実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第594回】再び若葉の頃の巻(北川景子&泉里香)



 最近は映画館すら年に数えるほどしか行かなくなってしまった私だが、2016年はとうとう、演劇とかライブとか落語とか、舞台ものにもまったく参加しないまま終わりそうだ。セラミュなんか、舞台どころかライブビューイングもネット配信も観ていない。高橋果鈴のセーラーサターンはどうだったろうか。



 その高橋果鈴の所属するエイベックスのアイドルグループ「Prizmmy☆」が、来年3月をもって5年間の活動に終止符を打つそうだ。昨年の土萌ほたるに激しく感激して「Prizmmy☆も応援するからね!」なんて言っちゃった私だが、一曲も聴かないうちに活動終了である。済まない。かりんちゃんには舞台女優として頑張って欲しい。



 ただ、私が今年、最も観たかった舞台は、実はセラミュではなく、沢井美優さんが出演された「劇団岸野組」2016年秋公演『森の石松 外伝 6 石松と祓い屋団十郎』(作・演出:岸野幸正、2016年10月、俳優座劇場)であった。



 どういう話かはあまりよく知らないが、(1)現代ものではなく時代劇、(2)娯楽性を前面に出したミュージカル、(3)沢井さんの役回りはメインのヒロインではなく二番手、と、沢井美優基準で言えばハズレる要素が見当たらない作品である。これに行けなかったことが、今年最大の残念かな。


 
 さて、安易ですが今回も前回に続く企画だ。2016年のMVPとして、年明けのご成婚に始まり、『家売るオンナ』『ヒポクラテスの誓い』と充実した仕事ぶりをみせた北川景子さん、今年に入って予想外の男性誌グラビア進出で圧倒的なインパクトを与え、支持層を拡大した泉里香さん、このお二人のデビュー当時のお姿を伝える資料紹介である。前回は特撮ビジュアル雑誌『宇宙船』のバックナンバー所載のインタビューだったが、今回は角川書店の『NEWTYPE THE LIVE 特撮ニュータイプ』から同趣旨の記事を拾ってみよう。



 この雑誌は、アニメ情報誌『月刊ニュータイプ』(1985年創刊)の実写特撮ものバージョンとして、2001年12月に創刊された。実写版セーラームーンの放送当時は隔月くらいのペースで刊行されていて、毎号好意的に取りあげてくれていたと思う。やがて季刊誌となり、2013年4月で休刊したようだ。私はそんなに所有していないんだけど、まずは第10号(2004年1月号)だ。ご覧の通り、この号は表紙もセーラー戦士である。



 で、セーラームーンが巻頭大特集で、目玉は「水野亜美役・浜千咲の撮り下ろしグラビア&インタビュー」です。すばらしいですね。まずはプロフィル。



浜 千咲(はま・ちさき)1988年11月10日生まれ、京都府出身。snow rabbits corporation所属。「melon」(祥伝社刊)「ピュアピュア」(辰巳出版)などのグラビアページのレギュラーを多数もつ中学生モデル。最近は水野亜美/マーキュリー役として忙しい毎日を送る中、色々なことに挑戦する意欲が湧いているとか。近々CDや写真集を発売する予定。


 当時をご存じの方には言わずもがなだが、インディーズとはいえ、実写版の放送期間中に歌手としてCDを出したのも、ソロでクリスマスイベントをやったのも、戦士のなかでは彼女だけだ。そもそも「浜千咲」という芸名も、事務所の社長の肝いりで付けられたという。要するに滅多に出ない逸材として期待がかけられていたことがわかる。




 もしかして緊張してます?
「はい……。私、すごく人見知りするんです。だから、初めてお会いする人とお話しするのってすごく苦手で……。ごめんなさい」
 いえいえ、気にしないで。でもそれじゃあ、オーディションの時はすごく緊張したんじゃないですか?
「ううん、オーディションそのものは結構平気だったんです。それよりも亜美ちゃん役に選ばれた、って通事が来たときの方がずっとドキドキしました。私、幼稚園の時からマーキュリーに憧れてたので、マーキュリー役に選ばれたことはとても嬉しかったんです。でも同時に、自分なんかに演じられるのかなって、すごく不安になって……。撮影が始まるまではもう怖くて怖くて、ずっと逃げ出そうかと思ってました」
 実際撮影が始まっての感想は?
「すっごく楽しいです! もちろん最初はキンチョーしまくりだったんですけど、スタッフのみなさんや他のキャストの方々がすごく優しくして下さるので、すぐに現場にも慣れました」
 他のセーラー戦士役の女の子との仲がすごくいいと聞いています。
「特にうさぎちゃん(沢井美優)とはクランクインの時からずっと一緒にいるので、すごく仲良しです」



