実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第156回】Special Actの巻(20)

1. Famme Fatal


6月はなんだか慌ただしかった。北川さんのフジ月9ドラマ出演正式決定(2008年6月11日発表)、沢井美優トレカ発売記念イベント開催(6月14日)、フジテレビ人気番組『熱血!平成教育学院』への安座間美優の出演(6月15日オンエア)、沢井美優DVD『沢井流』発売記念イベント開催(6月18日)、小松彩夏バースデーイベント「こまリンピック」受け付け開始(6月21日)、以上、あと何かありましたっけ。情報源は MC-K3さん、sakuraさん、ぽんたさん、ありがとうございます。 私はイベント関係はどれもスルーで、根性なしですみません。
そして前々回のコメント欄で知り、しばらく呆然となった神戸みゆきさんの悲しい知らせがあった(6月18日逝去)。もう一度だけ、黙祷を捧げます。今週は色々あなたのビデオを観たよ。ラストドラクルについては、きっとまた書きます。合掌。


そしてそして、4年の歳月を経て美しく成長した浜千咲あらため梨華あらため泉里果の生存が確認された。これは最初、D.S さんの『ダサいブログ』で知った。で、さっそく問題の写真を見た。もちろんインターネット投票もしたよ。やはりこの人は危険な女である。やばい。
危険な女と言えば小松彩夏だ。いや違ったあの人は「危なっかしい女」だった。
改めまして、危険な女と言えば、女王のごとき杉本彩だ。でも彩さまはサービス精神旺盛なので。彼女の前にひざまずけば、それなりの恩寵は与えられる。うまくすれば濃厚な愛を恵んでいただける(妄想)。
北川景子さんもそうだ。クールな対応の中にもけっこうスキンシップとかありそう(推定)。
でも泉里果はマジで危ない。近づいてはいけない。どれだけご奉仕しようと、指一本触れさせてもらえない(断定)。なのにこちらは、もうぐだぐだに骨抜きになって、夢見心地で預金通帳もローンが残ってる家の権利書もすべて捧げちゃって、女房子どもは実家に帰って、それでも笑顔を見れば、すべて許せる、そういうタイプだ。だって彼女に罪はないんだもん。まさにダークマーキュリー復活である。


というわけで、話題がありすぎて、ほかに書きたいこともいっぱいあるんだが、しかし正月から初めてとうとう半年を越えそうな『Special Act』レビューの先を急がなければならないので、このくらいで地味に本題に入るとしますか。

2. エンタシスの柱ではない


さて話はようやく後半戦に突入した。聖剣のもとに結集した、まこと・亜美・美奈子、そして二匹のネコ(一人は人間体)。背景には、あちこちにギリシア神殿風の柱が散在している。
この柱、使い回しというか、テレビシリーズ本編でよく見たなあ。石膏像との組み合わせで使われていました。たとえばAct.6。ジェダイトが、ストリートバスケの人気者、今井タケルを利用して大阪なるたちを拉致した異空間には、この柱と石膏像が乱立していた。Act.21で、クンツァイトが亜美を連れ去り、まことたちの前で、ダークマーキュリー変身を初披露した場所にも、柱と彫像。それから Act.28、もとに戻った亜美が、うさぎと迷い込んだダーク・キングダムの森にも、壊れかけたギリシア風の石膏像があった。そしてチェス盤を使って二人を追い詰めるクンツァイトの部屋には、ちょっと形状は違うが、やはり柱が立っている。
これは一体、何なのか。その説明らしき描写は Act.26にある。ダーク・キングダムにピアノのメロディが響き、クンツァイトはこめかみを押さえる「またゾイサイトか。奴の音は要らぬ記憶を呼び覚ます!」。その脳裏にフラッシュバックする前世の光景。崩壊した宮殿、仲間をすべて失い、絶望のあまり絶叫するクンツァイト。その背後では、ジェダイトがこの柱の下敷きになって息絶えている。瓦礫の中には粉々にくだけた石膏像もあるに違いない。
どうして幻想即興曲がクンツァイトの前世の記憶を甦らせるのかというと、ゾイサイトはかつて一度人間として復活して、ショパンにこれを教えたのだという説がある。私はむしろ、 ショパンがゾイサイト自身の、かつて転生した姿なのだと思う。が、そのへんの詳細はいずれ考えるとして、ともかくこの柱とか石膏像は、要するに前世の地球の宮殿の残骸である。たぶん、崩壊した宮殿で命を失ったジェダイトやクンツァイトは、現世に異空間を作り出そうとすると、意識の底に封印されている苦痛の記憶が、そういうものを実体化させてしまうのだ。
で、この『Special Act』で「伝説の聖剣」の周囲に散在している柱だが、これは地球の宮殿ではなくて、月の宮殿のものだね。Act.28や Act.37でかいま見ることのできる前世の映像によれば、月の宮殿も地球の宮殿も、だいたい似たり寄ったりで、月にも同様の柱があることが分かる。クイーン・セレニティは、伝説の聖剣を地球に転送する際に、間違ってその周辺にあった柱も何本か送ってしまったのだろう。何しろ月の宮殿のコンピューターは、「星の破滅」があった遠い前世の昔から、基本的にメインテナンスを受けていないのである。この程度の誤差は仕方ないよね。
何回か前のコメント欄で、こっちよ!さんが「何でまた東京ではなく、わざわざ栃木の岩舟山採石場跡に聖剣を届けたのか」というようなことを書かれていましたが、立体映像だったらルナのもとにどんぴしゃり送れるが、物理的な実体をテレポートするとなると、もはや月の宮殿のコンピューターにはそこまでターゲットを合わせる精度がなかった、とも考えられる。
すでに滅んだ星の宮殿、だが科学技術は生きている。そこに、最後の住人として一人とどまる女王、というクイーン・セレニティの姿は、我々世代だと、どうしてもイスカンダルのスターシアにイメージが重なってしまうんだが、あの人は、1年以内に14万8千光年も彼方までコスモクリーナーを取りに来いなんて、とんでもない無理難題を人類にふっかけた(帰路を考えれば半年以内か)。聖剣を送ってくれただけクイーン・セレニティの方がましだよ。なんて関係ないことを書いているからレビューが進まないのである。

