ向けての伏線として、必然性を持っていたと思う。つまり、うさぎを自宅に泊めて、夜通しうさぎを独り占めできたことが、亜美の密かな喜びだったけど、逆にそのことが、うさぎのママや大阪なるにウソをついた自分への嫌悪感となって跳ね返ってくる。それで亜美の心理的ストレスが増幅し、Act.16で激しい自己否定発言に至る。こういう展開を考えても、昼間はいつも大人しくしている亜美が、「うさぎちゃんを返して!」と激しく真情を吐露するのは、やっぱり深夜がふさわしいと思う。

3. イーストウッドmeets北川景子

 

それからAct.33。マーズの戦い方が格好良い回だった。深夜に登場した妖魔(花)に炎一閃、暗闇のなかからハイヒールの音を鳴らして登場。
「顔が見えないほど真っ暗な逆光の画面で、悪い奴の前にヒーロー登場」という見せ場づくりは、クリント・イーストウッドが得意としている。私はこの場面を観ていると『ダーティーハリー4』を思い出す。シリーズ唯一、イーストウッド本人が監督した作品だ。この4作目のハリーは、リボルバーではなく、44オートマグという拳銃をもっていたな。

話をAct.33に戻すと、最初のうち、マーズは、妖魔と視線を合わせず、静かに闘志を燃やしている。で「さあ、行くわよ」というときになって、キリリと相手を睨みつける。

宙を舞って炎を放ち、着地。BGMのジャズナンバーはいまだに出典不明ですが、ジャズってところもイーストウッド的だ。

で、間合いを見計らいながら立ち上がり、またコツコツコツとハイヒールを鳴らして近づいていく。ヤンキー演技をこういう場で活用して妖魔をびびらせているところが偉い。
妖魔は「これは歯が立たんわ」とばかりに姿を消し、ほとんど入れ替わりに、遅ればせながら亜美が駆けつける。余談になるが、この場面では、セーラー戦士がコスチュームから変身前の姿に戻るプロセスを見ることができる。レイがそれまでの厳しい表情から一転、柔らかな笑顔を浮かべると、全身から光があふれ、もとの服装に戻る。

貴重な映像ですね。でも普通の姿に戻ったとたん、パトロール中のおまわりさんに見つかってしまって、中学生が真夜中に外出していたということで、二人はそれぞれ保護者に通報されてしまうのである。そしてこれが、Act.34まで続く二組の親子のドラマの発端となる。だからこの戦いは深夜でなくてはいけないわけですね。

4. 濡れるマーキュリー(しつこい)

 

そしてAct.43の冒頭。前回くわしく取り上げたばかりなので詳細は省くが、マーキュリーと水妖魔が戦って濡れちゃったところへセーラームーンが加勢に駆けつけ、妖魔を圧倒する。これも、晩飯時なんてもんじゃなくて、おそらく深夜の出来事だろう。
ただこの場面については、上のAct.14、Act.33ほど、深夜である証拠も、深夜でなくてはならない物語上の必然性もない。それらのに、どうして私はこの場面を深夜だと確信してしまうのだろうか。
それはたぶん、セーラームーンがいつにもまして、殺伐とした敵意むき出しの表情だからだろう。この回の、物語上のポイントは、衛がうさぎにメタリアのパワーの正体を告げることにある。メタリアのパワーが強まり、妖魔の出現する頻度が日に日に増えているのは、Pムーン覚醒後のうさぎの感情が、ついネガティブな方向に傾きがちなことと関係があるのだという。

エンディミオン「お前の怒りや憎しみの感情が、幻の銀水晶に伝わったんだ。お前はベリルや、前世を引きずった人間たちのようになるな。どんなときでも笑ってればいいんだ。馬鹿みたいにな。得意だろ」
セーラームーン「馬鹿みたいはよけいだよ」

あんなにほがらかだったうさぎが、それまで、陽菜と三角関係に陥ったときも見せたことのなかった、激しい憎しみや怒りの表情をあらわにする。そして深い深い悲しみに沈む。このエピソードはそういう話で、そんなうさぎの感情の暴走を象徴するのが、冒頭の、自分の思いを力任せに叩きつけるようなバトルシーンである。
あの戦いにおけるセーラームーンは、マーキュリーが目を丸くするほど、いつもの「うさぎちゃん」ではなかった。そういう、ふだん押し隠していた、まったく別の顔をあからさまに解放する時間は、やはり深夜でなくてはいけないような気がするのだ、私としては。

