実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第154回】Special Actの巻(19)


首位阪神タイガースと2位中日ドラゴンズのゲーム差がぐんぐん広がりつつある現在、みなさんいかがお過ごしですか。まあゆうべは勝ったらしいから、いいか。
で、これ以上プロ野球の記事が読みたい(阪神ファンの)方は「ぽんたのエスティマ日記」にでも行ってくれ(なげやり)。名古屋支部としては、悪いがさっさと話題を変えさせてもらう。えーと、6月6日配信のyahooニュースに出ていた記事。「アイプリモ」というブライダルダイヤモンド専門の宝石店が、20代から30代の男女300人を対象に「プロポーズに関する意識調査」を行ったそうです。その結果 ――

「男性から女性へのプロポーズ」に関する質問に対し、女性の約8割が “プロポーズが出来ない男性が増えていると思う”と回答。特に20代女性の82.7%がそう感じているという。
ではなぜ男性がプロポーズできないのか? 「プロポーズできない男性が増加している原因」を女性陣に尋ねたところ、“二人の恋愛関係において男性に主導権がないから” という声が4割。
また、男性の2割が “プロポーズをしようと考えたにも関わらすプロポーズを断念したことがある” と回答し、その原因として最も多かったのが“プロポーズをするきっかけがなかったから”とのこと(複数回答可で68.7%)。

まあ、ほっといてくれと言いたくなるような話である。プロポーズというのは、いざ「やろう」と思ってできるものではない。逆に言えば、その気がないのにうっかりプロポーズしてしまう場合だってあると思う。私の場合がどちらであるかは内緒である。っておい。
ともかく、相手が完全に「受け入れ拒否」の体勢では、もちろんプロポーズなんて出来っこないが、だからって「カモ〜ン、早くう」と受ける気満々だったり、あるいは「今日は言うかな、今日は言うかな」と緊張感もあらわに待ちかまえられても、こっちだってなかなか言い出せなくなるものなのだ。
今日の『Special Act』レビューは、衛がうさぎにエンゲージ・リングを渡す回想シーンを中心に観ていきたいと思っているが、このとき、地場衛の顔がもうガチガチに硬いのは、そういうわけで、ものすごくよく分かる。これって名演技だ。この時点での自分の演技力の限界を逆手に取ったジョージ渋江の勝利である。いや私はマジで感心しているんだよ。
ついでに見出し語のタイトルも、全部「ブログでフランス語」にしてみた。あんまり意味はない。

1. La mariée était en noir


さて新生ダーク・キングダムでは、いよいよ黒い婚礼の鐘が鳴ろうとしている。こういうときでも「おれはもう結婚式はうんざりなんだけどな」と、あいかわらず減らず口をたたく地場衛は、ちょっとどうかと思う。性格なのでしょうが、ミオにも「私となら楽しいよ」なんてあっさり返されてしまって、結局、二人してうさぎにイヤミを言っていることにされてしまうしね。しかも続くミオの杖のひと振りで、あっさりマインドコントロールである「行こう、祭壇で永遠の愛を誓うんだよ」ここで出ました。
こちら名古屋支部のつけた音楽番号で言うとNo.091、正調「黒木ミオのテーマ」である(CD『Rare Track Collection』トラック20「黒木ミオのテーマ」)。この『Special Act』では、いままでオリジナルの黒木ミオのテーマが使われていて、テレビ本編でお馴染みのミオのテーマは、この場面でようやく出てくる。

