実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第921回】家買う沢井の巻(『シッコウ!!~犬と私と執行官~』第6話)


 一年前、日本大学が林真理子を理事長に起用したと聞いた時は「なにバカなことを考えてるんだか」と大いに呆れたが、私が浅はかであった。すまぬ。



 林真理子はいまも『週刊文春』にエッセイ「夜ふけのなわとび」を連載中で(同一雑誌におけるエッセイの最多掲載回数」としてギネスに認定されているそうだ)、そもそも文藝春秋社は『不機嫌な果実』など数々の代表作の版元である。新潮社も、小学館も右に同じ。林真理子は不況にあえぐ出版業界を救うドル箱作家である。



というわけで、今回のどうしようもない日大の記者会見に関しても、文春は完全に沈黙。ちなみに文春デジタルで「日本大学」という検索ワードをかけてみると、直近で出てくるのは次の記事。



 8月4日(金)に国連の専門家が記者会見でジャニーズ性加害問題について言及したという出来事は、重要なニュースだったはずだ。……(中略)……だが会見直後の週末、この問題に触れなかった番組があった。……(中略)……フジテレビ「Mr.サンデー」も同様に取り上げなかった。宮根誠司が司会を務める報道番組で、組織をめぐる問題として日本大学アメフト部での薬物汚染問題を報じながら、ジャニーズ性加害問題は扱わない不自然さが印象に残った。(水島宏明「〈ジャニーズ性加害問題〉芸人やタレントが、「藤島ジュリー景子社長の進退」「金銭的な補償」を語りだした」『文春デジタル』2023年8月13日)


 逆に文春は、ジャニーズ問題をここまで大きく報じながら、薬物問題に関する日大の記者会見はまったく扱わない不自然さが印象に残ってしまったわけである。いや文春ばかりでなく、新潮も似たり寄ったり。



 講談社の『FRIDAY』はかろうじて、林理事長に対してそれなりの皮肉を述べてはいるが、主な攻撃の矛先は元検事の副学長に集中させている。組織改革など到底できそうもない人に理事長を振った日大の人事は、こういうときのマスコミ対策だったのである。おそるべし。



 さて、大雨にやられ、ダイヤが乱れに乱れた東海道新幹線で無事、名古屋に戻ってきました。墓場の草むしりはきつかったっす。というわけで今回は、コメント欄でお知らせいただいたドラマ『シッコウ!!~犬と私と執行官~』第6話のレビューをお届けする(2023年8月15日放送、テレビ朝日・アズバーズ、原案:小川潤平『執行官物語』/脚本:大森美香/照明:花岡正光/撮影:五木田智/演出:星野和成/プロデューサー:川島誠史・菊池誠)。



 「執行官」というのは、民事裁判の判決を受けて、財産、金品、不動産などを差し押さえたり強制執行したりする人だそうだ。



 舞台は東京地方裁判所、南目黒支部執行官室で、主人公の吉野ひかり(伊藤沙莉)は正規の執行官ではなく、執行補助者。犬を飼っているんだが、彼女がアシストしている執行官の小原樹(織田裕二)は犬嫌いという設定。



 執行官室には、ほかに室長の日野(勝村政信)、執行官の渋川(渡辺いっけい)や間々(菅原大吉)、事務員の栗橋祐介(中島健人)などがいる。



日 野「それでは本日の開札期日を始めます」


 第6話は、東京地裁で、借金の担保で差し押さえられたマンションが競売にかけられる場面から始まる。



 最高価格をつけた入札者は、並み居る不動産業者ではなく、鶴瀬良樹(宮崎秋人)・芽衣(沢井美優)の若夫婦であった。



芽 衣「あの封筒、私たちの封筒だよね」



良 樹「そう。このなかで一番高い入札額を書いた人が、あのマンションを落札できるんだ。大丈夫かなぁ」



芽 衣「大丈夫。まわりは不動産業者ばっかだもん。私たちは真剣度がちがうんだから」



日 野「開札結果の発表を行います。事件番号、令和五年・ケ・第四七六号、物件番号一の入札枚数は十枚」



日 野「最高価買受申出人は鶴瀬良樹さん」



日 野「入札額二千八百三万円、二千八百三万円」



良 樹「僕?」



芽 衣「あぁ、そうだよ、私たちだ」



芽 衣「やったぁ!」


 念願のマイホーム購入に喜ぶ鶴瀬夫妻。ところがそこへ乱入してきたのが、このマンションの所有者、佐久山伸司(でんでん)と、それを引き止めようとしている孫の真琴(毎田暖乃)、そして飼い犬の忠太郎。



佐久山「おい、おい、止めろ」



真 琴「ちょっとお祖父ちゃん」



佐久山「なに勝手なことやってんだ!」




 佐久山は妻を亡くし、息子は事業に失敗して妻と離婚、そして一年前に失踪してしまった。残された孫娘の真琴(と愛犬の忠太郎)と暮らしていたところが、なんと失踪した息子が、親のマンションをカタに多額の借金をしていたことが発覚する。



 そんな話を息子から聞いていない佐久間としては、いきなり立ち退きを警告されたところで、とても納得のいく話ではない。出て行く気もない。困ってしまったのが鶴瀬夫妻だ。



小 原「ではその御老人というのが、この部屋のもともとの持ち主なんですね」
良 樹「はい。その佐久山さんというおじいさんの息子が、借金の担保にそのマンションを抵当に入れていて」



