実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第593回】イモの判子とアズキのさざ波の巻(北川景子&泉里香)

 

 

 セーラールナ小池里奈が出演しているというので観たドラマ『セーラーゾンビ』(2014年)に私がハマっちゃった話は以前書いたけど、あのドラマの実質的な主役であった大和田南那が、AKB48を卒業するという。

 

 

 現在まだ17歳、『セーラーゾンビ』のときは15 歳だった。なるほど将来の大物の予感はあって、ヒロインに抜擢されるのもうなずけたが、まだまだの素材でもあって、むしろ彼女を両脇から立派にサポートした高橋朱里と川栄李奈の、女優としての潜在能力の高さが印象に残るドラマだった。

 

 

 だから大和田南那はもうすこしグループ内で揉まれた方がいいんじゃないか、まだ卒業は早すぎないかなぁ。とニュースを読んで思ったんだけど、なんか異性との交際問題も絡んでいるみたいだね。すみません、ちょっと私に扱えるネタではなかった。

 

 

  さて今週の週末は久しぶりに土・日と休みなので、ブログのほうは出来合いの資料を流用して、手抜きをしちゃいますね(いきなり手抜き宣言かよ)。
  ネタは1980年に創刊されたSF・特撮ビジュアル雑誌『宇宙船』。版元の朝日ソノラマは2007年に廃業したが(朝日新聞出版社に吸収)、この雑誌はホビージャパンに引き取られ、現在も刊行を続けている。
 いまは季刊のようだが、かつては隔月で刊行されていて、実写版セーラームーンの放映期間は、毎号わりと丁寧な特集記事を組んでくれていた。通算110号(2003年11月号)から116号(2004年11月号)までの7冊。古本屋で100円均一くらいで売っていたら買いだと思う。
 今回ご紹介するのは通算111号(2004年1月号)に掲載された、北川景子と浜千咲(現:泉里香)インタビュー。「ウィズアウト・メイク・アップ」と題して、素顔のセーラー戦士に迫る、という企画である。今年の「顔」とも言える二人の、最も初期のインタビューとして貴重な資料と言えるだろう。初めて読む方はもちろん、内容をよくご存じの方も、昔を懐かしみつつ再読ください。

1. ノイエ所属北川景子さん

 


 では北川景子インタビューから行ってみよう。
 プロフィルを見てみると、すでに今日の北川景子のイメージは、しっかり基礎ができあがっている。ただ「趣味は読書と歌を歌うこと」とあるのは、当時のノイエの公式プロフィルからそのまま引いたものだと思うが「歌を歌うこと」というのが意外。カラオケ嫌いの実写版火野レイのイメージに、私が引き摺られているだけかな。

 

きたがわけいこ 1986年8月22日、兵庫県生まれ。O型。趣味/読書、歌を歌うこと。雑誌『SEVENTEEN』専属モデル。読書家の彼女は最近は司馬遼太郎の著作に挑戦中とのこと。好きな音楽は70年代ロック。

 


 歌が好きなら、同じ事務所の柴咲コウや沢尻エリカ(『モップガール』主題歌)みたいにCDの一枚も出して欲しかったものだが、セーラームーン以降の音楽活動は、ももクロへの期間限定加入(あれが音楽活動と言えるなら)のみである。たんに「音楽好きですね、ロック命です。一人の時はいつもデヴッド・ボウイやスティングを聴きながら鼻歌うたってます」みたいに言ったのを、事務所がアレンジしたのかもしれない。
 もっとも彼女がスターダストに移籍したのは2004年の早春であるから、この時点ではまだ神戸のノイエ(現フランジ・モデルマネージメント)所属だった。インタビューの冒頭に「今の事務所」とあるのはそっちのことだから、間違えないでね。じゃインタビューを読んでみようか。
 誌面では、北川さんの発言が黒字、インタビュアーの文章が赤字で印刷されているので、そのまま踏襲します。なお、赤字の記事部分には、インタビューに同席していた丸山真哉プロデューサーの発言内容も織り込まれているので、そのへんも要チェックだ。


「中学の頃からいろいろな事務所の方に声をかけて頂いたんですけど、興味がなくて、全部お断りしていたんです。だけど高校1年生の2月に運命の出会いというか『この人だったらついていける』と思える今の事務所の社長に出会いました。私からしたら瞬く間に今に至るという感じです。あの時(社長に)出会っていなかったら、今の自分はいないと思います。レイちゃんと同じで、きっと霊感があるんです(笑)」



