12月から年をまたいで『帰ってきた家売るオンナ』DVDレビューをやっているが、すまん、やっぱりダラダラやっているとダレるな。
て言うか、月9ドラマ『海月姫』が想定外に面白くて、今はそっちに興味が行っちゃって困っている。あと原作漫画を読み始めたらこれまた面白いんだ。「これまた」って、原作のほうが元なんだけど。
『海月姫』のレビューは、できるだけ泉里香がらみの場面だけ取り上げて、オンエアのペースについていくよう努力しているが、それでも先週すでに遅れが出て、第2話を半分ぐらいしか消化していない。いろいろと遅延してヤバい(フジテレビ、2018年1月22日放送、脚本:徳永友一/撮影:川村明弘/監督:石川淳一)。
え〜と前回は、稲荷翔子(泉里香)が鯉渕修(工藤阿須加)を籠絡しようとしている話の途中だったね。古典的な「傘忘れちゃった」作戦で、まんまと修をディナーに誘うことに成功した翔子は、そのままホテルのラウンジバーへ。窓際の席にはアシスタントの佐々木(安井順平)が待機。
でも修のカタブツぶりは翔子の想像を超えていて、飲み物はソフトドリンクだし話題は天水地区再開発でロマンティックなムードのカケラもない。ハニートラップに対するセキュリティの堅さは政治家向きですね。
修 「防災上の観点から見ても老朽化が進んでる建物をこのまま放置しておくのは僕はよくないと思います」翔 子「そうですよねぇ。せっかく場所的にも恵まれてるのに」
修 「ちょっと失礼」
翔 子「どうぞ」
修 「はい、いまデベロッパーの方とお食事を」
原作漫画の稲荷翔子は、このスキに修の飲み物に錠剤を放り込む。それで戻ってきた修は一口飲んでひっくり返ってしまう。
でも、たぶん「クスリを盛る」という表現が月9的にNGだったのだろう、実写ドラマでは漫画以上にコミカルなアレンジが施されている。
翔 子「最悪ね」
翔 子「お酒一滴も飲まないなんて計算外よ」
佐々木「どうするんですか?」
翔 子「どうにかして眠らせないと……」
翔 子「チッ。こんなもんしかない」佐々木「稲荷さん何する気ですか?」
修 「失礼しました」翔 子「いえ……あの、鯉淵さん……」
翔 子「ちょっとこれ見ててもらえますか?」
翔 子「はい、あなたはだんだん眠くな〜る」
翔 子「眠〜く」
佐々木「速効寝た!」翔 子「嘘でしょ」
佐々木「えっ? 怖い怖い怖い怖い、まさか稲荷さんが催眠術まで習得してたなんて」翔 子「いざってときのために通信講座、受講してたのよ」
催眠術とは漫画に輪をかけてバカだ。でもそれをコミカルに演じきって、泉里香の株が上がった。あと工藤阿須加ね。これでバタンと倒れて説得力があるのは工藤阿須加くらいかもしれない(笑)。
今回のドラマ版のレギュラー陣で最も原作のイメージから遠いのが工藤阿須加だ。画的にも原作の修はシャープな感じで映画版の長谷川博己がぴったりだった。それに原作では政治秘書の修が兄で女装家の蔵之介が弟なのに、ドラマでは逆になっている。なぜ入れ替えたかは知らないが、瀬戸康史は29歳で工藤阿須加は26歳だし、瀬戸康史が小池里奈ちゃんや高橋ユウらと『仮面ライダーキバ』をやっていたのは2008年で、工藤阿須加のデビューは2012年、しかも当時はまだ無名(『悪夢ちゃん』でも名もない職員室の先生の一人だった)というキャリアの差もあるので、イメージ的には確かに弟の方がしっくりする。
それに原作の兄と弟を入れ替えたせいで、異母兄弟で、愛人の息子の兄は政治に無関心な女装家、堅物の弟が兄の代わりに父を継ぐ、という設定に深みが加わった、ような気もする。なんにせよ工藤阿須加は今かなり乗ってるね。
ともかく、酔いつぶれたようにぐっすり寝てしまった修を部屋に運び込む翔子と佐々木。
翔子・佐々木「せーの」
翔子・佐々木「よっ」
翔 子「こんな簡単にかかるなんて、私が一番びっくりしてるから」
佐々木「では僕はこれで。あまり無茶しないでくださいね」
翔 子「……さてと……」
翔 子「始めましょうか」
