実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第762回】泉里香in『隕石家族』第4話(続き)の巻


 武藤彩未は名前にちなんで6月10日を「610(ムトウ)の日」として例年ライブを開いているが、今年はクラウドファンド方式の無観客ライブになるという。一口3,500円以上が一番ベーシックで、無観客ライブチケットと「AYAMIDIA」と称する限定チラシ(フライヤー)、6,100円以上で、これにサイン入り最新ミニアルバムが付く。8,000円を払えばさらに無観客ライブの音源がもらえる(デジタル・ライブ・アルバムか?)。で10,000円でライブ動画もついてくる(これも動画ファイルのダウンロードサービスかな)。つまり1万円払えば、パブリック・ビューイングと最新ミニアルバムとライブ盤の音源と動画がもらえるシステムである。なんかめちゃくちゃお得な気がして、もちろん私は申し込んだ。



 このクラウドファンドは「Campfire(キャンプファイア)」というシステムで、申し込んだ時点で決済が行われ、最終的に目標金額を達成しても達成しなくてもイベントは実施される。武藤彩未の今回のイベントの場合、目標金額は150万円で、すでに200万円の達成は目前だ。支援者は206人。つまり参加者の9割が1万円コースを頼んでいる。



 以上の事例を参考に考えれば、300人のライブハウスを普通にソールドアウトにできるくらいのインディーズ・アイドルなら、無観客ライブ配信、プラス音源と動画のダウンロードサービスで、だいたいそのくらいの人数から1万円ずつ徴収できる。つまり300万円くらいの収入は見込めるということになる。今回は、武藤彩未の歌とアコースティックギターとパーカッションという編成のスタジオライブだというから、まあペイできるのではなかろうか。ただ問題は、ふつうのグループアイドルの場合、ライブハウスツアーを組んで、グッズ販売とかいろいろやってもう少し、たぶん1千万円は稼がないといけないのだろうけど(金額についてはただの想像ですが)、この形式だとツアーが出来ないんだよな。
 ま、そんなことは良いや。なんだかんだと復活以降も現場まで行けなかった武藤彩未のライブに、こういうかたちで参加できることが何より嬉しい。



 話は変わって、私はかれこれ一ヶ月以上、自転車で通勤している。公共交通機関を使わないように、と言われても、自動車を持っていないのである。片道約10キロ。だいぶ建康になってしまった。
 通勤中、やたらと見るのがウーバーイーツの自転車。急いでいるのか、細かいルールは気にしていない人が多い。交差点ではふつうに赤信号を無視する。こういうの、すぐにスマホで撮って通報する人がいるからなあ、と思っていたら、東京では高速道路を走る、とんでもないウーバーイーツがいたそうだ。
 これはあんまりな話だけど、だいたい、こういうニュースが流れると、すぐ「ルールを守れ」と叫ぶ人がいる。でも自転車を乗る人がみんなルールを厳守したらたいへんだよ。



 現行の道路交通法では、自転車は「車両」として扱われ、車道の左側を走るよう定められている。歩道を走っても良いとされる例外は、道路標識で自転車通行が認められている場合、それから、小学生以下の児童、70歳以上の老人、障がい者のいずれかが運転する場合である。歩道を走った場合、もしくは車道の右側を走った場合は、3ヶ月以下の懲役または5万円以下の罰金が科せられる。
 二人乗りは禁止されているが、6歳未満の子供を二人まで乗せることは認められている。その場合は、子供をチャイルドシートに乗せ、シートベルトとヘルメットを着用させる義務がある。



 したがって、近所の保育園の抽選に落ちたお母さんが、15分ほどの距離にある保育園まで国道を通って二人の子供を届けなければならない場合、子どもたちにヘルメットをかぶせ、フロントシートとリアシートに乗せて、車道を行けば、法律的にとても正しい。だが危険である。可能であれば歩道を、通行人に十分気をつけて利用させてもらう方が良い、と思うのだが。
 話がそれた。まあそんなふうに、自転車をめぐる道路交通法の内容そのものにだいぶ問題があるので、一概に「ウーバーイーツはルールを守れ」というのもどうかと、個人的には思う。しかし交差点などで出す手信号だけは大事だ。あれをせずに、でかい荷物を背負ったウーバーイーツが不意に右折したりすると、ちょっと怖い。



 せめて道路交通法に定められた3つの手信号(ハンドサイン)だけはウーバーイーツで教育して欲しいです。というふうに、われわれ小市民が様々な法律を守ったり守らなかったり、法律でカバーできないところは知恵を出しあって日々暮らしているのも、世界が当分は今のままで続く、という見通しがあるからである。間もなく世界が終わるとなれば、社会的ルールもへったくれもないアナーキーな状態がやって来る。



