実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第629回】DVD第4巻:Act.15の巻(2)

1. 君の膵臓、横から食べるか、下から食べるか



 昨年は『シン・ゴジラ』(80億円)『君の名は。』(今年の分も含めてトータル250億円をクリア)という東宝2作品のおかげで、映画興行的にはおおいに盛り上がった夏でしたが、今年はやや洋画に圧され気味。それでも『銀魂』が、最初の週末で興行成績5億4千万円をマーク、公開一週間でトータル30億円を越るという、予想外の踏ん張りをみせた。



 『銀魂』の監督は「勇者ヨシヒコ」シリーズで有名な福田雄一。うちのブログでは、きっかけは忘れたが一時期『メグたんって魔法使えるの?』をよく話題にしていたし、最近でも浦井健治(バンダイ版セラミュ6代目タキシード仮面)との仕事が多い関係で『ニーチェ先生』などを取り上げさせていただいた。なので皆さんご存知と思う。深夜帯ならともかく、メジャーな商業映画を任せちゃっていいのか?という作風の人だ。



 しかし、にもかかわらず劇場公開作の企画が後を絶たない。しかも鈴木福『コドモ警察』(2013年)、指原莉乃『薔薇色のブー子』(2014年)、桐谷美玲『女子―ズ』(2014年)と、いかにもヒットしなさそうなタイトルばかりで、福田雄一はそれを確実にヒットさせない。ただ『HK 変態仮面』(2017年)は予想外の大ヒットで続編が制作されたそうである。といっても、当初は全国10ヶ所程度の映画館で公開するつもりが、意外と客が来たので上映館数を27館まで拡大したら、興行収入が1億円を大きく上回った、こりゃ大ヒットだ、ということだそうです。深夜ドラマで視聴率4%もとれば関係者が「大ヒット」と騒ぐのと同じですね。



 だから福田雄一が劇場版『銀魂』を手がけると聞いたときは驚いて、なにしろワーナーブラザーズ配給だから、興収1億円とかだったら、これを最後に社会的に抹殺されちゃうんじゃないかと心配した。それが30億円越えということで、ひとまずめでたい。ただ、私がほんとうに楽しみにしているのは、実は9月公開予定の『斉木楠雄のΨ難』のほうなんだよね。でもこれもやっぱりコケそう。



 人気マンガやアニメの実写化としては、三池崇史の『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』も現在公開中で、最初の週末の成績が1億6000万円と予想外の苦戦である。2週目にはベストテン圏外に落ちているので、トータル10億円は難しいかも知れない。『第一章』というタイトルからしてすでに続編を前提としているのだが、大丈夫か。『東京喰種』は初週末が2億3千万円とまずまずの数字。でこの後10月に『斉木楠雄のΨ難』、そしてみんなが不安がっている『鋼の錬金術師』と続く。



 その一方、昨今の邦画界でこっそり盛り上がり始めている(ように思える)のが、実写作品の「アニメ化」である。今週末から岩井俊二の『打ち上げ花火、下から見るか 横から見るか』のアニメ版が劇場公開される。総監督は新房昭之、脚本は大根仁。大根仁については、このあいだ監督作品の『SCOOP!』(泉里香が一瞬出演)を取り上げたときに述べたけど、クリエイターであるのと同等以上に映画ファンでもあり、『SCOOP!』も、オリジナル版の監督・脚本を手がけた原田眞人に対する敬愛に満ちていた。



 で、この人が岩井俊二、特に『打ち上げ花火、下から見るか 横から見るか』にぞっこん惚れ込んでいることは、テレビドラマ『モテキ』の第2話「深夜高速〜上に乗るか 下に寝るか〜」をご覧になった方ならよおくご存知だと思う。ていうか、あそこまで徹底したオマージュというかパロディをやって、またアニメ版の脚本を書くなんて、まだやるのかという感じです。



 そしてこの秋、2017年11月にはゴジラのアニメ『GODZILLA 怪獣惑星』が劇場公開される。タイトルから『キングコング 髑髏島の巨神』を連想しちゃうけど、どんな話かはまだぜんぜんわからない。さらに先日発表されたのが、実写映画版がただいま大ヒット中の、『君の膵臓をたべたい』の劇場アニメ版。2018年8月公開を目指して制作に入ったそうである。



