実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第522回】小松彩夏主演『ネオン蝶 第三幕』レビューの巻(その1)


セラミュ2015、優秀の美に向けて本格始動!


そして泉里香に何が起こったか?


いやホント、困ったな


えっ?

1. カウントダウン



 さあいよいよ『探偵の探偵』オンエアが近づいてきたね。ドラマの肝は脚本。いちばん大事な脚本を担当しているのは徳永友一。私の知っている範囲で言えば、『LADY 〜最後の犯罪プロファイル』で、全10話中ひとりで6話を担当した人だ……。
 で監督は?メイン監督は石井祐介。私の知っている範囲で言えば『月の恋人 〜Moon Lovers〜』全8話中3話を担当した人だ。うち第6話はシリーズ中最低の視聴率13.4%を記録して、キムタク神話崩壊とか書かれていた……。
 なんか私、早くも涙目になってないか?



 原作のユニークなところはアクションシーンだ。主人公はどれだけジムで鍛えていたってしょせんは華奢な女の子、相手はだいたい暴力のプロ。ヒロインの玲奈は正面から戦いを挑むが、返り討ちにあってボコボコにされる。でも相手の一瞬の油断をついてクリティカルヒットを与えて逆転勝利。騒ぎを聞きつけて警察が来る頃には町の雑踏に逃げ出すんだけど、いつも顔のどこかが切れたりアザができていて、鼻血も出ているから回りの人たちから奇異な眼で見られる。すごく北川景子に合っているし、北川さんも気合いを入れて挑んでいるんじゃないかとは思うが、視聴者にどのように受け取られるか、スタッフでもないのにすっごく心配である。



 相手役の川口春奈については、私はファンだからいいけど、最近ふと、この役って小池里奈でも良かったよなぁ、って思った。少なくとも小池里奈なら、事件に巻き込まれて拉致監禁されたり、持っていた自衛用のスタンガンを奪い取られて押し付けられて悶え苦しんだり、刺されて血まみれになったり、なんでもできる。ね。北川さんと共演、観てみたかったでしょ。まあでも今さら仕方がない。川口春奈さんは、二十歳になってだいぶ大人っぽくなりましたね。頑張れ!


2. 諸行無常


 さて『ネオン蝶』第三幕である。
 一作目のレビューで書いた通り、この『ネオン蝶』四部作、前半2作と後半2作で監督が違う。で、現場は監督にまかされているので助監督、演出助手、撮影、撮影助手、照明、録音、助監督といった現場スタッフは総入れ替えである。加えて、ロケ先やキャストの一部も変更になって、なんだか別の作品みたいになっている。いちおうシリーズなのにここまで変わっていいのか。
 たとえばオープニング。サトウトシキ監督の前作では、ただ普通に一作目のあらすじを流すだけだったが、なぜかこの第三幕と次回の第四幕では、ホステス役で本編に出演している今井メロ(スノーボードの人だったよね)が、冒頭にナビゲーターとして登場する。といっても、最初に風呂に入りながら口上を述べるだけで、あとはただの「前回のあらすじ」なのだが。



メ ロ「みなさま、初めまして、ネオン蝶ナビゲーターの今井メロです。いよいよ第三幕を迎えましたネオン蝶。みなさまお楽しみいただけていますか?それでは第三幕が始まる前に、私と一緒に第二幕のおさらいをしてみましょう」


 何だよ「ネオン蝶ナビゲーター」って?という感じだが、むしろ「何だこれ?」と突っ込まれるのを狙った映像のようにも思えるのでパス。そんなことより、そもそも桜子(小松彩夏)の勤めるクラブ『手毬』が、前の店と同じに見えない。改装とかそんなレベルじゃなくて、転居した感じ。そういう設定なのか?
 前作の『手毬』は、わりと明るめの内装で、入るとベテランっぽい支配人が出迎えた。




 演じていたのは伊藤猛。内田栄一門下だそうで、サトウトシキや瀬々敬久などの成人映画の常連だった人だけど、昨年(2014年9月7日)52歳で亡くなってしまった。代表作はやっぱり、瀬々監督の『黒い下着の女 雷魚』(国映/新東宝、1997年)ってことになるんだろうか。合掌。



