実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第534回】仰天!北川景子『探偵の探偵』第10話の巻


ぼーっとしている間に小池里奈は22歳になっちゃったし、越智千恵子のブログには、娘を連れて池袋のサンシャインシティに行ったことが書かれていた。娘とツーショットでも「私を見てオーラ」が消えないチエコさん。



母と娘と池袋を散策。
サンシャインを訪れると
セーラームーンミュージカルの頃の記憶が一気に蘇り
懐かしさに浸ってしまう自分が居ます。
娘と歩くサンシャイン、
なんだかとっても不思議な感覚!
(「越智千恵子オフィシャルブログ」2015年9月6日)

なんか、これだけでちょっとしみじみしてしまったよ。
ただ最近ここのお宅は、おちまさとブログは娘と二人でハワイ旅行のネタで、千恵子さんブログも毎回のように娘とツーショットだ。これって、親権で揉めている離婚協議中の夫婦が、自分の方が娘になつかれていることをアピールしあっているようにも見えるんだが、大丈夫か?大丈夫だよね。せんせい(犬の名前)はどっちが引き取るの?(だから違うって)



 さて『探偵の探偵』だけど、M14さんのコメントに「この原作者の小説が入試問題に出た」と書いてあって、そうだったっけかな、と思って「松岡圭祐 入試問題」で検索をかけてみた。そしたら何のことはない、本人がホームページでいちいち報告しておられる。Wikipediaにもまとめられている。


作品の入試問題への採用も多く、『万能鑑定士Qの事件簿I』が平成27年度金沢工業大学前期入試問題の国語長文読解に、『ミッキーマウスの憂鬱』が平成26年度国府台女子学院高等部前期入試、札幌聖心女子学院中学校、平成22年度西南学院高等学校、豊島岡女子学園中学校の入試における国語長文読解、平成20年度の東大寺学園高校入試における英語にて採用されている。


 すごいね。ちなみにこの『ミッキーマウスの憂鬱』は、何年も前から「新潮文庫の100冊」に選ばれていて、今年のラインナップにも入っていたな。第31回NHK杯全国中学校放送コンテスト朗読部門の課題作にも選ばれたそうだ。
 それはいいのだが、そういう記事をつらつら眺めているうちに、原作者のサイトのトップページにある断り書きに気づいた。


「千里眼」は松岡圭祐事務所の登録商標です(登録第4840890号)
「探偵の探偵」は松岡圭祐事務所の登録商標です (登録第5751825号)
当サイト内の文章・画像の無断転載を禁じます


「探偵の探偵」はいいけどさ、「千里眼は松岡圭祐事務所の登録商標です」ってどうよ。
 ちなみに「千里眼」で検索をかけると、東北沢の二郎系ラーメン店「千里眼」とか「占いの館 千里眼」とか出てくるが、みんな松岡圭祐に使用料を払っているのか?




 どうなんだろう。松岡先生にはくれぐれも「ミッキーマウスの憂鬱」を商標登録しようなんて、変な気を起さないようお願いしたい。国際問題に発展しちゃうしね。



 さて本題だ。前回のラストで、市村凛(門脇麦)をかくまい、保護している琴葉(川口春奈)のところに、お姉ちゃんの彩音(中村ゆり)から、身投げを暗示するメールが来る。パニックになった琴葉は、「一人にしないで」と哀願する市村凛を置き去りにして、お姉ちゃんのもとに走ってしまう。
 


 メールに書いてあった場所まで行くと、確かに踏み切りの前にお姉ちゃんが!




 電車が通りすぎる間に姉ちゃんの姿は消える。遮断機が上がるのももどかしく、姿を探し求める琴葉。と、トンネルで姿をあらわす彩音。
 


 ホッとする琴葉だけど、どこか様子がおかしい。原作だと、何といいますか「姉妹で百合」ってジャンルがあるんでしょうか、近親愛かつ同性愛の嫉妬みたいな、実に妙な描写になっているので、ちょっと引用してみます。
 



 「胸に飛びこんできてよ」彩音がつぶやいた。「わたしの身が心配だったんでしょ。姉妹だもんね。喧嘩したけど、ほうってはおけないもんね」



 「お姉ちゃん。どうしちゃったの」
 「抱きついてきてよ。胸に顔をうずめて、めそめそ泣いてよ。ちっちゃいころ、よくしてたみたいに」
 いらだちのなかに、薄気味悪さが入り混じってこみあげる。琴葉は首を横に振ってみせた。「そんな気になれない」



 「なんで? 琴葉。あの女の方が好きなの? 玲奈は抱きしめたでしょ。甘えて添い寝する夜もあるのに。玲奈と一緒にお風呂も入るんでしょ。中学まではわたしの前でもそうだったのにね」