 とはいえ、あちこち暴動や略奪だらけになるかというと、そうなるかも知れないけれど、ドラマ『隕石家族』では、そうはならない世界が描かれる。たとえば物語の主役、門倉家では「大事なことは家族全員で多数決を撮って決める」という家族ルールをより厳格に適用するようになったし、ご近所の御園さん(光浦靖子)は、ゴミ出しのルールをより厳格に監視するようになり、分別ゴミをいい加減に扱う町内の田中さん(氏家恵)を土に埋めて罰した。上から押し付けられていた社会の大きなルールがゆるんだぶん、各家庭や個人は、自分たちのルールで生活を始めた。同時に、自分の行動についても、残された時間を、自分が本当にやりたいことをやるために使うようになっていった。これは当然のことだ。



 『隕石家族』第4話「どうにも止まらない」(2020年5月2日、原作・脚本:小松江里子/照明:生嶋航/撮影:布川潤一/監督:竹村謙太郎)の続き。大好きな森山先生が疎開すると聞いて、ついて行く決意を固めた門倉家の長女、美咲(泉里香)。前回は帰宅したところまででした。今回は家族へのカミングアウト。このドラマで最初の、泉里香メインの見せ場なので、とりあえず本編に入ろう。



美 咲「私、この家を出る」



和 彦「え?」



美 咲「疎開するの。荷物まとめなきゃ」



和 彦「え?え?ちょっとちょっとちょっと待って待って待って」
久美子「いきなり疎開だなんて」



美 咲「もう決めたの」
久美子「何か理由があるのなら話して」



美 咲「私の勝手でしょ。好きにさせてよ」
久美子「いきなり疎開だなんて」



和 彦「駄目だ。この家のことは家族の多数決で決めるんだ。勝手はするな」
久美子「そうよ。美咲はうちの家族なんだから」



美 咲「『家族』って、私は貰われっ子でしょ」



久美子「何言ってんの…ちょっと、座りなさい」


╳    ╳    ╳



久美子「疎開って、どこに? どこへ行くつもりなの?」
美 咲「森山先生の田舎。先生、中学辞めて実家に帰るの」



久美子「森山先生が?」
正 子「森山先生って?」



久美子「ああ……美咲の中学の時の担任の先生です。良くしていただいて、その先生がいるから、美咲も中学の先生になるって……」



和 彦「じゃ、森山先生が辞めて田舎へ帰るから、お前も一緒に付いて行くって言うのか?」
美 咲「そうよ」
久美子「森山先生が一緒に来てって言っているの?」



美 咲「先生がそんなこと言うわけないじゃない」



和 彦「じゃどうして付いて行くんだ。最後の時は、この家でみんな一緒にって言ってるだろう」



正 子「そうですよ。申し訳ないけれど、その先生はしょせん他人。嫁と違ってれっきとした他人です」
結 月「そうだよ。家族と一緒にいるのが一番だよ」



結 月「ねえ、翔太もそう思うよね」
翔 太「あ……うん」



和 彦「みんなの意見は今のとおりだ」



美 咲「私は、先生が好きなの」



久美子「え?」



美 咲「だから、最後の時、そばにいたいの」



美 咲「森山先生は、独りでその時を迎えるって言った」



美 咲「でも私はそばにいたいの」



美 咲「森山先生がいたから、いまの私はある。一番つらいとき、いつもそばに居てくれた。だから、今度は私がそばに居てあげたいの」



正 子「けど、他人は他人よ」



美 咲「他人じゃない!他人なんかであるはずがない」



美 咲「私の気持ちをいちばん分かってくれている人なの」



美 咲「なのに、あんな見合い話なんかもってきて」



和 彦「何を言っているんだ?」
結 月「お姉ちゃん……」
美 咲「私は、先生さえいればほかに何も要らない」



美 咲「もうこうなったら、私もママのように、自分の気持ちに正直になる」



久美子「美咲……」



美 咲「私は最後の時、先生と迎えたいの」



 泉里香の演技は、スタイルと美貌を武器に責めるSの要素と、生真面目で一途で受難に耐えるMの要素がちょうどよくブレンドされたときに本領を発揮する(名古屋支部調べ)。女優デビュー作で早くも、変身前の内気な亜美と変身後の積極的なマーキュリー、さらにプチ女王様タイプのダーク・マーキュリーと、多彩な人格を演じ分ける楽しさに目覚めちゃったこともけっこう大きいんじゃないかと思う。その後の仕事のなかでもやはり『海月姫』の稲荷が光っていた。
 そういう意味ではホームドラマに上手くはめ込むために、一工夫いる女優さんと言えるかも知れない。私は『仮面ライダー鎧武』の姉ちゃんは、ちょっと真面目な面を出し過ぎだったかな、と反省している。(私が反省しても仕方ないが。)弟を包み込む母性だけでなく、少しは佐野岳を翻弄する小悪魔的な側面も混ぜたほうが良かったかな、なんて、昨年『スキャンダル弁護士 QUEEN』で二人のツーショットを観ながら思った。
 今回の『隕石家族』の美咲は、ふだんはクールでマイウェイなライフスタイルを貫き、言いたいことはずばずば言う、遠慮なく奔放そうな外見と、意外と家族思いで、しかも中学生のころから森山先生に一途でプラトニックな気持ちを貫く、純情可憐な内面のバランスが良くて、ホームドラマでの泉里香の演技スタイルを、ひとつ作ったと思う。



