さて前回「祝!泉里香さん大河ドラマ出演特別企画『正直不動産2』全話レビューやります」なんてことを前回、勢いに乗って書いてしまった。
でも実は、ずっとレビューしていたWOWOWの『眼の壁』も、次にレビューを予定している北川景子×吉岡里帆の『湊かなえ 落日』もシリアスな話なので、いったん『正直不動産2』で息抜きしようと、ブルーレイBOXを買ったりして前から用意していたわけ。そこへ泉里香さんの大河出演という話が降ってわいたというだけの話です。
泉里香さんネタはほかにも『ギフテッド』『密告はうたう』とあるんだが、どれもやっぱりキャラが重いので、やっぱり『正直不動産2』をこれから毎回1話ずつ、あくまで泉里香出演場面を中心に、サクサクっと楽しんでいきたいと思いますので、よろしく。
でも『光る君へ』といえば、ほかにもいろいろ個人的に応援したい人が出ている。ファーストサマーウイカだって、よくぞここまで来たと思うが、ひとまず、いまは三人だけ挙げておくね。みなさま大河ドラマ御出演、おめでとうございます。
本題に戻って『正直不動産2』、まず今回は第1話「帰ってきた正直不動産」の御紹介。里香さんの出番はめちゃくちゃ少ないので、基本登場人物をおさらいしておきましょう(2024年1月9日、原作:大谷アキラ・夏原武・水野光博/脚本:野本ノンジ/照明:長谷川誠/撮影:山﨑一央/演出:川村泰祐/プロデューサー:樋渡典英・室谷拡/制作:NHKエンタープライズ/制作・著作:NHK・テレパック)。
オープニングは工藤美桜。小悪魔系というか愛人系の芝居もサラリとこなせるところが、この人の強みである。
相変わらず「嘘がつけない」という祟りが解けないままの永瀬財地(山下智久)。何とかならないかと、エセ坊主(泉谷しげる)の御祓いに行ってみた。悪霊退散ならば北川景子のところへ行くべきだった。
結局、効果なし。ここまでがアバンで、タイトルが出た後、和菓子職人の石田(山﨑努)がラーメンを食べている。新作和菓子を永瀬に食べさせるため、登坂不動産に来店したのだ。それがなぜか出前のラーメン。
石 田「この出前は本当に良い。かすかに伸びている感じも良い。大好き」
永 瀬「ああそう」
永 瀬「うん」
石 田「もっと美味そうに食ったらどうだ。新作なんだから」
永 瀬「すいません。……このまえ護摩行、行ったんですけど、ぜんぜん効かなかったっす」石 田「どこ行ったの?」
永 瀬「わりと有名なとこなんですけど」
石 田「有名って、それは他人が認めたことでしょ。おのれの眼で見て決めなきゃ駄目」
永 瀬「おのれの眼」
石 田「おれだったら、祟りはぜんぶ受け入れるな。受け入れた上でうまく付き合って行く」
永 瀬「なるほど」
石 田「はいピース」(写真を撮る)
山崎努は山下智久の守護神みたいなもんであるが、このドラマに関して言うと、実は『最高の人生の終り方 〜エンディング・プランナー〜』(2012年、TBS)同様、生身の人間ではなくて、山崎努こそ、山下智久を正直者にしている神様の化身なのではないかと思えてくる。シーズン1の最終回にそういう連想をさせる描写があった。ともかく「おれだったら、祟りはぜんぶ受け入れるな。受け入れた上でうまく付き合って行く」という石田のセリフが、今シーズンの永瀬財地のメイン・テーマになっていきます。
登坂不動産は少し顔ぶれに変化があった。まず変わっていないところから言うと、当然ながら社長の登坂寿郎(草刈正雄)、営業部長の大河真澄(長谷川忍)、営業の月下咲良(福原遥)は前作通り。それに谷口(斉藤ひかり)、黒木(岩戸秀年)、毛利(藤大祐)といったあたりも古参。
受付の大野沙友理(牧野利佳)は前シーズンからいたが、竹中亜美(高野渚)はスペシャル版からの続投。
そして営業の新入社員。前シーズンでフリーになった桐山(市原隼人)に代わり、もともとお得意さんの地主だった藤原結弦(馬場徹)が永瀬のライバル的立ち位置でレギュラー入り。
