実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第858回】タコスケは秋田弁? の巻(泉里香『正直不動産』第6話)


 庵野秀明の『キューティーハニー』(2004年)や『シン・ゴジラ』(2016年)で重要な役どころを演じておられた市川実日子さん。当然『シン・ウルトラマン』にも科特隊(禍特対?)の一員として出演されているものと微塵も疑っていなかったが、キャスト一覧に名前が見えない。なぜ? 惣流・アスカ・ラングレーが式波・アスカ・ラングレーになったくらいの衝撃だ。

 


 という大問題はあるが、本日の本編にまいりましょう。ドラマ10『正直不動産』第6話「仕事をする理由」(2022年5月10日放送/原案:夏原武/原作:水野光博・大谷アキラ/脚本:根本ノンジ/照明:長谷川誠/撮影:金澤賢昌/プロデューサー:宇佐川隆史・清水すみれ/監督:野田健太/制作:NHK・テレパック)レビューです。



 前回ラスト、永瀬財地(山下智久) は、後輩でライバルの桐山(市原隼人)が、ミネルヴァ不動産社長(高橋克典)の車に乗り込む様子を目撃してしまう。



 ミネルヴァは最近、何かと登坂不動産の営業を、先回りして妨害する。どう考えても誰かが情報を漏らしている。まさか永瀬を抜いて現在、営業ナンバーワンの桐山が、実はミネルヴァのスパイだったのか?



大 河「桐山以外、考えられねえじゃねぇか」



永 瀬「そうなんですけど、まだ証拠が……」



大 河「よし、ここは俺に任せろ。 妙案がある」



 自信あり気な営業部長の大河真澄(長谷川忍)。その妙案とは。
 ということで場面は替わって、いつもの居酒屋「しょうじきもん」……ではない。今回は店構えが違う。でもなぜか「しょうじきもん」の大将(湯江タケユキ)が注文の聞き取りをしている。女子のなかに、受付の恵美(泉ノ波あみ)や沙友理(牧野莉佳)だけではなく、光友銀行融資課の美波(泉里香)と亜衣(五島百花)も混じっている。どういうことか。



大 河「え~ 皆さん、本日は飲んで食べていただいて、日ごろの疲れを癒やしてくださぁい」



(拍手)



大 河「大将、大将。あの、急に店探してもらっちゃって、ごめんね」



若 松「ここさ、オレの後輩がやってる店だから、皆さん好きにやっちゃって」



美 波「私たちまでご馳走になっちゃって、いいんですか?」



大 河「いいんですいいんです。ねえ」



大 河「おい月下、お前も桐山の席行って、酒ガンガン飲ませてこい」



永 瀬(妙案って、まさか……)



永 瀬(桐山に美女をはべらせ、ベロベロにしてスパイかどうか確かめるつもりか)
桐 山「お代わり」




大 河「なんというバカみたいな作戦なんだ」



沙友理「桐山さんピッチ早い」
恵 美「お酒、強いんですか?」



桐 山「まあ……」
亜 衣「お酒強い男の人ってカッコいいですよね」



永 瀬(まさかそのバカみたいな作戦に)



永 瀬(引っかかってるんじゃないよな、桐山よ)



美 波「桐山さん、いい飲みっぷりですね!」
桐 山「次、ハイボール」
若 松「はいよ、ハイボール」



永 瀬「ハイボール!」


 「バカみたいな作戦」と言いつつ、なんかよく分からないライバル意識に燃える永瀬。
 宴は進み、桐山のペースに巻き込まれて急ピッチで飲みすぎた女子はだいたい討ち死に。しかし「しょうじきもん」でも酒豪ぶりを見せた咲良と美波は生き残っている。
 トイレから出てきた大河が、通りすがりに美波の椅子の背もたれに手をかけ、ちょっとガタつかせると、怒った美波は酒瓶で大河の尻をド突く。



