ブルース・ウィリスが引退かぁ。
シリーズものの宿命というか、『ダイ・ハード』は、後の作品になるほど評価が下がっていって、特に『5』は不評である。だが私の見立てでは『1』がベスト、『2』は番外で、『3』『4』『5』と調子を上げている。これはちょっと特殊な評価だと思うので説明しておく。つまりこのシリーズって、私に言わせれば、こんな感じに要約できるのだ。
(『ダイ・ハード』1988年)クリスマス。ニューヨーク市警の刑事マクレーンは、別居中の妻とヨリを戻すため、妻が働くロスまで飛んできたが、結局すぐ夫婦ゲンカしてしまう。でも事件に巻き込まれ、妻を拉致したテロリストを殺したあと、吊り橋効果で妻と復縁する。
(『ダイ・ハード2』1990年)翌年のクリスマス。マクレーンは、今はロス市警の刑事になって、妻と一緒に暮らしている。妻を迎えにいった空港で事件に巻き込まれ、テロリストを殺したあと、ようやく妻と再会。
(『ダイ・ハード3』1995年)数年後。マクレーンは結局、また夫婦げんかして単身ニューヨークに戻って別居。飲んだくれて二日酔いの毎日を過ごしている。でもある日、事件に巻き込まれ、テロリストを殺したあと、ヨリを戻そうと妻に電話をかける。
(『ダイ・ハード4.0』2007年)さらに月日は過ぎ、マクレーンは妻と離婚して、成長した子供たちからも嫌われている。でも事件に巻き込まれ、娘を拉致したテロリストを殺したあと、娘と親子の絆を取り戻す。
(『ダイ・ハード/ラスト・デイ』2013年)それから数年後。マクレーンは息子がモスクワで事件を起こして逮捕されたと聞き、休暇をとってロシアに飛ぶ。でも、実はCIAの捜査官として潜入操作中だった息子の事件に巻き込まれ、元大物政治家を殺したあと、息子と親子の絆を取り戻し、娘の待つアメリカに帰る。
このように、『ダイ・ハード』シリーズのキモは『リコカツ』とほぼ同じで、「古風でガンコな男が、事件に巻き込まれながら、バラバラになりかけた家族との絆を取り戻す」という点にある。そういうふうに見ると『2』は、1作目で復縁して、まだ奥さんとラブラブだったときの話なので、浮いてしまうわけです。
『3』のラストは、マクレーンが妻に復縁の電話をかけるため、ゼウス(サミュエル・L・ジャクソン)からコインを借りて公衆電話に向かったところでエンドマークだった。けど結局うまく行かなかったみたいで、『4』では離婚していた。
その『4』で、父を嫌って母の旧姓を名乗っていた娘のルーシー(メアリ・エリザベス・ウィンステッド)と仲直り、『5』では父を嫌ってCIAのスパイになっていた息子(ジェイ・コートニー)と仲直りした。『5』のラストシーンは、戦い終えてアメリカに戻った二人を、娘のルーシーが空港で迎えて、親子スリーショットになる、という場面だった。とくれば、あと1作、『6』で最後の最後に妻のホリーともヨリを戻して家族揃ってエンディング、ということになるはずだった(と思う)。
数年前、『6』の制作にブルース・ウィリスが乗り気になっているというニュースが入った時は、けっこう期待したのだが、2019年にディズニーが21世紀フォックスを買収してから、この企画はお蔵入りになった。でもまあそのうち、刑事として定年を迎えたマクレーンが、最後の事件を通して妻とヨリを戻す『ダイハード6 大団円』を観られる日が、きっと来るだろうと、私は楽観視していたのだ。とても残念な気持ちである。
ということで5作目『ダイ・ハード/ラスト・デイ』を観なおした。上に書いたような理由で、私は父と息子の血まみれの冒険を楽しんだが、一方で世間の評判が悪いのも、分かるなあ、と思った(笑)。私は『ハドソン・ホーク』も大好きという人間なので、信用しない方が良い。
時節がら印象に残ったのは、深夜、チェルノブイリまで親子でドライブしなから「エディは休暇に息子とフロリダなのに、俺たち親子はチェルノブイリかよ」とか愚痴るシーン。モスクワで大暴れしてお尋ね者になっているアメリカ人が、自動車を運転して普通にチェルノブイリまで行けるということは、当時は(2013年公開)まだロシアとウクライナの間に検閲のたぐいはなかった、ってことでよいのだろうか。
