実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第909回】アヤメにKOの巻(『特捜9 season6 第3話』中編)


 北川景子さんと上沼恵美子さんがゲスト出演した『まつもtoなかい』のレビューを期待していらっしゃる向きもあるかな、とは思いますが(たぶんNakoさんとか)これは次回取り上げる予定です。今回は、先々週以来、放置されている『特捜9 season6』第3話「偽りの夫婦」の続きにしますね。TVerの見逃し配信期間も終わりましたので、ネタバレ全開でお送りします(2023年4月19日、テレビ朝日・東映、脚本:/照明:片瀬仁美/撮影:大山新悟/監督:細川光信/ゼネラルプロデューサー:大川武宏)。



 「シリーズ悪質商法」という犯罪告発ドキュメントを制作していた映像会社ディレクター、本条美緒(水崎綾女)が変死した。自宅で何者かと揉み合ったあげく、撮影機材の三脚で強く頭を打った、もしくは殴られたらしい。



 美緒が死の寸前まで追っていたのは、不妊治療サロン「ベビ待ち桜セミナー」。子どもが欲しくて不妊治療をしている夫婦の弱みにつけ込み、ちょこっとクエン酸を入れただけの水道水をペットボトルに詰め、妊娠効果のある「願い水」として1本1,5000円で売っていた悪質業者である。



 が、しかし「ベビ待ち桜セミナー」の主宰者とされる真行寺桜(金沢涼恵)も、実はネットからの指示どおりに動いていただけの操り人形で、この商売を背後で動かしているのは「エンジェル」と呼ばれる謎の人物だ。真行寺桜自身もその正体を知らない。



 自身も妊活中を装ってサロンに潜り込んだ美緒は「エンジェル」についての情報を集める一方で、同じサロンのメンバーである川崎留美(沢井美優)と頻繁に連絡をとっており、携帯の最後の通話履歴も彼女が相手だった。



 留美はかつて恋人を事故で失った辛い過去を持つが、いまは輸入家具を扱うインテリア会社の社長、川崎斗真(古澤蓮)と結婚し、幸せに暮らしている。ただ子どもを望んでいるのに恵まれないことが悩みの種だった。



 だが、美緒が遺した取材映像のなかには、留美と夫の川崎社長の隠し撮りも含まれていた。なぜか? もちろん留美はまったく心当たりがないという。



 一方、美緒の夫で今はフリーターの本条悠太(鈴之助)の態度も妙である。自宅で妻が殺されたショックは大きいにしても、警察の事情聴取の要請にも、疲れたという理由で応じようとしない。こういうとき夫なら、一刻も早い犯人逮捕のために、警察に協力を惜しまないものではないか?
 犯人でないとしても、裕太が何か隠し事をしていることは間違いない、と見た青柳(吹越満)は、矢沢(田口浩正)を連れて、あらためて裕太の家を訪ね、殺害現場の検証を申し出る。



 そして、台所に最近買った米の袋があって、中味が少ないところから、米びつに米を満たし、その下に何か隠しているのではないかと推理する。



 ビンゴ。犯人が奪っていったと思われていた最後の取材ビデオを収めたポータブルHDDは、米の中に隠されていた。殺された妻の第一発見者となった夫が、警察が来る前に、とっさにこのハードディスクだけ隠したようである。



 いったい何のために? 青柳と矢沢はこっそりディスクを押収する。しかしもちろん、警察が去ったのち現場を改めた裕太は、それが持ち去られていることに気づく。青柳と矢沢が署に持ち帰ったHDDの内容を分析すると、ほとんどが最近の取材ビデオだったが、そのなかに、10年前のインタビュー映像が収められていた。その内容に見入る捜査1課9係の面々。



 インタビュアーは美緒、そしてインタビューを受けているのは、当時の美緒の婚約者、新海敦(渕野右登)だった。彼は当時すでに重い病に犯され、症状もかなり進行していたが、怪しげな民間療法にはまり、病院にも行かず、高額な「波動茶」を常飲して、効果があった気になっていた。恋人になんとか目を覚まして普通の医療を受けさせたい美緒は、波動茶のインチキを暴くドキュメンタリーを企画し、敦にもインタビューを敢行したようだ。だがそこに割って入ったのが、当時は敦の親友だった本条悠太、つまり現在の美緒の夫である。悠太は当時、波動茶を信じる敦の側についていた。



美 緒「どうして騙されているのが分からないの? ねえ」



悠 太「ちょっちょっちょっちょっ、大丈夫、大丈夫か?な、敦」



悠 太「美緒、それ以上言うなよ。一番つらいのは敦なんだから」



悠 太「大丈夫だよ敦、おれは敦を信じる。敦がいちばん好いようにすればいい、な」



美 緒「もういい。勝手にすれば」



悠  太「楽に、楽に楽に、大丈夫、大丈夫」


 病状はかなり悪そう。なのにというか、だからこそというか、波動茶の治癒効果を信じて、恋人の忠告を頑として受け容れようとしない敦。耐えかねた美緒は、部屋を出ていってしまう。しばらくすると、チャイムとノックの音と共に、その波動茶の配達員が入って来る。



悠  太「はい」



留 美「すみませ~ん。波動茶届けに来たんですけど」


なんと10年前に波動茶の配達をやっていたのは、川崎留美(沢井美優)だった。さらに当時の波動茶セミナーの主宰者を美奈子が問い詰める映像も、美緒のポータブルHDDには収められていた。



