『警視庁捜査一課9係』といえば実写版戦士(北川景子除く)に四天王(ジェダイト除く)、それにマスターに元基と、とにかく実写版のレギュラーは必ず一度は顔を出すといっていい大変な番組だが、その『シーズン10』の最終回に、新ミュージカル版セーラームーンの大久保聡美が登場した。コメント欄で百日紅さんから教えていただきました。イエーイ。
でもまあ、予想どおり被害者役。しかも1年前に行方不明になっているという設定。しかも殺された理由が「犯人に恨まれていたから」ではなくて「犯人が恨んでいた女と同じ匂いのハンドクリームだったから」というのだから、ちょっと死んでも死にきれないよなぁ。
そして次の木曜日にはいよいよ『探偵の探偵』が始まる。
ちょっと原作の第2巻を読んでみようか。
DV夫たちから法外な調査費用をとり、逃げ出した妻の居所を調べ出す悪徳探偵がいる。「探偵の探偵」の玲奈は、被害者の女たちを救うために調査を開始。やがてDV夫たちと探偵の仲介役をやっているらしい半グレ組織に探りを入れるが、捕まって睡眠薬をかがされる。目が覚めると、半グレたちがたむろする酒場のような場所に、縛られて転がされていた。
身じろぎひとつできなければ、どうにもならない。
玲奈はため息をついて、頬を床に押しつけた。
そのとき玲奈は初めて、自分が全裸にされていることに気づいた。
思わずすくみあがる衝動に襲われる。だが、依然として身体が反応しない。後ろ手に縛られている、それだけが理由ではなさそうだった。知覚が明瞭なのに筋肉が機能しない。一種の筋弛緩薬を施された可能性もあった。
入浴時に目にする自分の裸体が、人のひしめく酒場の床で、冗談のように転がっている。だが、玲奈はすぐさま感情の一切を締めだした。無に徹しきると心にきめた。羞恥をしめせば、見物人たちの好奇に応えるだけでしかない。
実際のところ、ひとたび状況を受けいれれば、病院や浴場と変わりがない。半グレの巣窟に身を置き、真っ先に気にかけるのはやはり、DV被害女性たち十一人の安否だった。自分の心配はその次だった。服を着ていようが優先順位は前後しない。(松岡圭祐『探偵の探偵 II』)
全裸である。全裸なのに恥ずかしがりもしない北川景子。見たいよね。いや全裸が、ではなくて。
ということはともかく、本当にオンエア日が近づいてきて、正直ドキドキである。
そういえばフジは先日深夜帯で『ラーメン大好き小泉さん』という意味不明なドラマを始めた。なんか全4話で終わっちゃうそうである。
第1話を見たが、早見あかりがラーメン二郎の大盛りメニュー(大ブタ・野菜マシマシ・ニンニクマシマシ・アブラ・カラメ)を平らげて、その幸せな横顔を、隣にいる美山加恋が愛おしげに見守る、というだけの話だった。
面白いといえば面白いが、ラーメン二郎なんて食べたこともない私でも(全国展開していないもんね)ネットで目にしたような蘊蓄しか出てこないところが、痛いといえば痛い。もうちょっと脚本が何とかならないかな、という気もする。(追記:第2話の「蒙古タンメン中本」編を観たら、脚本が何とかなっていて、とても面白かった。すみませんでした。この調子でお願いします。)
早見あかりもスターダスト所属なんだよね。『探偵の探偵』が良い台本でありますように。
1. おとなのおもちゃ
さて本題に入る前にもうひとつ、すみません。
「PROPLICA」シリーズ第四弾「スパイラルハートムーンロッド」である。
「PROPLICA」(プロップリカ)っていうのは、要するに大人向けに制作された、本格的な劇中小道具(プロップ)の複製(レプリカ)ということらしい。
バンダイはすでに「仮面ライダー 大人の変身ベルト」というシリーズをやっていて、昔の、藤岡弘の一号のベルトなんか、実にそれっぽく精巧にできていて、たしかにちょっとそそられた。
そのセーラームーン版を出すにあたって「プロップリカ」というブランドを立ち上げたみたいなんだが、でも男のオタクはいい歳になってもアレだから、こういうものに2万円とか3万円とか出すけど、女性はどうかな、と思っていたらなかなかどうして。このシリーズはすごく好調そうだ。
第1弾 ムーンスティック 2014年4月発売(好評につき11月再販)税込9500円日本おもちゃ大賞2014(ハイターゲット・トイ部門)受賞
第2弾 キューティームーンロッド2014年10月発売 税込10800円
第3弾 クリスタルスター2015年4月発売 税込7020円
いずれもなかなかのクオリティで、既発売分はどれも順調に売れているらしい。さすがセーラームーンである。
