実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第905回】里奈の休日の巻

小池唯・小池里奈・小池彩夢
『小池三姉妹』(2009年)より


 金曜深夜フジテレビで『オールナイトフジコ』というバラエティ番組が始まった。1980年代後半に放送されて人気を呼んだ『オールナイトフジ』のリメイクということだが、80年代の私はテレビのない独り暮らしだったので、ほとんど知らないんですよ。今回の『フジコ』も観ていない。



 では何故こんな話題から始めたかというと、かつてオールナイターズの一員だった阿部由美子が、1999年に立ち上げた芸能プロが、ベリーベリープロダクション(Very Berry Production)だったのである。



 そもそものきっかけは栗栖あつこであった。彼女は『激走戦隊カーレンジャー』(1996年)のピンクレーサー/八神洋子を演じ、さらに『出動!ミニスカポリス』(1998年)の5代目ミニスカポリスリーダーに着任されて、けっこうイケイケだった1999年、所属していたサンミュージックを辞めた。そのとき、新たにマネジメント担当するために立ち上げられた会社がベリーベリープロダクションである。



 その社長が元オールナイターズの阿部由美子さんだったいきさつは、よく分からない。同プロはその後、『キッズウォー5』(2003年)で石田真紀(緑色の髪の子)を演じた小松愛なども輩出している。ま、『キッズウォー5』といえば、何と言っても沢井さんですけどね。



 あっ、間違って小松さんのつもりが沢井さんになっちゃった(わざとらしい)。
 しかしベリーベリーといえば、やはり小池里奈である。デビューのきっかけは社長じきじきのスカウトだった。



 9歳の大みそか。家族で栃木から東京に遊びに来ていた時だった。「新宿伊勢丹の喫茶店にいて、隣の席にいた女の人と何度も目が合うから、ちょっと怖くなってたら、その人が両親にあいさつして…。人生、初のスカウトでした」
 女性は、元タレントで芸能事務所社長の阿部由美子さんだった。
(「気になリスト(15) 童顔の癒やし 小池里奈」『日刊スポーツ』2013年9月28日


 そしてその翌年には『美少女戦士セーラームーン』でデビューを飾ることになる。最初はちびうさ役のつもりだったそうだ。小池里奈の証言によると、オーディションでは強力なライバルがいて、てっきり自分は落ちたと思ったそうだ。



小 池「実写の『セーラームーン』に新しいキャラクターが登場するということで、候補を探しているということでお話があったんです。実は最初はちびうさ役ということでお話を聞いて、それでオーディションを受けていました。だから、自分はちびうさ役なんだなってずっと思っていたんですけど(笑)、衣装合わせの時に、初めてセーラールナという役なんだということを教えてもらいました」



小 池「オーディションの最後の頃に8人ぐらい女の子が残っていたんですけど、その中によくオーディションで会う子がいて、その子はすごく演技がうまいので「ああ、自分は負けちゃったな」って思ってたんです(笑)。でも、オーディションはとにかく頑張ろうと思ってやりました。お母さんからは『8人中、1人しか選ばれないんだから無理よ』って言われてたんですけど…(笑)。やっぱり演技のうまい子もいたからダメだったのかな、と思っていたのに。とにかくビックリしました」
(「東映ヒーローネット セーラームーンの自乗×事情」第7回より)


 これは実写版放送中に「東映ヒーローネット」に連載していたセーラー戦士対談の最終回で、すでに本編の放送が終了してから行なわれた小池里奈×潘恵子対談からの引用ですが、その場に丸山眞哉プロデューサーも立ち合っており、ところどころ補足を入れている。それによると、当時まだ新キャラクターの詳細な設定が固まっていなかったので、とりあえず「ちびうさ」って説明してオーディションを行ったのだという。
 ところで、問題の「よくオーディションで会う子がいて、その子はすごく演技がうまい」って子のことだけど、誰だと思う?
 ここからはただのヨタ話として聞いて欲しいが、「すごく演技がうまい」のに、ルナ役に落ちたということは、バランスの問題なのではないだろうか。たとえばセーラー戦士と比較しても演技がうますぎるとか、可愛すぎるとか。安達祐実も子役時代に「可愛すぎる」という理由でオーディション落ちたことがあるっていうし。だからレギュラーは与えなかったけど、ピンポイント的には意外と使っていたとか。そんなふうに考えると、実写版セーラームーンが放送されていた2003年から2004年にかけて、東映特撮でピンポイント的に使われていた、小池里奈と同い年の、ある「演技がうまい子役」が浮かびあがって来るのである。


