実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第532回】窮地!北川景子『探偵の探偵』第8話の巻

1. よろしくカメ吉



 7月から始まった『ウルトラマンX(エックス)』(テレビ東京)のヒロイン、戦闘美少女のアスナ(坂ノ上茜)。熊本出身で、中学生のころアミューズのオーディションに合格し、5年の雌伏期間を経て19歳のこの夏、満を持して女優デビューということらしい。
 しかしそんな大切な秘蔵っ子を、いきなり坂本浩一が参加している番組にまかせるってどうよ。ていうか心配どおり坂本監督(第4話、第5話を担当)は、彼女の特技が新体操で身体もよく動くと知って、本筋に関係ない戦闘訓練シーンの演出に熱が入ってしまっている。




 


 だからこれはウルトラマンなんだってば。最上もが、小池里奈に続いて、この子に目をつけちゃったか。だからこの人はもう……。
 で、坂本監督ではない第6話(2015年8月18日)第7話(2015年8月25日)には黄川田将也がゲストで登場(監督:辻本貴則)。甘いマスクで善良で記憶喪失の若者、実はゴールド星人を演じつつ、地球のJK(新舛有紀)との間に淡いロマンスが芽生えたりしたのでありました。しかし黄川田君は女子高生をよくたぶらかすね。




 シルエットが良いのか、画になるなぁ。とにかく黄川田君の良さをアピールするために作られたような回で、良かった。
 しかも黄川田将也はこれと平行して、『婚活刑事』第8話(2015年8月20日)にも出演していたな。



 ちなみに私『婚活刑事』がけっこう好きだ。木曜の夜は『探偵の探偵』で楽しみながらも気苦労ためこんで、それから日テレの深夜ドラマ『婚活刑事』でリフレッシュ、というのが今シーズンの定番なんです。しかし今回は『探偵』のオンエアが女子バレーボール中継で遅くなって、よみうりテレビ系の『婚活刑事』はパスした。武田莉奈が出ていたらしい。残念。

2. こっちもカメ吉



 というわけで『婚活刑事』は面白い。主人公の花田米子刑事(伊藤歩)は毎回、捜査の途中で恋に落ちる。でも結局いつもその相手が犯人。米子は犯罪者にときめいてしまう「米子レーダー」の持ち主だ。でも本人はなんとかその汚名(?)を晴らそうと婚活に励む。
 というフォーマットは『キミ犯人じゃないよね』(2008年、テレビ朝日)や『うぬぼれ刑事』(2010年、TBS)と一緒だけど、また味わいの違うユニークなところが色々あって、私が好きなのは上司の宮谷警部補。彼はヒロインの捜査能力(笑)をものすごく買っていて、事件が起こると彼女の挙動を見張り、いざ誰かにときめいたとなれば「そいつが犯人だ!」と証拠もないのにしょっぴいてしまう。でもそれが百パーセント当たりなんだからしようがない。この警部補を演じているのがレイパパ升毅。



 第8話は、主人公たち両国署の面々が、ゲストの組織犯罪対策課の刑事たちと協力して、危険ドラッグ密売グループを摘発する話。ところが取引現場を押さえても、現物がみつからず、ガサ入れは失敗続き。捜査情報が漏洩しているとしか思えない。怪しいのは組織犯罪課の本村巡査部長(黄川田将也)だ。冒頭の、バーベキューパーティーを装った捜査でも、黄川田君は怪しいくらい爽やかだしなぁ。



ちなみに伊藤歩の米子、アバン・タイトルの犯人逮捕のアクションもなかなかお見事。


 
 で、普通なら黄川田君と米子がロマンチックな雰囲気になって……という展開なんだけど、今回は変則的な展開になっていて、同じ組織犯罪課の別の刑事、見るからに体育会系な権藤巡査(阿部亮平)が、米子に一目ぼれしてアタックをかけてくる。その勢いにつられて思わず交際してしまう米子。だからみんな、交際相手の権藤巡査が情報をリークした犯人ではないかと疑ってしまう。



 基本パターンをひとひねりしたぶんドラマ的には面白くなったんだろうが、そのぶん、いつもだったらヒロインの恋人になっていたはずの黄川田将也の出番が減ってしまったので、痛し痒しである。じゃ、あとはクライマックスをちょっとね。



