終わっちゃったね『リコカツ』。じゃあ今週から『高嶺のハナさん』を、やり残したところからガンガン行くぞ、と言いたいところだが、こっちもこっちで今夜が最終回だ。非常に中途半端で、イマイチ気合いが入らない。どうしたもんかな。困ったね。ちなみに原作マンガ(ムラタコウジ『高嶺のハナさん』ニチブンコミックス)では、イチゴちゃんはすでに、弱木に対する想いも自分の嫉妬もハナさんに告白して、完全に「筑前煮女」になっている。
あと原作の最新刊では、かつて高嶺ハナの完璧な上司だった「不動さん」という人が、高須クリニックみたいなヘリに乗って登場する。
この人は、ハナさんも尊敬する、ミツバチ製菓商品企画部のレジェンド的存在で、長らく海外営業にまわっていた。
英単語まじりの意味不明なワンフレーズトークでクールに決めて見せるのだが、実はこの人、高嶺さんのことが好きすぎて、緊張しているだけなのである。誰もみていないところではもうメロメロ。
海外に出たのも、高嶺ハナさんといると、好きすぎて固まってしまうからというのが本当の理由であった。
すみません、ドラマとは関係なかったですね。えーとなんだっけ、ミツバチ製菓が社運を賭けて取り組む一大プロジェクト、COP(クールジャパン・お菓子・プロジェクト)を任されることになった高嶺華(泉里香)だが、担当するに当たって、社長(しゅはまはるみ)から、ひとりパートナーを選ぶこと、という条件を突きつけられる。
華 「パートナーですか?」
社 長「あなたのこれまでの実績は文句のつけようがないわ。でもね、このCOPに関してはもう少し、何かが欲しいのよ」
社 長「あなたにも足りない部分がある。そこを補ってくれるような最強のパートナー、選んでちょうだい」
そこで華は、公私混同ではないかと悩みながらも、弱木(小越勇輝)をパートナーに選ぶ。弱木はいつも、まるで小学生が考えたようなバカバカしい商品アイデアを出してくる。
でも、その純粋無垢な発想が、華の企画力で磨かれれば、いままでにない斬新な商品コンセプトが生まれるかも知れない。そう考えたのだ。
一方、ミツバチ製菓のアイドル、総務の天井莓(香音)は、ほかの男性社員と違って自分になびかない弱木の態度がシャクにさわって、なんとかこっちを振り向かせようと躍起になっているうち、ミイラ取りがミイラになって、弱木に本気になっていってしまう。
ちなみにもうちょっと後の方で、イチゴちゃんが総務から商品企画部に人事異動してくると、原作では「これは高嶺華激団とストロベリーズの熾烈な争いが激化する様相を呈してきましたぞ……」という声が上がっている。ドラマ版だと、高嶺さんは美人だけど変人で、みんな敬して遠ざけている雰囲気だが、原作にはちゃんと高嶺さんの親衛隊が存在していたのである。
さて第5話(2021年5月8日、BSテレ東、脚本:岡庭ななみ/照明:丸山和志/撮影:神田創/監督:堀江貴大/プロデューサー:瀧川治水・清家優輝)のメインイベントは映画館デートである。やや強引な展開ながら「クールジャパンといえばアニメ」ということで、アニメ好きの弱木の提案で、なにか商品開発のヒントが見つかればと、二人は映画館にアニメを観に行く。仕事の一環と言い聞かせながら、完全にデート気分の高嶺さん。ポップコーンをとろうとした指と指が触れあって、気分は絶好調。
映画館帰りの二人を偶然見かけたイチゴちゃんは、高嶺さんに激しく嫉妬。家に帰ったら帰ったで弱木のインスタをチェックしたり、チャラ田先輩(猪塚健太)と飲みに行っても弱木の話題ばかりで、もう完全に本気である。