さらに扱いがめんどうなZ世代の新人十影健人(板垣瑞生)。まったく仕事をやる気がないその態度に、部長も永瀬も、そして咲良さえ、しばしばキレ気味になってが、この子はマダム(大地真央)の紹介で入社したもんだから、そうぞんざいには扱えず、みんな必死に我慢している。
一方のライバル会社、ミネルヴァ不動産は、社長の鵤聖人(高橋克典)以下、花澤涼子(倉科カナ)、西岡将生(伊藤あさひ)、受付(藤河杏実)など、シーズン1からの顔に加えて、スペシャルで登場した東野芳樹(財津優太郎)が引き続き登場。
そして今シーズン永瀬たちの前に立ち塞がる最大の敵が、かつて登坂不動産の営業ナンバーワンで永瀬の先輩だった神木涼真(ディーン・フジオカ)。
第1話のお客は、歯科医の田口篤司(戸次重幸)と友梨佳(土村芳)夫妻。土村芳は『ゲキカラドウ2』で泉里香に代わってヒロインを務めた人だ。二人の息子が田口櫂(佐藤遙灯)。『約束のネバーランド』でグレイスフィールドハウス子どもたちのひとりとして北川景子と共演していた。
一家はタワマンの購入を希望。ウソがつけない永瀬は、まず先にタワマンのデメリットを正直に説明したうえでメリットを挙げていくというやり方で田口一家を納得させる。
<タワマンのデメリット>
*柱が太いので通常のマンションより柱や梁が太く、有効面積が狭くなり割高。
*朝はエレベーターが大渋滞。
*ベランダに洗濯物が干せない場合もある。
*耐震性問題。
*戸数が膨大で人間関係が複雑。
*修繕積立金の追加徴収の可能性がある。
<タワマンのメリット>
*何ものにも代えがたい景観。
*陽当たりもよく夜景もロマンチック。
*上層階ほど虫が少ない。
*物件によっては24時間ゴミが出せる。
*コンシェルジュが常住。
*セキュリティも完璧。
*展望ラウンジ・パーティールーム・フィットネス・スパ・サウナ。
*1階には24時間営業のスーパー。
*値崩れしにくい。
「よし、決めた、買います」と即決する田口。が、順調に内見まで進んだところで、やる気のない十影が、物件の鍵を忘れるという失態を犯す。
月下が手配に奔走しているうちに、ミネルヴァ不動産の神木が登場、ロビーに待たせていた田口一家に接近して、巧みな話術で自分の客にしてしまう。
で、永瀬と神木の間に色々やり合いがあるんだが、その過程で永瀬は、奥さんがいつも少し右足を引き摺っていて、階段の上り下りが自由でないことに気づく。
一昨年に交通事故にあったときの後遺症が残っていたのだ。奥さんはそれを家族に隠していた。でも息子は気づいていた。
永瀬と月島はミネルヴァ不動産に乗り込み、契約寸前の田口にそのことを指摘する。田口は大切な家族の思いに気づいて、神木に勧められていたタワマンへの移住を取りやめる、というお話。
神 木「永瀬、お前ずいぶん変わったな。客に何もかも正直に話すなんて」
神 木「忘れたか。お前は嘘をついても俺には勝てなかった。嘘をつかずに俺に勝てるとでも思っているのか?」
永 瀬「勝ちますよ。必ず」
神 木「ずいぶんな自信だな」
永 瀬「ええ。私は嘘がつけない人間なんで」
神 木「面白い。だったら覚悟しておけ」
神 木「お前からすべてを奪ってやる」
宣戦布告。しかし「すべてを奪う」とはどういうことか。永瀬はもはやタワマン住まいでもない安アパート暮らしで、失うものなど何もないはずなんだが。神木が永瀬から奪おうとしているものは何か。
咲 良「もう。十影くんがぜんぜん手伝ってくれないから前より残業ふえたって感じする」
咲 良「あぁ疲れた~」
咲 良「え?」
咲 良「美波さん?」
咲 良「なんで神木さんと?」
咲 良「うっそ」
ようやく美波(泉里香)登場というところで、残念ながら第1話はおしまい。とはいえ、第2話以降の展開に期待がもてますね(って、もう半年以上前に放送しちゃってるドラマなんですが)。では今回はこのへんで。