実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第520回】小松彩夏主演『ネオン蝶 第二幕』レビューの巻(セブン腹上死編)

1. 目標平均視聴率7%


 この週末は書類仕事も詰まっているし、まあいろいろあるので短めにまとめます……って、なんかここんとこ毎週、同じことを言っているなあ。ごめん。
 ところで、松岡圭祐の小説『探偵の探偵』の表紙は、鼻血を流したヒロインなんだけど、この主人公は実際、小説の中でけっこうケガをする。みなさんもテレビ版のキャストでイメージしてください。
 浮気ネタでユスリをはたらく悪徳探偵を捕まえようとした紗崎玲奈(北川景子)だが、新人の相方、峰森琴葉(川口春奈)に足を引っ張られたこともあって、激しい返り討ちに会う。ボコボコにされて、事務所に戻ったところ、そんな感じで以下、本文からの引用を読んでね。


 廊下の先で、ドアが開閉する音がした。玲奈が歩いてくる。
 彼女自身による応急措置が適切だったのか、腫れはかなりひいていた。あざはくっきりと残っているが、さほど気にならないのは整った顔のつくりのせいだろうか。フェイスタトゥーよろしく、効果的な装飾にすら見えてくる。化粧は落としていても色白で、肌艶はきれいだった。
 もっとも、彼女が人目など気にしていないのは明らかだ。額に貼りつけたガーゼと紙テープも、前髪で隠そうとはしていない。ブラウスの血痕も洗ったのか薄まっていたが、落としきれずピンクいろの染みとなっていた。
 腰がひける思いとともに、琴葉は声をかけた。「あ、あのう。紗崎先輩」
 だが、玲奈は浮かない顔のままつぶやいた。「今後は現場へ来ないで」
 (松岡圭祐『探偵の探偵』)


 アザだらけで、川口春奈に「今後は現場に来ないで」と冷たく言い放つところなんか、北川さんに似合うよね。おでこにガーゼしたり、ブラウスに血の痕がうっすらにじんだ状態の北川景子、観てみたいなあ。観たくないですか?



 というわけで、そろそろ撮影にも入ったんじゃないだろうか。北川さんもアクションシーンのためのトレーニングに余念がないみたいだし、みんなで期待しましょう。




 ただし、視聴率に関しては、あまり期待してはいけいないと思う。作品のテイストとかヒロインのキャラクターは、今シーズンの大島優子主演『ヤメゴク』(第9話終了時点での平均視聴率6.5%)に近い。米倉涼子なんかだと、こういうハードでダークなヒロインをやっても、どこかに視聴者のホッとできるコメディエンヌ的な余裕を作れるのだが(そしてたぶん、そういうところが数字につながるんだが)いまの北川さんにそこまでの芝居が可能かというと、よく分からない。でも今回のドラマを糧として、女優として成長してくれることは間違いない。
 というような諸事情を鑑みて、名古屋支部としてはこのたびの『探偵の探偵』の目標値を「平均視聴率7%」とします。平均7%越えたら、それはもうこのドラマは大成功だ、とお祝いしたい。世間がなんと言おうと。
 みんな、今からそういうふうに自分の胸に言い聞かせておいてくれ。



 視聴率といえばもうひとつ。多部未華子と大倉忠義のコンビの良さで平均視聴率2桁台をキープしてきた『ドS刑事』が、最終ターンに入ってからズルッと数字を落としてきた(第7話7.2%、第8話7.2%、第9話8.8%)。これはまずいな。『探偵の探偵』を応援する前のウォーミング・アップとして、ひとまずここは全力で多部ちゃんを応援したい。みんな『ドS刑事』おもしろいよ。次回がもう最終回だ。6月20日、土曜9時のチャンネルは日テレに。よろしくね。



 前にも書いたけど、多部未華子は、ちょうどテレビで実写版をやっていたころ、セーラームーンミュージカル『スターライツ 流星伝説』(2003年)『火球王妃降臨』(2004年)なんかでスリーライツ(セーラースターライツ)の一人、夜天光(セーラースターヒーラー)として出演していた。




 改めてDVDを観ると、このころからすでに、多部未華子は光っていた。それはリアルタイムで観ていてもそうでした。
 ただ正直に白状すると、スリーライツが並んでいるとき、お父さんの目線はついつい大気光(セーラースターメイカー)の方にいっちゃったんですね。こちらは、後に4代目セーラーウラヌスを演じることになる男前の中山旦子さんでしたが、旦子さんって胸があるから、スターライツのコスチュームだとその、谷間がくっきりと。そうすると隣の多部ちゃんはちょっと立体感に欠けるというか、いやすみませんねこんな話。