 こういう現象はかつても、たとえば「ノイタミナ」というフジテレビの深夜アニメ枠ではしばしば起こっていた。この枠で『のだめカンタービレ』のアニメ版(2007年1月)が放送されたのは、有名な上野樹里の実写ドラマ版(2006年10月)に数ヶ月遅れてからのことだったし、三浦しをん原作『舟を編む』は実写版が劇場公開された2年後の2016年にオンエアされた、ただいま放映中の、森絵都原作『DIVE!!』(2017年7月)も、10年くらい前に実写版が劇場公開されていた。



 面白い原作小説やマンガがあれば、すでに実写版のドラマや映画が知られていても、それは別物としてアニメ化してみる、というトレンドが定着してきたのだろう。そしてそういう流れは、たぶん「ライトノベル」という文芸ジャンルの普及が関連しているのだと思う。だいたいおじさんの時代は、「アニメ化の原作」といえば漫画か絵本か児童文学が当たり前で、一般小説を実写じゃなくてアニメにするというのはものすごくレアだった。ところがヤングアダルト向けの「ライトノベル」という小説ジャンルが成立すると、これはキャラクターの外見描写が詳細で、しかもアニメ画のイラストまでついていて、文芸作品のくせに読む側の視覚イメージを相当に制限する。そうすると、下手にリアルな女優さんに演じさせて実写化するよりは、原作のイラストから起こしたキャラクターデザインでアニメ化してほしい、という声が原作ファンから上がって来るんだろうな。



 三上延『ビブリア古書堂の事件手帖』がフジテレビでドラマ化されて不評を買ったのは2013年だ。私は、原作と真逆のルックスのまま原作の雰囲気を再現しようとした剛力彩芽の芝居とスタッフの試みに感服したのだけれど、そういうのは少数派の意見で、多くの人は、剛力彩芽が原作に描かれるような「黒髪の長髪をした小柄で細身の巨乳美女」でなかった時点で受け入れられなかったみたいだ。その『ビブリア古書堂の事件手帖』も実写とアニメの両方で新たに映画化されることが今年の初めに発表された。おそらく今後はこういうアニメ化の流れがさらに進んでいくんじゃないかなあ、という気もしたので、記録として書き留めておいた。で、来年あたりどこかの馬鹿がカン違いして『世界の中心で、愛を叫ぶ』をアニメ化して大コケしたら笑ってやるけど。

 


 昔から繰り返された歴史の悲劇として、どんな作品にもよらず「実写版」は「アニメファン」から叩かれるという宿命がある。さすがに『打ち上げ花火』は実写ドラマが元なので、アニメファンから原作が文句を言われることはないだろう。このあたりをきっかけに、みなさんが「実写は実写、アニメはアニメ」という冷静な態度で、それぞれ個別に鑑賞できるようになればいいですね。

2. いつもの月野家




 さて、前々回からAct.15レビューが始まったわけだけど、このエピソードについてはすでに【第431回】で台本紹介を終えておりました。よろしかったらご参照ください(ここをクリック)。鈴村展弘監督が、台本をかなり忠実に映像化していることがよくお分かりいただけるはずだ。


監督 鈴村展弘


 とうわけで、アバンが終わって、まずは月野家から。Act.10ではプレーンオムレツかチーズオムレツかの争いが家出騒動まで発展してしまったわけだが、今回ママはチーズ入りを作って、うさぎは上機嫌。



うさぎ「おはよう」



育 子「はい、おはよう」



育 子「今日はチーズ入りオムレツでぇす」



うさぎ「やったぁ」


ただし台本にはうさぎの「やったぁ」というセリフはない。ていうか、たかだかいつもの朝ご飯のオムレツで、ここまでもったいをつける母親も、嬉しそうなリアクションを見せるお芝居というのが普通はないよね。森若香織のママと沢井美優のうさぎならではのやりとりである。