クライマックスは原発で、秘匿された濃縮ウランをめぐる攻防なんだが、ハリウッド・ムービーらしく、被曝に関する無知がひどい。マクレーン親子は防御服もつけずに乗り込むし、敵が特殊なガスを使うと一帯はみるみる完全除染される。ほとんどコスモクリーナーDである。
ラストは、大爆破を逃れて雨水の溜まった水槽にドボンと落っこち、そこから出てきた父親と息子が「雨水は大丈夫なのか?」「髪が抜ける程度だよ」と言い合って終わる。つまり被曝して髪が抜けるのと、ブルース・ウィリスのハゲをひっかけたジョークなんだが、アカデミー賞の会場で殴られても文句が言えないレベルだと思う。
関係のない話が長くなりました。数週間、お休みしていた実写版セーラームーンAct.18のレビューを再開します。が、今回すでに『ダイ・ハード』の記事を書くのに、だいぶ時間と労力を費やしてしまった。
美奈子「本当にバカ……」
ええと、で、本編のほうは、教会でミサが開かれ、人々が集まってきたけど、そのときすでに神父の身体は妖魔に憑依されていた、というところまでレビューしましたね。
エナジーを狙われるミサの参加者のなかには、結婚式の下見に来た衛と陽菜がいた。
一方、クラウンでは、まことが亜美に、元基の聞き取り調査の報告をしていた。そこにルナから指令の電話がかかってくる。
亜 美「え⁈ 婚約者⁈」
まこと「……のようなもんだって。うさぎに『あきらめるな』って言ったけどさ、いきなり厳しすぎて言えないよ……」
一方、自宅の部屋のなかで、初めての恋に切なさを積もらせるうさぎ。地場衛の顔が頭を離れなくて、動悸が止まらない。
と思っていたら、心臓のドキドキじゃなくて、胸元に持っていた変身携帯テレティアSの震動音だったって、これはギャグなのか?
うさぎ(なんで、なんでこんなにドキドキするんだろう……)
(携帯の震動音)
うさぎ(あ、携帯か)
ルナの声「みんな、至急、教会に集まって!」
そして教会。今回は場面の切り替えが早いな。教会では神父(Victor Casale)がお説教している。ちなみに最初のセリフ「疲れた者、重荷を追う者は、だれでもわたしのもとに来なさい。休ませてあげよう」の出典は、新約聖書「マタイによる福音書」11章28節です。
神 父「疲レタ者、重荷ヲ負ウ者は、誰デモ私ノモトニ来ナサイ。休マセテアゲヨウ」
神 父「デハ、祈リヲ捧ゲマショウ」
神 父「祈リノチカラヲ、エナジートシテ、大イナル悪、クイン・メタリアニ!」
衛 「妖魔か!」
妖魔がライトセーバーみたいな棒をぶんぶん振り回すと、人々のエナジーがそれに吸い寄せられて行く。
みんなあっという間に餌食になるが、さすがに地場衛だけは即座に反応して、陽菜を連れて礼拝堂の外へ逃げ出す。後を追う妖魔。
衛 「陽菜、陽菜、しっかりしろ」
ルナから呼び出された戦士たちは、それぞれ教会にむかって駆けつける。レイも走っている。しかしレイはAパートでは自転車で教会まで乗りつけていたではないか。
なぜ自転車を使わないのか。仮面ライダーみたいに自転車に乗りながらでは変身とかできないからなのか。ということはともかく、教会に向かって走りながら、戦士たちが互いに合流して行く。
まこと「うさぎ」
うさぎ「レイちゃん」
教会に近づくと、礼拝堂で集められたエナジーが、鐘塔のてっぺんから放出されている。基本的にはAct.16のエナジーファームと同じシステムみたいだ。
レ イ「急ごう」
うさぎ「ムーンプリズムパワー」
亜 美「マーキュリーパワー」
まこと「ジュピターパワーパワー」
レ イ「マーズパワー」
走りながらセーラー戦士へメイク・アップ。この技(?)はAct.14で亜美が初めて披露した。
Act.12でヴィーナスが手からビームを放つと、Act.16では、ほかの戦士たちも手からビームが出せるようになった。
Act.14の亜美は、クンツァイトに連れ去られたうさぎを早く取り戻さなければと、つい走りながら変身した(と思う)。だけど今回Act.18では、もうみんなが「走りながら変身」を共有できている。
こうやってセーラー戦士は少しずつ強くなってゆくのだ。さあそしていよいよ体育館(これは教会所属の体育館でいいのかな)での戦いだ、というところで今回はこれまで。また来週。