泉里香も実年齢でいえばアラサーで稲荷翔子にぴったりだが、原作よりゴージャスだと思うのはこっちが長年のファンだからかも知れない。
原作の翔子は写真を撮るときもほうれい線を気にしたり、もうちょっと安い感じがする。
翔 子「おはよ」
翔 子「すごぉく良かった」
翔 子「かなり相性いいみたいですね、私たち」
翔 子「痛ったあぃ」
翔 子「はぁ!?」
飛び出してゆく修に、最初は憮然とする翔子だが、修がメガネを忘れていったことに気づいてにんまり。翌日、翔子は鯉渕家に忘れ物を渡しに行くついでに、挨拶と敵状視察を兼ねて天水館を訪問する。住人の反応はそれぞれだ。猜疑心に満ちた管理人の千絵子(富山えり子)。手土産のマカロンに、わりと単純に喜ぶまやや様(内田理央)とばんばさん(松井玲奈)。ひとまず黙って事の成り行きを見守るジジ様(木南晴夏)。そして、修と仲良く相合い傘をしていた美女の来訪に動揺を隠せない月海(芳根京子)。
翔 子「お世話になっております」
翔 子「グローバルシティクリエイトでございます」
まやや「どお〜っ!メギツネ襲来!」
千絵子「こ、ここは管理人代理であるこの私が追い返すべきよね」ばんば「待て千絵子抄。あの女ギツネが手にしている菓子折りを見ろ」
千絵子「えっ? どうせおせんべいか何かでしょ」ばんば「いや違う。あの袋からすると洋菓子的な何かだ」
ばんば「下手したらマカロンかもしれん!」千絵子「行ってくるわ」
千絵子「何のご用でしょうか?」
翔 子「先日はわざわざ説明会にお越しいただきましてありがとうございました」
千絵子「いえ」
翔 子「これつまらない……」
ばんば「フゥ〜!」佐々木「いやこれは……」
ばんば「イェーイ!マカロンゲット〜!しかも 二つ!」
まやや「月海殿、山分けするぞ、ほれ!」
まやや「ぬお〜ほほ〜っ!わしはこれじゃ〜!」
(見おぼえのある修のメガネに思考停止)
千絵子「まやや、ばんばさん、駄目よ!菓子折りは一つだけだって」
翔 子「ごめんなさいね紛らわしくて、もう一つには私物が入っていまして」
翔 子「あらここ面白い部屋ですね」
月 海「入らんで!」
翔 子「ごめんなさいね、私はただそれを返していただこうと」
翔 子「この後近くで用事がありますので私はこれで失礼いたします」佐々木「すいません」
ジジ様「千絵子さん。今こそはっきり言うべきときでは。われわれはここから出ていかぬと」
千絵子「あ、あの、私たちはここを……」
翔 子「契約のことでしたらお母さまと直接話を進めていますので、ご心配なく」
千絵子「……はい……」
完全圧勝の翔子。月海が意気揚々と帰ろうとするところに蔵之介(瀬戸康史)がやって来る。
蔵之介「うおっ、誰?」
翔 子「こちらにお住まいの方ですか?」蔵之介「うんそうだけど」
翔 子「これは失礼いたしました。私こういう者です」
蔵之介「まさかあんたら地上げ屋!?」
結局言いたいことを言えなかった同居人たちに代わり、ここは蔵之介がきっぱり宣戦布告する。
佐々木「はっきり言っとくけど、ここの住人はみんなここから出ていく気なんて1ミリもないから。さっさと帰ってボスに言って。天水館の地上げは無理です、不可能です、ミッションインポッシブルですって」
翔 子「売るか売らないかはここのオーナーが決めることです」
蔵之介「オーナーね、分かった。じゃあうちらがここのオーナーになればいいわけだ」翔 子「はあ?何をおっしゃ……」
蔵之介「買うよ。うちらが買います。ここ天水館を」
佐々木「買うってお嬢さん、この辺の坪単価、幾らか知ってます?」
蔵之介「知らない。でも別に幾らだろうと買うから。一億だろうと五億だろうと十億だろうと買う」
蔵之介「はい!話は終わり。さっさと帰って」佐々木「いや…」
蔵之介「ほら!」翔 子「何すんのよ!」
蔵之介「塩!塩!はい」
ばんば「帰れ帰れ!」
佐々木「何なんですかあの人たち」翔 子「ほっときなさい。しょせん負け犬の遠吠えよ」
佐々木「でも、天水館買うとか言ってたあの女の子だけは、めっちゃ可愛かったなぁ。スタイルいいし」
