実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第655回】とにかく進もうの巻(『帰ってきた家売るオンナ』『海月姫』)

 

 

 とても『西郷どん』までフォローする余裕がないんだけど、なかなか良いぞ北川景子。がんばれ北川景子。

 

 というわけで、相当な周回遅れになってしまったが、オリンピックの盛り上がりの中で視聴率的に苦戦している『海月姫』を引き続き応援したい。と思ったが、まず『帰ってきた家売るオンナ』(2017年5月26日、日本テレビ放送、脚本:大石静/撮影:二之宮行弘/照明:大内一斎/演出補:山田信義/監督:猪股隆一)の続きからだ。ちょっとだけな。

 

 

 足立王子(千葉雄大)は美しいシングルマザー淀川水樹(芦名星)の「息子と二人で暮らせる場所を、賃貸ではなく自分のものにしたい」という願いを実現させるために、なんとか本人の望みどおり、みすぼらしいけどギリギリ可能性のある物件をたずさえ、水樹を内見に連れて行く。

 


足 立「こんなのしかないんですが……」


水 樹「すてき……」


水 樹「シングルマザーの私に、こんな家が買えるなんて夢みたいです」


水 樹「保育園からも近くて最高だわ」


水 樹「わあ、お風呂がある」


水 樹「自分の家でお風呂に入れるなんて夢みたい足立さん!」



水 樹「気持ちいい」


足 立「そんなに喜んでいただけて僕も感激です」


足 立「この物件は450万ですので、頭金ゼロとして、月々1万5,000円程度の返済で30年」


足 立「通るかどうかわかりませんけど、それで申請、出してみましょうか」


水 樹「お願いします!」

 


 水樹は、すぐそばの保育園が終わるので、息子を連れてきてこの部屋を見せてやりたいと言って飛び出していく。

 

 

 

 

 その輝く笑顔にほとんどクラクラの足立。ところが振り返ればそこに三軒屋万智(北川景子)が。

 

 

 

 前にマンションの世話をしたロリータ女子大生、沙羅(古畑星夏)とその愛犬ココアも一緒である。

 


万 智「お客様です」
足 立「え?」
万 智「こちらでございます」
沙 羅「あ、足立さんだ。え、足立さんも来てくれたの」
足 立「いえ」


万 智「こちらのお部屋、ココア様の犬小屋にちょうどよろしいかと思いますが」


沙 羅「いいわ。いくら?」
足 立「ちょっと待ってください……」
万 智「450万でございます」


沙 羅「そんなに安いの? パパがキャッシュで買ってくれるわ」
万 智「では会社に戻って、お父様とオーナー様とで売買契約をいたします」
沙 羅「よろしく。で足立さんは何しているんだっけ?」


足 立「他のお客様にこのお部屋をお売りしようと思っていたのですが」


万 智「キャッシュでお買いあげだ。戦うまでもない」

 


 サンチーに手柄を取られたからというよりも、水樹のためにと思った格安物件を「犬小屋」にされてしまった腹いせに、こころ(臼田あさ美)のスナック「ちちんぷいぷい」で、庭野(工藤阿須加)を相手にクダをまく。
 

 


足 立「鬼だよサンチーは。鬼だよ鬼。犬の方が人間よりも大事なんだからクソだよ!」


庭 野「そうなのかなぁ。自分は三軒屋さんを信じたいですけどね」
足 立「お前はサンチーの犬だからな」


庭 野「自分も三軒屋さんのことがわからないし、ひどいと思うことも多いですけれど、けど何か考えがあってやっていると思うんですよ」

 


 工藤阿須加はこういう、基本的に性善説のキャラクターがよく似合うので、『海月姫』の修も、原作とはだいぶイメージが違うけど、でもやっぱり純朴そうなところはしっくりくる。
 もちろんこういう性格は政治家向けではない。女に対しても純朴すぎる。そこで修(工藤阿須加)の父親の鯉渕慶一郎(北大路欣也)は、お堅い修の筆下ろしをやってのけた(と勘違いしている)稲荷翔子(泉里香)の実績を見込んで、二人の関係を積極的に後押しし始める。もちろん翔子に対しては、天水地区の再開発事業を進めていくためのコマとしての利用価値も織り込み済みだ。第4話(フジテレビ、2018年1月29日放送、原作:東村アキコ/脚本:徳永友一/照明:金子拓矢/撮影:川村明弘/演出:山内大典)より。

