実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第626回】 沢井美優in『黒革の手帖』第2話の巻(泉里香もいるよ)


 今週も週末のお仕事あり。お盆までこの調子のようである。お盆が過ぎてもこの調子かも。チャッチャと行きます。
 最初は『カンナさーん!』第2話(TBS、2017年7月25日、脚本:マギー/演出:平野俊)。このドラマは第1話を半分くらい観賞して、ゲス不倫夫役の要潤と姑の斉藤由貴のクズっぷりは面白かったけど、主人公の渡辺直美が、圧倒的なルックスに比して、わりと普通の肝っ玉母さんだったのが気になって、イマイチ入り込めなかった(家事の合間に観た感想なので、間違っているかも知れない。ごめんなさい)。安直な連想だけど、渡辺直美って女優としてはウーピー・ゴールドバーグとか、あんな豪快な感じの役が良いのではないか。
 だからそんなに続けて観る気はなかった。でも泉里香が出ているというのでは観なければならない。といっても、渡辺直美がファッション業界で仕事している関係で、広告のモデルというかたちで出てくるだけで、直接の出演ではないらしい。なんて情報をいただいて第2話を観たら、ドラマが始まっていきなり最初の場面で出てきた。




 これで目的は達成したので、すみませんドラマは観ませんでした。ちなみにネットで拾った第1話の出演画像。



 はい、ということで以上『カンナさーん!』でした。もし本編に俳優として出演されているとか、そのような情報がありましたら、ぜひコメント欄でお知らせ願います。読んでくださるみなさま頼りです。



 次。『黒革の手帖』第2話(テレビ朝日、2017年7月27日、脚本:羽原大介/演出:本橋圭太)。言わずと知れた松本清張原作で、映像化はもう、これで何回目か分からない。私は山本陽子のやつは少し記憶に残っている。でも最近では米倉涼子の当たり役ということになっている。
 原作は読んだけど半分忘れちゃったな。そんないい加減な状態で言っていることなので話半分に聞いてもらいたいが、原作は1970年代の終わりに雑誌連載されて1980年に単行本として出版されている。どういう時代だったかというと、1973年に滋賀銀行9億円横領事件があって、1981年に三和銀行オンライン詐欺事件があった、ちょうどその間である。どちらの事件も女子行員が勤務先から巨額の金を引き出し、横領した事件で、手に入れた金を自分のために使わず、好きな男に貢いでいるところも一緒である。でも『黒革の手帖』の主人公は、そうやってせしめた金を元手に、夜の銀座をのし上がっていった。そこがこの小説の最大の魅力だ。



 第2話から観たんだけど、主人公の元子(武井咲)はすでに銀座にクラブ「カルネ」を開いてそこのママになっている。最初は「銀座で最年少のママ」という評判も手伝って勢いがあったんだけど、徐々に売り上げが落ち、いろいろ経費もかかるし、勤めていた銀行から横領した一億八千万円(!)もみるみる目減りして、五千万を切ってしまう。




なんかちょっとテコ入れが必要。そんな元子にアドバイスするのが、行き付けの美容院のオネエな店長、牧野(和田正人)だった。



牧 野「そりゃそうよ」



牧 野「銀座で一番若いママ、なんてキャッチフレーズだけで商売が続けられるほど甘い世界じゃないもの」



元 子わかってたつもりなんだけど」
牧 野「まあ浮き沈みは商売の常。基本に返ってまめに電話して、女の子にハッパかけて粘り強くやるしかない」
元 子うん」



牧 野「そうだ!もっと素人っぽい女の子、雇ってみたら?」
元 子「素人?」



牧 野「日当の高い年増のホステス雇うより、伸びしろのある素人っぽい女の子をスカウトして、育ててみたら?」



元 子なるほどね」


 それで元子が思い出したのは元同僚の山田波子(仲里依紗)。




 派遣切りにあって、いまは街頭でポケットティッシュを配っている。




 可愛いので知らない男に手を握られ「時給いくら?お小遣いあげようか。セーラー服に着替えてくれたら一万円」なんて迫られている。




 そこに割って入って助けた元子は、自分の店で働かないかと波子を誘う。



波 子「だけど水商売とかやった事ないし……」



元 子「やる気さえあれば誰でも出来る」



 小松彩夏の『ネオン蝶』は池袋のスナックから、北川景子の『筆談ホステス』は青森のクラブからと、それぞれ下積み時代があるのだが、波子はいきなり夜の銀座にデビューである。