進 悟「うさぎ、愛野美奈子の家に泥棒が入ったんだってさ」



うさぎ「うそぉ!」



レポーター「……泥棒が侵入するという事件が発生しました。通報を受けた警察は現在、犯人の行方を追っていますが、まだ有力な手掛かりは得られていないということです」



 テレビには「超人気アイドル 愛野美奈子宅に泥棒」というテロップとともに、都内某所の愛野美奈子宅付近でしゃべるレポーターさんが映っている。このレポーターさん(牧里江子)は、Act.4で街の大型ビジョンに映ってた方と同一人物である。



レポーター「この歴史的にも有名な秘宝は、幻の青水晶と言われ、公開されていません。しかし、現在の所有者である桜木財閥のさる令嬢が、明日の誕生日パーティーで、出席者に披露するとのことです。初めて公開される、幻の青水晶。いったいどのようなものなのか、期待されます」


 きっと有名なレポーターの方なんでしょうね。実写版セーラームーンへの出演はAct.4と今回Act.15の2回だけだったと思う。



レポーター「えー、それで被害状況なんですが、自宅から盗まれたのは宝石類で、金額にしてどの程度かは発表されていませんが、事務所の関係者によりますと、愛野美奈子さんがとても大切にしていたもののようです」



うさぎ「え〜、美奈子ちゃんかわいそう」



進 悟「アイドルなのに警備うすいよな」
うさぎ「うん……」


 うさぎの「え〜、美奈子ちゃんかわいそう」がポイントである。ご存知のように、月野家の朝の食卓で、うさぎが美奈子の話題をやっているテレビに見入る、という場面はなんどかあったけど、その時はあこがれのアイドルの愛野美奈子だったから、うさぎも「美奈子」とか呼び捨てにしていた。



進 悟「うさぎ、がちゃがちゃ変えるなよ」
育 子「そうよ、落ち着きないんだから」
うさぎ「だって美奈子のこと何かやってるかも知れないじゃん」
育 子「十番病院に入院してるんでしょ」



うさぎ「何で知ってるの?」


 これはAct.11で、この時は「美奈子」と呼び捨てにしていた。でも今回は「美奈子ちゃんかわいそう」で、明らかに個人的に親しい感じになっている。Act.12の観覧車で過ごした短い時間が、それだけうさぎと美奈子を近づけたということだ。



 ところで進悟役の武子直樹くんだが、2017年現在、芸能人としてはavexマネジメントに所属している。といって、ダンス&ボーカルグループに加入したとかいう話も聞かないが、その代わり最近は「avex納豆部」に所属して、納豆をもっと盛り上げるために色々がんばっている。なんだよそれ。



 とにかく「エイベックス・マネジメント学園」というのがあって、校長ならぬ「KOO長」(TRFのDJ KOO)がいる。その「部活」の一環として結成されたのが「納豆部」で、部長がダンス&ボーカルユニットDa-iCEの花村想太、それに部員が俳優の井澤勇貴と武子直輝で結成された。この3人で「利き納豆」をやったり、老舗の納豆メーカーに取材に行って納豆作りを体験して食レポをやったて、でその様子を動画に撮ってyoutubeにあげたりしている。



 正直よく分からないわけだが、なにしろイケメン揃いだもんだから、たくさんの女子が「SNS部員」として参加して部員数が1万人を突破、エイベックス・マネジメント学園では最大規模の部活となっているそうである。そういう努力が評価されて、全国納豆協同組合主催の2017年納豆クイーン表彰式では「納豆盛り上げ大使」に任命された(ちなみにメインの「納豆クイーン」は岡田結実)。



 というわけで、いまは海老蔵みたいな短髪の武子君だが、現在24歳のイケメン真っ盛り、いずれこのSNS納豆部員の女子諸君が支持母体となって、武子直輝君を盛り立ててくれるんじゃないかと期待している。