「お互い話しも合うし気も合うので、ずーっと話してます。他の戦士のみんなともすんごく仲良しなんですけど、みんな年上なので、なんだか新しく3人もお姉ちゃんができたみたいな感じ。なので、、うーんと甘えさせてもらってます(笑)」
 実際にお兄さんとお姉さんがいらっしゃるんですよね?
「はい。3人兄妹の末っ子です」
 ずいぶん甘えん坊さんなのはそのせいでしょうか?
「あ、えっと……そうかも。……なんか、恥ずかしいですね(笑)。でも確かにメイクさんなんかにはよく抱きついたりしちゃってます」



 水野亜美というキャラクターをどう思いますか?
「IQ300でお金持ちで、友達がいなくて……。うらやましいところもあるけれど、気持ちが理解できないところもありました。だけど私、亜美ちゃんの心の優しさが大好きなんです。だから亜美ちゃんの気持ちがわかるように、台本をしっかり読んでいっぱい書き込みをしてるんです」
 作り置きの料理をチンして食べるのか、料理に母親のメモはあるのかなど、台本にないことまで想像して役を造り込んでいるという話を伺いました。
「ええ。そうすれば亜美ちゃんの気持ちに近づけるような気がして……」
 その成果は出ましたか?
「はい。ちょっとだけですけど、そのおかげで今は、亜美ちゃんの役ならずっとやっていけるという自信が持てるようになりました」
 演じる上での苦労は?
「お芝居自体が初めてなので撮影のたびに苦労しています。それに私、運動があんまり得意じゃないので、走るシーンがカッコ悪くなってないか心配です。それとこれは苦労じゃないんですけど、体調管理には気を配っています」
 千咲ちゃんと亜美ちゃんの似ているところ、違うところは?
「にているところは人見知りをするところかな? 違うところは頭のよさ(笑)。でも私は今年受験なので、勉強もしっかりがんばらないといけませんね」



 話は変わりますけど、好きな男性はどんなタイプですか?
「そうですね……香取慎吾さんとか、堂本剛さんかな? カッコよくて面白い人がいいな。でも私、実はまだ男の人を好きになったことがないんです。だからホントのところはあまりよくわかりません」
 えっ!? じゃあ初恋は?
「はい、まだです。人を好きになる気持ちってどんな感じなんでしょうね?」


 最後のはメチャクチャ殺し文句だよなあ。「人を好きになる気持ちってどんな感じなんでしょうね?」ですよ。当時の浜千咲にそんなこと言われたら、千人中の千人の男が「教えてやりたい」と思うことでしょう。いや現在の泉里香でも。しかし、インタビュー自体は前回のとあまり代わり映えしなかったな。すまん。



 続いては北川さん。今度は『NEWTYPE THE LIVE』第11号(2004年3月号)に掲載されたインタビューだ。こっちもプロフィルからね。



北川 景子(きたがわ・けいこ)1986年8月22日生まれ(17歳)、兵庫県出身、血液型O型、慎重160cm、ノイエ所属。
『Seventeen』(集英社刊)を中心に活躍中の女子高生。女優としては『美少女戦士セーラームーン』がデビュー作となる。日本人離れしたプロポーションとクールビューティーな表情で、男女問わず多くのファンを獲得している。多忙な毎日を送っており、昨日やった仕事を忘れてしまうほどだとか。甘いものよりもご飯ものが好きで、食事はしっかり取る主義。二人姉妹の妹で、2歳年下の弟がいる。


 本人の自覚とは関係なく、すでにこの時点でクールビューティー路線は確立していたのだね。ただ「日本人離れしたプロポーション」てのがちょっと分からない。もちろんスタイルはいいんだけどね。で、インタビュー。



 北川さんにお会いして、非常にレイちゃんに近い印象で驚いています。
「いや。私はそこまでは落ち着いていないです。彼女ほど頭も良くないし、それにレイはいつも落ち着いていて、決して動転したりしませんが、私はすぐ動転してしまいます。撮影現場でも一発で演技が決まらないと『やばい!』ってオロオロしてるんですよ(笑)」
 でも、きょうの撮影を見学させて戴いたときは「落ち着いてるなあ」という印象を受けました。
「そんなことないです。普段はもっと騒がしいんですよ。今はインタビューされてるので、ちょっと緊張気味」
 撮影中で、印象に残ったことは?
「放送開始時の記者会見が一番印象に残ってるかな。今ではみんなと仲よくてあだ名や名前で呼び合ってますが、あのころはみんな初対面で緊張したので『○○さん、○○さん』ってかしこまった呼び方をしてるんですよね。今そのビデオを見るとすごく恥ずかしい。想い出したくない記憶ですね(笑)」
 かなりの読書家だとうかがいまいたが、どの作家がお好きですか?
「三浦綾子さんの本が好きですね。それと最近は司馬遼太郎さんの『坂の上の雲』を読んでます。今1巻を読んでるんですが、すごく面白いです」