3.「新人のマーズれい子さん」(Act.23)


さあそして戦士たちは、心をひとつにして、聖剣へと歩み寄る。カメラは明らかに美奈子のミニスカート狙いで、ローアングルから美奈子にぐっと寄るが、見えない。くやしい。いやこれは私の感想ではなくて、舞原監督の心情を私なりに想像しただけである。
舞原賢三は、まことだけではなく、ルナの顔もかなり泥で汚している。
実写版セーラームーンで美少女達の顔を汚すのは、舞原監督だけだ、と思って調べてみたら意外と高丸監督もやっていた。という話は【第154回】の「3. Les anges aux figures sales」で書いたとおりだ。でもやっぱり、こういうルナの顔のヨゴレを見ると「舞原監督の趣味だよなあ」と思う。舞原監督の『仮面ライダー電王』第20話「最初に言っておく」の最後の方で、ハナ(白鳥百合子)が顔を泥だらけにして「私はね、良太郎が電王で良かったと思ってるよ」と言って、良太郎(佐藤健)がちょっとはにかんだように微笑むシーンが、私は大好きなんだ。
いや話を戻そう。

ル ナ「レイちゃんがいなくても、平気かしら」
美奈子「レイならいるわ。心は私たちと一緒よ」
亜 美「うさぎちゃんもね」

ちょっと前に、ルナに「もしかして、戦士がそろわないとだめなのかも」などと、いかにも、最後に戦士が全員そろって聖剣を抜くシーンがありそうなセリフを言わせておいて、結局レイは欠席。サギじゃん。な〜にが「心は私たちと一緒よ」とご立腹の方もおられるだろう。その気持も分からなくはない。が、ここはひとつ怒りを抑えて、 美奈子の「レイならいるわ」のセリフを、じっくりと味わいたい 。
小林靖子は誰が誰をどう呼ぶかということについて、繊細なほど注意ぶかい。アニメでおなじみの「まもちゃん」「うさこ」を、実写版は使わなかったが、そういう方針への布石は、すでに Act.1で打たれている(よろしかったらこの日記の【第2回】をご参照ください)。亜美の「月野さん」から「うさぎちゃん」への変化が、Act.5で どれほどの感動を生んだかは、説明するまでもない。そして美奈子だ。
かつての美奈子は、戦士たちを現世の名前で呼ぼうとはしなかった。その心境に変化が訪れたのが、Act.45だった。
Act.44のラストで、戦いの場で意識不明となり、病院にかつぎ込まれた美奈子は、Act.45の病室で、アルテミスに向かって「ジュピターたちに怪しまれちゃったかな」とつぶやく。ここでは「ジュピター」だ。しかし同じ回のラストでは、セーラージュピターが「たとえ命を捨てても、前世の使命を果たす」という決意を胸に、メタリア妖魔と心中自爆を試みたとき、思わず「まこと!」と叫ぶのである。
皮肉なことに、続く Act.46で、美奈子から「どうしてあんなことしたの!あんな、自分の命を…」と咎められたまことは、美奈子に決然と「前世の使命のため。あれぐらいやってもいいと思ったんだ。ヴィーナスが、残りの命を賭けていることを知ったら」と答え「ジュピターは、永遠だから」と続ける。
美奈子をヴィーナスと呼び、自分をジュピターと呼ぶ、そんな「まこと」の姿に激しく動揺した「ヴィーナス」は、やがて「美奈子」として生きることを決意する。その時には、もう美奈子の心の中で、戦士たちは現世の名前になっていたに違いない。
それでも Act.47で、クラウンに残した仲間への手紙では、まだちょっと照れている。うさぎのことを「プリンセス、うさぎ」なんて言ったりしてね。プリンセスと影武者ではなく、アイドルとファンの「うさぎちゃん」の関係でもなく、一緒に観覧車でケーキを(一口だけ)食べたお友だちとして「うさぎ」と呼びたい。でもまだ、ためらいがあって、それで「プリンセス、うさぎ」だ。心から「うさぎ!」とだけ叫ぶシーンは、Final Actのラストまで持ち越される。まことと亜美の名前は、あえて呼ばない。そしてレイのことは、この手紙の中でさえ、相変わらず繰り返し「マーズ」だ。まあこの二人には色々あったからねえ。しかし頑固者である。
結局そういうわけで、美奈子が「マーズ」でも「マーズれい子さん」でもなく、素直な気持ちで「レイ」と呼ぶシーンは、テレビシリーズ本編には、なかったのではないかと思う。以上の前提を踏まえて、もういちどこの会話に戻りたいと思います。