 現在高校2年生。実際、スカウトから現在まで半年とちょっとしか経過していない。自ら選んだ道を踏み出したばかりの彼女を支えてくれているのは、やはり家族だ。普段は寡黙な父親も、番組が始まってからDVDレコーダーを購入して彼女の活躍を毎日観ているそうだ。
「嬉しいですよね。家族がいるから、離れていても頑張れる」
 さて、話は戻って、そんな彼女の初仕事となった『セーラームーン』。そのオーディションでこの大役を射止めたのは、なんと「イモ版」のおかげだったという。
「1次審査で一芸披露というのがありまして。何をすればいいか全然分からなかったんですけど、前の日に、家にさつまいもがあったので、『コレだ!』と思って持って行きました。その場で彫刻刀で岡崎(剛之)プロデューサーの名前を彫って、プレゼントしました(笑)」



 彼女の何がすごいかというと、作業している間、漫談のように一人、ノンストップで喋り続けていたという。
「私は神戸出身ですけど、このイモは鹿児島ですよねー、神戸といえば、神戸牛がありますけど牛肉は彫れませんねー……とか何とか(笑)。本当はすごく焦ってました。持ち時間は決まっているし、完成しなくちゃ意味がないし、かといって失敗もできないし」
 その甲斐あって(?)セーラーマーズ・火野レイ役を勝ち得た景子ちゃん。
「男の子だったら『ウルトラマン』や『仮面ライダー』に憧れていたと思うんですけど、私は『セーラームーン』だったんです。アニメより、『なかよし』のコミックで読んでいて、レイちゃんが大好きでした。キリッとしていて、絶対人に媚びなくて、ちょっといじわるで。だけど不器用で、可愛くないとか人に言われてしまう。そういう人間ぽいところが好きだなぁって。私も感情の表現が上手なほうじゃないので、自分に似てるな、ってどこかで思ってたんです。
 と、役柄と自分との共通点を語る。
 「自分も女子校で、レイちゃんも女子校なんですよね。『男に憧れるなんて時間の無駄』ってカッコいいセリフがあるんですけど、私も全然今までそういうのに興味がなくて17歳にして誰とも付き合ったことがないんです(笑)。そういうのは作らなくても自然に出てくる台詞です」



 3話でのラスト、「やっと分かった、私に力があった理由」という台詞についてもこう語る。
「台本を貰ったときから、ここは一番大事な台詞だと思っていて。レイちゃんはお爺ちゃんと暮らしていて、お父さんはいるけど、政治家で全然会えない、という原作での設定は実写でも変わっていないんです。皆みたいに温かい過程がないのも、特別な力のせいで、今まで苛められたり、近所の人に白い目で見られたのも、このためだったんだ。頑張ってよかった。という気持ちを前日から作っていきました。でも演技が硬くて、監督から『もっと感情を込めて』って言われてしまったりもしたんですが、最後は『良かった』って言ってもらえて。嬉しかった」



 勤勉な彼女は、役作りのために原作を読み込んでいるようだ。
「でもそのまま演じるのではなく、武内先生の原作を大事にしながら自分の解釈をプラスしていけたらいいなって。監督さんと自分の作ったもので今のレイちゃんがいると思います」
 しかし、撮影現場は彼女にとって何もかもが初挑戦だ。
「最初は緊張してがちがちでした。撮影の合間も、『本番まであと何分何秒』ってカウントしてました(笑)。でも皆に絶対遅れないようにって、気合い入れて、撮影の基本的なこともそうですけど、自分ですごく役を作ってきたつもりなのに、監督に言われて『あ、そうか』と気づくことが沢山あります。一番楽しいのは、そうやって色々なことが学べることです」