 その伊藤猛に代わって(ってことはないけど)今回からはわりと若い感じのボーイが入った。こちらを演じているのは粟島瑞丸。元「関ジャニJr.」で、竹内力やら菅田俊やらの元で育ち、あと特撮系イケメン俳優との交流もあって、いまは劇団を主宰して作・演出もこなすらしい。しかも元モー○ン○娘の矢○真○さんの離婚騒動のとき「第二の浮気相手」と噂されたこともある。豪快だねぇ。でもこのドラマでは、しおらしく若手のボーイ。



ボーイ「おつかれさまでした」
桜 子「おつかれさま。大変でしょう、すこしは馴れた?」
ボーイ「はい。ああでも、まだなかなかお客さまの名前憶えられなくて」



桜 子「初めは私もそうだったなぁ……頑張ってね」
ボーイ「はい!」


 ということで、今や桜子は、押しも押されぬクラブ『手鞠』のナンバーワンである。
 が、接客を離れると、その表情はいまいち冴えない。理由はもちろん「叔母さん」のことだ。


 

 前回、死んじゃったモロボシ・ダンから、佳代は叔母さんなんかではなく、桜子の実の母親であることを知らされた。佳代は夜の世界で生き続けるために、生れたばかりの桜子を岩手の姉にあずけた。要するに娘を捨てたわけだ。しかも「あこがれの叔母さん」に合うために上京してホステスになった娘の処女を諏訪太郎に売って、店の借金のカタにした。



 一方、ホステスたちは、桜子の「叔母さん」である佳代が開いた新しい店「トレゾール」の話題でもちきり。なんでも銀座中の人気ホステスに倍の給料を提示して、引き抜きにかかっているらしい、



マ マ「おつかれさま」
みんな「おつかれさまです」



マ マ「これ、届いていたわよ」



マ マ「まあ招待状っていうより挑戦状って思った方がいいのかな」



 佳代からのトレゾール開店のご挨拶、そしてご招待状である。トレゾールって、言葉の響きは殺虫剤みたいだが(そう感じるのは私だけか)フランス語である。英語で言えば「トレジャー」つまり「宝物」ってことですね。

3. カクテル・パーティー



 というわけで、敵情視察とばかりに佳代の新しい店「クラブ・トレゾール」のオープニング・セレモニーに乗り込む節子ママ(あいはら友子)と桜子(小松彩夏)。



 顔見知りと談笑していると、ふっと照明が落ちて、スポットライトに浮かび上がる「叔母さん」、佳代(大島葉子)の姿が。



佳 代「皆様こんばんは。一部の方々にはお久しぶりと申し上げます。このたび、クラブトレゾールでママをやらせていただくことになりました。佳代でございます。」



佳 代「十年ぶりにこの銀座に戻って参りました。私はかつて、ある事情で銀座を去りました。その後の紆余曲折はひとことでは語り尽くせません」



佳 代「銀座で挫折し、銀座を去った女。それでも、死ぬまでに一度で良いから銀座でママをやりたい。そう思って生きてまいりました」



佳 代「ホステスともども皆様方に尽くして参りますので、どうかクラブトレゾールを末長くよろしくお願いいたします」


 なんとも言えない表情で「叔母さん」の凱旋の挨拶に聞き入る桜子。その後も、オープニングの喧騒に加わる気も起こらず、銀座ナンバーワンらしからぬ困った表情で壁の花。でもこういう小松彩夏がいちばん可愛いんだよなこれが。



 でもちょっと良いこともあった。池袋時代にあこがれていた、クラブ「モンテカルロ」のバーテン、松島(平川博晶)に再会したのだ。



松 島「よう」




桜 子「松島さん!どうして?」
松 島「どうしてって、スカウトされたんだ。まあ座れよ」
桜 子「はい」



松 島「この店、お前もいるかと思って少し期待したんだけどな」
桜 子「私は『手毬』で働いてます」
松 島「らしいな。まあいろいろあるんだろ」



松 島「……(笑)そんな顔すんなよ。プライベートに首突っ込んだりしないよ」



松 島「シンガポールスリング。憶えてるか?」
桜 子「松島さんが私に初めて作ってくれたカクテル」



桜 子「おいし。腕は落ちてませんね」
松 島「バカ(笑)生意気言うな」
桜 子「……私ちょっとは、いい女になりました?」
松 島「ああ、見違えたよ」



桜 子「抱かせてくれって言っても抱かせませんから」
松 島「(笑)まだ根にもってんのか?」
桜 子(首を横に振る)
松 島「たまには寄れよ。いつでもカクテル作ってやるから」
桜 子「はい」


