実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第638回】泉里香『カンナさーん!』解決編の巻:その4(おわり)


そろそろ来るぞ。ま、まだ二ヶ月先だが。
私は毎晩スーパーニッカを呑んでそなえている。



 さて何週間も引っ張った『カンナさーん!』第9話(TBS、2017年9月12日、脚本:マギー/撮影:岡崎真一・佐藤勝成/演出:平野俊一)もいよいよ大詰め。どうもウチのコメント欄では概して評判の良くないドラマではあるが、でも泉里香出演作品としては、たぶん実写版セーラームーン以来の重要作なので、もう少しレビューにおつきあい願います。
 前回は、モデル休業中のトン子が、ファンの女の子から告白されて、ちょっと自信を取り戻したところまでだった。



ファン「私、憧れてて、いつも真似してるんです」



ファン「雑誌で緒川さんを見たのが、おしゃれに目覚めたきっかけなんです。」



トン子「ありがとうございます」


 これで、引っ込み思案のトン子もポジティブな感じになって、カンナともども、販売の仕事に調子が出てくる。



め ぐ「いらっしゃいませ」



トン子「このスカートすごく人気なんです」


 こうして二人の体験店員は、まずまず成功のうちに終了した。仕事上がりの二人の会話。ここがこのドラマの泉里香篇のエンディングみたいなものである。


 

カンナ「結局、目標にはぜんぜん届かなかったけど、今日一日本当に勉強になったね」



トン子「はい」
カンナ「じゃあ」
め ぐ「はい。二人ともホントお疲れさま。じゃあお店閉めちゃうね」



カンナ「やっぱり私デザイナー続けたい。お客さんの笑顔を見て、改めてそう思った」



トン子「私はカンナさんがうらやましかったです。どこにいても一生懸命でぶれないっていうか、いつでもカンナさんらしくって」
カンナ「それしかできないからさ」



トン子「あのお母さんの言葉も……」


 「あのお母さん」というのは、カンナさんがデザインした服を着てきた女の客(高橋かおり)のことだ。もう七年も前、カンナのデザインが最初に商品化された服を今でも着て、ほつれがあれば直して、大切にしてくれている人がいた。



 客 (旦那と初デートしたときの服なんです)



トン子「カンナさんはあの人にとって、替えの効かないたった一枚の服を作った」
カンナ「うん。嬉しかった」



トン子「初めて実感しました。顔の見えない相手にも、ちゃあんと想いは届いているんだ、って」



カンナ「トン子ちゃんがモデルやってたことだって、あの子たちにちゃあんと届いてたよ」



 客 (私あこがれてて……オシャレに目覚めたきっかけなんです)



トン子「はい。少しだけ自信になりました」



カンナ「あの子たちだけじゃない。私にも届いてたよ。まだ会う前からね」



 カンナは秘密を打ち明ける。って、どうってことないんだけど、この告白によって、実は泉里香こそ第1話からのキーパーソンだったことが明らかにされる。



カンナ「照れくさくって言えなかったんだけど、礼と離婚するって決めたとき、うちのビルの大っきい看板のトン子ちゃんの笑顔に勇気をもらったんだ」




カンナ「替えなんか効かない。トン子ちゃんの笑顔だからだよ」



トン子「………」




トン子「カンナさん、私バチーンと背中押されました。モデルもう一度やってみます」



カンナ「うん。約束しよ」



カンナ「この先、どんなに大変でも、私たちは自分らしくいること」



トン子「約束します」



 この後、カンナは会社を退職する。実は上司の美香(山口紗弥加)の努力の結果、いまの部署からひとりだけデザイナーを新ブランドに連れていっていい、という許可が下りて、カンナと同僚の翔子(トリンドル玲奈)のどちらにするか、生き残りをかけたデザインコンペが行われる。



 最初は新ブランドの求めるシックなドレスを作ろうとしたカンナだが、途中で「自分らしくいること」というトン子との約束を思い出し、結果的に、会社のブランドイメージとは真逆の、個性あふれるデザインになってしまった。当然、会社に残るべきデザイナーとして選ばれたのは翔子。まあ、覚悟のうえである。