 では逆に、大変なことは?
 炎を前に祈祷をするシーンがあるんですが、巫女の衣装を着るときは、タオルをお腹に何本も巻いて、帯をギューッと絞っているんです。着てるだけで暑いのに、息は詰まるし、炎の前で正座しているので、汗は出てくるし、逃げ出したいくらいなんですけど、涼しい顔をしなくてはいけなくて。心のなかはいっぱいいっぱいです(笑)」
 マーズに変身しての戦闘シーンについては。
「プロテクターも硬いし、けっこう大変です。こないだ肩がはずれて、脱臼しちゃったんですよ」
 ええ!? それは一大事では!
「妖魔さんがちゃんとリアクションしてくれているので、そんなに強くぶつからなくてもいいんですけど、ちょっとした手違いで思いっきり体当たりしてしまって。一瞬、手がなくなったような気がして。手をみたらちゃあんとあるし、おかしいなと思ったら、骨がはずれて、ぷらんって肉でつながっている状態だったんですね」
 じゃあ、撮影を止めて病院に……?
「それが本番じゃなくてテストだったんですよ。『そんな本気でぶつからなくてもいいからねー』って監督さんに言われながら私も『……は、はいぃ』って返事するんですけど、痛くて痛くて、でも本番まで間があったので、自分で骨を元の位置にもどして撮影続行しました。
 自分で肩をはめた!? この話は同席していた丸山プロデューサーも初耳だったそう……かなり、痛かったでしょう?
「だって自分のせいでスケジュールが押しちゃったら皆さんに迷惑かけちゃうじゃないですか」
 まるで何もなかったように笑う彼女に、心から頭が下がる。すさまじい根性の持ち主だ。
「かつらも直前までメイクさんが髪を押さえてくれるんだけど、本番始まるともうダメ。メイクにくっついたり、絡まったりしちゃうんです(笑)。よく一人だけ黒髪だから、地毛だと思われるんですけど(笑)。重くて首を支えるのでせいいっぱいです」




 怪我を隠して撮影に臨み、衣装に悩まされ……慣れないうえに過酷な撮影現場なのだろう。
「でも炎と情熱で、乗り切ります!」
 いやあ、恐れ入りました。こんなに可愛くてかしこくて、勉強家で、一生懸命で、根性もある女の子は見たことがないです。
「そんなそんな。まだまだです」
 と言って、慌てて頭を下げた景子ちゃんは、ごちんと机に頭をぶつけた(笑)。
 最後に、レイちゃんを演じるにあたって目指していることを教えてください。
「レイちゃんは、見た目や言葉遣いで怖がられている部分があるけど、人を思っているからこそ厳しいことを言える、本当の優しさを持っていると思います。そういった女の子や女の人に勇気や、自信を持ってほしいって思います。もっと素直になれるよ、ということとか、希望とかを伝えたい。自分が言うと偉そうなんですけど、一年終わったらそれが皆さんに伝わっているといいなと思って今頑張ってます」


 いやしかしすでに十分に北川景子だ。あたりまえだけど。いまやレジェンドと化しつつあるイモ版オーディションや、Act.4アクションシーン撮影中の脱臼事件が、「つい最近の体験」としてけっこう生々しく語られているのも面白い。それにしても、こういう記事を読むと、火野レイ役との相性の良さがよく分かって、そこから女優としてのスタートを切れたことが彼女のキャリアにとってどれほど幸運だったかを、しみじみ想う。
 ところで以前、こっちよ!研究員から「イモ版」は、正しくは「イモ判」ではないかというご指摘がありました。このインタビューを読むと、北川さんはサツマイモを持参し「その場で彫刻刀で岡崎(剛之)プロデューサーの名前を彫って、プレゼントしました」というから、これは版画ではなく判子なので、確かに研究員の洞察どおり「イモ判」が正しい。しかし雑誌の記事本文が「イモ版」なのでそのままにしておきましたよ。

2. スノーラビッツ所属浜千咲さん

 


 次、浜千咲(現:泉里香)。まずはこっちもプロフィルね。
 古参のみなさまはご承知のとおり、泉里香の本当の生年月日は10月11日だが、浜千咲時代の公式誕生日は11月10日となっていて、一時期ファンの混乱を招いた。今では、10代のアイドルが個人情報保護の目的で、苗字だけ母親や父親の旧姓と換えたり、誕生日をずらしてカムフラージュをかけるというのは良く聞くようになったけど、当時は、なぜ生年月日の月と日を入れ替えたのかなって素朴に疑問に思っていた。


はまちさき 1988年11月10日生まれ。京都府出身。血液型A型。趣味・『可愛いビンを集めること』ファッション誌『melon』レギュラー。歌にも挑戦している彼女の、デビューマキシシングル『恋するソルジャー/彼女はいじわる』も発売中!


 短い。短い理由は、この後に緊急告知が入っているからである。もちろん、CDデビューを記念して開催された伝説の浜千咲ファースト・ソロ・イベント(ラストでもあった)「千咲と過ごすクリスマスパーティー」(2003年12月23日、府中の森芸術劇場)だ。これに参加されたなんていう、生きる伝説みたいな人は、みなさんのなかにおられますか?