美 緒「……成分が一致したんですけど、それを2万で売っているなんて詐欺ですよね」


 この男はこの映像が撮影されて間もなく、マンションから謎の転落死を遂げた。そしてこの波動茶セミナーの主宰者、市川康人(黄地裕樹)こそ、10年前に死んだという留美の元カレだった。



 ややこしい人間関係だが、ともかく、美緒(水崎綾女)の婚約者であり悠太(鈴之助)の恋人だった男を騙して「波動茶」を売りつけていた留美(沢井美優)が、10年後の今、「願い水」を売る妊活サロンに関わっているわけである。これは怪しい。そしてその証拠となるビデオ動画を収めたHDDを、悠太は警察に突き出さず、自宅の米びつに隠していたのである。ということは、個人的復讐を狙っているのか? 



「まずいな」と飛び出す青柳(吹越満)と矢沢(田口浩正)。そしてホテルのロビー。妊活セミナー会場から出てきた留美に近づく大きな人影。




悠 太「言うことを聞けば手荒な真似はしない」



青 柳「やめろ」




悠 太「なんで邪魔をするんですか」



青 柳「復讐なんてしても彼は喜ばないよ」



悠 太「違う」



青 柳「ん?」



悠 太「ぜんぶ美緒の、美緒のためなんだ」


╳    ╳    ╳



悠 太「大学のころ、僕の隣にはいつも敦がいた」



 敦 「お待たせいたしました」



悠 太「敦の淹れたコーヒーと僕の作ったカルボナーラ」



悠 太「このまま時が止まればいい。そう思わない日はなくて」



悠 太「敦ががんになったとき」



悠 太「おれは敦を信じる。敦がいちばんいいようにすればいい、なっ」



悠 太「僕のせいで敦が死んだ。その現実を見るのが嫌で、僕は逃げた」



悠 太「でも一年前、美緒と再会して」



美 緒「悠太、結婚しない?」



美 緒「勘違いしないで。かたちだけ」



美 緒「悠太のことは分かっている。好きだったんだよね、敦のこと」



美 緒「だから絶望して、自暴自棄になって……でもそんなの敦は喜ばない」



美 緒「協力して欲しいの。悠太だから頼んでいる。二人で一緒に敦の無念を晴らそう」



悠 太「分かった」


 つまり、悠太はひそかに敦のことが好きだった。でも敦には美緒という恋人がいたので「親友」の関係のままで黙っていた。そして、敦が亡くなって十年が経ち、まだ立ち直りきれているわけでもない悠太の前に、美緒が「結婚しよう」と現れる。子どもができない妊活夫婦のふりをして、かつて「波動茶」で、いまは「願い水」で人々を騙している詐欺師たちの悪行を、今度こそ明るみに出してやろう、ということだ。



悠 太「でも、そんな美緒と暮らすうちに……」



悠 太「ったく、もう」



悠 太「こんな小さな体で、ずっと独りで戦っていたんだと思って」



美 緒「……こわい……」



悠 太「えっ?」



美 緒「あっ」



美 緒「ごめん、なんでもない。変な夢みた」



悠 太「怖いんだろ。だったら止めろよ、もう十分だろう」
美 緒「それはできない」



美 緒「悠太、このハードディスクに全部入っている。もし私に何かあったら」



悠 太「美緒!もう止めてくれ、これ以上は危険だよ。もうあんな思いは沢山なんだよ」



悠 太「事件の日、買い物から帰ってきたら、玄関の鍵が開いていて」



悠 太「美緒……」



悠 太「このまま警察を呼んでも、美緒の思いは遂げられない」



悠 太「だったらどうする? 美緒だったらどうする?」





╳    ╳    ╳



留 美「すみませ~ん」



留 美「波動茶届けに来たんですけど」



悠 太「あの女だ」



悠 太「あっ」



留 美「ごめんなさいっ!」



青 柳「留美さんが家に来ていた?」



悠 太「あの女からすべてを聞き出すつもりだったんです」


 敦が好きだったはずなのに、気がつけば美緒が好きになっていたという、このあたりの機微は私には少し分からない。なんか単に、パートナーにほれっぽいということなのかな。
 それとも、水崎綾女には同性愛者の男性を異性愛に転向させるほどの魅力があるか。う~ん。それはあるな。そういえば『キューティーハニー THE LIVE』の早乙女ミキも、サディストでレズビアンのパンサークロー幹部、烏川真由美(小田エリカ)に、それはそれは溺愛されておりました。水崎綾女のエロスは性別を越える。



 惚れてまうやろ。ということはともかく、事件当日の午後、買い物に出ていた悠太が帰ってくると、家の近所で留美(沢井美優)とぶつかったという。




 そして帰宅したとき、美緒は死んでいた。
 ということは、やはり沢井美優が美緒を殺した犯人か? そうでなくとも、留美が生前の美緒に直接会った最後の人物であり、事件について何か重要事項を知っていることは間違いなさそうである。



 ということで、いよいよキーパーソンとなる沢井美優の事情聴取が始まる。
 というふうに舞台を整えたところで、今回はここまでが限界。済まぬ。結局、私まで水崎綾女さんに傾倒してしまい、沢井さんの出番が少なくてすみませんでした。次回は沢井&北川でしっかりまとめるつもりです。