5. そして天然の美


今日は日曜なんだけど仕事があって、そろそろ出かけなきゃいけない。なのでこのへんで強引にまとめます。

再放送レビューの時にも書いたが、このAct.7は田崎竜太プレゼンツ沢井美優の回である。沢井美優は、タイトルロールのセーラームーンを演じていたくせに、Act.2以降は、なんだかずっと、みんなの引き立て役に徹していた。戦士の中でひとりだけ最初から芝居が達者だったので、スタッフから有言無言に周囲へのサポートを求められた、ということもあったのだろうし、また主演女優としての気配りで、自分が突出するよりことよりもアンサンブルを重視していた、ということもあったろう。
しかし何だかんだ言っても、このドラマの「主演女優」は沢井美優なのであり、沢井美優という女優はそれだけの逸材なのである。そのことを改めて周知徹底することが、田崎竜太によるAct.7の基本的な演出プランであったと思う。
脚本の冒頭が、他の戦士の加勢を借りない、セーラームーンの単独バトルであることを知って、田崎監督は「よしこの回は徹底的にうさぎを押すぞ」と決意した。

アクションシーンは沢井美優の身体能力の高さが光る。ほかの戦士のみなさんには(少なくともこの時点では)これだけの動きは無理だ。しかもこの後、セーラームーンとセーラーVの顔合わせがある。このシーンも、他の戦士を立ち会わせず、二人だけにすることによって、プリンセスとその影武者、光と影のコントラストがくっきりと際だち、セーラームーンの陽性の輝きが割り増しになる。この台本こそ「主演:沢井美優」を改めて強調するのにうってつけだ。田崎竜太はそう確信したのである(ただの推定)。
そして、冒頭アクションシーンの、これまでとはひと味違うシャープなキレに「今回のうさぎは、ちょっと心して観てね」というメッセージを読み取ったために、私はこのシーンを「深夜だ」と確信したのだろう。だって少女たちが他人に、場合によっては親にすら見せない「別の顔」を見せるとしたら、その時間帯はやっぱり真夜中だよ。

なんか結局たいした説得力のある説明になりませんでしたが、まあ私はそう考えたわけです。そしてそう考えると、深夜バトルのシーンにいちばん絡んでくる戦士が亜美=マーキュリーであることも納得がいく。亜美は「良い子」「優等生」「天才少女」のレッテルを張られていて、そのことを窮屈に感じてはいるが、おおっぴらにイヤだともいえない。そんな彼女にとって、セーラーマーキュリーという「もう一つの自分」になり、思う存分戦うことは、やっぱり快楽なのだ。いつも夜遅くまで勉強しているから夜にも強いしさ。少なくとも「私に水で勝負するなんて、いい度胸ね」なんてセリフは、まあ昼間は決してこの子の口からはでないからね。

逆に、まこと=ジュピターが深夜バトルにほとんど意味のある絡み方をしてこないのも分かる。両親ともにすでに故人であり、ある意味、亜美やレイよりもたいへんなはずの天涯孤独の少女だが(自分自身の恋愛問題以外では)自分を隠すということをしないので、別に真夜中に出てくる必要はないのである。また、みゅうみゅうの「自然体」な感じは、もちろん彼女自身の資質もあろうが、一年間木野まことを演じたことで培われた部分もかなり大きいはずだ。あれだけ綺麗なモデルさんが自意識過剰にならず、ほとんど無意識だけで動き、自然体で生きているというのはすごいことだ。それもセーラームーンのおかげであるから、彼女の記録を定期的に取っておくことは、将来、たぶんきわめて貴重な生態資料となるはずである。ですから大家さんもめげずにズムサタのレポを続けてください。

というわけで何を言いたいのかわからなくなってきたところで、マジに時間がなくなった。ぐちゃぐちゃな文章ですみませんが、よろしく。また来週。


おまけ】万丈さん推薦の、Act.47、美奈子を失ったマーズ怒りのバウトですが、見応えのある部分は動きが激しすぎてキャプチャできなかったです。ぜひ現物を見てください。


マーズれい子のAct.23もいいですよね。