 怖い。別にボディタッチしたわけではないのだから、そこまでやらないでよ。腰を痛めてしまう。でも泉里香にド突かれるなら、いいか。



大 河「永瀬、どうなってんだよ、お前」
永 瀬「何がですか」
大 河「桐山のヤロー、お前、ぜんぜん酔っ払ってないじゃねえか」



永 瀬「知りませんよ」


 そして永瀬のもとに美波が乱入。さっきは「桐山さんいい飲みっぷりですね」とか言って、デリカシーのない永瀬から桐山に乗り換えたかと思いきや、やっぱり永瀬んとこに戻ってきた。デリカシーのないぶん、何を言っても気が咎めないと思っているのか。ま、ともかく、うらやましいぞ山P。



美 波「永瀬さぁん」



永 瀬「おお、ちょいちょいちょい」



美 波「飲んでっか?」



永 瀬「お酒強いんですね榎本さん」



美 波「女が酒強くて悪りがぁ〜?」



永 瀬「そういう意味じゃないんですよ、全然」



美 波「ちょっとぐれえ顔がいいからって調子に乗ってんじゃねえぞタコスケがぁ」



永 瀬「すっごい絡み酒だし。嫌だな~」


 永瀬と美波のテーブルが無駄に盛り上がる一方、もうひとつのテーブルでは、美波の秋田弁をBGMに、桐山と月下咲良(福原遥)が、会話もなく微妙なムード。



咲 良(桐山さん、明子さんの家を、なんで 二千五百万も安い値段で売ろうとしてるんだろう?)


 咲良はスパイ容疑とは別の不審を桐山に抱いている。咲良が外回りで仲良くなった町内会長の明子さん(松金よね子)が、持ち家の売買を桐山に任せているのだが、桐山は相場一億円の土地を七千五百万で売ろうとしている。これは売り主に相当不利な内容なのではないかと、咲良は疑惑の目で桐山を見つめていた。



 でもそれは誤解であった。相場より安くしたのは物件を顧客の希望どおり早く売るため、その代わり解体費用などは買い主負担にしたうえ、事後のトラブルに巻き込まれないよう免責特約を付けるなど、しっかり顧客ファーストの仕事だったのだ。資料に目を通した永瀬からそう説明されて、咲良は自分の見識不足で桐山を疑ってしまったことを恥じる。



 そしてスパイ疑惑の真相も明らかになる。実は桐山の父親は、かつて大きな報道ネタになった欠陥マンション建築の現場責任者で、一身に責任を背負わされ、世間の非難を浴びて自殺していた。ミネルヴァの社長、鵤(高橋克典)は、そのことを知り、ライバル会社のエースを呼び出して脅し、軽いゆさぶりをかけたのだ。高橋克典のこれはリーゼントか?



 鵤 「欠陥マンションを建てた父親の息子から家なんて買いたいと思うかね」



 鵤 「当然、そんな人間を雇っている登坂不動産の信用も……どうなるか」


 桐山は、会社に迷惑をかけるわけにはいかない、と辞表を出す。登坂社長(草刈正雄)は「そんなこと気にしなくていい、うちの社員は私が全力で守る」と呼び止めるが、桐山の意志は固い。



永 瀬「俺はお前と仕事がしたい。辞めるな、桐山」



桐 山「……やっぱり、俺が知っている永瀬財地じゃない」



桐 山「でも、みんながみんな」



桐 山「あなたみたいに変われないんですよ」


 変われないのなら、なぜ会社を辞めるのか。含みをもたせて登坂不動産を去って行く桐山であるが、でも永瀬の正直営業は、桐山も、登坂不動産も変えつつある。



 ミネルヴァ不動産の花澤涼子 (倉科カナ)さえ、いまの永瀬が悪評高いライアー永瀬ではないことを感じ、逆にかつての永瀬のような商売をしている現在の自分に疑問を感じ始めている。そして、そういう桐山(と咲良)の、顧客ファーストの営業精神は、こんなところまで影響を及ぼしていた。




美 波「残念ですが」



美 波「この計画書では融資は通りません」
 客 「そんなぁ……」



美 波「ですので」



美 波「もう一回、計画を一緒に練り直しましょう」


 いい感じのエンディング。ていうことで、今回はここまで。へば。このタコスケがぁ。