しかもお得意客の一人、整形外科医の楢林(奥田瑛二)にすぐ気に入られる。



楢 林「ママ」
元 子「はい」



楢 林「俺の好みのタイプよくわかったな」


 さっそく銀座の有名寿司店に誘われちゃったりする。





 銀行員だったころは、誕生日に回転寿司へ行くのが最大の贅沢だったのに、こんなのが日常茶飯事なのだ。



 まあ私なんかこっちの方が楽しそうに見えちゃうけどな。




 そんでもってちゃっかり送ってもらっちゃったりして、そのあとどうなったかは分からない。







 と、この第2話が始まって30分くらいで、仲里依紗はホステスとしての天性の才能にめざめていく。



波 子「ママ本当にありがとう。私を助けてくれて」



元 子「あなたが頑張ってるから」



波 子「私、知らなかった」



波 子「お金を稼ぐのって、こんなに簡単だったんだね」



 波子は徐々に楢林医師を手玉にとっていく。



 で、楢林のクリニックには中岡市子(高畑淳子)という看護師長がいる。




 市子は、楢林が町医者だったころから今日まで彼を支え、病院の経理から食事や身の回りまで全部世話してきた。ただ正妻ではない。楢林の奥さんは病弱で入院している。その奥さんの面倒も含め、この30年間、すべてを楢林にささげてきたオールドミス(死語)の看護師長が、市子である。



 当然ながら、クリニックで働く若いナースや、受付嬢の坂本(沢井美優)たち女性事務員にはものすごく厳しい。



坂 本「おはようございまーす」



市 子「あなたゆうべまた表の看板消し忘れて帰ったでしょ」
坂 本「あっ……すみません」



市 子「トイレの電気も」
坂 本「あっ、いやトイレはちゃんと……」



市 子「電気はこまめに消す。トイレの二度流し禁止。何度同じ事言わせるの?」



坂 本「すみません」




市 子「おはようございます」



市 子「この子たちが、事務服を新しく、デザイナーズ・ブランドの服に替えて欲しいだなんて……」



坂 本「ナースさんたちも言ってます。今どき白いナース服は古くさいって。ピンクや水色にしてほしいって」
市 子「何色着てたって、やる事は変わらないでしょ」



坂 本「院長先生も、いつもおっしゃってますよね」



坂 本「これからの医療はサービス業の時代だって」



坂 本「私たちは病院の顔。患者さんの第一印象も大事だと……」



市 子「病院の顔は院長先生!」



楢 林「わかった」



楢 林「事務服とナース服の件考えておくよ」



坂 本「ありがとうございま〜す」






市 子「若い子には甘いんだから……」



市 子「今夜はカレイの煮付けでいいですか?」
楢 林「え〜また魚かよ」
市 子「あなたの健康を考えてでしょ?」



楢 林「あ痛ててて…おいもっと優しくしろよ」


 小うるさくされるものだから、楢林の気持ちはますます市子から離れ、若い波子へと傾いていく。



 波子は波子で、仲間のお得意客を取ったり、接客態度が下品で銀座の店にふさわしくないとかで、周囲の先輩ホステスとの対立を深めていく。



 仲裁に入る元子の言うことも聞かず、店を飛び出してしまっった波子は、楢林医師に泣きつく。そしてしばらく経つと、いきなり自分の店を出すことを宣言。もちろん出資者は楢林で、お店はなんと、元子の店クラブ・カルネと同じビルの、しかもカルネより上階のフロア。ほとんどケンカを売っているようなものである。



 銀座のルールをハナから無視したやり方に、元子は波子を呼び出して忠告する。しかしもはや波子は聞く耳をもたない。



 元子は秘密兵器「黒革の手帖」を発動。



 手帖に書きこまれた楢林のデータをもとに作戦を練り、実行に移る。まず楢林クリニック看護師長の市子を呼び出し「うちの店の子が先生に迷惑をかけている」とお詫びをする体で、市子に情報をバラす。



 市子が新病院建設のためにと、ツメに火を灯す努力でこつこつ蓄えてきた資金を、楢林が湯水のように若いホステス、波子に注ぎ込んでいる事実を伝え、楢林が波子を囲っているマンションの住所を渡す。



 マンションや車を買った上に店を出させて、すでに億という金をつぎ込んでいる。最初は「女遊びは男の甲斐性」なんてうそぶいてとりあわなかった市子も、金額を知って絶句し、元子に教えてもらった波子のマンションに乗り込む。



 力ずくで中に入り、楢林医師と別れるように警告するが、波子は嘲笑するばかり。



 事態はヒートアップして、すぐさま高畑淳子と仲里依紗のキャットファイトに展開。



 「この泥棒猫」「けちけちババア」なんて、おっそろしくステレオタイプな展開ですね。そこへ帰ってきた楢林医師がどっちの肩をもつかは言わずのがな。



 