『仮面ライダー龍騎』第49話(2003年1月19日放送)より志田未来


映画『劇場版 仮面ライダー555 パラダイス・ロスト』(2003年8月公開)より志田未来


映画『特捜戦隊デカレンジャー THE MOVIE フルブラスト・アクション』(2004年9月公開)より志田未来


 という、これが今回、初めて発表する名古屋支部の「幻のセーラールナ仮説」である。諸賢の御判断を乞う。ちなみに『女神の教室』ではなかった、『女王の教室』は実写版セーラームーンの翌年、2005年の作品だ。



 話が逸れてしまった。ともかく小池里奈はそういうスキルのある子役ではなく、まったく芸能界に無縁の栃木の小学生が、スカウトされて1年後に、それなりのレッスンとかも受けていたのだろうが、抜擢されたわけだ。そう考えるとなかなかの才能といえるのではないだろうか。演技指導とかどうだったのだろう。さっき見た小池里奈×潘恵子 対談インタビューの続きをもう少し読んでみよう。



(ルナのお芝居とか演技の部分で難しかったところはありますか?)

小 池「実際の沢井さんたちは私よりも年上なので、年上の人に向かって『こうしなきゃダメでしょ』とか何か指示したりするようなセリフをいうのにやっぱり抵抗がありました。最初のうちはセリフもカミカミでしたし(笑)。お芝居自体も初めての経験だったし、なかなかセリフを覚えるのも難しくて。『レイちゃん、まこちゃん、大変よ!』っていうセリフなんかも、自分でリズムをつけて覚えるようにしたりとかして」
 潘 「美優ちゃんに教えてもらったりしてた?」
小 池「はい、みんなにいろいろ教えてもらいました。「こういう感じでやってごらん」とか」
 潘 「実際の5人はどうだった?」
小 池「みんなとっても優しかったです。親切にしてもらいました」
 潘 「怖い子とかいなかった?(笑)」



小 池「……いなかったです(笑)」
 潘 「里奈ちゃんは誰からお芝居のこととか教わってたの?」
小 池「やっぱり沢井さんが一番多かったです。お芝居のこともそうだし、『カメラがあっちにある時に、こっちの手で携帯持っちゃうと画面に口が映らなくなるから、逆の手にしてみよう』とか、そういう撮影のことも教わりましたね」



(撮影の合間に、皆さんでどんな話をしてましたか?)

小 池「食べ物の話ですね(笑)。あと、みんなよく携帯メールのやり取りをしてて。安座間さんはいつも合間に勉強していたのを覚えています」
(「東映ヒーローネット セーラームーンの自乗×事情」第7回より)


 安座間さんには幸せになって欲しいですね。
 いやそうではなくて、私は当時、この子は幼いながら子役で経験もあるんだろうな、と思っていたので、この事実には軽く驚いたのだ。セーラールナのキャラクターソング「Sweet Little Resistance」なんて、けっこう難易度の高そうな曲だったのによく歌えていたし、『キラリ☆スーパーライブ』のパフォーマンスも(口パクかも知れないけど)難なくこなしていた。



 しかしセーラールナ時代は、本当に素人同然だったんだ。そして演技指導は沢井さんから受けていた、と。そしてこれ以降も、なんだかんだとドラマ、グラビア、映画と継続的に仕事を続け、ベリーベリープロダクションを引っ張っていったと思う。



 個人的には『喰いタン』(2006年)『喰いタン2』(2007年)では、五十嵐刑事(佐野史郎)の娘で、少年探偵の金田一(かねだはじめ、ただし見た目は江戸川コナンのコスプレ。演じているのは須賀健太)から慕われるマドンナ役を演じていたのが好きだった。佐野史郎とは2015年にフジテレビTWOで放送された『よろず屋ジョニー』で再び共演を果たしたというが、これは観ていないな。Wikipediaの小池里奈の作品歴にも出ていない(こういうふうに書いておくと、誰かがいつか書き足しておいてくれる。お願いします。)