米 子「絶対に権藤君は犯人じゃない!」



米 子「だって私、権藤君のこと好きじゃないから」
本 村「は?」
権 藤「そんなぁ」



米 子「ごめんね。権藤君の気持ちは本当にうれしかった。でもどうしても自分の気持ちに嘘はつけない」



本 村「あんた何言ってんだ?」



宮 谷「米子レーダーは動いてなかった。ってことは権藤はシロだ!」


 しかし伊藤歩も、こういうライトなヒロインってあんまり演じたことがないんじゃないかな、楽しいドラマです。ただいま9話までオンエアしたところだが全12話の撮影を無事、終えたようだ。初回視聴率が4.9%、第2回目で2.8%まで落ちたけど、徐々に盛り返して第5話で5.7%、この第8話はちょうど4%ってところです。深夜ですからこんなもんで、まあ良いでしょう。
 一方、5.4%という深夜枠なみの数字を記録したのが、我らが『探偵の探偵』第8話だ。実際に女子バレーボールの中継に圧されて、ほとんど深夜枠に移動したわけだけど、これでトータルの平均視聴率は8.17%。ぎりぎり8%か。もう私、泣きたい。女子バレーボールが憎い。



「死神」って君たちのことだったんだね

3. 探偵異聞


 原作の第2巻では、警察がやって来て逃亡した玲奈は、撤収の途中で、飛行場のヘリ格納庫に侵入する。ヘリが帰還すると、コンデンサにケーブルをつないで、あたりに一瞬だけ強力な電磁波を発生させる。これでパイロットが所持していたメモリカードのデータは消去した。





 前回のこのブログに「ドローンに模型をつけただけ」なんてバカにされたもんだから「どうだどこがドローンだ」とばかりにホンモノのヘリを出してきた意地のフジテレビ。テレビ東京ではなかなかこうは行かない(推定)。
 ケーブルで囲んだエリアに、スーツケースを持ったパイロットが踏み込んだところで、電極をバチバチっと交差して、電磁波を流してデータ消去。





 カードには上空から撮影したビデオ映像が収められていたので、玲奈が映っていたかも知れないし、あるいは窪塚が、DV被害者を守るためとはいえ、民間人に過剰な暴行をはたらいていた場面が映っていたかも知れない。玲奈は自分の存在を消すためというよりは、勝手に行動して民間人に暴行をはたらいた、とも取られかねない窪塚の名誉を守るため、危険を冒して映像データを消去したのだ。もう何も再生できない。



 ドラマで説明していたかどうか忘れたけど、原作ではこの事件の少し前に、警視庁の偉い人の奥さんが、旦那のDVに耐えかねて家出する、という事件が起こっている。身内のスキャンダルを恐れる警察は、あの手この手でその一件をうやむやに葬った。ようやく落ち着いた矢先に今回のDV被害者集団失踪事件である。下手につつくと寝た子を起すような結果になりかねない。今回、警察の動きが鈍かった理由はそこにあり、窪塚も、何よりもその点にいちばん腹を立てていた。そこが分かってないと、窪塚がただ上層部の命令を無視して暴走して殉職した『太陽にほえろ』の熱血刑事みたいになってしまうので、ちょっと解説してみた。



 さて、データを消去した玲奈は、今度は病院に侵入して窪塚の容態を見にいく。もう神出鬼没である。ベッドわきには、玲奈からの知らせを聞いて駆けつけ、涙にくれる母親の姿があった。



 もちろん冗談である。前回から同じようなネタですまない。昭和のおじさんの悪癖と思ってくれ。







 やはり窪塚は手遅れだった。
 原作ではこのあと、エピローグとして、玲奈が約束通り、窪塚の娘、柚希の参観日に保護者のふりをしてやってくる、というエピソードが入る(ドラマではだいぶ後まわしにされて、第8話の最後の方に入る)。原作より。







 窪塚仁美は玲奈を見ると目を丸くした。しかし驚きの表情は一瞬にすぎず、すぐに喜びのいろがとってかわった。目頭がわずかに潤みだしている。疲労を色濃く残すその顔に、笑みが浮かんでいた。玲奈も自然に微笑み返した。



 柚希の席は教室の中央に近かった。やはり黒のフォーマルチックなワンピース姿だった。そわそわした顔で後方を振りかえる。玲奈に視線を向けると、無邪気に微笑んだ。





 屈託のない笑みが、さもうれしそうに玲奈を見つめてくる。ずっと後ろを向く柚希に、母親たちがざわめきだした。
 玲奈は心配になったが、女性教師も柚希の素行に気づく反応をしめしたものの、授業を続行した。心なしか教師の表情も緩和したように思える。柚希の父に起きたことを知る以上、明るい振る舞いを咎めきれないのだろう。