翔 子「あぁっ?」
翔 子「あんなもんはただのガリガリだろうがクソボケ!」
このあと月海が「さっきの女の人って、弟さんの恋人なんですよね?、弟さんの眼鏡を持ってて……私見たんです。二人が一緒に歩いてるとこ」と蔵之介の胸で泣いちゃう、という一幕がある。
ドラマ的にはこっちの方が大事なんだけど、省略せざるを得ない。で、翔子はこれみよがしにメガネを届けに鯉渕邸へ赴く。出てきたのは館の主、大物政治家の鯉渕慶一郎(北大路欣也)。
翔 子「初めまして」
翔 子「私、稲荷と申します。鯉淵修さんいらっしゃいますか?」
慶一郎「どういったご用件ですか?」
翔 子「昨夜の忘れ物を届けに来ました」
なんか北大路欣也と泉里香も怪しそうだなあ。あと北大路欣也の奥さんが『天国の恋』の床嶋佳子なんだよね。その絡みで沢井さんも出してくれないかな(どんな絡みだよ)。
と、ここまででようやく第2話の泉里香出演シーンを消化したところで力尽きたので、今回はここまで。すでにまるまる1話ぶん遅れをとてしまったが、どうするよ。
あっそうだ、最後に『帰ってきた家売るオンナ』ちょっとだけ進めておくか(笑)。
天才子役の葉山蓮君(五十嵐陽向)に、初対面でいきなり相撲をしかけた三軒家万智(北川景子)。その謎の行動の意味をいろいろ考えた庭野(工藤阿須加)は、蓮君がひさびさにオフで学校に行っている留守中に、父親の葉山友明(要潤)を訪問する。
庭 野「今日はもう一度、家のご希望をお聞きしたくて来ました。蓮君ではなくお父さんのお好みを」葉 山「私のお金で買うわけではないので、蓮の好みを聞かないと」
庭 野「そうですか……」
庭 野「あの絵、蓮君と手をつないでいるのはお父さんですよね」
庭 野「蓮君はまだお父さんと手をつないでいたいんじゃないでしょうか」
庭 野「きっと蓮君が欲しいのは、家ではなくて、普通のお父さんなんじゃないかなあって思うんですよ」
葉 山「え?」
庭 野「贅沢はできなくても、普通に働いて自分を食べさせてくれるお父さん。普通に叱ってくれるお父さんです」
庭 野「弊社の三軒家が無理やり蓮君と相撲をとった時、蓮君はムキになって向かっていきました。あれは、自分を相撲で投げ飛ばしてくれるお父さんが欲しいっていう、心の叫びだったんじゃないでしょうか」
庭 野「……すいません。出過ぎたことを言って……」
庭 野「お父さん、蓮君と相撲を取ってみませんか?」
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葉 山「蓮、お父さんと相撲とろう」
葉 山「お父さん、もう手加減しないぞ。思い切ってかかってこい!」
蓮 「本当にいいの?」
葉 山「来い!」
蓮 「うわぁぁぁぁぁぁ」
蓮 「くそぉ」
蓮 「付き人なんかやめろ」
蓮 「今のお父さんは嫌いだ」
蓮 「ちくしょう」
蓮 「ちくしょう」
葉 山「蓮」
蓮 「お父さん」
葉 山「お父さん、普通のお父さんになってもいいか」
蓮 「ぼくもやめる」
蓮 「ぼくも普通の小学生になりたい」
んで、この要潤が『海月姫』にも出てるんだ。鯉渕家の忠実なおかかえ運転手、に見えるが、実は自分が運転する愛車が一番、自動車のためなら悪魔に魂でも売る男、花森である。
慶一郎「さっき稲荷と名乗る女性が修に忘れ物のメガネを届けに来た。何か知らないか?」花 森「さあ私は存じ上げません」慶一郎「こないだ言ってたレクサスのホイール買ってもいいぞ」
花 森「修さんは朝帰りをしました」慶一郎「あいつが?」
花 森「おそらくそのメガネはそのときに忘れた物かと」慶一郎「そうか」
慶一郎「念のためその女性のことを調べてくれ」花 森「申し訳ありません」
花 森「私は、一運転手として長年鯉淵家に仕え、幼きころから修さんを見守ってきました。ですから修さんに対してスパイのようなまねはできません」
慶一郎「新しいレクサス買ってやるぞ」
花 森「あっスギモッちゃん? 素性調べてほしい女いるんだけど」
ということで、今回はこのへんで。