3. ゲス不倫一歩手前



 一方そのころ、地場衛も同じニュースを見ながらあれこれ考えをまとめていた。まとまらないけど。




レポーター「最近この手の宝石泥棒が頻発しており、惜しまれるのは、以前はこういった事件に必ず現れていた、セーラーVが、最近姿を見せないことで……」




 衛 「……セーラーVか」


╳    ╳    ╳



セーラーV「これ以上隠しているのは…無理なようね!」




セーラームーン「……プリンセス……セーラーヴィーナス…」


╳    ╳    ╳




 衛 「おれの記憶に出てくるプリンセスと、関係あるのか?」



 衛 「セーラームーンたちに聞けばなにか……でも…」


╳    ╳    ╳



うさぎ「ちょっとは、ありがとうって言うか……」


╳    ╳    ╳



 衛 「あいつのことは、これ以上……」


 Act.7で怪我したときにもらったハンカチを握りしめる。
 これまでこの手の盗難事件には他ならぬタキシード仮面が絡んでいたが、今回は自分は無関係だ。しかも被害者は愛野美奈子だという。美奈子がセーラーVであることも衛は知っている。要するにこれまでの事件とはまったくパターンが違うので、かれにも事態がよく分からない。それにセーラームーンはセーラーVを「プリンセス」と呼んでいるが、セーラーVが自分の夢に出てくるプリンセスその人とも思えない。いろいろ謎だらけで、こうなったらいっそ、うさぎや美奈子に接近して、正体と目的も打ち明けて聞いてみるという手もある。でもいま自分がタキシード仮面であることをうさぎ=セーラームーンに告白してしまうと、微妙な彼女との関係が一気に危ういところまで進んでしまいそうだ。でも自分には陽菜という、結婚を約束した幼なじみがいるのだ。うさぎとはこれ以上、親密になってはいけない。



 ……と、まさにそういうことを思い悩んでいたところへ、フィアンセの陽菜の父親らしき人物から、電話がかかってくる。だけど衛のフィアンセの存在は、これまで視聴者にまったく知られていない、実写版オリジナルの設定なので、我々も始めてこのエピソードを観た時には、この場面のこの電話の意味はぜんぜんわかんなかったですね。



 衛 「もしもし………はい、どうも……わかってます。でも。約束は卒業までですよね………」


 
 ちなみに、そういうふうには見えませんが、実写版の衛は、台本の年齢欄に17歳と書かれており、高校3年生という設定。だから「卒業まで」というのは高校卒業までという意味ですね。将来、陽菜のお父さんの仕事を継ぐ勉強をするために、近く陽菜とロンドンへ留学する話が進んでいる。どうだそろそろ気持ちは固まったか、という陽菜のお父さんに、わかってます、でもせめて高校をきちんと卒業してから、そういう約束でしたよね、と応える衛、というような内容だろう。

4. エグゼイド第43話


 ということで、今回はこれまで、としまして、順不同ですが最後に『仮面ライダーエグゼイド』第43話「白衣のlicense」だ(2017年8月13日、テレビ朝日、脚本:高橋悠也/撮影:倉田幸治/監督:中澤祥次郎)をご紹介します。前回、8月13日は放送がお休みらしいとウソを書いてしまったが、普通に放送されていた。私が何を間違って誤情報を流したかは、自分でも分かっていない。ともかくおわびします。と同時にコメント欄でご指摘いただきましたことにお礼申し上げます。





 で、冒頭でいきなり、前回治ったはずの患者のみなさんが、再び感染症を発症して苦しみだす。前回登場した鈴木塔子(沢井美優)と息子(松浦理仁)の母子も同様で、この二人はなぜか公園のベンチみたいなところで苦しんでいた。前回もいた西馬二コ(黒崎レイナ)が、今回も二人を介抱していて。そこへ無免許医の仮面ライダー、花家大我(松本享恭)がやって来る。



ニ コ「大丈夫?」



ニ コ「ねえ、もう治ったんじゃなかったの?」
大 我「おそらく原因は、クロノスがゲムデウスをとりこんだせいだ」


 檀 「そのとおり」



大 我「クロノス……」



 檀 「私という真のラスボスによって、仮面ライダークロニクルは進化する」



 檀 「変身!」




ニ コ「クロノスとゲムデウスが交ざってる……」
大 我「患者を連れて下がってろ」



 自分で「ラスボス」と名のるラスボス。檀正宗(清水博之)ことゲムデウスクロノスが変身すると、大我も仮面ライダースナイプに変身。



 ということでのっけからバトルが始まるわけだが、沢井さんの出番はこれだけだったので、以上。もうちょっと活躍して欲しかったです。ではまた。