実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第680回】岬マリは何を賭けたか?<その6>(北川景子『探偵はBARにいる3』)

1. ドラマイズムが止まらない


 「ドラマイズム」は大阪の毎日放送(MBS)が制作している深夜ドラマ枠で、日曜深夜(というか月曜)1時からの30分番組。いちおうTBS系列でネットされるが、だいたいが週遅れか月遅れで、そもそも放送しない局も多いし、名古屋のCBCでも番組によって放送されたりされなかったり。だから私もテレビよりもネット配信で観ることのほうが多い。



 現在放送中の、飯豊まりえと武田玲奈の青春船舶コメディ『マジで航海してます 〜Second Season〜』は名古屋ではやっていないがHuluで好きな時に観られる、と思ったらひと月以上遅れて8月17日からCBCでも始まったんだそうである。



 私が昨年からバカみたいに騒いでいる浜辺美波と浅川梨奈の青春麻雀ドラマ『咲 -Saki-』、およびその続編にあたる桜田ひよりと伊藤萌々香の『咲 -Saki- 阿知賀編 episode of side-A』も、この枠で放送されて劇場版が映画館で公開された。そして今年の1月には浜辺美波と森川葵の学園ギャンブルドラマ『賭ケグルイ』全10回も放送された。



 さて先日、その『賭ケグルイ』のBlu-ray/DVDボックスが発売され、記念イベントが行われたわけだが、なんとその場で『賭ケグルイ』第2シーズンと劇場版制作が告知されたのだという。ドラマ続編だけでも嬉しいのに、劇場版は予想を超えるサプライズだ。

 


 メインキャストの浜辺美波と森川葵はもちろん変わらず、高杉真宙もそのままだ。おそらくその他のメンバーもだいたい続投ではないかと思う。とりあえず岡本夏美のツイッターを観たら、彼女も引き続き西洞院百合子として登場するようだ。ありがたい。



 『賭ケグルイ』の魅力のひとつは、第7話をピークに、徐々に加速する浜辺美波と森川葵のイチャイチャぶりである。



 そしたら、その森川葵が、9月から始まるドラマイズムの次回作『文学処女』のヒロインを演ずるという。



 相手役が城田優で、泉里香も出るというんだからこれは大変である。やっぱりドラマイズムはすごい。これからも目が離せないね。



 この話題、ほかにもいろいろ語りたいことがあるのだが、キリがないのでそろそろ本編に行こう。

2. 「いつか君と昇った観覧車からの景色」(愛野美奈子「さよなら〜sweet days」)


注意】今回かなり大掛かりなネタバレになっていますので、これから作品を観賞する予定の方はお気をつけください。



 さて『探偵はBARにいる3』のレビューを再開する。麗子(前田敦子)失踪事件が、北城(リリー・フランキー)が密輸した末端価格4億円の覚せい剤の盗難と絡んでいることを知って頭をかかえる探偵。とりあえず事件のキー・パーソンである岬マリ(北川景子)を張り込む……つもりが、あっさり見つかって、マリから「遊ぼうよ」と誘われる始末。



 そして次の場面では、二人は札幌のランドマーク、複合施設ノルベサの屋上観覧車「NORIA」(スペイン語で「観覧車」という意味だって)に乗っている。椅子はヒーターが付いていて快適なんですと。