 琴葉の顔はにわかに火照りだした。いっぽう首から下は、いっそうの冷ややかさに包まれた。寒暖すら判然としない混乱が生じていた。琴葉は彩音にきいた。
 「なんでそんなこというの」



 「事実でしょ。菜々が教えてくれたもん」



 「菜々って……」
 ことの重大さを把握しきれていない、そんな思いがあった。だが直後、現実が答えになった。背後から何者かが羽交い締めにしてきた。



 吐息をこめかみに感じる。耳に憶えのない女の声が低くささやきかけた。「うなじがお姉さんにそっくり」
 鳥肌が立った。髪の毛の根を締めつけられ、神経が凝結する。そんな不快にとらわれた。






 そのあいだ、玲奈(北川景子)は「死神」こと澤柳菜々の消息を追うんだけど、今回はこれまでと違って、いろんな探偵社の合同調査みたいな感じになっている。彼らはメジャー探偵社各社から紗崎玲奈の見張り番として派遣された、そこそこ腕の立つ探偵たちだ。
 本来は、警察からも目を付けられている玲奈がこれ以上問題を起こして、探偵業界全体が警察や世間のヒンシュクを買ったりすることのないよう、その行動を見張るのが役目なんだけど、なんといってもいちばん悪い悪徳探偵は「死神」なので、なんとなく情報提供して玲奈をサポートする互助会みたいになっちゃった。これが梶原善、葛山信吾、袴田吉彦、そして岩松了というなかなか渋くて豪華なメンバー。ここにスマ・リサーチのディーン・フジオカも加わるのだから、なんか今回の北川さん、イケメンからおじさままで、色んなタイプに囲まれてよりどりみどり状態。



  どうせネット上には「これだけ役者がそろうと、北川の演技が棒に見える」とか相変わらずヒネリのない悪口を言う人もいるんだろうが(と思う)実際、豪華なラインナップですね。私なんかもう、これだけの方々が、北川さん主演のドラマをクライマックスに向けて盛りたてるために、彼女を囲んで力を結集して努力してくださっているだけでありがたい。やはり今シーズンではベストワンのドラマです。
 とはいえ、今回はここから後がもたついたんだよな。いや視聴者のなかには、いよいよ死神こと澤柳菜々の正体にぐいぐい迫っていく感じで、それなりに手に汗にぎった方もいるのかな。でも私なんか原作を読んじゃっているので、そっちが本物の死神じゃなくて引っかけだって分かっているから、もう早く本物の方へ行ってしまえと。
 でもなかなかそういうふうには進んでくれない。ドラマはここで急に話がもたつく。いちばん分からないのが須磨社長(井浦新)の行動。



死神が玲奈の母親に接触して、玲奈の情報を得ていたらしい。しかし玲奈の母は咲良の死によって精神を病んでしまっているので、須磨社長は玲奈の父、克典(矢島健一)に面会を求めて、何か知らないか聞きだそうとする。これ、原作にぜんぜん出ないくだりなんだけど、要るのかな。



克 典「何なんですか今さら。うちはねえ、あの事件のせいでバラバラになったんですよ。妻とはあれ以来、何年も話していません。ひとの家族のことを勝手に調べ上げて……思ったとおりだ。探偵っていうのは本当に常識知らずなんですね。なんだって玲奈は、そんな探偵なんかに。昔のこと、いまさらほじくり返さないでくださいね。もう終わったことなんですから」
須 磨「終わった?」
克 典「そうです終わったんですよ。まったく不愉快きわまなりない。失礼させていただきます」




須 磨「あの事件は終わってなどいません。少なくとも玲奈さんのなかではまだ。彼女のことで、少しお話をよろしいですか?」



須 磨「初めて彼女に会ったとき、なんて落ち着き払った感情のない人だと思いました。だけどその瞳の奥には深い哀しみを感じた。咲良さんを失った日から彼女の時は止まったままだ」



須 磨「あれから自分が探偵になることで、咲良さんを死に追いやった人物を探しだそうとしています」



克 典「探しだす? 玲奈が?」
須 磨「彼女は不幸な境遇から、目を伏せ耳をふさぐのではなく、自らの命をかけて立ち向かうことを選んだんです。もちろん、そんな過酷な日々の中でも、良い出会いだってありました。彼女を助け、支えようとしてくれる人たちがいた。けどあの事件がそんな人たちまでも巻き込み傷つけ、命まで奪った。それでもなお、彼女は前へ歩き続けている。なぜいま彼女の話をしたか分かりますか?」
克 典「いや」



須 磨「探偵のすべてを知りたい。でも探偵にはなりたくない。出遇った当初、彼女は私にそう言ったんです。まだ若い彼女が、たった独りで孤独を背負って生きるのは、あまりにも酷だ。ならば一人くらいかまってやる大人がいても良い。私はそう思ったんです」