 一方、節子ママは、いったん引っ込んだ佳代のもとに近寄る。けっこうこのママはいい人なんだよね。



マ マ「元銀座ナンバーワンの貫録は健在みたいね」
佳 代「節子ママ、今日はお越し頂きありがとうございます」
マ マ「おめでと……ねえ佳代、桜子は知っているのよ。自分があなたの娘だってこと」



マ マ「いいかげん自分から母親だって名乗り出たらどうなの?」



佳 代「知ってるならそれで良いじゃないですか」


 ため息をつく節子ママ。以上で敵情視察は終了。
 だんだん分かってくるのだが、佳代は「姪っ子」の桜子の出現によって、改めて自分自身の、再び銀座に返り咲きたいという夢を呼びさまされたらしい。もうちょっとはっきり言ってしまうと、若かった頃の自分そっくりに美しく成長して羽ばたいていく娘に、嫉妬しちゃったんである。節子ママもそんな雰囲気は感じる。
 そろそろ潮時と引き上げる『手毬』の二人と、見送る佳代。



マ マ「ごめんね。もっとゆっくりとしたかったけど、若い子たちだけにお店を任せること、できないのよ」
佳 代「来てくださってありがとうございました」



佳 代「桜子、今度ゆっくりご飯でも食べない?話したいこともあるし」
桜 子「いえ、結構です」
マ マ「ちょっと!」



桜 子「これからは叔母さんはライバルですから」
佳 代「そうね。節子ママを助けてがんばりなさい」
桜 子「ご招待ありがとうございました。失礼します」
マ マ「じゃ、頑張ってね」


4. この男の人は?


 何度も言うが、小松彩夏ファンにとって、このシリーズの最大の楽しみは、桜子=小松彩夏というところだ。私も原作は読んでいないのだが、なにせ主人公の出身地が静岡から岩手県に変えられたところから見ても、ヒロインのキャラクターはすべて小松彩夏ベースに改められているのではないか。



 あんなに可愛がってくれていた「叔母さん」が、自分の処女を知らないオヤジに売ったり、銀座でナンバーワンになったとたん、自分を潰しに来るかのように店を開く。いったいどういうことだろう.そういう悩みをかかえて落ち込んでいる桜子は、もう凹んでいる小松彩夏そのもので、まるで演技しているように見えない。凹んでいる小松彩夏は可愛いね。



 そんな桜子を励ます節子ママ。かつてNHKの朝ドラ『わたしは海』のヒロインもつとめたあいはら友子が、話が進むにつれ「銀座の高級クラブのママ」というより「肝っ玉母さん」ふうの地金を出してくるあたりも、本作の味わいのひとつです。



マ マ「ちょっと!そんな顔お客さんに見せたら承知しないわよ!」
桜 子「はい」
マ マ「なかなか良いお店だったじゃない」
桜 子「ええ」
(節子ママ、バシッと桜子の肩をどやしつけて気合いを入れる)



マ マ「ナンバーワンがそんなんだったら、お客さんとられちゃうわよ!」
桜 子「はい」



マ マ「あんなにタンカ切ったんだから、しゃきしゃきしゃきっとしなさい!」
桜 子「はいっ!しゃきっとします!」


 とはいえ、いくら佳代だって「もう一度銀座に返り咲きたい」と思うだけで店が持てるはずもない。一等地に店を構えた上、あっちこっちの有名店の人気ホステスを破格のギャラで引き抜いているというのだから、かなりのスポンサーを掴んだに違いないのだ。だがこの長〜い不況が続くおり、そんなに金回りの良いパトロンっているのだろうか。



 なんて謎が謎を呼ぶわけであるが、さて二人が店に戻ると、そこには節子ママの昔なじみの上客、政治家の川口(奥野匡)が、ひさしぶりに顔を見せていた。とりあえずナンバーワンの桜子を紹介するママ。何しろ川口は今では保守党の幹事長という要職にある大物だ。



