実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【訃報】神戸みゆきさん


3代目セーラームーン 神戸みゆきさん(1984-2008)

   ご冥福をお祈りします。

 

すまん、夕食の支度とか子供を風呂に入れたりとかあって、家族が寝静まってから、ブログを書く意欲もおこらず、ぼーっと2001春ミュージカルのビデオを観ていたよ。第1部が『ラスト・ドラクル最終章 超惑星デス・バルカンの封印』で、第2部が『スーパーレビュー・ミュージカルショー』という2部構成だ。
ビデオに収録されているのはもちろん池袋サンシャイン劇場での公演だが、私はこれを名古屋公演で観た。生で体験した最初で最後の神戸みゆきムーンだ。データによると2001年4月5日、愛知県勤労会館ですね。これは正直なところ、まだ幼稚園児だった娘にはきつい公演だった。だがお父さんは熱中した。
神戸みゆきがセーラームーンを演じていた2000年から2001年までの4作品は、4作品なんだけど一般には「ラスト・ドラクル3部作」と呼ばれている。つまり『新/変身・スーパー戦士への道 ラスト・ドラクル序曲』(2000年1月)、『決戦 トランシルバニアの森 〜新登場!ちびムーンを護る戦士達〜』(2000年8月)、『決戦 トランシルバニアの森【改訂版】 〜ダークカインの謎〜』(2001年1月)、『ラスト・ドラクル最終章 超惑星デス・バルカンの封印』(2001年3月)である。
これらの作品は、ところどころに原作漫画の台詞を埋め込んではあるけれど、基本的にはオリジナル・ストーリーである。どういう内容の話かと聞かれても、いわく形容しがたい。やたらと衒学的で、オカルトとか神学とか魔術とかの専門用語とかがちりばめられていて、プロットは入り組んで難解だ(たんに破綻しているだけという説もあるが)。悪役の存在感が強く、セーラー戦士が変身して戦うシーンが少ない。あと、うーん、すみません、ラストドラクルのまとめ解説をするには準備が要りますね。ともかく、脚本・演出の斉樹潤哉が随所で自分のゴシックな趣味を全開にしてしまったせいで、小さいお友だちに理解しやすい内容にはなっていない。そもそもオープニングで「前回までのあらすじ」を戦士たちが述べる舞台なんて、それいいんだろうか?セーラームーン史上、最大の異色作であり問題作である。
正統派のセラミュファン(って何なのかよく分からないが)の中には、このシリーズを高く買わない向きもけっこういるようだ。が、他方で熱心なファンもいる。私もそうである、なんて「最終章」しか生で観ていないし、実写版派の私が言うのもおこがましいが、でも、もしセーラームーンがアニメだけだったら、私はこんなブログを始めてはいなかったろう。私の場合、アニメ→原作→ミュージカル→実写版という順序で段々とのめり込んできたが、最もおおきなターニング・ポイントになったのは、やはりセラミュだ。
ところがこの「ラスト・ドラクル」の魅力を語るのはものすごく面倒だ。どうしてかというと、さっきの繰り返しになっちゃうけど、脚本・演出は自分勝手に好きなことばっかりやっているし、ヴァンピール(小野妃香里)やドラクル伯爵(望月祐多)を初めとするダークサイド陣は、しばしばセーラー戦士以上に魅力的で、マーキュリー(河辺千恵子)は、従来の「亜美ちゃん」のキャラクターを平然と自分向けにカスタマイズして、屈託のない笑顔を浮かべているし、セーラーサターン(冨岡真理央)のターンは地球の重力を無視しているし、とにかく、イメージがひとつにまとまらなくて、ドンドンとっ散らかっていくのだけれど、それでいて魅力的、という、そこのところのニュアンスが、なかなか説明しづらいのである。そしてその「とっちらかっている」印象の中心にいるのが神戸みゆきの、アニメのうさぎがそのまま舞台に飛び出してきたかのような破天荒な弾けっぷりであった。

 

う〜ん、ここから話は、黒猫亭さんの実写版レビュー『牛なはれた週末』の本籍地でもある、『あんこくたぶれっつ』というサイトになるはずだったのだが、やっぱりね、今日はちょっともうダメだ。また改めて書きます。
ともかくバンダイは、これを機に「神戸ちゃん追悼企画」としてラストドラクルのDVDを出しなよ。VHS版が今のような値段で取引されている状況はあまり健全ではないと思う。

 


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今日はずっと「FIRE」をかけっぱなしだった。
神戸みゆきさん、「うさぎちゃんの好きなものは?」と尋ねられたら、私は「クッキー、あんみつ、まんじゅう、アイスクリーム、モンブラン」と即座に答えられる。それはあなたのおかげだよ。そしてああいうセリフをくちにするときの、元気印のあなたの姿はみんなを幸せにした。
正直言って、あなたはこの後、もう一皮むけて舞台で大成する役者だったと思う。くやしいね。どうもありがとう。

 

追伸:「神戸みゆきさんって、どういう人かよく分からないや」という方は、MarsPowerWebさんに紹介されている「原史奈&神戸みゆき対談」をぜひお読みください。神戸さんのキャラクターがすっごくよく分かりますよ(ここ)。