芽 衣「それが競売にかかって、それを私たちが買ったんです」



良 樹「何回もうかがって……」



良 樹「この部屋は僕たちが競売で買ったんです」



佐久山「俺の家だ!」



良 樹「って怒鳴られて……」



芽 衣「裁判所に文句言ったら『それなら引き渡し命令を出してもらって、執行官に明け渡しを頼んだら』って」



小 原「命令が出ていますから、明け渡しは当然可能です」



芽 衣「よかったぁ」



良 樹「ほっとしました」


 執行補助者のひかりは、お互い犬好きということで佐久間の孫娘の真琴と次第に打ち解け、なんとか円満に物件の受け渡しをできる道はないかと模索する。



とはいうものの佐久山にとっては、教師として定年まで真面目に働き、やっとの思いで手に入れた唯一の財産が、身に憶えもない理由で突如差し押さえられる、という理不尽きわまる事態である。



 執行官の小原は何度も佐久山を訪問するが門前払い。お互いに平行線のまま、強制執行の日は近づいてくる。



栗 橋「佐久山さんから何か連絡はありましたか?」
良 樹「いえ、うちには何も」
小 原「では予定通り明日、明け渡しの強制執行を行います」



小 原「あの部屋はかなり荷物もあると考えて、明け渡しの費用はこれくらいになるかと」



良 樹「わかりました。払います。マンションを安く買えたんだから仕方ありません」



芽 衣「一昨日もマンションを見に行ったら、お孫さんが小学校から帰ってくるところを見かけました」



芽 衣「追い出すなんて可哀相だけど、でも、私たちも二人で一生懸命に働いて、何とかお金を貯めてあのマンションを買ったんです」



良 樹「おい、泣くなよ」
芽 衣「……もう心配で……」



良 樹「すいません。実は、子供ができたって分かってから、ナーバスになっちゃって」
栗 橋「子ども、ああ、そうですか」



小 原「あ、それは、おめでとうございます」



芽 衣「ありがとうございます」



良 樹「家族で、僕たちが買ったあの家で、幸せに暮らしたいだけなんです」



良 樹「どうか、どうかよろしくお願いします」


 そして強制立ち退きの当日。座り込みを決め込む佐久山だが、小原は人海戦術で容赦なく家具を運びだす。



 怒り心頭に発した佐久山は執行官室に乗り込んで大暴れ。



 でも歳のせいで腰をやられてしまい、ついにギブアップ。



 佐久山だって、若い鶴瀬夫妻を憎む気持ちはもちろんないのだ。むしろ、真面目にこつこつ貯めたお金で、やっと念願のマイホームに手が届いた二人の気持ちは、自分がこのマンションを購入したときの喜びと、ほとんど重なるのだ。



 孫の真琴の説得もあり、ようやく気持ちも落ちついた佐久山は、荷物を取りに真琴とマンションに戻る。当座はホテル住まい、それからねぐら探しだ。

 



小 原「時間より早く終わりました」



良 樹「無事できて良かったです、本当に」
芽 衣「良かったね」
良 樹「ね」
芽 衣「どうなることかと思ったけど、本当に良かった」
良 樹「本当にありがとうございました」



芽 衣「もう住めないかと思っていたから、嬉しくて」



小 原「いいえ。お待たせしました」



ひかり「あ、佐久山さん!」



佐久山「急に、熱いお湯が出ることがある、うちの給湯器は」



佐久山「ばあさんが一度、火傷しそうになった」



佐久山「だから初めから、水の蛇口と両方をひねった方が良い」



良 樹「……はい……」



佐久山「あとそれから、奥の間のふすまは忠太郎が噛んだから、取り換えた方が良い」



佐久山「あと、ベランダは、あまり陽が当たらない」



真 琴「あ、でも朝は明るいです。だから洗濯物も朝早くから干せば、ちゃんと乾きます」



芽 衣「そう……そうですか」



ひかり「確かに、ベランダ東向きでしたもんね」



佐久山「ああ。朝日がきれいで、よくばあさんと眺めたもんだ」



佐久山「待たせて、申しわけなかった」



良 樹「いえ。床も壁も、あまり傷みもなくて、長年丁寧に、綺麗にお使いだったんだと思います」



芽 衣「私たちも、きっと大事に使いますから」



佐久山「ありがとう。どうぞお幸せに」



小 原「佐久山さん! 今晩、泊まるところはありますか? 念のため福祉事務所に連絡を取ってありますが」
ひかり「はい。私が福祉事務所まで御案内いたします」



佐久山「あんたらの世話になんかなるか! ホテルでも探すよ」



佐久山「本当に執行官ってひでえ奴だぜ」



ひかり「じゃあ、ホテルまでの荷物運び、手伝います」



小 原「……ケース・クローズド。一件落着」


 というわけで、とりあえず犬や子役を前面に出すあたり、少々あざとい作りとはいえるが、まあ、沢井さんの出番もセリフも多くて、良いドラマであった。沢井さん自身の結婚、小松さんの結婚、セーラームーン絡みの北川発言、戦士会など、なんだかんだといま、沢井さんにも注目が集まっているかな、と思う。今後もこういう感じでゴールデンのドラマなどにちょいちょい顔を出して、中堅どころの綺麗な女優さんとして、広く顔を覚えてもらえるようになっていただきたいものです。



 ところで、うちで織田裕二を取り上げるのって、ひょっとしたら『太陽と海の教室』以来ではないかと思うのだが(どんだけだよ)あれよりいまの織田裕二のほうが断然良かった。
 では今回はこれまで。次は泉里香の『ギフテッド』行こうか。