和 彦「まさか美咲がなあ」



久美子「私は分かる気がする」
和 彦「え?」



久美子「あの子、いじっぱりで負けん気が強いから、中学の時、少しいじめられていたことがあったでしょ」
和 彦「そうだったなあ」



久美子「ああいう子だから、私たちにも何にも言わなかったけど」



和 彦「変に聞き出そうとすると、ますます頑なになっちゃって」



久美子「そんなあの子の心の殻を、初めて破ってくれたのが、森山先生だった」
和 彦「うん」
久美子「人って、立場とか年齢や、男とか女を超えて、その人だけにつながるものってあるような気がするの」



久美子「きっと二人にしか分からないもの。それが愛かも知れない」


 しっかり自立している大人の女に見えて、中学時代の心の傷や、それを癒やしてくれた人への想いを、いまでも抱き続ける乙女。前回も書いたとおり、この中学時代のエピソードを聞いて、私は美咲と水野亜美が重なって仕方なかった。悪いクセですね。当時の写真も大切にしまってあるし。






 そんな亜美、いや美咲だから、翌日、朝早くに家を出ようとしたのも、また言い争いになったりすることを避ける気持ちもあるにはあったろうが、何よりも自分が家族のことを好きだから、みんなの顔を見て、みんなに引き止められたら出て行く気持ちが鈍ってしまう、という思いがあったんだろう。



 そんなわけで、まだ薄暗い時間に早起きして、そっと階段を下りて、長年住み慣れたリビング・ダイニングに佇む。でもそんな美咲の気持ちを、家族はお見通しだった。



久美子「黙って出て行くつもり?」



美 咲「ママ」
久美子「多数決はまだでしょ」



結 月「そうだよ。お姉ちゃん」



美 咲「結月……翔太君」



正 子「まだ賛成とは言い兼ねますが、美咲が決めたことだから、信じて送り出してあげるわ」
美 咲「お祖母ちゃん」



和 彦「母さん、いつもので決めますよ」



美 咲「パパ」



和 彦「では多数決をとります。美咲がこの家を出ていくことに賛成の人」




美 咲「みんな……」



和 彦「全員賛成、これで決まりだな」



美 咲「今までありがとう……貰われっ子でよかった」



結 月「だから、お姉ちゃんは貰われっ子なんかじゃ……」
美 咲「分かってるそんなこと」



美 咲「今までお世話になりました」



美 咲「甘ったれのことある妹だけど、結月のことよろしくね」



翔 太「はい」


f


美 咲「じゃあ行くね」



久美子「森山先生は知ってるの?」
美 咲「知ってるはずないじゃない。押し掛けるんだから」
正 子「こういうのって押し掛け女房って言うの?」
久美子「お母さん!」
正 子「どっちでもいいけど」


╳    ╳    ╳





美 咲「じゃ!」



結 月「なんだそれ」




結 月(こうして、お姉ちゃんは家を出ていった)



 と言うわけで泉里香の美咲は、ここで惜しまれつつドラマチックに物語から退場……したわけではない。早くも次回、ちゃっかり戻ってくるので、レビューはまだまだ続きます。
 美咲は、ルックスも頭脳も、妹の結月(北香那)より恵まれていて、そういう立場からときどき、頑固で不器用な妹に、言いたいことをズバズバ言う。でもそんな態度とは裏腹に、実は妹とまるで違うし、家庭内でも浮いていることがコンプレックスにもなっていて、自分は貰われっ子なのではないかと、いまだに冗談で言いながら、実は本気で不安でもある。その不安は次回以降の伏線にもなっている。



久美子「はい」



和 彦「離れても、美咲がおれたちの娘であることには変わりない」



久美子「ええ……二人とも、本当の娘として育ててきたんですものね」



和 彦「行ってくる」



久美子「行ってらっしゃい」


 まあとにかくあれこれイベントが盛りだくさんのドラマである。というあたりで、今回はこのへんで。次回が第5話レビューです。2週遅れになってしまいました。