実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第783回】DVD第5巻:Act.17の巻(8)


 来年の1月と2月に前編・後編形式で上映されることになった新アニメの劇場版『美少女戦士セーラームーンEternal』は、デッドムーン編を原作としているということだが、このたび新たなボイスキャストの発表があった。ネヘレニア役に菜々緒、ジルコニア役が渡辺直美。




 渡辺直美が1987年生まれの32歳、菜々緒が1988年生まれの31歳。わりとセーラームーン世代のど真ん中なので、愛情をもって演じてくれると思うが、しかしお二人とも、ただ声の出演にしておくにはもったいないビジュアルのインパクトである。
 その渡辺直美の絶大なインパクトに北川景子がガチンコ勝負をかけていて、主演の浜辺美波がほぼ消し飛んでしまったのが『約束のネバーランド』のポスター。


 
 ポスター公開と同時に新しい予告編も配信された。観た限りは子どもたちがハウスを脱出するまで、つまりアニメ版の第1シーズンをきちんと映像化しているようにも見える。ただ、同じ日本の少年漫画で言うと、『鋼の錬金術師』とか『進撃の巨人』とかと同様、明らかに舞台は日本ではなくて、主要登場人物も日本人ではない作品を実写化する場合にどうしても出ちゃう、なんというか根本的な違和感は、解決されていない。それに、もう20歳の浜辺美波がエマだとか言われても、舞台劇みたいだ。







 そういう意味では、ここ数年の少年漫画の「実写版」のなかで、私は『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017年)が気に入っている。



 仙台をモデルにした日本の町が舞台で、登場人物もみな日本人のはずなのに、なんとなく日本離れした原作のイメージを、キャストは日本人、ロケ地はスペインの町という大胆な方法でうまいこと映像化したと思う。三池崇史の演出もあいかわらずてきぱきしていた。だがぜんぜんヒットしなかったようで、タイトルに「第一章」とあるけど続編の話をとんと聞かない。そうこうするうちに伊勢谷友介が逮捕されてしまった。
 が、しかし、このジョジョ第4部からこの度、意外なかたちでスピンオフ作品の実写化が発表された。


 荒木飛呂彦さんのマンガ「ジョジョの奇妙な冒険」シリーズの人気キャラクター岸辺露伴が主人公の「岸辺露伴は動かない」が、俳優の高橋一生さん主演でドラマ化されることが10月14日、明らかになった。アニメ「ジョジョの奇妙な冒険」にも参加した小林靖子さんが脚本を手がける。菊地成孔さんが音楽を担当する。12月28~30日午後10時に、3夜連続でNHK総合とBS4Kで同時放送される。(「まんたんWeb」2020年10月14日


 まあ世間は高橋一生主演ということでざわついているわけだが、我々の最大注目ポイントはそこではない。高橋一生の相棒、泉京香役を、飯豊まりえが演じていることである。



 名古屋支部の推定によれば、飯豊まりえは、実は本物のスタンド使いである。こいつはなんかやらかしてくれそうだ。いやそうじゃなかった。そこも気になるところではあるが、やっぱり私たちの最大の注目ポイントはこっちね。



脚本:小林靖子(初NHKドラマ)


 今年の年末がちょっと楽しみになってきましたね。ちなみにただいまNHK金曜日のドラマ10では浜辺美波主演『タリオ 復讐代行の2人』が絶賛放送中である。個人的には『ピュア!~一日アイドル署長の事件簿~ 』の続編で再び黒薔薇純子さんに会いたかったが、まあいい。でも黒薔薇純子と同様、今回も全3話なので、来週が最終回。



1. くすんだ気分にくすんだ街

 てところで、Act.17レビューを先に進もう。教会に出現した妖魔。たまたま居合わせたレイが即座に変身してその前に立ちはだかったので、妖魔もちょっとビックリして「早っ!」とか思ったかも知れない。



 一方、戦士たちはクラウンを出て、たぶん家に帰る途中だろう。ロケ地はIMA光が丘店前。自転車が雑然と置かれ、背景にマクドナルドの看板が見える。そこへルナから戦士コール。



うさぎ「いや~、タキシード仮面にピッタリのマフラーになりそうだよね」
まこと「なに言ってんだよ、ほとんど編んでないじゃん」
うさぎ「大丈夫だって」



(三人の携帯が一斉に鳴り出す)



ル ナ「みんな、妖魔よ」



ル ナ「セーラーマーズが戦ってるの」



ル ナ「教会の近くよ、急いで」



まこと「分かった!」



 走り出すうさぎたち。ここはどのへんか、カメラは走る荒川線をとらえて、それがパンすると、歩道を向こうから走ってくる戦士たちになる。






 ここらあたりで、我々はようやく、このAct.17から参加した佐藤健光監督が、なんか変な人であることに気づく。



 さっきのマクドナルドの看板といい、この「三ノ輪橋」行き電車といい、これまでの監督が暗黙の了解で画面から注意深く排除してきたリアルな固有名詞を、この人は涼しい顔で撮っている。何か意図はあるのか? それとも特に考えていないのか? いずれにせよ、そのせいで、この監督が担当する回は、なんとなく街並みも、リアルにくすんで見えてくるのだ。



うさぎ「早く!」



 ということはともかく、ルナの指示どおり急ぐうさぎとまことと亜美。ところが、そこで思わぬ人に出くわしてしまった。地場衛。






 亜美は、Act.14で倒れたうさぎを衛におんぶして連れて行ってもらったから知っている。まことはAct.7で、後楽園ゆうえんちでうさぎと元基のデートに付き合ってやったとき、成り行きで衛とカップルになって、ぐいぐいボートを漕いでいる。二人とも衛とはいちおう顔見知りである。でも陽菜は初対面。うさぎも陽菜については、顔は見ているが、そもそもどういう人なのか全く知らない。






