実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第547回】DVD第4巻:Act.13の巻(5)



 スター・ウォーズの新作が、公開初日から駄作だガッカリだとバッシングの嵐である。十分に予想できた展開だが、しかし2ちゃんねるのまとめみたいなのを見たら「やっぱりルーカスが作らないとダメか」とか書き込んでいた人がいて笑った。これぞ創業者の思うつぼである。
 ジョージ・ルーカスは、自分の創造したスター・ウォーズ世界の「神」でいたかったのだが、新作を出すたびにみんながケチをつけるので、もうイヤになってしまった。



 それで権利を売りに出した。がそこには「どうせどんな続編を作っても(大ヒットするけど)観もしないでケナす奴とかがいるんだ。むしろ手放した方が、逆にみんな、やっぱりオリジナルは偉大だったとか言い出すに違いない」という計算がはたらいていた。いやホント。40年来スター・ウォーズにつきあってきた私には分かるが(妄想ともいう)あいつは狙ってやってるよ。あえてディズニーに丸投げにすることによって、ルーカスは改めてスター・ウォーズ世界のレジェンドになろうとしている。



 ニューシネマ以降の低迷期にあった1970年代後半、アメリカ映画に活気を与えた『ロッキー』や『スター・ウォーズ』や『地獄の黙示録』は、どれも映研の学生が撮ったような「オレの映画」だった。プロ意識をもって趣味と商業性を両立させようとしていたのはスピルバーグぐらいだったような気がする。そして今もなお彼らはそのままだ。今年はロッキーの続編(というかスピンオフ作品)『クリード チャンプを継ぐ男』とスター・ウォーズの新作が公開された。コッポラは何をしているかというと、ルーカスの所有する葡萄園と提携したワインのビジネスで大儲け、その金を自分や娘の映画のプロデュースにつぎ込んでいるそうだ。みんな嬉しいくらいに進歩がないな。いや私も他人のことは言えないが。



 あと私の個人的な思いこみを付け加えると「お団子頭」とかプリンセス・セレニティのヴィジュアル・イメージとか「戦うお姫さま」の起源はここにある、と思う。

1. 前人未到の軌跡


 と、ここまで書いてから、金山のライブハウスClub SARUに出かけて、万丈さんお薦めのダンス&ボーカル・グループ「VIC:CESS」の名古屋初ワンマンライブを観てきた。ちょっと前にボーカルが喉の手術のため休養に入ったという話もあって、どうかなと思っていたが、6人全員フルのステージで良かったです。おかげでブログを書く時間が今週も少なくなっちゃったけど。
 そもそも実写版セーラームーンを追っかけているうちに、どういうふうにVIC:CESSに辿り着いたのかというと、これはもう万丈さん以外には誰も通らなかった道だと思う。前人未到と言えなくもない。何の役にも立たないが以下、この件について私の知る限りのことを記録しておく。



 始まりは実写版セーラームーンが終わって2年が経った2006年8月と翌年の2007年の夏、劇団東少が恒例の「夏休みファミリーミュージカル」として『眠れる森の美女』を全国巡業上演したことであった。このときのキャストが松下萌子と沢井美優だったので、我々はこぞって観劇に出向いたわけですよ。
 で、沢井さんとか松下さんぐらいにしか興味を持たなかった我々と違って、万丈さんはこれをきっかけに、劇団東少ミュージカルにいろいろとヒイキの俳優さんを見いだし、その後もコンスタントに通い続けたようである。名古屋の『人魚姫』公演を観に来ませんか、とお誘いいただいたのが翌2008年の夏。私は、まだ小さかった息子を連れて7月20日に愛知厚生年金会館に行った。今は取り壊された愛知厚生年金会館、私は大好きだったな。セラミュの聖地だったし。



 東少の『人魚姫』は、後に松下萌子と沢田亜矢子でも上演されているが(2012年)、この2008年版でヒロインの人魚姫(マリーナ)を演じたのは本田有花で、魔女役は榛名由梨だった。私はどちらかというと初代オスカルの榛名由梨が目当てで行ったんだけど、このとき万丈さんは、いまけっこう入れ込んでいる女優さんがいるんだとか言われて、それが魚のマリリンとか侍従の役とかで出ていた渡部美帆さんでした(この舞台は少ないキャストがいろいろな役や裏方をやっていて、みんな忙しそうだった)。



 それから1年後の2009年秋に、今度は岡山デジタルミュージアムの沢井美優サイン会で万丈さんとお会いした。なぜそんなところで沢井さんのサイン会があったかというと、そこでやっていた「古代ローマとカルタゴ展」のプロモーション番組のナビゲーターを沢井さんが務めていて、そのDVDソフトの販売促進イベントでした。その手のイベントには関心のない私も、岡山の博物館でサイン会なんかやって(って失礼だが)誰も人が集まらなかったらどうする、とあせって新幹線で駆けつけたところ、集まっていた人々の八割くらいはすでに見た顔だった(笑)。