2. Moment fatal


一方、なんとか外まで逃げ出したうさぎは、何か手錠を外そそうな道具はないかとポケットとかまさぐっていたら、なんとポケットから、衛に叩き返したはずのピンクダイヤのリングが(ピンクダイヤというのはあくまで推定。【第133回】参照)。さっき、うさぎを逃してやったとき、衛がこっそりうさぎのポケットに滑り込ませておいたのだ。そういうことをするなら、もっと素直に、ことばで自分の気持を伝えればいいのにねえ。ま、この性格じゃ無理か。
でも指輪に気づいたうさぎは、初めてそれをもらったときのことを思い出す。
うさぎの回想。
横浜ベイブリッジが見える埠頭に佇んで、海を見つめる衛とうさぎ。二人はツーリングでここまで来たようで、背後には衛のバイクが置いてある。【第131回】に書いたように、この『Special Act』では、オープニングとエンディングで二人がバイクに乗るが、ヘルメットは顔の見えるキャップ型になっている。おそらく、幸せそうなうさぎの笑顔が見えるように、という配慮だろう。だがここでバイクのハンドルに引っかけられているのはフルフェイスの黒で、だから当然、うさぎもフルフェイスの白だろう。キャップ型にする必要のないシーンでは、やはり安全第一だ。
時刻はちょっと夕暮れ時っぽい。横浜港で夕暮れといえば、Act.32で、ロンドンから衛が帰ってきて「いつかのマフラー、まだあるなら、もらっていいかな」「そんなの、ダメだよ、もうすぐ夏だし」というあのシーンだけど、こことはちょっとロケーションが違うようだ。私は先々週のいまごろ、横浜ベイの某所で仕事をしていて「Amitie du weekend」の録音に失敗したわけだが、そんなことはこの際どうでもいい。
うさぎは柔らかい笑顔を浮かべて海を眺めているが、衛の表情はかなり硬い。そりゃ、これから指輪を渡すのだから緊張するよな。私もドキドキだったよ。もう十数年も前、動物園でデートして、シロクマの檻の前のベンチだったんだけど。いや妻が動物好きでね、ってそれもこの際どうでもいい。
二人とも夏服で、うさぎはノースリーブのワンピースだが、かといって思い切り「夏!」という感じでもない。衛は固い表情のまま、指輪をうさぎの手に押しつけ、埠頭の方へすたすたと行ってしまう。
経験的に言わせていただければ、これは誕生日のできごとである。誕生日と別の日に婚約指輪を贈ってしまうと、誕生日は誕生日でまた別のプレゼントをしなきゃいけないことになって、出費がものすごくかさむのだ。りきんで言うようなことじゃないが。
で、亜美の運転免許が、原作どおりの誕生日で「平成元年9月10日生まれ」になっていたところからして、当然うさぎの誕生日もこれに準拠して考えてかまわない。つまり実写版の月野うさぎは平成元年(1989年)6月30日生まれである。そうすると、この回想シーンは今からちょうど1年前、うさぎが18になった2007年6月30日の出来事である。初夏を思わせる二人の服装にもぴったり合う。ここで指輪を渡して正式にフィアンセとなり、1年後の結婚を約束した、と、そういうふうに考えるのが自然だと思う。
衛からいきなりそれを手渡されたうさぎは、何だろうという表情で手を開いて、目を丸くして、それから満面の笑みを浮かべて衛のもとへ走り寄り、腕を絡ませてくっつく。可愛いですね。もうこういうお芝居をさせたら沢井美優は最高である。このシーンだけ切り取って、映画館で「給料三ヶ月分」のCMとして使っても十分通用する。幸せを呼ぶ沢井美優の笑顔は、カメリアダイヤモンドとかゼクシイとか結婚式場とか、その手のコマーシャルで絶対うまくいくと思うんだが、どうか。あとアコムとかアイフルとか消費者金融のイメージキャラクターでも十分いけるはずだが、これはあまりやって欲しくない。
まあともかく、そんな二人の思い出にかぶせて、うさぎのモノローグ。

「これから、ずっと二人で暮らせることが、嬉しくて。……昔を忘れてたのは、私の方かも」

このとき流れるBGMは名古屋支部番号No.068である(CD『DJMoon2』トラック6「大好きなあの人と」1曲目)。お馴染みのスコアで、ある意味うさぎと衛の「愛のテーマ」でもある。たとえばAct.26のラスト、衛はロンドンへ、うさぎは飛行機に背を向けて「C'est la vie」を歌いながらひとり歩く、というシーンに流れるのがこの曲だ。それからAct.32、失踪した衛を追いに本気でロンドンまで行こうとするうさぎの前に、エンディミオンが帰還して「良かったぁ」とへたり込むシーンもこの曲。さらにAct.43、衛(命を吸い取る石入り)のバイクに乗せられ、思い出の海岸に到着したうさぎが「ここって…」とつぶやく場面もこの曲だった。二人がこれまで、様々な困難に直面しながら、それを乗り越えて結ばれたことを、しみじみと思い出させてくれるメロディである。

3. Les anges aux figures sales


さて、場面は岩舟山採石場跡で戦うまこととセーラールナに戻る。どうも、倒しても倒してもピエロ妖魔が次々に登場してきて、キリがないという状況のようだ。

ル ナ「もう、ダメかも…」
まこと「大丈夫。みんな来る、絶対来る」

だからその場合、まことの想定する「みんな」にレイは入っているのか。
という問題はさておき、戦うまことの頬は泥で汚れている。Act.31「だから私は、一人で良いんだ」の再現である。あの回も舞原監督だ。
と思ってたら、あれは高丸監督であった。私の中では、セーラー戦士がほっぺを泥で汚しているシーンというのは、舞原監督の専売特許だったのだ。Act.14の亜美の「うさぎちゃんを、返して」の印象がよほど強かったのか。でも、ざっと記憶に浮かんでくる「ほっぺに泥」をリストアップしてみたら、意外なことに高丸監督と舞原監督が半々であった。