陽 菜「嫌だ、大変」




陽 菜「まだ途中なのに、ごめんなさい。大切なものなんでしょ?」


 ここの演出もなんかちょっと変。テンポに妙な間があったり、自動車が走る道路越しに撮った引きの画面があったり、陽菜が編み物を拾ってあげている背景にごちゃごちゃ行き交う通行人の姿があったり、雑然としたふだんの街の様子が妙に強調されている。
 子供向けの特撮ドラマだってリアリズムは大事、街並みはちゃんとふつうのゴミゴミした街並みとして撮るべきだ、というポリシーみたいなものか。それとも、うさぎの今の心象風景そのままに殺風景な画面にしたかったのか、ひょっとして何も考えていないのか。
 陽菜がフランスパンのバゲットを二本も持っているところもすごく気になる。そんなに買ってどうするのだろう。朝ひとり一本ずつ食べるのかな。余計なお世話ですが。



うさぎ「…大切……」







うさぎ「ごめんなさい!」



まこと「うさぎ!」



まこと「ちょっと急ぐんで」
亜 美「すみません」



 自分が好きなのはタキシード仮面と言い聞かせて立ち直ろうとしていたところを、地場衛にズバリ出くわしてしまったうさぎは、もうどうして良いか分からず、妖魔と戦いに行くことも頭から飛んでしまって、その場を逃れるように駆け出す。後を追う二人だが、亜美は途中で追うのを止めてしまう。いつもの明るいうさぎとぜんぜん違う様子にショックを受けてしまったのだ。ていうか、沢井美優の走りが本格的過ぎて(笑)。




まこと「うさぎ、そっちじゃないだろ!」




亜 美「……うさぎちゃん……」



まこと「うさぎ、どうしたんだ」



うさぎ「彼女……優しそうだよね」
まこと「え?」



うさぎ「私、がんばったけど……やっぱり……やっぱり止められないよ」



うさぎ「私が、好きなのは」



 そう呟いて空を見上げるうさぎの脳裏には、未来のAVソムリエが。そして衛も、うさぎの心の声が聞こえたかのように、雑踏のなかをはっと振り返る。





2. ギムナジウムの闘い

 一方そのころ、マーズはどこぞの体育館で妖魔と激しいバトルを繰り広げていた。体育館なのだが、「St. Juban Church」の看板もあるし、教会という設定なのかな。



 しかし先ほど、ルナが電話でみんなを呼び出したときは「みんな、妖魔よ。セーラーマーズが戦ってるの。教会の近くよ、急いで」と言っていた。つまり脚本上は、ここでマーズは「教会の近く」で戦うことになっていた。もともとはどういう設定だったのだろう。Act.17の台本は見ていないので分からない。
 いずれにせよ、撮影スタッフが検討した結果、今回のバトルは体育館で行うことに決まった。……のだが、いきなり体育館というのも唐突なので、教会と関連のある施設っぽく見せようと、十字架やマリアか何かの石膏像をあしらった。そしたらそのせいで、逆にかなりシュールな画ヅラになってしまったのだろう。ちなみにこの体育館はおそらく『仮面ライダーフォーゼ』最終回「青・春・銀・河」の卒業式バトルと同じ場所だ。紅白の垂れ幕の前で最終バトルというのも、なんだか突拍子もなかった。





 ついでだから今さら書いておくと「St. 」(聖=セイント)は聖者の肩書きだから、次に来るのはイエスの弟子とか聖人の名前でなくてはならない。聖ルカ教会とか。でもルカ(ルーク)は医者だったそうで、それにちなんで病院の名前になったのが有名ですね。立教大学はセントポール、聖パウロだ。「聖十番教会」(St. Juban Church)ってアンタ、「十番」って地名ではないか。これはもう、そもそも何の宗教なんだという話である。






 ツッコミはこの程度にしておいて、バトルの方は、「妖魔退散」もあまり効き目がなく、マーズがちょっと不利である。見かねた美奈子が、アルテミスの制止を振り切って正体を明かす、というあたりまで観て、今回は終わりとしましょう。



美奈子「あっ」




アルテミス「待て!」



アルテミス「待て美奈子、駄目だ」



美奈子「でも……」




アルテミス「美奈子!」



美奈子「待ちなさい!」



マーズ「だめっ、逃げて」



美奈子「ヴィーナス・パワー」



美奈子「メーイク・アップ!」







ヴィーナス「愛と美の戦士 セーラーヴィーナス」



ヴィーナス「金星にかわってお仕置きよ!」








ヴィーナス「幻の銀水晶はここよ」



ヴィーナス「欲しければとってみなさい」



マーズ「まさか……愛野美奈子が……」


 結局フルサイズで使われたのはこの回限りだったヴィーナスの変身バンク。やっぱりいつ観ても楽しい。

3. おまけ

 あと、ここまで観ていて思ったんだが、これもケンコー監督の個性なのか、この体育館のアクションシーンも不思議な間というかテンポがあって、節目節目でみせるマーズのポーズやアップが、なんかエキセントリックなんだけど、でも北川景子ファンにはけっこうおいしい目のごちそうになっているのではないかと思う。








 う〜ん、健光監督というより、北川さんのクセかもしれないね。まあとにかく、そんなことで今回はこのへんまで。次回、ヴィーナスが「たー」と翔びます。