ル ナ「レイちゃんがいなくても、平気かしら」
美奈子「レイならいるわ。心は私たちと一緒よ」

「レイならいるわ」この一言を美奈子に言わせるために、レイを物語から退場させたのなら、それはそれでいいと思う。そんな美奈子の想いに応えて、まるでAct.29で帰還した亜美のように、仲間に手を差しのべる眼帯と包帯姿のレイの姿で、十分じゃないですか。

4. プリンセスの結婚


三人と、病院にいるレイとが心をひとつにあわせると、新生ダーク・キングダムから逃げ出したうさぎも、はっとして振り返る「みんな!」。そして、脱出の時に衛から託された指輪を指にはめてつぶやく「ぜったい助ける」。一方、力を合わせてついに伝説の聖剣を引き抜く美奈子と亜美とまこと。
ところで、美奈子の「レイならいるわ」というセリフに、亜美は「うさぎちゃんもね」とかぶせる。美奈子は一応そのことばにうなずいてみせるけど、ちょっと態度が曖昧だ。おそらく内心で「それはちょっと違うんだけどね」と思っているんじゃないだろうか。
だってうさぎの気持は、みんなと心をひとつにして聖剣を引き抜くことよりも、衛を助けることに向けられているのだ。だから「うさぎちゃんのことも忘れないでよね」という亜美の思いは分からなくもないが、このセリフは何となくしっくり来ない。どうしてか。
そもそもクイーン・セレニティが月から聖剣を転送したのは何のためか。

ル ナ「クイーン、プリンセスとエンディミオンが…」
女 王「分かっています。ここまでひどいことになるなんて…。それに、プリンセスの心がとても乱れていますね」
ル ナ「うさぎちゃんが?」
女 王「でもそれはプリンセスが自分で解決する問題です。いまは戦士たちに頑張ってもらわなければ」

彼女はこう言って聖剣を送ってきた。この話し方からして、女王が五人を対等に見ていないことは明らかだと思う。あくまで「プリンセス」と「プリンセスを守る戦士たち」である。つまり女王が言いたいのは「伝説の聖剣を送るから、みなさん心をひとつにして、マリッジブルーの娘をよろしく守ってね」ということである。だからみんなが「心をひとつにすれば」とクイーンが言うとき、その中にプリンセスは入っていないと思う。
要するにここから先、話は「地球の王子と月のプリンセスのご成婚。それを邪魔しようとする悪い奴らと、家来の戦士達の攻防」というおとぎ話のパターンになる。この後、本物の四天王が登場することによって、それはますますはっきりする。彼らは「マスターのめでたい婚礼の儀を邪魔だてする奴らは、我々が許さん!」というニュアンスで登場するのだ。
こういう「王子と王女は最初から赤い糸でつながっていて、最後にはやっぱり結ばれました。めでたしめでたし」みたいなおとぎ話のテイストは、原作漫画のものだ。実写版はその逆である。うさぎと衛は前世からの因習を打ち破って結ばれたのだし、戦士たちは、前世のようなただの家来であることを越えることで、ほんとうのうさぎの友達になれた。実写版セーラームーンは、みんなが前世の束縛から解放されていく話だった。なのにこの『Special Act』では、何かこう、うさぎと衛の結婚は前世からの悲願で、クイーン・セレニティもそのために助力を惜しまず、四天王も帰ってきた、というニュアンスがあって、そこにちょっと異和感が残るのである。



本日はこんなところで終了。
ところで、このブログは一昨年、東海地区限定で再放送が始まったとき、その感想を書くために立ち上げたのだが、当時ここと同じように再放送レビューをやっていた物好きなブログが、もうひとつあった。親方さんの『40歳からのヲタク道』である。ただ親方さんは後半で体調を崩して入院されてしまい、レビューは中断されたままだった。その後退院されたので、コメント欄で「実写版レビューの再開は?」とおたずねしたら「亜美ちゃんが復活したら」というお答えだった。
そしてこのたびの泉里果の復活を受けて、Act.45からレビューが再起動した。残り話数も少ないのでじっくりやっていただきたいが、何しろ名古屋支部長(M14さんがそう任命したのである。どういう権限があってかは知らないが)だ。頑張ってください。
さらには、休止状態にある『ぼうたろうの日記』や、浜千咲ブログの本丸「狩水衣」の復活も待たれる。『深淵の構造 オタク篇』の書き込みによれば、 長茄子さんは今回の件を「あるがままに。」という感じで受け止めていらっしゃるという。道を究めた人は言うことが違うね。んじゃまた。