マ リ「初めて乗った。良い眺めね」



 俺 「麗子を返せ」



マ リ「返すわよ。そう言ったでしょ」



 俺 「犯人が捕まって事件が解決したらな。だがその犯人がお前だった場合はどうなる」



マ リ「はぁ? 何言ってるの? 犯人は工藤……」



 俺 「工藤じゃない。椿を殺したのは小さい奴なんだ。デカい奴を装っていたんだ」



 俺 「小さい男がデカい男を装うなんて無意味だ」



 俺 「犯人は女なんだよ」



 俺 「だがそうすると疑問が生ずる。麗子だ」



麗 子「背の高い男の人がいたの」



 俺 「なぜああ証言したのか? そもそもなぜ犯人はトラックの輸送ルートや時間が分かったのか?」



 俺 「答えはひとつだ」



マ リ「さっさと降りて」



 俺 「麗子は最初からお前の協力者だったんだよ」



 俺 「麗子としては、まさか殺しをやるとまでは思っていなかったろうがな」



マ リ「ふふ。面白い推理ね。その場合、工藤はどうなるの?」



 俺 「お前と工藤はグルだったんじゃないのか? あいつなら5キロのシャブを捌くことも出来たかも知れない」



 俺 「だが仲間割れした。分け前をもっとよこせとか、おれの女になれ、とか」



 俺 「とにかくお前は工藤が邪魔になった」



マ リ「凄い! それが本当なら、私って凄いね」



 俺 「ああ。凄すぎるよ」



 俺 「抜け殻だった女が」



 俺 「久しぶりだな。憶えていてくれて嬉しいよ。ネクタイするような奴じゃないって」



 俺 「目的は何だ。そんなに金が欲しいのか?北城が気づくのなんて時間の問題だぞ」



 俺 「売れないシャブ抱えて、おまえ一人でどうするつもりだ」



マ リ「探偵みたい」



マ リ「綺麗ね。一番高いとこからの眺めは」



マ リ「でも長くは続かない。昇りきったら後は下がるだけ。人生と同じ」



マ リ「飲まない? 誰かと乾杯したいの。もうすぐ誕生日だから」



 俺 「お前のか?」



マ リ「内緒」


 このとき探偵はモンローの話を思い出す。マリは4年前、妊娠していたけど、結局生まなかったという。理由はモンローも知らなかった。



モンロー「今でも憶えちゃってる。予定日」



モンロー「2月18日。もうすぐね。4歳か」



モンロー「生まれていれば、あの子の人生も変わっていたんだろうな」


 「2月18日。もうすぐね。4歳か」というのが、マリのいう「誕生日」に違いない。そのことを想うと、探偵はもうこれ以上マリを追求できず、「飲まない? 誰かと乾杯したいの」という誘いに乗らざるを得なくなってしまう。


3. 悲しい女(Sentimental Lady)



 さんざん飲み歩いて、だいぶ陽気になった探偵とマリ。楽しいシーンだけど、ススキノの繁華街のど真ん中で大泉洋と北川景子が腕を組んでデートしていれば、そりゃ大変なことになる。周りをエキストラで埋めるといっても、思いっきり引いた画面なので通りの全体が映る。夜の繁華街の雑踏。これどうやって撮影したのか。



 限定版ボックスの特典映像を観ていたら、封切り直前の2017年11月15日、東京ミッドタウン・クリスマスイルミネーション点灯イベントに参加した大泉洋と北川景子が、司会者の質問に答えて次のように語っていた。



大 泉「そうですねえ、まあデートというシーンではありましたけど、ほんとにススキノの一番人通りの多い交差点で撮っていたので、正直その、ロマンチックなムードとか一切なくて、我々は限界まで、ギリギリまで車の中で待機しまして、我々を囲む百人くらいのエキストラの皆さんのお芝居をつけて、あとはもうホントに、一般の方を止める訳にはいかないので、一般の方も入っては来てしまいますから、もうゲリラ撮影と言いましょうか。『出てください!』と言われたら、出た瞬間に『よーいスタート!』っていって、もうね」



北 川「一発勝負みたいなかたちで、けっこう長い台詞を、ずーっと歩きながらやりましたね」


 というわけで、邪道な観賞法なんだが、そういう緊迫感も感じながら観賞したいロングショットです。



 俺 「で、添えられてるケチャップに手の跡がついてんだよ。それで分かったんだ。犯人の手にはケチャップがついてるってよ」
マ リ「ふふ、すごい。名探偵。ねえ、どんな依頼でも引き受けるの?」
 俺 「ギャラ次第だな。俺は高いぞ」



マ リ「今回の仕事は?」
 俺 「麗子捜しか?」
マ リ「うん」



 俺 (耳打ちする)
マ リ「一万八百円?」
 俺 「ははははは」
マ リ「うそでしょ」



 俺 「本当だよ。どうなってるんだよ最近のガキは」
マ リ「それであんな目に遭ってるの?」
 俺 「遭わせたのはお前だろうが」
マ リ「ははははは」



マ リ「私の依頼なら、いくらで受ける?」
 俺 「受けない」
マ リ「百万でも?」
 俺 「百八万なら考えてやるよ」



マ リ「え?」
 俺 「消費税だ」



マ リ「やだ(笑)」
 
 俺 「もう一軒行くか」



マ リ「もちろん」


 調子に乗って、気が付いたら自宅のベッドにいて、隣でマリが寝息を立てているというシチュエーションに。なんか、まんまとはめられた感じ。



 俺 「正気かよ……俺」



 前作の麻美ゆまとの激しいベッドシーンとは対照的に、首から上だけのおとなしい露出である(首から上だけだったら露出とは言わないか)。
 暴力シーンと性描写を控えたせいで、本作がシリーズで初めてPG12(小学生は親の助言や指導が必要)からG指定(Gはグリーン、つまり安全の意味)になったことは前にも書いた。この区分にどんな意味があるのかは分からない。露出の制限については、たぶん北川さんの事務所からの意向もあるのだと思うけど、ちょっとあんまりだと思いませんか。