 そして麗音くんのケガもすっかり治り、トン子のシッターとしての務めも終わるときが来た。カンナさんのマンションを出て、一家に別れの挨拶をする。



トン子「では、失礼します」



 礼 「世話になったね」



トン子「すてきな家族ですね」



カンナ「え?いや、こいつはまだアレだけど」



トン子「さようなら」



麗 音「トン子先生バイバーイ」







 以上、泉里香もドラマから退場したので『カンナさーん!』レビューを終える。
 と言いたいところだが、最後にもう一回だけ出番がある。



 今回のパートで明らかにされたように、第1話から登場していたビルの看板のトン子は、ただの飾りではなかった。実はカンナさんが最初に離婚を決意してこのドラマがスタートしたところから、ずっと彼女を見守り、励ましていたのである。



 ドラマの終盤、会社のブランド再編でカンナさんが居場所を失い、追い詰められたとき、トン子もまたモデルを休業してカンナさんの前に現れる。カンナさんはそんなトン子を励まし、背中を押してやることで、実は自分の進むべき道を見出している。要するにトン子というのはカンナさん自身の陰画であり、カンナさん自身を映し出す鏡だったのだ。だから最終回のラストにもその存在は欠かせない。







 以上です。手こずった『カンナさーん!』レビューもこれで終わり。お疲れ様でした。
 今回はこの後、小松彩夏がゲスト出演した土曜ナイトドラマ『オトナ高校』第1話(2017年10月14日)と、『ガチバカ!』(2006年)以来およそ10年ぶりに安座間美優・夏菜・高橋克典が共演した日曜ワイド劇場『庶務行員・多加賀主水が許さない』(2017年10月25日、テレビ朝日)も取り上げるつもりだったが、時間の都合で次回とします。



 『オトナ高校』のこまっちゃんは、わりとおいしい役どころだたし、まだ25歳のOL役がいけちゃうところはさすがだと思ったけど、正直それよりも後輩の松井愛莉が光っていた。っていうか、ドラマの設定もイマイチだし、松井愛莉ぐらいしか見所のないドラマだったように思う。
 「オトナ高校」は、歯止めのきかない少子化を憂う日本政府が設立した、大人が童貞や処女を捨てるための学校である。全国の30歳以上の性体験未経験者(でも経験したいと切実に願っている人)から優秀なメンバー(?)を選抜し、半ば強制的に入学させ、スパルタ教育で無事に初体験を済ませられるよう指導する。その指導教員のひとりが松井愛莉で、可愛いルックスで清純派と思わせながら実は経験豊富な小悪魔ということだ。そんな松井愛莉が、三浦春馬・黒木メイサ・高橋克実といった童貞と処女相手に、堂々の授業を行う。



さくら「セックスの機会を失い続けた場合、いちばん怖いのは、セックスをゴールと考えてしまう、間違った恋愛観に至ることです」



さくら「長く付き合う男女はセックスをするまでの時間よりも。セックスをしてからの時間がはるかに長いんです」



さくら「そう考えるとセックスはゴールじゃない。スタートラインに過ぎないのです」



さくら「とっととセックスして、“この人違う”って思ったら、さっさと別れて次の相手を探せばいいんです」



さくら「だとしたらまずは始めること。レッツ・ビギンです!」


 セリフとはいえ松井愛莉が「セックス」という単語をしつこく繰り返して、最後は「レッツ・ビギンです」なんて爽やかに、いつものキュートなアイリーン・スマイルで締める。って、何なんだこれ。さくら学院の頃から応援していたご父兄はたまんないだろう。私もそうなんです。



 そういえばちょっと前の話になるが、一昨年の暮れに行われた「さくら学院」の5周年アニバーサリー(2015年12月6日、神奈川芸術劇場)では、アンコールで三好彩花と松井愛莉がサプライズ登場して「BLAND NEW DAY」を歌ったんだってね。私は心底「行きたかったなあ」と羨んだ。大好きなんです、あの曲。




 ま、ともかくその松井愛莉20歳(アミューズ所属)が、ドラマの中では経験豊富なエロ小悪魔教師のヒロイン、姫谷さくら24歳を演じているのである。そのドラマの第1話に、小松彩夏31歳(アミューズ所属)が25歳独身の銀行員役で出演してどういう役を演じたか、それは次回ご紹介する。加えて『庶務行員・多加賀主水が許さない』のほうでも、安座間美優が銀行員を演じていた。



 そういうわけで次回はこまっちゃんとみゅうみゅうのドラマを取り上げる。で、その次は小池里奈の出ていた月曜名作劇場、泉ピン子主演『オバチャン保険調査員 赤宮楓のマル秘事件簿』(TBS系列、2017年8月21日)についても、できればレビューしたいと思っている。そのあたりが終わったら、次に『帰ってきた家売るオンナ』のレビューに行く予定。新潟の人妻しばし待たれよ。