そして今回はスパイラルハートムーンロッド。これまで同様(1)セーラームーンの身長から割り出した1/1サイズ、(2)三色のメッキを施したゴージャスな外装、(3)新録した三石琴乃さんの必殺技音声に加え、劇中のBGMとSEが加わった本格音声内蔵、(4)アニメの必殺技シーンが蘇る、多色発光LEDで銀水晶の光を再現、(5)旧玩具版の意匠も取り入れてノスタルジーも刺激、なんていう作りでがんばってます。
第4弾 スパイラルハートムーンロッド2015年11月発売予定 税込11,880円
7月1日より一般店頭にて予約受付開始だそうである。ということで、大きいお友達の「自分へのご褒美」としちゃ手ごろだろう。存分にムーンスパイラルハートアタックを楽しんでください。
でもどうせ「プロップリカ」なんて言うのなら、実写版のプロップを正確に再現したレプリカも作って欲しい。タンバリンとか、最終回だけに出てくるタンバリンが変形した剣とかな。買うか買わないかはともかく(そこ重要)。
3. 許されざる者
と、だらだら書いていたらすまん。今日もいろいろ出かける用事があって忙しいんだった。本編『ネオン蝶 第三幕』レビュー、まいります。
『手毬』にやってきた謎の男、高杉(小沢和義)。桜子を指名して、あとは水割りを飲みながら、ただひたすら桜子を待ち続ける。桜子が来るまでのつなぎに、他の女の子が入っても、相手をしようともしない。困ったものである。
ようやく桜子が登場。
桜 子「失礼します」
桜 子「初めまして、桜子です」
高 杉「ああ。……あ、何か好きなもの頼んで」桜 子「あ、いえ、これ頂きます」
もっとも、桜子が来たからといって、ぺらぺら喋り出す様子もない。こういう客は難しいだろうね。でも私もこういう客になりそう。クラブなんて行ったこともないし、行くこともないからいいか。
桜 子「無口なんですね」高 杉「うん。どうにもおしゃべりっていうやつが苦手で、ごめん」桜 子「いえ、そういう方もいらっしゃいますから、気になさらないでください」高 杉「そうだ。じゃぁ君のことを少し聞こうかな」桜 子「はい、聞きたいことをおっしゃってください」高 杉「そうだなぁ……何でこの仕事始めたの?」
桜 子「私の叔母が昔、銀座のナンバーワン・ホステスだったんです。私、実家、岩手なんですけど、叔母さんよく遊びに来てくれて、すごく素敵で……私の憧れでした」高 杉「そっか…じゃぁ子供の頃はどんな子だった?」桜 子「おとなしかったと思います。小学校に入学した時は、人見知りで他人と話せなくて……それで先生が心配して親が呼ばれたりして……」高 杉「へぇ……そんな子がホステスに」
桜 子「変ですよね。自分でもそう思います」
はたで観ている分には、一向に盛り上がらない会話で、ホステスさんも内心困っているだろうな、という感じなのだが、実は桜子もけっこう気分がほぐれている。
しかしこれ、いいなあ。クラブで綺麗な女の子に接待されるなんて、私だったら緊張して却って嫌だけど、こういうふうに、小松彩夏がとつとつと生い立ちを語るのを、ときどき相づち打って、あとは黙ってだらだら水割り飲み続けながら聞く、というのなら、まあ一晩で五万や十万、散財しちゃっても仕方ないかな。私にはそんなに自由になる金はないが。でもこまっちゃんの身の上話なんて最高の贅沢である。
ていうか、桜子の出身地を岩手に変えたのがやはり成功だね。こっちはいつのまにか、こまっちゃん自身の身の上話みたいに錯覚して話を聞いているわけだ。ここから後なんて全部フィクションなのに「へえフルート吹いてたんだ」なんて、もはや桜子と小松彩夏を混同して聞いている私がいます。
高 杉「……続けて……」桜 子「中学校までは合唱部で、中学高校では吹奏楽部でフルートを」高 杉「フルート? おれが昔つきあってた女もやってたよ」桜 子「そうなんですか? なんか嬉しいです」
高 杉「今でも吹けるの?」桜 子「簡単な曲なら。でもそんなにうまくないですけどね」高 杉「そっか、一度聞いてみたいなぁ」
桜 子「じゃあ、またお店に来てくださいね」高 杉「ああ。……商売上手だね」桜 子「そうです」
高 杉「優しい家庭だったんだね。良い雰囲気だよ君は。きっと親の育て方が良かったんだ」桜 子「……ありがとうございます」
4. 峠のわが家
というわけで、無愛想で、しかも自分のことは仕事も何もほとんど語らず、ひたすらこちらのことを、根掘り葉掘り聞いてくるような不気味な相手なのに、なぜか桜子にとって、この人は一緒にいて居心地が良い。ホッとする。そういうふうに桜子は高杉と急激に親しくなり、同伴なんかもするようになる。それで洋服を買ってもらったり。