 別に胸を出せとか言わないけど、映画の性質と役柄を考えれば、もうちょっとこう、情事の後のしどけなさを感じさせる程度に寝乱れた姿で、背中とか脚とか露出しても良かったような気がする。これじゃ『家売るオンナ』で寝袋に入っていた三軒屋万智と変わらないよ。



 マリが眠っている間に、探偵は何か事件に関連するものはないかと、こっそり彼女のバッグを物色する。



 見つけたのはモルヒネ塩酸塩錠10mgの錠剤だった。疼痛緩和に用いられる経口投与剤。



 しかもかなりの量が処方されているところから判断して、彼女の病状はかなり深刻なレベルまで進んでいて、いまもモルヒネで激しい痛みを抑えていることが分かる。



 何とも言えない表情でマリを見やる探偵。彼女はいま、燃え尽きかけた命を賭して、何かおそろしく大それたことをやろうとしているのだ。それは何か。

4. 「激しくやばい」



 翌朝、二日酔い気味の頭を振りながら目覚めるとマリの姿はない。冷蔵庫までふらふら歩いて、迎え酒のつもりか、ビールを出す。



 栓を抜こうとして、冷蔵庫の上の電子レンジに立て掛けられた、厚味のある封筒に気づく。



「引き受けてくれてありがとう ご主人様」


 中に入っていたのは百万円の束と、一万円札が八枚。昨夜ススキノを歩きながら戯れに口にした探偵依頼料の百八万円だ。



 依頼内容は何か。それを物語るかのように、封筒にはもう一つ、小袋が入っていた。中味は覚醒剤だ。



 俺 「俺のバカ……俺のバカ」



 俺 「バカバカバカァ……どうしよう」


 マリが北城からかすめたシャブの処分に手を貸してくれという依頼だ。最高にヤバい依頼である。過去の縁もあってちょっとばかり情にほだされて、なにしろ美人だったのでいい気になって、まんまとハメられた。とりあえず高田(松田龍平)に連絡だ。




高 田「ははは、お前がバカなのは知っているよ。何を引き受けたんだよ」



 俺 「いや、引き受けたわけじゃねえんだよ。いや、ハメられたんだよ。いや、ハメさせられたんだよ。いや、ハメてない、俺、ハメてねえけどさ、とにかくヤバイ。猛烈にヤバイ。いいからもうこっち来いよ。こっち来て。どうしたらいいか一緒に考えよう」



高 田「何がヤバいって? もういいよ。行くよ」


 いつもはじれったいぐらい遅い高田だが、今回は迅速に到着したようで、ほどなくしてドアにチャイムの音がした。……と思ったら勘違い。北城の一味だった。可愛い顔してめっぽうケンカに強い用心棒の波留(志尊淳)もいる。



 俺 「おお、早かったな」



 俺 「!」




波 留「悪いけど散らかしまーす」



 俺 「もともと散らかってるんでどうぞ」



 俺 「ま、これといって珍しいもんがあるわけじゃないけどね」
部 下「ありました!」



 俺 「え?」
部 下「こっちにも」
部 下「こっちにも」



 部屋のあちこちからシャブの小袋が見つかった。もちろんマリの仕業だ。絶体絶命。



 探偵は引っ立てられ、車に押し込められて北城のもとに向かう。しかし、ちょうど到着した高田がその様子を目撃していた。




高 田「激しくヤバいな」


 ピンチであるが、北城と初めての直接対決でもある。さあどおなる、というところで、今回はこのくらいかな。



 おまけ。特典映像のメイキング集より。観覧車のシーンの遠景ショット用に、ゴンドラ内にカメラを入れず、北川さんと二人きりで一周した後の大泉洋の感想。




スタッフ「おつかれさまでした」



大 泉「北川さんとの観覧車は楽しかったです」


 うらやましいですね。このノルベサの屋上観覧車が一周するのにかかる時間は約10分だそうです。北川さんと観覧車の個室で10分過ごせることになったら、みなさんどうしますか? 私は頭の中が真っ白になって固まってしまいそう。