 仲里依紗の笑顔が邪悪です。この騒動がきっかけで、市子看護師長は楢林医師から愛想を尽かされ、退職金ももらえず追い出されてしまう。



 傷心の市子に元子は近づき、復讐の計画を持ちかける。



元 子「余計なお世話かもしれませんが、せめて退職金はきちんともらったほうが」



市 子「今さらそんな……」



元 子「私が代わりに交渉しましょうか?」



元 子「波子には二億も使っておきながら、あなたには一銭も払わないなんて、許せない」



 というわけで、うまく口車に乗った市子に、元子は作戦を伝授する。退職ついでにクリニックのウラ帳簿を持ち出し、それをネタに楢林医師から退職金をせしめようというのだ。




 市子は意を決して、ウラ帳簿を回収しにクリニックにやって来る。




 院長室に入るなり、ソファに放り出したままの白衣が目に付く。



 若い事務員はこういくのを片づけもしない。長年の習慣でつい畳んでしまう。



 そしてウラ帳簿をしまった隠し金庫を開けようとするのだが……。


 



(ドアの開閉音)





市 子「院長先生は?」



坂 本「午後の診察には戻るとおっしゃって……」



市 子「ごあいさつに伺ったんだけど」



坂 本「本当に辞めちゃうんですか?」



市 子「みんな喜んでるでしょ」



市 子「腹の中では笑ってるくせに」



坂 本「いや……そんなことは……」



市 子「私物の整理したいから、掃除機は後にしてちょうだい」



坂 本「長い間ご苦労さまでした」










 と、このように市子を利用して楢林の脱税の証拠を手に入れた元子は、楢林を呼び出す。



 波子をマンションに囲っているくせに、あわよくば元子とも、と思っている楢林は鼻の下を伸ばしてやってくる。




 だがホテルの一室に連れ込まれたところで、黒革の手帖に記されたデータを読み上げる。



それは元子がかつて務めていた銀行に楢林が幾つも持っていた、別名義の口座の預金明細であった。



 そして市子が持ち去ったウラ帳簿を差し出す。



 手帖の情報と併せれば、楢林クリニックの脱税方法と金額が余すところなく明るみに出てしまう。



楢 林「いくらだ?」



楢 林「五十万か?」



元 子「冗談じゃない」



楢 林「五百万?」



元 子「五千万円です」



楢 林「ふざけるな!五千万っていったら大金。そう簡単にだな……」



元 子「出せますよ、波子の店の権利を放棄すれば」
楢 林「なに?」
元 子「残金の支払いをやめ、契約をキャンセルすれば権利金も戻ってくる」



元 子「そしたら五千万ぐらい簡単でしょ?」



楢 林「恐喝だ。警察に訴えてやる!」
元 子「私を訴えれば先生の脱税も無認可の医薬品販売も全て明るみに出ます。そうなれば、医師免許も剥奪されるでしょうね」


 とういわけで、まんまと五千万を手にした元子は、そのうち一千万円を「退職金」として協力者の市子に渡す。




 このとき、もっと分け前をちゃんとやっとけばよかったのにね、という話なんだが、それは後々の伏線。



 仲里依紗の波子はパトロンに逃げられ、店をもつどころかマンションも解約されるハメに。怒り心頭でクラブ・カルネに乗り込んでくる。




 さあどうなる、ってところで第2話は終了。武井咲はがんばってるね。松本清張の原作の主人公は、最初のうちうまくいったので、調子に乗っちゃって欲をかいているうちに、あまりにも多くの敵を作ってしまい、最後はワナにあっさりはまって自滅する。たとえば今回の奥田瑛二と高畑淳子なんて、不思議なもので最後にはヨリを戻してしまう。それがリアルというものである。でも元子には、そういう一筋縄ではいかない男と女の愛憎のもつれが、経験もないので理解できない。だから運命に翻弄されて最後は破滅する。それが松本清張の『黒革の手帖』だった(でもだいぶ以前に読んだきりなので間違っていたらすみません)。武井咲は、強気なわりに若過ぎて危なっかしい原作通りのイメージで(原作はそんなに若くもなかったか)ヒロインを演じていた。私は2004年の米倉涼子バージョンを見ていないが、きっと米倉さんだと、原作のイメージとは違って、もっとカッコ良い悪女のサクセス・ストーリーっぽくなっていたんだろうね。
 原作どおりなら楢林医師と市子はまた出てくるし、ラストシーンは楢林の病院になるはずだ。でも原作の終わりかたはそのままではちょっと使えないと思うのでどうなるかはわからない。要するに、まだ沢井さんの出番があるかどうかは不明ですが、出演したらまたレビューします。