デビュー20周年記念写真集「『37』20th anniversary」2023年10月4日発売(SDP)
「37歳で写真集を出せるなんて驚きですが、きっとこれが最後になると思いますので、これまで応援してくださった皆様に笑顔になっていただけるような写真集にしたいと思い作りました」(北川景子)
さてそれでは、上沼・北川対談に専念してだいぶ遅くなってしまったが、今回は去る2023年5月16日に放送された『踊る!さんま御殿!! 有名人の夫を転がす奥様SP』(日テレ)を取り上げたい。はたして沢井美優は、うまく明石家さんまにハマることができているのか。ちなみにこの回のゲストは総勢12名。
太田光代(タイタン社長/太田光の妻)山口もえ(女優/田中裕二の妻)近藤千尋(モデル/太田博久の妻)蜂谷晏海(モデル/井戸田潤の妻)沢井美優(女優/高岸宏行の妻)板野友美(元AKB48/高橋奎二の妻)大迫あゆみ(ランナー/大迫傑の妻)梶原沙帆(歌手/元関脇豊ノ島の妻)野口啓代(スポーツクライマー/楢﨑智亜の妻)藤沢あやの(モデル/藤沢とおるの妻)久代萌美(フリーアナウンサー/はるくんの妻)池田有希子(女優/モーリー・ロバートソンの妻)
職種で分類するとお笑い芸人の妻が5人、アスリートの妻が4人、それに漫画家とYouTuberとモーリー・ロバートソンの妻が1名ずつという内訳である。うち番組初登場の人が5人いるということで、まず明石家さんまからひととおり声をかけられる。たぶん明石家さんまは沢井美優のことは知らない。事務所も芸風も違う後輩若手お笑い芸人の嫁ということで、まずは探りを入れていく感じ。
さんま「そして沢井さん」
沢 井「はい」
さんま「そうかぁ、沢井さんが、あいつの嫁なのか」
沢 井「はい」
さんま「何やったっけ、『ガンバルンバ』やったっけ」
沢 井「やれば、できる!」
さんま「せやった。やればできる。でもまだ野球やっとんの」
沢 井「やってます。今日もたぶん練習してお仕事へ行っていると思う」
さんま「はぁ~、すごいよなあ」
沢 井「うふふ」
さんま「ほんまの二刀流やもんなぁ。独立リーグとお笑いやもんなぁ」
沢 井「はい、皆様の支えがあって」
さんま「こっちはもう、現役で頑張ってらっしゃるから」
板 野「いやいやいや」
さんま「だからもう旦那の憧れやろ、たぶん」
沢 井「いやもうそうですね。奥さんとしても、いろいろ教えていただきたいなぁと」
板 野「こちらこそ、もう何もないです」
さんま「じゃあお前、どっちに進むねや」
沢 井「あはは」
さんま「お笑いの方へ進め。(太田の方を指し)こっちに聞いた方がええで」
高岸宏行の場合、お笑い芸人であると同時に、独立リーグ栃木ゴールデンブレーブスの選手でもある(この番組が放送された翌月、肩の故障で練習生扱いとなったが)。で、沢井さんの席が、プロ野球投手の妻である板野友美の後方、タイタンの太田光代社長の右隣という位置で、そのことに絡んでいじられている。出だしは悪くないね。
そして話題は「夫の忘れ物の話」へ。試合にユニフォームを忘れたり、海外遠征でパスポートを忘れるアスリートの夫、舞台でスベってショックのあまり手ぶらで帰宅してきた芸人の夫、などの話がひとしきり盛り上がった後で、さんまが沢井に振る。
さんま「どう? 高岸は」
沢 井「ぜんぜん変わらないです」さんま「あ……ずっとあんなんな感じなの?」沢 井「そうですね、忘れ物とかもないと思います」
さんま「家でもあのままなの?」
沢 井「あのまんま……あのまま?」
さんま「え?」
沢 井(笑)
さんま「何で質問しているのに質問で返すかな?」
沢 井「みなさんが想像している高岸がどれなのか分かんないんですけど……」
さんま「テレビで視ている高岸やないかい!」
沢 井「じゃ高岸です!」さんま「なんじゃそれ?」
沢 井(笑)
さんま「……ああそうか、ああいう人しか無理か(笑)」
さんま「どんな夫婦生活、ねえ、帰ってきてどんな感じなの、『お風呂に入るね』とか?」
沢 井「お風呂に入るぞ」さんま「入るぞ」
さんま「今日の汚れを落すぞ!」
沢 井「そうです『疲れを癒やすぞ!』」
さんま「て言うて、ほんで出たときは……」
沢 井「『すっきりしたぞ!』」
(会場爆笑)
さんま「で、奥さんとしてはどう言いかえしてあげんの? お風呂上がって、『オレは今すっきりしたぞ!』って言うたら」
沢 井「『やったね!』」
さんま「絶対一緒に住みたくないわ」
そうそう、変にボケようとか、オチを作ろうとかしなくても自然体でそれで良いのだ。さんまさんもけっこう喜んでくれているぞ。それになんか、この番組の沢井さんってば、ちょっとうさぎちゃんっぽい。