 私は当時(今もだけど)そういうイベントにはほとんど参加せず、ただネット上で掲示板や他人のブログを、コメントもつけず読みあさるだけの日々だった。我が国では当時ブログという形式が急激に浸透していて、実写版のファンのなかにも、ブログを開設する人が次々に現れた。
 どうしてかというと、それまで主流であったセーラームーン掲示板(2ちゃんねるとか『セーラームーンランド』掲示板など)に実写版の好意的な感想や評価を書くと、悪質なアニメ版原理主義者がわらわらと集まってきて、よってたかって踏みつけにされる、という現象が多発したからである。私もそういう掲示板の不毛な光景が不愉快で読まないようになって、次第に良心的な実写版ファンのブロガーさんたちが書くレビューに流れていった。
 それらのなかでも、とくに浜千咲を崇拝する二つのサイト、長茄子さんの『狩水衣』(ここ)と試験さんの『そこだ! アイドルのそこが好きだ!』(実写版セーラームーン全話レビューあり。ここ。)は当時とても熱心に読ませてもらっていた(あとブログじゃないけど、ぼうたろうさんの『千咲ちゃんねる』か)。



 今回、泉里香の『ヤングジャンプ』表紙&グラビア進出について、このお二人の先達が、何か反応を示されているか、久しぶりにお訪ねしたところ、『狩水衣』は相変わらずの冬眠中であった。そもそも長茄子さんは、関心の対象をかなりストイックに「泉里香のなかの芸風としての浜千咲」に絞り込んでいて、現在の彼女の活動にはあえて一定の距離を措いている。そういう意味では「浜千咲」はもう、実写版セーラームーンの中にしかいないので、ブログ『狩水衣』が再び目覚める機会は、なかなかないんじゃないかと私は思う。
 他方、シケンさんの『そこだ! アイドルのそこが好きだ!』を観に行ったら、なんかこの十数年のブランクなどなかったかのように、ふつうにヤングジャンプの表紙画像をのっけて「イナフだ。」とか言っていて、このフットワークの軽さには笑ってしまいました(ここ)。
 じじいの繰り言が長くなってすまん。というわけで浜千咲インタビューの本文に行こう。先ほどの北川景子インタビューとはだいぶテイストが違う点に注目されたい。とにかくインタビュアーが浜千咲の可愛さにハマリ、後半に行くほどメロメロになっていく様子がビビッドに伝わってくる。「ちょっと申し訳なさそうに俯く千咲ちゃん。可愛いです。面白すぎます」なんてインタビュアーのコメント、さっきの北川さんのときはなかったぞ(笑)。ま、あれこれ言うより現物を読んでいただきたい。北川景子のイモ判より浜千咲のアズキのエピソードのほうがすごくないか。
 ちなみに今度はインタビュアーの文章が青字になってます。


 セーラー戦士の中では最年少の千咲ちゃん。デビューのきっかけはやはりスカウトだった。
「小さいころは憧れていたんですが中学に入ってからは興味がなくなっていて。地元のデパートの前で、母と買い物をしていた時に声をかけられたんですが、何のことか分からなくて、びっくりしました」



 4ヶ月のモデルのお仕事を経て、迎えた「セーラームーン」のオーディション。
「特技で『さざ波』をやりました」
 さ、さざ波!? どんな技なんですか、それは(笑)!
「ザルの中に256個の小豆を入れて、海の音を出すんです。小豆とザルのセットを持って行って」
 に、256個(笑)。実はこれ、事務所さんの「表現力レッスン」の中に取り入れられているものだそうで。じゃあレッスンの中でも、よほど特異だったんですね。
「……下手です。ぶっちゃけ(笑)。それに緊張して手が震えて波の音じゃなかったんです」
 他の候補者がダンスや歌を披露する特技審査のなか、一人さざ波をするいたいけな彼女に、審査する側はいじわるをたくさん言ったそうだ。例えば「それは須磨の海の音かな、次は若狭湾でやってみて」「今度はカリブ海で」等々。(何て人達だ!)
「全然対応できてなかったです(笑)」
 そうは言ってもそんないじわるな大人たちに動じず、彼女なりにその課題をこなしたところが印象に深かったと丸山(真哉)プロデューサーは補足する。
「ど、動じてました。オーディションも生まれて初めてだったんです」
 さて、『セーラームーン』という作品にはどういう印象を持っていたのだろうか。
「幼稚園くらいの時に観てました。すっごいハマって、セーラームーンごっこをやっていました。ステッキを持つところの指の角度が好きで、マネしてて。マーキュリーとビーナスが好きで、部屋におっきいポスターも貼ってました」
 それは全員が映ってるポスターだったんですか?
「……ビーナスのポスターでした(笑)」
 ちょっと申し訳なさそうに俯く千咲ちゃん。可愛いです。面白すぎます(笑)。
「でもビーナスも亜美ちゃんも好きだったんで、決まってすっごい嬉しかったです。聞いたときにはやったあ! って飛びました(笑)。でもその後、急に不安になってきて。ぴゅーって下がってしまいました。演技とか、テレビに出ることも初めてだし、皆が観ていたセーラームーンの亜美ちゃんになれるのかな、って」
 だがプレッシャーを抱いたまま臨んだ衣装合わせで、モデルとして顔を知っていた他のセーラー戦士に初めて会って、はしゃいでしまったという。
「みんな年上で緊張しましたけど、すぐに話しかけてくれて。すぐに打ち解けられました」




