実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第806回】ピュアな韓流アクション恋愛ドラマ、題名に偽りあり!の巻(北川喜恵子『リコカツ』第1話)


 前回コメント欄にもチラっと書いたけど、舞台「YOSHITSUNE 廻」(作:西瓜すいか/演出:田邊俊喜/2021年5月26日〜30日/北千住天空劇場)に源義経の側室、常磐御前の役で出演される予定だった杉本彩様が、「現在のコロナ蔓延によるさまざまな状況を憂慮し」降板することを発表された。で、代役を石井美絵子さんがおつとめになるということです。



 つい先日、誕生日を迎えられた美絵子さん(ちなみに「みかこ」と読みます)は身長170cmで、ネルケ版セーラームーンミュージカルでセーラープルート(冥王せつな)を、乃木坂版ではタキシード仮面(地場衛)を演じられました。千秋楽の舞台挨拶ではだいたいいつも感きわまって泣いていましたよね。



 ネルケ版セラミュに関しては、歴代最強のキャスティングだった(個人の感想です)第1期メンバーのうち、セーラーマーキュリーの松浦雅が2021年1月いっぱいをもって芸能界引退、セーラームーンの大久保聡美が5月で引退、と、ここんとこ少々さびしいお知らせが続いていた。今回のはベリル様の降板とセットなので一概に嬉しいニュースとも言えないけど、ちょっとドキドキしました。
 それからプリンセス沢井美優が、ファッションセンターしまむらの「素肌すずやかパンツ」のWebCMに御降臨。




 沢井さんがしまむらということで思うところもいろいろあるが、そういう個人的なアレは措いといて、さ、今日の本題だ。

1. 結婚絡みのドラマが多い北川さん



 北川さん主演の金曜ドラマ『リコカツ』が始まった。なかなかテンポの良い出だしだったと思います(第1話「結婚は離婚のはじまり!?」(2021年4月16日、TBS、脚本:泉澤陽子/照明:大金康介/撮影:寺田将人/監督:坪井敏雄/プロデューサー:植田博樹・吉藤芽衣)。


 
 水口咲(北川景子)は『マリ・クレール・モード』の編集者。『マリ・クレール』というと、私ら世代にとってはアーヴィングとかカーヴァーとか村上春樹の小説が載っていたカルチャー誌ってイメージだけど、このドラマではふつうにオシャレなファッション雑誌で、北川さんはそういうところに務めるオシャレな編集者ってことらしい。



 その彼女が、5年間つきあってプロポーズを待っていた彼氏と別れることになってしまい、想い出を捨てて未練をふっ切るために後輩のなつみ(大野いと)と雪山に登る。ロケ地は猪苗代スキー場。



 大野いと、うちのブログにはひさびさ登場。小松彩夏と共演した『馬子先輩の言う通り』(2015年、フジテレビ)や渋江譲二とダブル主演をはたした『新卒ポモドーロ』(2020年、エムエフピクチャーズ)の人である。個人的には『愛と誠』(2012年)で演じた「影の大番長」役も印象的だった。



なつみ「咲さん、やっちゃいます?」



 咲 「えっ?」



なつみ「やっちゃいましょうよ。ここに全部、吐き出して置いてっちゃいましょうよ」



なつみ「この景色がぜ〜んぶ、呑み込んでくれますよ」



╳    ╳    ╳



 咲 「えっ?」



 男 「俺、結婚のイメージ 湧かないんだ」



 咲 「えっ?」



 男 「えっ? 咲もそうだと思ってた」




╳    ╳    ╳



 咲 「5年も付き合っといて……」



 咲 「はあ!? こっちは当然、結婚すると思ってた」



 咲 「何なら、いつプロポーズされるのかって思ってた」



 咲 「今から新しい人さがして、結婚して子供を産むまでに何年かかると思ってんの?」



 咲 「私、いま33なんですけど!」



 咲 「私の大事な、大事な」



 咲 「私の5年間を返せーっ」



 咲 「うわあっ!」



なつみ「咲さん!?」



なつみ「咲さーん!」






 アクション映画でもないのに、ここまでカットを割って、これだけの距離を滑り落ちるって……でもそこが北川景子らしくてグッジョブ。しかも擦り傷、切り傷もない。



 でもさすがに動けない。なつみが助けを呼んでくれることだけを期待してまっていると、空からヘリコプターやってきて、そこから彼女のもとに降り立った命の恩人が、航空自衛隊の救難員、猪原紘一(永山瑛太)であった。