 2017年以降は、長期休養とか留学とかもあった(サイトから名前が消えたりしてファンを心配させたこともあった)。後に判明したところでは、ひどいアトピーなど、体調不良による休養であったり、静養を兼ねての2年間の海外留学であったというが、でもそんな中、あれこれ仕事をこなして、事務所を引っ張ってきたわけである。



 今回の事務所の退所は、どこかに移籍するのではなくて、いったん活動休止というニュアンスが強いようだ。昨年お父さまが逝去されたそうで、そろそろ20代も終わるし(セーラールナも20代が終わるか……)いろいろ考えたのでしょう。スポニチの記事にかなり詳しく書いてある。お父さんは産婦人科医でしたっけ。



小 池「自分の体調不良には気づいていたのでしょうが、家族に心配をかけず、生涯現役で、あっさり逝きたいと常日頃口にしていた父でした。まさに、その通りになってしまって、家族としては無理やりにでも病院に連れていっていれば……と悔いもあります。ですが、とても父らしい生きざまを見させられたなぁと思います。出演映画の舞台あいさつがあったのですが、とても出られる状況ではなくて……。父の死は気持ちとして、まだ受け入れられておらず、それも含めて、自分にとって今は焦る時じゃないなと思っています」



小 池「しばらくは芸能活動をする予定はありませんが、未来の自分のことは分からないのであえて引退や活動休止という言葉は使わずにいようと思っています。地元の栃木県をPRしたり、地元に貢献する活動は続けていくつもりです。SNSもできる限り続けていきたいと思っています」


 ピラティスのインストラクターの資格を取ったので、当面は「たくさんの人が元気な体と心を目指すお手伝いをしたいです」とのことである。ひょっとしたら河邉千恵子さんみたいに、良き人に出会えるかもよ(もう出会っているのかな)。SNSもすぐに閉鎖はしないし、とちぎ未来大使、小山評定ふるさと大使としての活動を辞退することもないそうなので、引退というより無期限休養と考えるべきなのだろう。「30歳、40歳となった時に不調に負けない体力をつけたい。一生パワフルに動ける女性でいたいと思っています」という言葉、素敵ですね。
 送り出すベリーベリープロダクションも、これまで小池里奈が表紙を飾った雑誌を並べてメッセージを贈っている。


デビューして20年!!
いつも可愛い笑顔でみんなを
楽しませてくれてありがとう
これからの里奈ちゃんの活動を
ベリーベリーは応援し続けます!!



 ともかく、おつかれさまでした。また会える日がくるといいですね。昨年、映画『文豪ストレイドッグス BEAST 』(2022年)にウエイトレス役で出ていたところからすると、またしばらくしたら坂本浩一監督あたりから声がかかるかもよ。



 さて、この1年は、嬉しいことにセーラー戦士主演・出演のドラマや映像ソフト販売が、ほぼ途切れることもなく続き、このブログも、泉里香『正直不動産』(2022年4月~7月)、沢井美優・渋江譲二・黄川田雅哉『騎士竜戦隊リュウソウジャー THE LEGACY OF The Master’s Soul』(2022年6月ブルーレイ・DVD発売)、泉里香『高嶺のハナさん2』(2022年10月~12月)、北川景子『女神の教室』(2023年1月~3月)をメインに、そのほかいろいろレビューを挟みながらやってきた。実は泉里香はBSドラマでも活躍中なんだけど、そこまではフォローし切れなかったなあ。


WOWOW『松本清張 眼の壁』(2022年)


 で、いちおうこのブログの本編は実写版セーラームーンDVDレビューなんだけど、これがどのくらい途切れているかというと、2022年4月3日の【第852回】Act.18の巻(06)以来なので、やっぱり丸1年である。ということで、この2023年4月~7月シーズンは、また少しDVDレビューを進めてみるかね。そのマクラとして、小池里奈さんの活動休止の話をしようと思っていたんだが、もう十分長くなってしまったし、日曜日のお昼も過ぎてしまった。



 ということで、次回はAct.18のクライマックスから始まる。って言っても昔のことなので(笑)もう分かんないかもしれない。教会に捨てられていた犬がきっかけで、ヴィーナスの正体を知った火野レイ。その教会に結婚式の下見に来る地場衛と陽菜。神父に憑依する妖魔、そしてついに教会附属の体育館で、いよいよ5人のセーラー戦士が始めて揃い踏み!



 の直前のところまで来ていた。ということで以下次回、沢井美優16歳の活躍をお楽しみに。