 


 修 「天水地区再開発に関して反対派の住民は、半数を超える55.5%に達しており、賛成派を上回ってきています」
慶一郎「そうか」
 修 「はい」
 修 「先生は 賛成か反対、どちらのスタンスなのでしょうか?」


慶一郎「これ、彼女も呼んでおきなさい」
 修 「彼女?」


慶一郎「稲荷翔子だ」


翔 子(もう一度私とセッ……)


慶一郎「彼女は 貴重なパイプ役だ。いかようにも使うことができる」


慶一郎「この話 失敗できんぞ。天水地区再開発の話をまとめ上げれば、私は大臣に返り咲き、お前は選挙に立てる」


 修 「待ってください。 僕、あの人と」
慶一郎「修、これだけは言っておく」


慶一郎「肉体関係から始まる恋も悪くないぞ」

╳    ╳    ╳


慶一郎「天水館の女?」
花 森「はい。修さんの本命の女性はその方かと」


慶一郎「それはまた」


花 森「ややこしいです」


慶一郎「何としても開発屋の彼女の方をステディーな関係に押し上げろ」


花 森「すでに手は打ってあります」

 


 花森(要潤)が打った手とは「童貞を殺すセーター」。私もよく知らなかったんだけど、実はこのセーターはオタクな人の間では数年前からリアルに有名だったという。「そうなの?」と思われた方は、「童貞を殺すセーター」もしくは「例のセーター」で検索してみてください。

 



翔 子「何これ?」



(

佐々木「『童貞を殺すセーターです。ご自由にお使いください。匿名希望』」



翔 子「匿名希望って……ここに名前書いてあるけど」


佐々木「何なんすかねこの人」
翔 子「ただのバカでしょ。 捨てといて」


佐々木「いや でもこれからどう攻める気ですか?あれから鯉淵ジュニアに連絡してないですよね?」


翔 子「私を誰だと思ってんの?」


佐々木「そりゃ 床上手の敏腕デベロッパー」



佐々木「あ、あの間違えた。 あれだ。恋の百戦錬磨、稲荷翔子さんです」


翔 子「そのとおり」


翔 子「恋ってのはね、会えない時間に育まれるものなのよ」


佐々木「めんどくせ〜」

 


 まあ、こういうセーターを泉里香に着て欲しい、という脚本家の趣味かもね。違うかな。ちなみに脚本の徳永友一氏は北川景子の『LADY 〜最後の犯罪プロファイル』(2011年)では全10話中6話の台本を担当し、『探偵の探偵』(2015年)では全話を手がけた。まあ『探偵の探偵』も私は好きだけど、暗いしハードだよな。今回の『海月姫』のほうがだんぜん楽しい。次はぜひキャラクターの立ったコメディ調のドラマで北川さんと組んでいただければと思う。
 ともかく童貞を殺すセーター案を却下した稲荷翔子が、自信満々で修に仕掛けた作戦は狂言自殺。実際、ほのめかしの電話を受けた修は大あわてで翔子のもとに車を走らせる。でもそれは修の真面目な性格がそうさせただけで、翔子が思い込んでいるほど修は翔子にぞっこんではなかった。

 


翔 子「ごめんなさい。私とはただの火遊びだったのに、一人で熱くなってあなたを追い詰めてしまって……」


翔 子「もうこれ以上、修さんにご迷惑掛からないようにします」


佐々木「(睡眠薬をばら撒きながら)眠っ」


佐々木「しっかりしてください! 今 どこにいるんですか?」


翔 子「私のことは忘れて」


佐々木「ちょっと失礼します」


翔 子「好きな人と幸せになってください」


 修 「稲荷さん!」

╳    ╳    ╳



 修 「稲荷さん!」


翔 子「な〜んちゃって」


翔 子「ここに来るまでの間、ドキドキしたでしょ?『翔子 絶対 死なないでくれ死んでほしくない!』って」


翔 子「それが答えよ。どうでもいい人に対してそんなふう……」



翔 子「ちょっ、 何よ!女に手を上げるなんて」


 修 「バカ野郎!」





翔 子「何よ。童貞のくせに」

 


 色香に惑ってブレブレになるかと思いきや、意外に硬派な修の男らしさに、ミイラ取りがミイラになっちゃう翔子。ここでいきなり恋する純情乙女と化して、翌日の再開発説明会でも、プレゼンの途中で会場に入ってきた修の姿を見るなり言葉を失ってしまう。今までドSの翔子にネクタイで締め上げられるばかりだった佐々木(安田順平)が、そのあたりを冷静に見極めていて、フォローを入れているあたりも面白い。