 咲 「誰か……」



 咲 「誰か、助けて」


╳    ╳    ╳










紘 一「航空自衛隊 救難員 緒原です」



紘 一「もう大丈夫ですよ」



紘 一「自分がいる限り、もう大丈夫です」



紘 一「どこか痛い場所ありますか?」



 咲 「あなたのこと」



 咲 「ずっと待ってました」




 ……つまり『愛の不時着』のパロディですね。ここで安室奈美恵の「Can You Celebrate」が流れて、場面は披露宴会場へ。





 実は最後に見せられた救出シーンは、披露宴の余興として撮影された再現ムービーだったというのが、プロローグのオチです。

2. プロポーズは東京ソラマチ


 来賓席の自衛隊のみなさんからは、韓流ドラマのような映像に、盛っているぞと野次が飛ぶ。



司会者「え〜、盛ってるかどうかはさておき、その後、新婦、咲さんがどうしてもお礼を言いたい、ということで再会し、二人は交際するようになり、本日めでたくゴールイン」



新郎関係者「フーッ!」



司会者「その期間、わずか三カ月です」



司会者「まさに運命の糸に導かれるようなスピード結婚ですね」



なつみ「よかった… ホントによかった」



司会者「それでは皆さん、しばしご歓談ください」



 楓 「何がスピード結婚よ。当てつけ婚だよねえ。元カレへの当てつけ」



 梓 「長すぎた春のあと、次につきあった男とすぐ結婚。わかりみが深すぎる」


 「わかりみが深い」なんて言いまわし、知らなかったよ。ネットを検索したら、「2016〜2017年ごろから使われ始めた若者言葉」だって。もう5年くらい前から使われてたんだねえ。ま、とにかくそんな感じで、新婦の姉(平岩紙)とその娘つまり姪っ子(夏野琴子)はクール。実は三ヶ月どころか、咲がお礼を言うために再会したその日に熱烈なプロポーズをされ、そのまま結婚へとなだれ込んだ、実質的な「交際ゼロ日婚」なのであった。



 咲 「今日は楽しかったです。ありがとうございました」



紘 一「自分もです。ありがとうございました」



 咲 「じゃあ」









紘 一「あの……」




紘 一「結婚してください」



 咲 「えっ?」




紘 一「交際期間が必要ならば、結婚を前提に、おつきあいを申し込みます。ですが」



紘 一「自分は すでに心を決めています」




紘 一「自分が結婚するのは、さ…… さ…… 咲さんしかいないと」



紘 一「今まで、何度も結婚を勧められてきましたが、心が動かなかった」



紘 一「でも今なら分かります」





紘 一「あなたに出会うためだった」





紘 一「結婚してください!」




紘 一「な、なぜ…… なぜ泣くんですか?」




紘 一「すいません 力がつい入ってしまいました」




紘 一「肩…… 大丈夫ですか?」



 咲 「あの時わたし、この人に賭けてみようって思ったの」



なつみ「いわゆる、交際ゼロ日婚ってやつですよね」



なつみ「結婚するまで何回、会いました?」



 咲 「う~ん…5、6回は 会ったよ」



なつみ「5、6回……」


3. 新婚あるある

 
 本命の彼氏に五年も待たされ、くたびれはてた咲の心に、紘一の愚直なまでの誠実さが突き刺さったってことなんでしょうかね。そういういきさつで一気に結婚してしまった二人だが、とにかく生まれ育った環境がかけ離れている。かたや元自衛官の父親(酒向芳)のもとで厳しくしつけられた質実剛健男子、かたや奔放な美魔女の母親(三石琴乃)のもとで自由に育ったオシャレ女子である。すぐに二人は、互いの生活スタイルが極端に違うことに気づく。




 咲は、朝四時に起床ラッパ、家訓を唱和してランニングで朝食は和食という紘一のモーニングルーティンについて行けず、紘一は紘一で、部屋のインテリアから自分自身の服装まで、いちいちセンスのなさをあげつらう咲にカチンと来る。





 そして休日。紘一の誘いで二人は外へ食事に出たけれど、ダサダサの服で、ドンブリご飯に唐揚げ山盛りの定食屋で、帰りはあいにくの雨。咲はとうとう爆発してしまう。



 咲 「出かける前から不満だった。そんな服で」



紘 一「そ、そんな服!?」



紘 一「そうかこれが気に入らなかったのか。だから新しく買うように言ったんだな?」



紘 一「君は人の見た目ばかり気にするんだな。見た目や外見がそんなに大切なのか?」



 咲 「もちろん中身が一番大事だけど、人からどう見られるかっていうのも大事じゃないの?」



紘 一「中身が一番大事? では あえて聞こう。外見は超一流の君が誇る中身とは、いったい何だ?」



 咲 「どういう意味? 外見は超一流って、なに? 見た目で私を選んだの? それ以外に結婚した理由はないの?」



紘 一「……今その話は関係ない」



 咲 「ああ、ああそうですか」



 咲 「じゃあ何で私が結婚したか教えてあげる」



 咲 「私の勘違いでした!完全に吊り橋効果ですけど!」



 咲 「命の危険にさらされて平常心じゃなかった。ヒーローだって勘違いした」



 咲 「ただの時代遅れの堅物じゃない!」


 お互いに対する不満を言いあっているうちに、わりと二人とも直情的なのでどんどんエスカレート。「思っていた結婚生活とは違う」「そうだね。大間違いだった」「こんなことなら離婚した方がいいかもね」「そうだな、離婚だ」というところまで一気に行ってしまう。