 仁美が柚希に、前を向くよう人さし指で伝えている。柚希は笑顔のなかに、ばつが悪そうないろをのぞかせ、黒板へ向き直った。




  
 実際にドラマの画面を観ていると、お母さんたちの反応が「あら、あれ北川景子じゃない」「どうして北川景子がここにいるの?」みたいにしか見えないが、まあ仕方ない。原作第2巻はここで終了となる。

4. ついに泣く


 さて、前回あたりから見え始めてきた原作とドラマ版の乖離は、この第8話でかなり顕著になる。おおまかなストーリーラインはそのままなんだけど、話の運び方やキャラクターの配置など、全体の構成にだいぶオリジナリティが加わってきた。まだシリーズが続きそうな原作に対して、ドラマはそろそろ完結に向けて話をまとめなきゃなんないしね。
 そういう意味では前回、クライマックスの場面を深夜から早朝に変更しながらヘリを登場させた点について、私スタッフに苦言を呈しましたが、あれは私が浅はかでした。お詫びします。
 さっき見たように、今回の冒頭は、玲奈が空港に忍び込み、ヘリのカメラが撮影しているはずの映像データを消去するところから始まる。この場面自体は原作にもあるんだけど、事件の後始末としてエピローグ的にサクッと描かれているに過ぎない。



 ところが今回のオンエアを観ていると、冒頭に詳しくこの場面の描写が出てくるので、何かたいへんな証拠隠滅工作みたいな感じになる。
 だから見方によれば、紗崎玲奈というのは、人の良い窪塚刑事を巻き込んでおきながら、窪塚を犠牲にして自分だけ逃げ出し、しかもヘリのカメラに映像を取られていた可能性を考え、帰りがけにすみやかに対策を打って去っていくような、冷酷非情な男ということになる。実際、警部補の長谷部(渋谷謙人)をはじめ、窪塚の警察の同僚たちはそう考え、紗崎玲奈に対して怒り心頭である。



船 瀬「戻るぞ」
長谷部「おれ、許しません。窪塚さんを巻き込んだ紗崎玲奈は、絶対に」



坂 東「ああ、必ず紗崎玲奈をおれたちの手で捕まえる。それが窪塚への弔いだ」


 こういう場面は小説にはない。総じてキャラクター同士の対立や連帯などの人間関係は、ドラマ版のアレンジによって原作よりも濃厚で鮮明なものに改善されていると思う。警察の怒りをよりわかりやすく納得させるための演出効果のひとつと考えれば、前回ヘリの存在を印象づけたのも、それなりに意味があったんだな、なんて思ってしまいました。



 あとキャラクターの描き方でいえば、ドラマの玲奈は原作よりも感情を抑え気である。最初の方で妹のことを回想して嗚咽するシーンがあったような気もするが、以後は、瞳を潤ませはしても、涙はほとんど流していなかったと思う。
 原作の玲奈は、二十歳という若さのせいかすぐ感傷にひたるし、よく泣く。でもドラマの玲奈は(北川さんの実年齢を考えれば当然だが)もっと大人びている。どちらの玲奈が正しいか……なんておかしな話だが、正直なところ原作の玲奈は、描写力不足というか、モノローグによる描写が過剰で、なんだか情緒不安定みたいだ。ベタベタ泣きすぎ。原作者には申し訳ないが『探偵の探偵』という物語のハードボイルドなフェイズには、北川景子バージョンのクールな玲奈の方がなじむ。
 ただやはり、泣くべきところではしっかり涙を見せて欲しい。そういう意味で窪塚の死は、それまでずっと抑えていた玲奈の感情があふれてもかまわない大きな事件だ。まして北川景子の得意技のひとつが「泣く芝居」であることはファンなら先刻ご承知である。いよいよその禁じ手が見られる。前回ラストで不謹慎にもそう確信した人も少なくなかったと思う。
 そして実際、この回で北川さんは伝家の宝刀を抜く。これが相変わらずよかったなぁ。北川景子の泣き芸。



琴 葉「どうでしたか」


 

玲 奈「だめだった。……あの人、最後まで私のことを……私のせいで……私の……」


5. 琴葉


 この場面は原作にはない。原作第2巻の琴葉は、前半で姉と決別したところで退場してしまい、後半は玲奈と窪塚のバディものになる。窪塚の死を見届けたあとも、玲奈はひとり道を歩きながら涙を流す。原作で琴葉が玲奈の感情の受け皿になるまでにはだいぶ時間がかかる。
 でもドラマ版ももう後半だし、川口春奈が足手まといのままでもしょうがないので、だんだんと積極的に物語に関わってくる。そして徐々に芯の強さを発揮する。



