実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第933回】体調管理に気をつけようの巻(『眼の壁』その2)


 急に気温が下がったのに衣替えがついて行かず、なんかちょっと鼻声になったなと思ったら、もう一週間も頭痛・喉の痛み・咳・熱が取れない。2度目のコロナかインフルエンザにになったかな。実は妻も似たり寄ったりの症状。本日は寿がきやの「鯱乃屋カレーうどん」食って、あとこれを書き終わったら寝ます。



 さて、この『眼の壁』というドラマ、おそらく作り手としては、原作発表時と同じ昭和30年代を舞台にしたかったのだが、手間もお金もかかるし考証も難しいし、原作からおよそ30年後の1990年に持っていったのだと思う。でも1990年なんて、いまから30年以上前の平成2年、ぎりぎり平成ではあるが、ほとんど昭和だ。



 前回の繰り返しだが、男たちはけっこうところかまわずタバコをぷかぷか吸う。1990年って、まだみんな、こんなに普通にタバコを吸ってたっけ? 国民生活基礎調査を参照してみたら、原作が書かれた1957年の成人男性の喫煙率は80%、ドラマの舞台となる1990年には53%、昨年2022年は25%だそうである。設定上、泉里香も紫煙をくゆらすという珍しいシーンもあるのだが、指がなんか不自然。惜しかった。



 そして連絡を取るのは公衆電話。携帯電話はもちろん、ポケベルすら使わない。1990年ってそんなもんだったっけ? これも調べてみたところ、『ポケベルが鳴らなくて』という不倫ドラマがヒットして主題歌のCDが50万枚を売ったのは1993年、そして『セーラームーンSuperS』のエンディングテーマ「“らしく”いきましょ 」(Meu)で「泣きたい時には/ポケベルならして/よんで/戦士の休息」と唄われた1995年が、日本のポケベル利用者のピークだということだ。そうか。



 物語の主人公で探偵役の萩崎竜雄は、原作では昭和電業製作所という電機メーカーの会計課次長である。昭和電業は工場・支店含めて5,000人の従業員を抱えているというから、けっこうな企業である。ところが、もうすぐ大口の手形を落して現金化する算段はできているのだが、その期日が社員の給料日に重なっている。給料を期日に現金で支払えなければ組合が黙ってはいない。このわずかな時間差をなんとか埋める、緊急のやりくりが必要だ。



 なんて分かったふうに書いてはいるが、私はこういう経済のことはさっぱり理解できていないんですけどね。
 一方ドラマ版の企業名は「ウキシマ電業製作所」(笑)で、時代はバブル崩壊で、急速に資金繰りが厳しくなったという状況。主人公の萩崎竜雄(小泉孝太郎)は経理課長で、夜遅くまで奔走している関野部長の帰りを待っている。が、しかし帰ってきた関野(甲本雅裕)の表情は冴えない。常務の篠田(俵木藤汰)や山岡(おかやまはじめ)に呼び出されても、報告できる内容もない。



篠 田「あと10日だ。2億円用意できなかったら確実に不渡りを出して銀行取引停止だ。こんな事態を招くまで、なぜ手を打たなかったんだ」



関 野「まさか大口の支払いが重なるこのタイミングで、得意先の大型倒産が発生するとは予期できませんでした」



篠 田「問題は10日後をどう乗り切るかだ。一月後には大口の入金があるから、それまでの繋ぎ融資で良い。……朝野銀行はどうなんだ? これまでの古い付き合いがあるだろう」



関 野「朝野銀行には掛け合っているのですが、すでに30億の借入れ金があり、これ以上の融資は厳しいようです



山 岡「朝野銀行だけでなく、ほかの銀行も契機の先行きに不安を感じて慎重になっています」


 そういう状況なので、怪しげな金融業者の山杉(陣内孝則)から、これまためちゃくちゃ怪しげな話を振られても、まんまと食らいついてしまうのだった。ここで実は泉里香がこっそり初登場しているので注意。



山 杉「ああ、ウキシマの」



関 野「山杉社長、先日お電話させていただいた件なんですが……」



山 杉「ああ……うちではちょっと、都合がつきませんが、他に話を振ってみましょうか?」



関 野「誰かを紹介していただけるんですか⁈」


╳    ╳    ╳



山 杉「ウチにもたびたび顔を出す、堀口という、株式や債権などの取引の仲介をしている優秀な男です。私の知っている限りでも、いくつもの大きな取引を成立させています」



関 野「……堀口さん……」



関 野「で、その堀口さんと会ったんだが、に億円を調達できる、ある方法を提案してくれたんだ」



萩 崎「……ある方法……」



関 野「もう少し詰めて話が進んだら君にも説明するが、これがなかなか、奇抜な発想でね」



萩 崎「……はぁ……」



関 野「しかし、これでウチの会社は救われる。社長や役員たちより、まず苦労を共にした君に知らせたくてね」



萩 崎「いえ、僕は何もやっていませんので」


 と言いつつ、この胡散臭い話を素直に受け入れがたい萩崎は、翌日ホテルのラウンジで堀口と会うという関野に同行する。しかし……。



萩 崎「わかった、また連絡する。うん」


╳    ╳    ╳



萩 崎「すみません。別クチで進めていた株主からの短期融資、先方が応じてくれそうなんです。すぐに話をしたいということなんですが」



関 野「そうか、ありがたい話だ。不足分が補えるんだ……そろそろ、堀口さんが来る時間だ。そっちは君に任せて良いか?」



萩 崎「はい。行ってきます」
関 野「頼む」



 出ぎわに、関野のいるあたりに眼をやった萩崎は、近づいて行くひとりの若者の姿を認めた。あれが堀口か。






 堀口の顔を見極めたいが、微妙に確認できない萩崎……と、そのとき、ふと近くに、関野と堀口の様子をこっそり伺うもうひとつの視線があることに気づく。















 これが萩崎と、謎の美女、絵津子との最初の接触であった。……続く。




 今日はこんなところで失礼します。すんません。