 


翔 子「続きましてクレアトゥール東京、上層階に含む地上33階建ての商業ビルの建設予定地ですが」






佐々木「稲荷さん、稲荷さん」


翔 子「あ… すいません。建設予定の商業ビ……」


翔 子「……ビ、 ビンタ……」


佐々木「代わるよ」


佐々木「失礼いたしました。ホテルの建設予定地なんですが、すいません、こちら御覧ください」


佐々木「天水駅の東側 3丁目地点を予定しております」

╳    ╳    ╳


翔 子「修さん! ちょっと待ってよ!」


翔 子「昨日あなたに叩かれたとこ、まだ痛むんだけど」


 修 「その件に関しては心からお詫びします」


 修 「本当に申し訳ない。このとおりです」


 修 「では 失礼します」


翔 子「ちょっと待って。 ねえ 今日 この後の予定?」


 修 「あります。 事務所に戻って今日の資料をまとめますので。では」


 修 「花森さん 何してるんですか?」


花 森「どうぞ」
翔 子「すみません」


翔 子「失礼します」


 修 「いや、えっ、ちょっ ちょっ ちょっ、ちょっ…… 花……」

 


 花森は慶一郎から二人をくっつけるよう指示されているからね。二人を雰囲気のある海に連れて行く。でも修の態度はまったくつれない。
 

 


翔 子「あ〜 寒〜い。 凍えそう」


 修 「用地買収に関して天水館の人たちは何と言っているんでしょう?」
翔 子「皆さん 反対していますよ」


 修 「どうするつもりですか?」


翔 子「そんなに気になります? あの彼女のこと」


 修 「はい。ですから今後勘違いされるような行動はやめてください」


 修 「あなたとは仕事上でのみのお付き合いですので」

 


 こんなんで、稲荷翔子は自分に見向きもしない修にどんどんハマっていくのだが、そのへんのモヤモヤする想いをなぜか卓球にぶつけたりしている。

 

 

 

 この卓球の場面は好きだ。原作ではオフィスのコーヒーサーバーのところでボーッとしている姿とかで描かれているけど、卓球の方がいいね。それでもお父さんの慶一郎は、修と翔子のペアリングと天水地区の再開発をセットで強引に進めていこうと、今後の打合せを兼ねて料亭に一席もうける。

 


 修 「あのアパートの住民はみな反対派のようです。ぜひとも意見交換会ではそのことにも触れていただければと……」


慶一郎「修。再開発に対する私の考えは当初から一貫している」
 修 「えっ?」


女 将「どうぞ、こちらです」



翔 子「鯉淵先生、本日はお招きいただき、ありがとうございます」

╳    ╳    ╳


 修 「先生、先ほどの話は本当ですか?」
慶一郎「何がだ?」


 修 「再開発には当初から賛成の意向だったと」


慶一郎「わしはね、君と修がステディーな関係になることを望んでいる」


慶一郎「しかし、こいつは今あろうことか、天水館の女性に恋をしているらしい」


 修 「ちょっ…… 先生、何を言ってるんですか?」


慶一郎「政治に個人的な感情を持ち込まれては困る」


翔 子「おっしゃるとおりだと思います」

 


 と、だいぶ飛ばしたけどこれでもようやく第4話終了か。オンエアのほうはすでに第6話まで終えて、後半ターンに入っている。とにかく視聴率がひどいらしいが、ドラマとしての評価はどんどん上がっている。最終回まで頑張って欲しい。
 これから後のエピソードでは、泉里香の出番は相対的に減っていくとは思う。でもあれだ、第5話では翔子のために韓国ロケも敢行されている。原作では、天水館のオーナーである千恵子の母親は、ヨン様がきっかけで韓流スターにハマったあげくソウルに長期滞在している。で、翔子が天水館買収交渉のために現地に向かう、という設定であった。原作から10年経った今回のドラマ化では、千恵子の母は男子フィギュアの羽生君に入れあげて平昌オリンピックを観に行っている、という設定で、やっぱり翔子は交渉のためにソウルに飛んだ。上手いことやったな。だから最終回も原作どおり、泉里香を北海道石狩方面に送り込んでロケして欲しいです。よろしく。(あっネタバレか。なんてわざとらしいか)