克 典「はっはっはっは、何なんですか。私が玲奈を見捨てたとでも言うんですか」



克 典「私だってね、咲良を失ったとき心底哀しんだ。悔しかったんだよ。何でもっと早く私に相談しなかったんだってね。玲奈だってそうだ。何も探偵になんてならなくたって、私に相談すりゃいいじゃないか。自分で探しだす? ばかげてる、何やってんだあいつは!」



須 磨「悪徳業者を前に泣き寝入りしていた被害者たちを、彼女はいままで何人も救っています。彼女の存在は少なからず探偵業界の健全化に役立っています」



 結局、ほぼ玲奈を見放したかっこうの父親が、少しは悔悛するのかと思ったらそうでもない。何のためにこのドラマオリジナル場面を入れたのか、よく分からない。ただ実写版セーラームーンの火野レイでも『モップガール』の本田博太郎でも『Dear Friends』の大杉漣でも、北川景子はだいたい、家族関係、特に父親とはうまくいっていない印象が強くて、『謎解きはディナーのあとで』の高橋英樹みたいに彼女を溺愛しているパパは少ないように思う。ちょっと性格がきつそうな美人なので、そういう設定になりがちなのかな。故・森田芳光監督だけは、妹とか娘とか、北川景子を積極的に「家族」のなかに置いて描き、別な一面を引きだそうとしていたのかも知れない。
  

 さて今週も結婚披露宴やら葬式やらいろいろあるなか、だらだら書いてきたがタイムアップだ。クライマックス。互いの情報を出しあったおかげで、いまは男性として生きている「澤柳菜々」本人にたどり着いた玲奈たち探偵の面々。でも彼女は「死神」ではなかった。本物の「死神」は彼女が名前を「澤柳邦夫」に変えて男になったとき、捨てられた「菜々」の戸籍を盗んだ別人だったのだ。


中央の黒ずくめの人が元「澤柳菜々」さん


 やれやれという感じで、琴葉と凛の無事を確認する玲奈。ところが隠れ家には凛しかいない。




 琴葉は姉を助けるためにと出ていったという。そこへ「澤柳菜々」からメールが!





 急いで琴葉のスマートフォンの位置情報を確認する玲奈。すると琴葉はなぜかスマ・リサーチ社にいる。



 スマ・リサーチ社は渋谷高と渋谷幼稚園の近くらしいぞ(笑)。原作のクライマックスの舞台はコンクリート工場で、姉ちゃんはコンクリート漬けにされそうな状態で縛られているけど、ドラマ版はスマ・リサーチ社で、姉ちゃんは何かの点滴を刺されている。スマ社にたてこもりって、むしろ玲奈に有利な環境じゃないかとか、なんか変な感じもするけど、まあいいや。




 身体は大柄だが胸では姉に負ける妹。仕方がない。姉ちゃんは点滴が効いてきたのか、次第に意識朦朧として、ライフポイントも下がっていく。








 みんな済まない。私は実写版『桜蘭高校ホスト部』が大好きな川口春奈のファンなので、演技力だってあると言い張ってきたが、もう分かった認める。これからの伸びシロがたくさんあって楽しみな女優さんだ。まだ20歳だからいいじゃないか。
 とにかく琴葉が危ない。玲奈は澤柳菜々のアパートから飛び出し、そのへんにたむろしている若者たち(主題歌を歌っている超特急がゲスト出演)のオートバイを無断借用。





 前回は自転車チェイスがあったけど、今回は♪盗んだバイクで走り出す♪北川景子。





 オートバイはヘルメットかぶっちゃうから、ドラマ的には自転車より興ざめだね。ていうか、自転車でも車道を走るときはヘルメットをした方がいいぞ。そしてようやくネタバレに。死神こと「澤柳菜々」の正体は、玲奈と琴葉がかくまっていたDV被害者の市村凜(門脇麦)だった。










 しかしもったいないね。門脇麦といえば『愛の渦』『闇金ウシジマくん Part2』『セーラー服と宇宙人』と、いま最もノリに乗っている(というのか?)女優さんのひとりである。もっと早く正体バラせなかったか。
 前回のペースのままで行っていれば、今回は前半でテキパキ「澤柳菜々」を突き止めて、そこから一気に「死神」の正体が明らかになるところまで話を進めることだってできたはず。そうすれば、豹変した門脇麦の大暴れを、足かけ二話に渡って楽しめたのに……。玲奈との対決が最終話だけというのは、実にもったいない。
 原作もけっこうなベストセラーみたいだし、原作を読んじゃった人も多いだろう。私もそうだけど、そういう人は、すでに第6話で「おうっ、ラスボスは門脇麦か!」と思っていたわけ。それからまる一カ月じらされた。もう、待たせすぎ。
 というわけで、次回いよいよ最終回!