次、「夫の以外な素顔」。スピードワゴンの井戸田潤がかなりお笑いに熱くて、家でテレビでお笑い番組を観ているときも喜怒哀楽が激しい、という話が蜂谷晏海夫人から出てきたところで、さんまが沢井さんに「どうや?」と振る。いつも情熱的なキャラで知られる高岸だが、家でもあんなふうに、真面目に笑いの練習に取り組んでいるのか?という趣旨である。
さんま「どうや?」
沢 井「言ってます」さんま「え?」沢 井「『やればできる』」さんま「え?」
沢 井「『やればできる』って」
さんま「いや違う……話の流れで、笑いって」
沢 井「笑いって」さんま「うん」
沢 井「笑い、私がよく分かんないんです。……ダンナ?」さんま「ダンナ」
沢 井「ダンナもよく分かんないです」
蜂 谷「誰も分からない」
さんま「笑いのことで、要するに番組を観てカーッとか、『くっそぉ!』とか、M-1とか観ていて悔しがったりとか……」
沢 井「常に、ピッチングフォーム見てます」
さんま「ははは……大事やからなあ。」
このあたりで「沢井・高岸夫妻は天然」というコンセンサスが形成される。さんまとしては、ゲストが何かしら用意したトークネタを披露できるように、あまり話題を限定せず「どうや、高岸は」とか大ざっぱな振り方をするのだが、沢井美優は「それってどういうことですか?」という感じで聞き返してしまうのだ。そもそも、夫婦仲をアピールしてボケようとか、夫の意外な素顔を暴露してウケをとろうとか、そういう下心が一切ない。さすがうさぎちゃん、と私などは思うが、視聴者はどう思ったんだろう。ただ明石家さんまは、そういうガツガツしない天然ボケみたいなキャラクターを理解して、後半もそこそこ、好意的に接してくれていたように思う。
虫が苦手とか、野菜嫌いとか、刃物が苦手で自分で髭剃りもできないとか、そういう「夫の苦手なもの」の話が続いた後も、そういう沢井の反応は一貫している。
さんま「大丈夫? 高岸は」
沢 井「何にもないです」さんま「怖いものが?」沢 井「うん」
さんま「苦手なものも?」沢 井「ないです。」さんま「何にもないの?」
沢 井「なぁ~んにもないです」さんま「何かあるやろ」
さんま「蛇とか」
沢 井「あのぅ……無人島とかも行っているんですけど、お仕事で」さんま「山ゴキブリおったよね」
沢 井「なので、そういうのも何にもないですし、泥水も飲んじゃって」
さんま「……何にもうらやましくない。何にもうらやましくないわ」
で、最後は「自分は夫に甘えるタイプの妻か、夫を甘えさせるタイプの妻か」みたいな話になって、ここでも沢井さんの会話は、結局なにが言いたいのか要領を得ない。これも「トークができない」という烙印を押すか、「すぐに夫婦の赤裸々なエピソードを語ったりしない慎ましさが良い」と好意的に評価するか、ひとそれぞれであろうが、私はもちろん良いと思った。
さんま「沢井さんからお願いします」
沢 井「『お早う』から『お休み』まで」さんま「ライオンかほんま」
(会場拍手)
さんま「なんやねんそれは」
沢 井「『お早う』から『お休み』まで、お互いに誉め合う」
さんま「え何や? 高岸なんか、誉める所ひとつくらいやろお前、『元気ね』くらいだ」
沢 井「ずっと誉めてくるので」
さんま「えっごめんなさい。オレも女性の誉め言葉がものすごく苦手な男やねんけど、どう誉めんのが一番ええの?」
沢 井「いや、『お早う。元気でいてくれてありがとう』って」
さんま「『お早う。今日も起きてくれてありがとう』」
沢 井「で、ご飯とかも、『美味しい、作ってくれてありがとう』だし」
さんま「あ、全部『ありがとう』」
沢 井「全部『ありがとう』なので、最初はすごい、一方的に、沢山『ありがとう』が来るので、私もありがとうを返そうと思って、お互い言い合ってます」さんま「あ、言い合ってんの」
沢 井「うん。『こちらこそありがとう』」
さんま「あ『食べてくれてありがとう』はぁ~」
沢 井「『おはよう、ありがとう』『帰ってきてくれて、ありがとう』」
さんま「はぁ~、『帰ってきてくれて、ありがとう』ああ、まあそれは何年かで終わるやろけどなぁ。『もうそろそろ帰って来ないで欲しいな』って」
沢 井「(笑)で最後は『お休み、今日も一日ありがとう』って……」
さんま「はぁ~、まあええことやけどな。『愛している』も言うてくれるの?」
沢 井「『大好きだよ』『ありがとう、大好きだよ』」
さんま「あ『この世に生まれてきてくれてありがとう』」
沢 井「ありがとう、だからお母さんにも感謝してます)」
さんま「君のお母さんにも『ありがとう』?」沢 井「はい」
さんま「え、何年か刑務所に入ってたんか?」
以上、明石家さんま的には再び使うほどのインパクトを感じてはいなかったと思うが、幸せそうで何よりだ。それに、あの頃のうさぎちゃんがそのまま大人になったような、擦れてない、ぶれてない素の「沢井美優」を堪能できて、良かったと想いました。という感じで、今回はいいかな。ではまた。