 CBC公式HPの美少女日記からも北川さんの読書家ぶりはうかがえます。語彙が豊富で表現が論理的ですし、それにあまり顔文字を使わない
「顔文字使うの面倒なんですよ。それに、文章で表現するときに顔文字は却って邪魔。だからたまにしか使わない。使わないと可愛くないから仕えって言われたときは使いますけど(笑)」
 好きな男性のタイプは?
「特にないですね。別に男の人が嫌いというわけではないんですが、あまり興味がなくて、ぼーっとしていたら好きな人もいないまま、17歳になってしまった(笑)。そんな感じです」
 最近のオンエアを拝見すると、ずいぶん役に慣れてきていますね。
「そんなことないです。何気なく立っているシーンで手のやり場をどうするか困ってたり、ものを直視するのもおかしいので目線をどうしたらいいか迷ったり、わからないことだらけ。監督さんには怒られてばかりですよ(笑)」
 役作りのために普段から気をつけていることはなんでしょう?
「レイは一番落ち着いたキャラなので、あまり大笑いしたりふざけたりとかしないように気をつけてます。あと彼女の声が私の地声より低いので、いつもおなかから声を出すようにしています」
 登場当初と現在とで、火野レイというキャラクターに対する印象が変わったところはありますか?
「最初彼女は、気象の激しい部分を我慢して抑えている強い娘というイメージだったんですよ。ですから『……』のように無言だけど台詞になっているところを、睨んでみたりして厳しい印象を与える演技をしていました。でも演技しているうちにレイの優しさが見えてきたので、最近は微笑んだりして柔らかい印象を出すようにしています」




 9話では家出したうさぎを、叱ることもせず受け入れてあげましたね。
「実はこのシーン、監督さんには『もっと怒るように』って指示されたんです。でも私は、レイならそんなに怒ってうさぎを追い返したりしないだろうと思ったので、自分なりに考えた結果、ああいう演技をしました。監督さんも『レイのことを一番わかっているのは北川だと思うから、北川の考えた通りにやってみよう』と言ってくださいましたし。ほかのみんなも自分で役作りに励んでいて、最近は基本的に自分で考えて演技するようになっています。レイの優しい部分を表現するのは難しいんですが、これから彼女の優しさがどんどん表に出てくるので、頑張ってレイを演じていきたいと思います」



 以上。浜千咲に較べると、やっぱり理路整然としていて、こんなに奇麗な子に「ぼーっとしていたら好きな人もいないまま、17歳になってしまった」と言われても「なるほど君はそうか」という感じだ。
 しかしこっちもやっぱり前回の『宇宙船』インタビューとあまり代わり映えがしないなぁ。すみません。しようがないので追加に『東映ヒーローMAX』Vol.8(2004年2月)。こっちはボリュームもあるし内容も濃いめなので全部は無理だが、ちょこっとだけ。



 前回、今回のインタビューを読まれた方はお気づきのように、北川景子インタビューは、いちいち具体的な撮影裏話みたいなのが必ず出てくるので、資料として貴重である。きっと聞き手から「あの場面は良かったですね」とか言われると、ひとつひとつ想い出して説明するタイプなので、記事になりやすいのだと思う。



 で『東映ヒーローMAX』Vol.8で私が好きなのが、Act.8の裏話が出てくるこの箇所である。


北 川 沢井美優さんは、いつもテンションが高くて元気で。いちばん出番が多いから忙しいだろうし、疲れているだろうと思うんですけど、全然そんなところを見せないんですよ。偉いなぁと思います。(浜)千咲ちゃんは元気なコですよ。ほっそりしたコなのに、いつもダイエットのことを気にしてて。そのくせ、よくお菓子とか食べ物の話をしているんですよ(笑)。「これおいしいよ」って、よくみんなでお菓子を食べさせて太らせようとしているんです(笑)。安座間さんは……ちょっと天然入ってますね。「狙ってボケてるのかな?」と一瞬思うんですけれど、どうも「素」らしくて、余計におかしいという(笑)。



 Act.8で、まこちゃんがレイちゃんの乗った台車を押すという場面で、映像ではスローになってましたけど、実際の撮影では安座間さんが力一杯台車を押していて、かなりスピードが出ているんです。「キャ〜」ってわたしが叫んでいますけど、あれはホントに怖かった(笑)。安座間さんも全力で押していて、本番が終わったらゼェゼェ言いながら「いやぁ、青春だねぇ」とか言って(笑)。小松彩夏さんは岩手出身で、寒さには強いのかなと思っていたんですけど、すごく寒がりなんですよ(笑)。しょっちゅう「寒い寒い」って。あぁ、東北の人でもあの衣裳はやっぱり寒いんだなぁと(笑)。5人のチームワークはすごくいいと思いますよ。空き時間はみんなそれぞれワイワイやってるんですけど、現場に戻るとみんなポンとそれぞれの役のスイッチが入るようになって。良い感じだなって思っています


 やっぱ安座間さんは面白いわ。この面白さはまだ健在だと思うのだが、なかなかファンが味わえないのがつらいところである。
 ところでこの記事には珍しく日付が載っていて「2003年12月20日東映東京撮影所にて」とある。いまから13年前の北川景子の肉声。今も昔も変わらず仲良しで、いいですね。
 ではまた。おそまつでした。