今週も週末あっちこっちへ移動しなくちゃいけなくて、更新が遅くなってすみません。
さて大河ドラマ再登場とか第2子御懐妊とか、話題の絶えない北川景子さんであるが、そうこうするうち、毎週日曜日にオンエアされていたWOWOWオリジナルの連続ドラマW『落日』全4話が最終回を迎える。最終回となる2023年10月1日(日)は、第1話から最終話まで一挙放送だそうだ。ただし無料放送とかではない。
で、これをちゃんとレビューできるかどうか、まだ腹が定まらないけど、第1話はYoutubeで無料公開されているし、ほかに思いついた企画もないので、ちょっとサワリだけ試してみます(2023年9月10日放送・配信、原作:湊かなえ/脚本:篠崎絵里子/照明:井上真吾/撮影:伊藤麻樹/監督:内田英治/チーフプロデューサー:青木泰憲/制作:WOWOW)。
主人公の長谷部香(北川景子)は、監督第1作目が世界的な映画賞で受賞した気鋭の新人映画監督。原作小説では「監督よりも女優をやればいいのに、と、うっとりしてしまうような美しい人だ」(湊かなえ『落日』「第1章」ハルキ文庫)と描写されている。しかし、2作目に対するプロデューサー(浜田学)の反応はイマイチ。
佐々木「この度は本当におめでとうございます」香 「ありがとうございます」佐々木「初の監督作品でベルサイユ国際映画祭作品賞ですからね」
香 「あの、それで、お送りした企画書は読んでいただけましたか?」
佐々木「個人的にはたいへん興味深く拝読いたしました」
佐々木「でも、今これはちょっと。ウチからオファーしておいて申し訳ないんですが」
佐々木「御存知のとおり映画は今、良いものを作れば観てもらえるって時代じゃないんで。ぱっと明るくて、分かりやすい企画でないと、通せないんです」
香 「分かりました。御期待に沿えなくてすみません」
佐々木「あ、失礼ですけど、これは長谷部さんのためでもあるというか。こういうのは、2作目が重要ですから。まずは実績を作るために、確実に客を呼べる題材を選んだ方がいいですよ」
香 「……私、1本目を撮った後、もうこれで監督を辞めようと思ったんです」
香 「でも考え直しました。まだ撮らなきゃいけないものがあったから」
佐々木「それが、この企画ですか?」
香 「はい」
佐々木「う~ん。確かに良いストーリーなんですよね。キャストが良ければ何とかなるか……」
WOWOWということもあって、なんとなくちょっと河瀨直美とか連想するが、いや私は河瀨さんを詳しく知るわけではありません。ただの思いつきです。
一方、甲斐真尋(吉岡里帆)は脚本家の卵で、有名売れっ子脚本家である大畠凜子(黒木瞳)のもとで事務をしながら脚本家修業をしているのだが、なかなか良いホンが書けない。
凜 子「真尋ちゃん」真 尋「はい?」
凜 子「書いてもらったこのプロットね、悪いけど、これじゃ使えないから、全部ボツ」
真 尋「すいません。どこを直せば良いですか?」凜 子「いや、私が書き直す。もう時間もないし」
凜 子「……ウチに来て8年経つけど、真尋ちゃんの脚本がオンエアされたのって1本だけだよね。それも私のピンチヒッターで」
真 尋「私クビですか?」
凜 子「いや、脚本家は本来、給料もらって雇われる仕事じゃないよ」真 尋「……」凜 子「真尋ちゃんは、アシスタントじゃなくて、脚本家として独り立ちしたいんでしょ?」
凜 子「勉強のためにウチに居てもらっているけど、その環境が真尋ちゃんから危機感を奪っているんだとしたら、考えなきゃならないと思ってる」
凜 子「真尋ちゃんも考えといて」
真 尋「……」
凜 子「打ち合わせ行ってくるね」真 尋「行ってらっしゃい」
真 尋(溜息)
真 尋(着信音がしたので携帯を手に取り)「大畠凜子事務所です……はい、私ですけど」
そんな真尋のもとに香から電話がかかってくる。どうやら佐々木プロデューサーが、香の胸中を知って考えを改め、第2作の制作にひとまずゴーサインが出たらしい。で、その脚本を真尋に依頼したいというのだ。話題の新進映画監督からの突然の御指名に、喜びよりも疑惑を懐いてしまう真尋は、取りあえず待ち合わせの場所に足を運ぶ。
香 「お電話でもお話したけど、いま2作目の映画を考えてて、甲斐さんに脚本をお願いできないかと思っているの」真 尋「その前にすいません、何で私なんでしょうか、監督ほどの方が、私知名度ないし、ドラマ一本しか書いてないし」香 「そのドラマを観たの。偶然なんだけど、知り合いがスタッフで入ってたから」
真 尋「じゃあ、ドラマ観て」
香 「そう。その、ドラマのラストで、こう、主人公が、山の中にある灯台から、夕陽を眺めるシーンがあるでしょ」
真 尋「はい。あのシーン自分も気に入っていて」
香 「あのロケ場所って、笹塚町の笹浜海岸よね。……あの場所、甲斐さんが提案したって聞いたんだけど、もしかしたら甲斐さん、笹塚町の出身なんじゃない」
真 尋「そうですけど」
香 「やっぱり……だったらこの事件を知っている?」
香 「15年前のクリスマスイブ、引きこもりだった21歳の長男が、高校生の妹を殺した」
真 尋「これって……けっこう古いやつじゃないですか?」
香 「長男は立石力輝斗。妹は立石沙良」
立石力輝斗を演じているのが竹内涼真で、妹の立石沙良は乃木坂46の久保史緒里。うさぎちゃんだ!
久保史緒里は2019年の乃木坂セーラームーンミュージカルで主演に抜擢されて、中国公演までこなした。なかなか力のこもった演技だった。
沙 良「来るな、来るな」
沙 良「お兄ちゃんやめて、お兄ちゃん」
沙 良「お願い、お兄ちゃんやめて!」
香 「力輝斗は逃げる沙良を追い回して、包丁で15箇所を刺して殺害」
香 「その後、犯行を隠すために、火をつけることを思いついた」
香 「その時、一階で寝ていた両親も一緒に焼き殺した」
香 「犯人の力輝斗には死刑判決が出ていて、いまも拘置所で刑の執行を待っている」
香 「私、この事件を映画にしたいの。力輝斗がどんな人間で、殺された沙良がどんな人生を送ってきたのか」
香 「……沙良はどうして殺されなきゃならなかったのか……」
セーラームーンがメッタ刺しに惨殺される話である。それはマーズとして放ってはおけないだろう……というところで、ようやくタイトル。ここまでアバンだったのか。しかしそろそろ時間も尽きてきた。ほんの導入部までで申し訳ないが、今回はこれまで。ところで、実写版本編のDVDレビューを再開する話はどうなった? って自分に聞いても仕方ないか。