 最初に変身したときの感想は?
「スカートがありえないくらい短くて、髪もそのへんにいる色じゃないし、わーって感じでした。その時髪は切りますか?って聞かれて、考えます、って応えたんですけど」
 しかし制作陣は変身後に合わせて髪を染めたり切ったりはせず、彼女自身に似合う方がいいということで彼女の髪に手を加えなかった。結果マーキュリーは「変身前と変身後のギャップ」という、戦士の中でも飛びぬけて大きな個性を得ることができた。
「でも自分じゃないみたいで、実感がわくのに時間がかかりました」
 さて撮影に入ってからは、知性の戦士というだけあって、派手な戦闘シーンはないが、体育の授業意外スポーツしない千咲ちゃんには、アクションシーンの撮影が最も大変なようだ。
「皆走るのが速くて、おいつくのに必死です。小学校の頃は運動が好きだったんですけど、中学生になってから動かなくなっちゃった(笑)。でも、体育祭ではちゃんと2位とかとってますよ?」
 お、すごいじゃないですか!
「でも下の学年の子に負けてしまいました(笑)」
 そして変身前の亜美ちゃんの衣装といえば「眼鏡」がある。普段は眼鏡をしない千咲ちゃんだが?
「眼鏡のかけ方とかあげ方が分からなくて、色々と研究を重ねた結果、今の感じになりました。空き時間があれば拭いたりして、眼鏡を可愛がってます。でも撮影が始まってから、視力が下がってしまいました」
 視力回復には緑色を見てるといいそうですよ。
「じゃあジュピターを見てます(笑)!」
 笑顔が絶えなくて屈託がない。



 演技も初挑戦だが、うさぎ(沢井美優)ちゃんや、スタッフに教わりながら、がんばっているという。
「台本に書くところがなくなるまで亜美ちゃんの心境を何個も考えて書いてます。それからどれにしようか? って考えて、うさぎちゃんに相談したり前後の流れを見て演技してます」
 亜美ちゃんの1日を考えて、最初の撮影に臨んだという。
「朝起きたらお母さんが病院に行ってるから、自分で作ったり、前の日に買ってたりした朝ご飯を食べて、学校に行く、他の人が喋ってるシーンにも台本に『亜美ちゃんは今塾に行っている』とか書き込んで(笑)。塾のあとは予習復習をして、って。私は一人でいるのが怖いので、寝る時も電気つけて寝てしまうくらいなんですけど、亜美ちゃんみたいな子がクラスにいたら、うさぎちゃんみたいに自分から話しかけられるかな? って思います」
 人見知りで、はにかみやの千咲ちゃんが、撮影で一番楽しみにしていることは「人に会えること」。
「撮影自体も楽しいし、皆に会えるのも楽しみ。うさぎちゃんとは一緒にいる時間が長いのでずーっと喋ってます。食べ物の話が多いですね。眠たいのに、○○のプリン食べた? とか(笑)」
 これから番組の中で挑戦してみたい事ってありますか?
「皆の出身地ロケとかしていたいですね」
 どこがいいです?
「北海道とか!」
 北海道出身のセーラー戦士いないじゃないですか(笑)。
「そうだ! 変身したら寒いし、ダメです!(笑)」
 最後まで楽しいお話ありがとうございました!

 


 
 つまり本来、亜美の髪形は、変身後の青いウィッグに合わせてカットする予定だったのだが、浜千咲の魅力にやられたスタッフが「このままの彼女が好き♡」と放置したため、セミロングになったんである。以上。やはり天性の小悪魔だなこの人は。
 『宇宙船』のこのインタビューは続き物で、110号(2003年11月刊)には沢井美優、そして今回ご紹介した111号(2004年1月刊)が浜千咲と北川景子、次の112号(2004年3月刊)に安座間美優と小松彩夏のインタビューが掲載されていますが、とりあえず今回は、2016年のMVP戦士お二人ということで。
 ではまた。