 そのとき万丈さんが教えてくれたのはふたつの「業界ウラ話」で、ひとつは実写版セーラームーンの主題歌を歌っていた小枝のことだった。これはもう語っていいと思う。彼女は当時、名古屋に拠点をもつ小さな芸能事務所に属し「弓原七海」という名前で活動していたんだけれど、東京で音楽活動に専念したい本人の思いと、事務所の意向が折り合わず、相当にこじれていた、というような話であった。実際、その後まもなく両者は決裂した。
 で、もうひとつのウラ話が渡部美帆さんにまつわるものでした。しかしこっちは、まだハッキリ言っていい話かどうかよく分からない。某人気アニメを某有名監督と有名キャストで実写映画化したとき、キャストのスケジュールに問題が出たところを、美帆さんの活躍で埋め合わせがついて、だからその作品のエンドクレジットには、ほとんど顔が確認できないにもかかわらず、美帆さんの名前がちゃんと出ている、という話だった。そういうウラ話をご存知で、熱心に話されるところからして、この時点で万丈さんが、渡部美帆さんにかなり力を入れておられる(笑)ことはよく分かった。



 そして翌2010年春、『ヤングマガジン』恒例のグラビアオーディション「ミスマガジン2010」のベスト16(セミファイナル)に、やがて『仮面ライダーフォーゼ』に出ることになる清水富美加や志保といっしょに「乃下未帆」という子がエントリーされた。前出のミホさんが、芸名を改めてグラビア方面に転向されたということらしい。



 残念ながらファイナルには残らなかった(ので名古屋テレビ製作の『熱いぞ!猫ヶ谷!!』にも出演しなかった)が、もともとグラビアに転身したというよりも、ミュージカルから、より「歌と踊り」に特化した方向に進むためのプロモーション的意味合いが強かったみたいで、イメージDVDを1本出した後、2011年にはダンス&ボーカルグループVIC:CESSのMIHOとしてユニットデビュー、今日にいたる……と、まあだいたいそういう運びのようだ。



 いかん、だらだらやっているうちに感想を書くひまがなくなった。えーとライブ自体はふつうにエンターティメントしていて、ヲタ的にのめり込まなくても自然体で楽しめたんでいいです(何が「いいです」だよ)。
 しかしこういうライブに行くと、毎回のようにサイリウムをたくさん支給されるんだよね。あれはファンの方々のボランティアなのかな。それで曲によって(あるいはどのメンバーのソロであるかによって)この色のライトをつけろとか決まっていて、前の方にいるトップの人たちが、後ろにも見えるように「この色!」という感じで指示を出すんだが、なかなかそう簡単に出せるもんじゃない。結果、うちにはけっこうな数と色のサイリウムがたまっている。今回も余ってしまった。
 ま、ともかく、今年は春にひめきゅんフルーツ缶やNegiccoのワンマンがあり、6月にDorothy Little Happyの5周年(で5人最後の)ツアーがありと、日ごろ私がよく聴くグループがしょっちゅう名古屋に来てはいたのだが、私は結局、何ひとつ都合がつかなかった。先月(先々月か)の9nineなんて、名古屋ボトムラインで整理券番号が19番だったのに、仕事が入って泣く泣くチケットをリセールに出した。そんななか、ワンマンは初めてのVIC:CESSで知らない曲も多かったけど、年末最後にライブが楽しめてよかった。ありがとうございました。


2. クンツァイト登場


 いや本題に入る余裕がなくなってしまったな。すまない。
 亀吉の失踪に憔悴しきった元基のもとへ「亀吉らしい亀を見たっていう人がいたぞ」と飛び込んできた地場衛。とたんに元基は息を吹き返す。
 前回触れたように、台本ではこの場面、クラウンに配達にやって来た酒屋さんが伝えることになっていた。それを、衛がじかに情報を伝える展開に変更したのはもちろん舞原監督である。このような、いちいち指摘するほどでもない細部の変更は、このAct.13のあちこちに見いだされる。どれも安易な変更ではなくて、むしろ台本の雰囲気をより忠実に現場で再現しようとした結果、細かいセリフのタイミングや前後関係が、台本と微妙にずれてしまった、という感じのものが多い。舞原監督がどれだけ実写版セーラームーンという作品にのめり込んでいたか、如実に知ることができるので、興味のある向きは台本と実際の作品とを較べていただきたい(撮影台本はここ)。



古 幡「ホントにここ?」



うさぎ「何か、いやな感じ……」



古 幡「だね。おーい、亀吉〜」
うさぎ「亀吉くーん!」



うさぎ「……亀吉?……」




二 人「きゃあああああ」




 衛 「……よく見ろ……」




古 幡「亀吉!」


 窪寺昭は先日の『探偵の探偵』で北川景子に膝蹴り入れられたりして、私たち実写版セーラームーンのファンをおおいに湧かせてくれた。でもまあ、最近はテレビなどではあまり見かけない。やはり舞台での活躍がメインになっているようだ。本人が舞台好きそうだし、それでもいいんだが、やはり実写版セーラームーン男優陣のなかでも抜きんでた逸材だっただけに、もうちょっとテレビ画面や映画のスクリーンで観たい気がする。誰か使ってくださいよ。
 というあたりでタイムアップ。残念だがここで更新だ。また次回。