Act監  督ヨゴレている人備  考
Act.14舞原賢三マーキュリー「うさぎちゃんを返して!」
Act.31高丸雅隆ジュピター「だから私は一人で良いんだ」
Act.46高丸雅隆マーズ・マーキュリー・ジュピター「ヴィーナス!」「何で?変身できないのに」
Final Act舞原賢三レイ・亜美・まこと「うさぎちゃんを止めなきゃ。うさぎちゃんと戦っても」
ふうん、そうだったか。なお変身前から汚しが入っているのは、最後のFinal Actのみで、あとは全部、変身後の戦闘シーンで顔が汚れる。それから、セーラームーンとヴィーナスにはそういうシーンがなかった。と思うのだけれど、そのへんについては、私の思い違いかも知れないので、ご記憶の方はぜひコメント欄にご一報ください。
ちなみに、ほっぺに泥がついたマーズの、いちばん可愛い笑顔は、残念ながら現在手に入るソフトには収録されていない。初回放送時のビデオを保存しておられる方は、Act.45ラストの、予告編のあとのDVDプレゼント告知を見て欲しい。

セーラームーン「テレビの前のみんな!」
 マーキュリー「番組のDVDを」
    マーズ「1巻から6巻セットで」
  ジュピター「5名様にプレゼントします」
  ヴィーナス「必要事項を書いて応募してくださいね」
 全員ならんで「待ってまーす!」

このとき、たぶんAct.46の撮影中に撮ったために、みんなの頬に汚しが入っているのが妙にキュートなんだが、とくにマーズの可愛さは尋常じゃないぞ。
いや脱線した。そのAct.46も、木洩れ日のまことが印象的なAct.31も、舞原監督ではなく高丸監督だったのだ。「ほっぺに泥」の戦士たちの魅力を初めて我々に示してくれたのはAct.14の舞原監督だが、Act.31とAct.46でそのイメージを受け継ぎ、ふくらませてくれたのは高丸監督だったのだ。佐藤監督がそういうことを考えなくて本当によかったと思う。この場合「ほっぺ、もしくは二の腕とか、肌の部分だけが汚れている」ところがポイントなんだが、健光監督だと「顔だけってのは不自然だ」とか言って、戦士たちの純白のセーラー服や手袋にも、全体的にうす汚れた泥をつけてしまうに違いないからだ。そのあたりがきちんとしている高丸監督は偉いなあ。実は私、ゆうべも金曜ナイトドラマ『キミ犯人じゃないよね』を観て激しく脱力していたのだが、気を取り直した。
いやまた脱線した。ともかく多勢に無勢。まことは、ハァハァ言いながらも、相変わらずシャープな動きで道化師妖魔を倒していくのだが、なにしろ後から後から、きりがない。ハリセンで応援しているセーラー・ルナもだんだん弱気になってくる。

ル ナ「もう、ダメかも」
まこと「大丈夫、みんな来る。きっと来る」

自分に言い聞かせている様子でもあるが、相変わらず、一途に人を信じるまことである。本当にいい人だ。そしてその願いが届いて、新たにやってきたピエロ軍団に紛れ込んでいた亜美が、なぜか消火器を手にカミングアウト「まこちゃん、ルナ!」「亜美ちゃん」。ほどなく美奈子もバイクで道化師を蹴散らしながら登場「おそくなってごめん」「おまたせ!」。ルナも嬉しそうである「美奈子ちゃん、アルテミス!」。
しかしこの様子から考えて、美奈子は、無免許運転・信号無視・スピード違反など、道路交通法を片っ端からぶち破りながらバイクを飛ばして来たように思えるのだが、どうか。そもそもこのようなハイヒールでバイクに乗っていいものであろうか。
いずれにせよワイドショーや芸能雑誌では叩かれるだろうなあ。だって自分勝手に帰国を決めて、帰って来るなり無免許(推定)で都内を爆走ですよ。ただ、レイや黒木ミオや沢尻エリカを相手にするときにはめちゃくちゃ鼻っ柱の強い愛野美奈子だが(一部推定)、インタビュアーに対しては常に腰が低くて、ものすごく不思議なおじぎで相手を煙に巻くという高等テクニックも持っているので(Act.10の最後の方を参照)それなりに事態をうまく収めることができるかも知れない。あとは菅生社長の手腕だ。
ともかく、まこと・亜美・美奈子の三戦士と白猫と黒猫はそろった。物語はいよいよクライマックスへ突入。というところでまた来週。