桜子はそのお礼に、初対面のときに話題になったフルートを高杉のために吹く。上京したときに持ってきたままになっていたのを引っ張り出して、練習したのだ。曲はアメリカ民謡の『峠のわが家』(Home on the Range)。カンザス州の州歌でもある。
相変わらず小松彩夏は脱いだりとかは一切しないので、このフルートを奏でるシーンが(当然、吹いているのは別の人だが)最大の見せ場ってことになるかな。
何しろ、今作からの『手毬』の内装は、前作よりも暗い感じなんで、いろいろ見えにくい。でもこのシーンだけは小松彩夏にぱーっとスポットが当って、きれい。
でもその桜子の心のこもった純朴な調べに、高杉の表情は次第に曇ってくる。演奏を終えた桜子がテーブルに戻ってきても、どこか浮かない顔のままだ。
桜 子「どうでした?」高 杉「うん……すごく良かった」
でも桜子は、約束通り高杉にフルートを聴かせることができて嬉しいのか、満足げな表情。
そんなふうに、明らかに高杉に気持ちが傾斜している様子の桜子を、複雑な表情で見守る節子ママ(あいはら友子)。
そしてある日、夕食をご馳走になってほろ酔い気分の桜子は、夜道を歩きながら次第に高杉に身体を預けてゆく。困惑する高杉。
高 杉「酔った?」桜 子(首を横に振る)「高杉さん……この匂い。ずっと昔に感じた気がする……」
桜 子「ごめんなさい。変な女ですよね」高 杉「桜子、今日はもう帰ろう」
桜 子「もう少しだけ」高 杉「やっぱり酔ってる。」
桜 子「酔ってなんかない」
「抱いてもOK」というより、完全に「抱いてちょうだい」モードに入っている桜子。しかし皆さまお察しのとおり、高杉には桜子を抱けないわけがある。
高 杉「なあ桜子」
高 杉「『トレゾール』に来ないか?」
桜 子「え?」高 杉「給料は『手毬』の倍、いや三倍出しても良い。君にはその価値がある」
桜 子「……どうして……」高 杉「私は『トレゾール』のオーナーだ。分かるだろう」桜 子「引き抜こうとして私に近づいたんですか?」
高 杉「……ああ……」桜 子「ひどい」高 杉「桜子!」
桜 子「もう二度とお店に来ないでください」
5. スランプ、そして真相
すっかり信じて、あれほど心を許した相手が「叔母さん」陣営のスカウトだった。ショックでぼろぼろの桜子。第一幕で、一度だけデートして一度だけ寝たことのある、同郷の高校の吹奏楽部の新城先輩(大口謙悟)が久しぶりに店に来てくれたのに、おもてなしどころではないどんより加減だ。
水割りを作ろうとして盛大にグラスをひっくり返してしまう。
桜 子「ごめんなさい!」ボーイ「大丈夫ですか、申し訳ございません」
新 城「ああ、おれは大丈夫」
新 城「おれさあ、今月営業成績トップだったんだ。だから桜子に会いに来た。ご褒美にと思って」
新 城「何があったか分からないけどさ、客はそんな桜子の顔を見に来ているんじゃないんだよ」桜 子「……すみません……」新 城「うん。また来るよ。その時までには笑顔になっていてくれよな」
落ち込んで周囲に気を使わせるナンバーワンというところが、やはり小松彩夏らしくて、こういう店なら私は行ってみたいなぁ、とちょっとだけ思う。女の子が凹んでいるのをこっちがなだめたり盛り上げたりする店。それでホステスが明るくなったら料金割引きとか。
しかし常識的に考えれば、ナンバーワンどころかプロ失格の醜態。そこへ節子ママからのさらなる追い討ちが。
マ マ「あとでちょっと話そうか」
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マ マ「そう……高杉さん『トレゾール』の……」桜 子「驚かないんですか?」マ マ「うん。ずっとどこかで見たことがあると思っていた」桜 子「え?」
マ マ「知る覚悟、ある?」桜 子「……はい、教えてください」マ マ「いずれどこかで判ることだから言うわね。あの男、佳代の昔の男。昔紹介された。もう二十年以上前になるかな」桜 子「二十年……」マ マ「おそらく、あなたの父親」
マ マ「ひどい話よね。つらいよね桜子。……いいわ、しばらくお店を休んでて……ゆっくり考えなさい」桜 子「ママ、私あの人たちと話がしたい」
マ マ「桜子」桜 子「そうじゃないと私、前に進めない」
意を決してトレゾールに乗り込む桜子。果たして親子の対面はどのような結果に。
というところで、以下、次回へ続く。