 まあそういうアレはソレとして、画像をキャプチャするためにDVDを観ていたら、やっぱ城田優はタッパもあって良いわ、と改めて思った。
 


 ついでに前回コメント欄で話題になったばかりなので渡辺舞。この人はしかし、ジュピターに変身しているときよりも、ふだんの「木野まこと」の時の方が、私はわりと好きだった。




 ま、話はじめるとキリがないのでこのへんで。じゃ本題いきま〜す。『ネオン蝶 第二幕』いよいよ大詰めである。

2. 叔母の失踪


 ダン、いや森田会長は桜子に衝撃の事実を伝える。桜子の大好きな「叔母さん」佳代は、実は桜子の母親だった。



森 田「桜子、お前は佳代の娘だ」



森 田「佳代はお前の母親なんだ」



森 田「佳代は私と出会う前に、ある男を好きになって、そいつの子供を産んだ。だがその男は佳代が妊娠したことを知ると、すぐにどこかへ消えてしまった。ホステスを続けたかった佳代は、女手ひとつじゃお前を育てられないと、岩手の姉さんの所に預けたんだ。佳代に聞いてみるといい」


「聞いてみるといい」と言われた桜子は、佳代に電話をかけるが、「お掛けになった番号は現在使われておりません」状態。佳代のマンションを訪ねても、すでに引っ越した後。池袋のスナック『佳代』も店を閉めていた。





 桜子は思わず、スナック『佳代』が入っていたビルのオーナーを訪ねる。桜子の処女を奪った社長(諏訪太郎)である。ていうか、今にして思えば「叔母さん」は、店の借金をチャラにするために、実の娘の処女をこの社長に売ったのだ。



社 長「おう、桜子」
桜 子「ご無沙汰してます」
社 長「久しぶりだなあ。何だお前、銀座やめてこっちに戻ってくる気にでもなったのか?」
桜 子「叔母のこと聞きたくて」



社 長「佳代ならここ出ていったよ」
桜 子「どこへ?」



社 長「さあ、知らんな」


 どうも有力なパトロンを見つけて、池袋のスナックから再び銀座に巻き返しを図っているらしいが、詳細は社長も知らないということだ。
 ともかく事実として、桜子には何ひとつ告げないまま、佳代は姿を消してしまった。仕方なく店に戻る桜子。



桜 子「本当なんですか?私が叔母さんの娘だって」
マ マ「本当だよ。桜子を産んだのは、佳代が銀座に勤めるようになって間もない頃だった。そしてその後、うちの店に来て会長の愛人になったの。会長のおかげで銀座でナンバーワンのホステスになった佳代は、会長に援助してもらって、自分の店を銀座の一等地で開こうとしていた。そんなときに再びあの男が現れた。そして佳代は会長を捨ててその男と一緒に姿を消してしまったの」
桜 子「その人が私の父親?」
マ マ「くっついたり離れたり、どうしようもない腐れ縁なんだ。佳代はね、その男のために銀座を去ったの。銀座でナンバーワンのネオン蝶の座を捨ててね」



マ マ「佳代が憎い?」
桜 子「分かりません」


 とにかく「お母さん」自身の口からすべてを教えてもらいたい。そうでないと気持ちの整理がつかない。





 でもその人はどこへ行っちゃったのか分からない。

3. セブン曉に死す


 それにしても、なぜこのタイミングで桜子に事実を告げたのか、分かったようでイマイチ行動に謎が残る森田会長。いずれにせよ、桜子を愛人として囲ったいちばんの動機が、自分を捨てていった佳代への未練であることを白状してしまったわけで、やっぱり自分は「叔母さんの代わり」に過ぎないのかと、桜子を深く傷つけてしまった。そのせいで、いつになくおずおずと『手毬』に入ってくる。
  