ここでちょっと注意していただきたいのだが、上に見るように原作マンガのイチゴちゃんは、けっこう生ビールとか、コンビニ前でも缶ビールとか飲んでいるのだが、なぜかドラマ版では日本酒ばっかり。コンビニ前でもワンカップに徹している。まあ、どうでもいいか。イチゴの気持ちを知ってチャラ田は動く。なにしろチャラ田は高嶺さんのことが好きで、しかも自信家だ。なぜ高嶺さんがCOPのパートナーに、自分でなく弱木を選んだかが分からない。しかも二人がなんとなくいい感じで仕事をしているのも気にくわない。そこで翌日の昼休み、イチゴをけしかけて弱木に告白させようとする。そうやってイチゴと弱木をくっつけてしまってから、自分は高嶺さんにアプローチをかけようという魂胆だ。
しかしガチ恋のイチゴちゃんは、素直な気持ちを言えずに「大っ嫌い」と叫んで、逃げ出してしまう。
そこへ高嶺さんがやってきたのを見て、チャラ田はプランBに変更。ここで弱木が高嶺さんに告白すれば、高嶺さんに相手にもされず玉砕、そのあと自分がじっくり高嶺さんにアプローチしようという、浅はかな魂胆である。
華 「天井さん、どうかしたの?」弱 木「いいえ 僕が悪かったみたいで」
華 (やっぱりイチゴちゃんと何かあったんだ)
更 田「あれ~? そういえば 弱木、なんか高嶺さんにどうしても伝えたいこと、あったんじゃね?」弱 木「え? 伝えたいこと?」華 「更田くん!なに、いきなり」
更 田「弱木が言いたいことあるって。ほら弱木、高嶺さんのことをどう思ってるんだっけ?」弱 木「どう思ってるって、何のことですか?」
華 (あっ、なに急に。私のこと、どう思ってる?)
更 田(ハッハッハッ。この場で コクらせて玉砕してもらおう。そうすれば 弱木も自然と天井のほうへ向く。俺って天才じゃね?)
弱 木「高嶺さんのことは…」
華 (えっ… ちょっと待って!心の準備が……)
弱 木「高嶺さんはこの会社にとって、そして僕にとっても、絶対に必要な存在です!」
華 「え?」
弱 木「高嶺さんのことはタコ焼きのタコみたいな存在だと思っています!」
華 「タコ?」
更 田「タコ?」
弱 木「タコ焼きに タコが入っていなかったら意味ないみたいに」
弱 木「COPはもちろん この会社には高嶺さんは絶対に必要なんです!」
弱 木「だから、タコなんです!」
華 「私、タコなんだ」
弱 木「はい とても大切なタコなんです」
弱 木「タコはタコでも、ただのタコじゃなくて、絶対に必要なタコで、タコは柔軟だし、足も多くて、タコ嶺さんみたいに……」
華 「もういい! 何回も言わなくていい!」
弱 木「あっ、はい」
華 「仕事、戻ります」
弱 木「あれ? 高嶺さん、お弁当食べるんじゃ」
弱 木「僕、何か変なこと言いました? タコ焼きのタコですよ、主役ですよ!タコがいないとただの焼きになっちゃうんですよ」
更 田「いい意味だったとしても、タコ呼ばわりされてうれしい女はいないんじゃね?」弱 木「あっそっか……やっちゃった」
更 田「ハハハハ……あ、そうだ。そんなにタコにこだわるなら、いっそさ」弱 木「え? 何ですか?」
なんか背景に、おそらくなんの関係もない人が映り込んでしまっているのがテレ東クオリティといったところだろうが、いやしかし、こうして紹介しても、なんかアホみたいだな。つまり物語がどうこうというドラマではないのだ、これは。弱木の発言がきっかけで、ここから話は中盤のクライマックス(かなぁ)タコパナイトへと進むのだが、レビューの仕方を考え直した方が良いかも知れないので、今回はこのくらいで撤収。じゃあ、最終回が終わってから、またお会いしましょう。