 で、リコカツ。まあ個人的に言わせていただけば、こんなことは新婚のうちにぜったい経験する「結婚あるある」だと思うけどね。

4. 危険な愛のすべり台



 さて、前に触れたと思うけど、第1話にはゲストとして武田玲奈が出てくる。北川景子の後輩なんだけど、自分の出した企画がボツになり、北川さんのアイデアが通ったことを逆恨みして、北川さんが後輩にパワハラをしている、という内部告発をした。



 北川さんは上司に呼び出される。そして、パワハラ自体はフェイクっぽいが、なんにせよ騒ぎは困るということで、とりあえず今回の、自分が出した企画からは外されてしまう。
 その後パワハラ騒動の犯人が武田玲奈と知った北川さんは、お手洗いで(笑)武田玲奈を問い詰める。



 咲 「どうしてそういうこと、するのかな? 言いたいことがあるんだったら、直接、いつでも言っていいんだよ」



ユ ミ「じゃあ今、言わせてもらいます。分かってます? 咲さんが出世したのって見た目がいいからですよ」



ユ ミ「咲さんって正直、見た目だけじゃないですか。顔で仕事もらえてるくせに、偉そうにしないでくださいよ」



ユ ミ「いいですよねぇ、顔がいいだけで何も努力しないで楽できて。顔がいいから内容の薄い企画、簡単に通るし」



ユ ミ「咲さんが美人で編集長にヒイキされてるから、私の企画ぜんぜん通らないんですよ」



 咲 「……あのねユミちゃん、ユミちゃんは、やることやってるのに認めてもらえない、と思ってるかもしれないけど、私から見れば、まだまだやれることいっぱいあるよ」


 咲は精いっぱい優しく指導するが、ユミは「はいはい。ババアの説教は以上ですか?見た目だけの先輩の言葉は何にも響きませんので」と敵意をむき出しにする。で、咲はだいぶへこんでしまうんだね。




 もともと咲は、昔から容貌コンプレックスがあって、何をやっても回りから「美人は得」と言われ、何度も傷ついてきたのだ。視聴者の反感を買いそうな設定だが、北川さんだとかろうじて成りたつんだろうな。そういえば紘一とケンカしたときも「外見は超一流の君」と言われ、結局は彼も外見で自分を選んだんじゃないかと勘ぐって、それで結婚生活があっという間に破綻してしまったのだ。いろいろ思い出していたたまれなくなった咲は、そのままとぼとぼ会社を出て行く。




 咲の様子を心配したなつみが、家に帰っていないか確認の電話したが、家には紘一しかいない。紘一はすぐさま、夜の町に飛び出す。







 雨の中を歩く咲をみつけて、傘を指し出す紘一。でも咲はそれを振り切って走り出す。後を追う紘一は、階段から足を滑らせて堕ちそうになった咲を身を挺して守る。









 だからさあ、これアクションものでもないのに、なんでこんな派手な階段落ちをやるんだよ。やっぱり『愛の不時着』かよ……というツッコミを待っているとしか思えないんだが。



紘 一「大丈夫か?」



 咲 「大丈夫?」



紘 一「ああ、問題ない」



紘 一「大丈夫か?」



 咲 「こんなこと、しなくていいのに」



 咲 「私たち、離婚するんだから」



紘 一「だが」



紘 一「まだ……」




紘 一「君の夫だ」



 以上で第1話終了……って、なんだよう。「リコカツ」なんていうから、あんまり興味の湧かないまま義務感で観たら、けっこう私の大好物。『高嶺のハナさん』と同じ、恋愛に不器用な二人の胸キュンラブストーリーではないか。あまりの生活スタイルの違いに、初日から一緒に暮らしていけないと思った二人が、ぶつかり合いながら、でもやっぱり好き、という話である。




 ただ『高嶺のハナさん』がコメディ系なのに対して、こっちはアクション系ですね。話運びのテンポも悪くない。ともかく、だいぶ端折ったんだけど、大家さんはじめスルーしている方々に『リコカツ』の魅力が少しでも伝わればと思います。



 ではつぎにその『高嶺のハナさん』第2話を……と思ったが、案の定もう時間いっぱいだ。泉里香は次週は『恋はDeepに』第3話にも出演するというし、こんなに雑なレビューでこなしても、どんどんノルマが増えるな。まあ楽しいけど。では。