玲 奈「分からない。このまま死に神を追い続けて良いのか。それが本当に正しいことなのか」



琴 葉「正しいに決まってるじゃないですか。死に神のせいで今でも被害に遭っている人たちがいるんです」



玲 奈「でも私が死に神を追うことで傷つく人たちがいる」
琴 葉「でもそれは……」



玲 奈「今までずっと違法な探偵業者に会うたびに、説得して回心させようって思ってやって来た。それなのに、女一人だとどうしても舐められる。聞く耳なんて持たれない。平気で暴力を振るわれる。だから気づいた時には殺されないように必死になっている」



玲 奈「本当はだれも傷つけたくない。争いごとなんてしたくない」



玲 奈「人を傷つけるためにこんなことをしているわけじゃないのに、私のせいであの人の命まで……。もう、終わりにしたい……」



琴 葉「駄目です。逃げることは許しません。いま逃げたら、それこそ窪塚さんの死が無駄になるじゃないですか。すべては死神を見つけるために始まったことです。だったらこの終わりは死神を見つけるまでです」



琴 葉「私も逃げません。玲奈さんと戦いますから。咲良のためにも」



琴 葉「一緒に見つけましょう。それで全部終わりにしましょう」



琴 葉「さあ、食べましょう。用意しますね」



 いいじゃない。『ヤンキー君とメガネちゃん』(2010年、TBS)で仲里依紗を慕う後輩役を演じていたときも良かったけど、川口春奈には「姐さん」がいた方が良いのかもね。
 さらに今回は、原作第3巻の前半に出てくる事件も、琴葉が解決している。後藤清美(藤本泉)という女性がスマ・リサーチ社に相談の電話をかけてくる。婚約者の浮気を疑って探偵社に調査を依頼したが、調査の難航を理由に期間を延長させられ、多額の依頼料金を巻き上げられた、という。



 対探偵課の琴葉は、浅村と名乗るその探偵(三浦誠巳)の素性を調べ上げ、正式な探偵の営業許可もなく、調査も行なわず報告書をでっち上げていることを調べ上げる。さらに清美に探偵と喫茶店で面会するよう指示して、二人の会話の内容を録音したうえで、浅村探偵に、これまでの依頼料の変換を求める。


 相手が小娘であることを見くびった悪徳探偵は、琴葉と依頼人を裏路地に誘って脅しつけようとするが、逆にスタンガンを突きつけられ、警察に通報される。







 「ありがとうございます」とお礼をいう清美、そしてホッとした表情の琴葉。実はこれが琴葉の単独での初仕事だった。




 これ、原作ではどうなっているかというと、ここまですべて玲奈が一人でやっている。しかもここでは「ありがとうございます」とニッコリ笑っている依頼人の清美は、死んでしまっている。悪い探偵に結婚資金すべて巻き上げられたうえ、浮気を疑ったせいで恋人からも婚約破棄されて、茫然自失で道を横断して車に轢かれてしまうのだ。
 怒った玲奈はこの探偵の自宅を調べ上げ、押しかけて玄関先で罪を告発する。相手の探偵は玄関先にあったゴルフクラブで玲奈の頭を殴りつける。玲奈も必死の反撃。お客さんと思っていた探偵の奥さんはパニック。探偵はキッチンに駆けこみ、息子が見ている前で玲奈に包丁を振りかざす。子供もトラウマだ。ちょっとこれはテレビではやれないな。



 どんどんアクティブになっていく琴葉に、須磨社長(井浦新)は「死神」の正体を明らかにするための仕事を命ずる。これまで「好意的な傍観者」の立ち位置だった同僚の桐島(DEAN FUJIOKA)がそのサポートにつく。任務中、怪しい尾行者の存在に気づいた桐島は、そいつを待ち伏せして追いかけ、ビルの屋上に追いつめる。ディーン・フジオカ、格闘技経験もあるらしくて、アクションシーンもなかなかのもんです。






 ということで、ここへ来て仲間の強力なバック・アップを受け、「死神」との戦いが、玲奈ひとりではなく、スマ・リサーチ社の総力戦みたいな様相を呈してきた。原作もいちおうそういう流れになってはいるが、やはり玲奈はスマ・リサーチ社でも孤高の存在のままで、桐島の派手なアクションなんて出てこない。このあたりも、ドラマ版ならではのエンディングに向けての布石なのだろう。
 ほかにもユースケ・サンタマリアの再登場(これも原作になし)とか、いろいろ触れたいこともあるんだけど、今回も時間が尽きた。ではまた。次回の目標は平均視聴率5%越えということで。