マ マ「先生、ずいぶんごぶさた。最近はどちらでお遊びを?」
川 口「遊んでる暇なんかないよ。問題山積みだ。若い連中に任せればいいんだが、これがなかなかでな」
マ マ「またまた、もう」



川 口「それにな、近ごろは遊んでいても面白くないんだ。魅力的なホステスがいないだろう」
マ マ「ま、ずいぶんですね先生!」
川 口「実際、銀座の女の質も落ちたよ。昔は知識、教養、美貌、すべて兼ね備えていたから愛人は一人で済んだ。近ごろは複数の女と付き合って、足りないところを補わないとな」



マ マ「先生そんなに女をバカにしていると、痛い目に合わされちゃいますよ」
川 口「それも政治家の仕事の一つだ。ははははは。……桜子はどうかな?」



桜 子「さあ、どうでしょう」
川 口「おっ、期待が持てそうだな」
マ マ「はい、以後お見知り置きをお願いします」


 と、ここまでは穏やかだったが、ここでも佳代の復活が話題に。とにかく古参の遊び人にとって、銀座の佳代といえば相当なレジェンドらしい。



川 口「……そういえば、佳代が銀座に店出したんだって?」
マ マ「ええ、お呼ばれしましたけど良いお店でした」



桜 子「やっぱり、先生も知ってるんですか。あの人のこと」
川 口「あの人って言い方はないだろう、ははは。そりゃ知ってるさ。長年銀座のトップホステスに君臨していたんだからな。」



桜 子「先生も好きだったんですか佳代さんのこと」
川 口「さ、どうかな。まぁそりゃとびきりいい女だったけど、俺は節ちゃん一筋さ」
マ マ「もう相変わらずお上手ねぇ」
川 口「ふふふ……ところでトレゾールのスポンサーって誰なんだい?この不景気にって、俺たちの仲間じゃもっぱら話の種だよ」
マ マ「どうなんでしょうね。そのあたりこの業界では詮索できませんから」



川 口「少し怪しい感じだろ?強引な引き抜きもしているらしいし、調べてみようか」
マ マ「いやもう先生およしなさいよ」
川 口「ママも知りたいくせに」
マ マ「じゃあこっそりと(笑)」


 けっこう好奇心旺盛なじいさんである。前作に出てきたモロボシ・ダン(森次晃嗣)は死んじゃったし、高知東生も、もう来ない。今作と自作ではこの自民党、違った、自由党幹事長のじいさんが、なかなかの活躍ぶりを見せてくれる。



 演じている奥野匡は『仮面ライダー』第36話で剛田博士をやったりして、ゾル大佐に子供を人質にとられ、ショッカーに協力した過去もある、87歳現役バリバリの俳優さんである。



 2012年にはイランのアッバス・キアロスタミ監督のカンヌ招待作品『ライク・サムワン・イン・ラブ』(日本・フランス)に主演し、デートクラブで働く女子大生(高梨臨)とその恋人(加瀬亮)と奇妙な三角関係になる元大学教授を演じた。私は好きだなこの映画。84歳にして初の主演作だったそうだ。人生は長いんだか短いんだか。



 シンケンピンク高梨臨も、最近、女優としてブレイク中みたいだ。よかった。この子も小林靖子スクール出身だもんな。頑張れ。



 話を戻しますね。まあそんなこんなで、桜子とママと川口先生が談笑しているんだが、そんなクラブ『手毬』に一人の見慣れない客が入ってくる。高杉(小沢和義)である。



ボーイ「御一人様でよろしいでしょうか」
高 杉「ああ」
ボーイ「…初めてでいらっしゃいますか?」



高 杉「ああ」
ボーイ「どなた様かのご紹介で」
高 杉「いや、桜子って子いる?」



ボーイ「あ、はい、あちらに」



高 杉「呼んでもらえるかな」



ボーイ「申し訳ございません、先ほど接客に着いたばかりでして。少々お時間かかってしまいますが」
高 杉「待つよ」



ボーイ「あ、はい。ではこちらでお待ちください」



高 杉「水割りもらえるかな」
ボーイ「かしこまりました」

 この謎の男はだれか。まあ説明するまでもないと思うけど、次回を待て!



 というあたりで今回はこれまで。



泉里香アンコール