支配人「いらっしゃいませ。どうぞこちらへ」
森 田「いや、奥でいい」





 そして閉店。「おなか空いたー」「お寿司食べて帰ろうか」なんて話しながら出て行くホステスたち。






桜 子「帰りましょ」



森 田「いいのかい」
桜 子「帰る場所はあそこしかないですから」


╳    ╳    ╳





森 田「久しぶりに飲もう」
桜 子「いいんですか?」



森 田「ママに話を聞いたか。私は佳代に捨てられたんだ」



桜 子「……私も捨てられました……ネオン蝶になるために私を捨てたんです」



桜 子「抱いてください。あの人にしなかったこと、あたしにしてください。なんでもします」


 さあここからの展開はスピーディー過ぎるぞ。以下、このレビューによる省略は一切ない。私が編集したダイジェスト版じゃなくて、実際のままの展開だ。




 ドクターストップがかかっていたのに酒を飲んだ森田会長が桜子と寝室に入り、ドアがバタンと閉まる。と画面は暗転。



 で数秒後は翌朝である(笑)。もうとにかく、シリーズ全編を通してこの調子。



 「あの人にしなかったこと、あたしにしてください」なんて小松彩夏のセリフに妄想を膨らませる余地もなく、一瞬にして容赦なく朝が来た。



 しつこいようだが、実写版セーラームーンで、Bパートが終わってCMが入ってCパートになると、すでにあたりは夜になっている、ってパターンがあるが、あんな感じで唐突に朝。



 初めて会長に抱かれて満ち足りた表情の桜子。だがモロボシ・ダンは小松彩夏のスレンダー巨乳に全精力を使い果たして、すでにこの世の人ではなかった。ホントに死んじゃったよ。小松彩夏で腹上死。







 凝然と立ち尽くす桜子。
 で、次のカットは喪服で帰宅する桜子。もう葬式がおわっちゃったのか。




 さらに次のカットでは、このマンションを片づけて出て行く桜子。早すぎるぞこの展開。





 落ちていた会長のマフラーを手に取り、自然と涙がこぼれてくる。



 というわけで、パパが死んじゃった桜子は、囲われていた豪華マンションを出て行くことになる。





4. 彼女が還ってきた


 一方『手毬』を飛び出して自分の店を持った加奈も結局、劣勢からの挽回はできず、店を畳むことに。
 当レビューでは紹介しませんでしたが、この加奈(太田千晶)は、前半ホテルでお客と絡む場面があって、グラビアアイドルながら、バストトップは見せないまま、きちんと濃厚なベッドシーンを見せる。小松彩夏はなぜこれをやらなかったか。加奈さん、この最後の芝居もさっぱりと気持ちよくて、個人的には本作のMVPとしたい。







加 奈「あっけなかったわ」



桜 子「これからどうするんですか?」
加 奈「しばらくは銀座を離れて、どこか雇ってくれるところを見つけるわ」



加 奈「でも諦めたわけじゃないから。今回は負けたけど必ず戻ってくるから」
桜 子「はい」
加 奈「桜子はどうすんの? 会長、亡くなったんでしょ」



桜 子「ママのところで頑張ります。古き良き伝統を忘れずに、ここで戦っていきます」



加 奈「古き良き伝統か。でも私は私のやり方でこの銀座を変えてやるわ」



桜 子「待ってます」



 なんなんだよこのスポ根ドラマのような爽やかな幕切れは。


 こうして再び裸一貫というか、スタートラインに戻った桜子。とはいえ、会長の教育で、ホステスに必要な気遣いとか機転とか教養とか、そういうものはだいぶ身に付いていて、銀座のホステスとして恥ずかしくないレベルに達してきた感じ。



 美人だし、このまま伸びればナンバーワンも夢ではないだろう……なんてところへ、新たな波乱の予感。



支配人「いらっしゃ……!」



マ マ「いらっしゃいませ……佳代!」




佳 代「ママ、お久しぶりです。今度、銀座でお店を出すことになったのでご挨拶に伺いました」




 因縁の母娘の運命やいかに。次作『ネオン蝶 第三幕』を待て!



【作品データ】『ネオン蝶 第二幕』2013年7月19日リリース/製作:シネマパラダイス、オールインエンタテインメント/77分/ビスタ<スタッフ>制作:夏山佳久(シネマパラダイス)/エグゼクティブプロデューサー:井内徳次/プロデューサー:西健二郎、小林良二/キャスティングプロデューサー:夏山牧子/原作:『ネオン蝶』(芳文社刊、作:倉科遼・作画:東克己)/脚本:中野太/監督:サトウトシキ/撮影:根岸憲一/録音:田邊茂男/音楽:山田動生/編集:金子尚樹 <キャスト>小松彩夏/あいはら友子/太田千晶/森次晃嗣/高知東生/伊藤猛/さとう遥希/西方凌/一木恵理花/中野公美子/石原理恵/舞原美咲/妃宮麗子/窪田将司/佐野元哉/阿部祐二/吉村崇(平成ノブシコブシ)/大島葉子