実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


最新記事〕 〔過去記事〕 〔サイト説明〕 〔管理人

【第518回】小松彩夏主演『ネオン蝶 第二幕』レビューの巻(セブン登場編)

 

ベビーメタルDEATH

 

まなメタルDEATH

 

セーラームーンDEATH

 

スタン・ハンセンDEATH

 

ジョージ・ブッシュDEATH

 

ヒラリー・クリントンDEATH

 

キラリ☆スーパーライブDEATH

 

澪つくし料理帖DEATH

 

すみません、深い意味はない。

 

 

舞原賢三監督の『あわ百合』ファンド(ここ)への参加者数が、私が応援記事を書いて以降、一件も増えていない。私なにか悪いこと書いたかなあ。

1. 小松彩夏の奇跡


 『ネオン蝶』を観直していたせいか、こんなニュースが目に付いた。


 「銀座のクラブママが夫に「枕営業」 妻の賠償請求を棄却」

 客を確保するために性交渉したクラブのママの「枕営業」は、客の妻に対する不法行為となるのか――。こうした点について、東京地裁が「売春と同様、商売として性交渉をしたに過ぎず、結婚生活の平和を害さない」と判断し、妻の賠償請求を退ける判決を出していたことがわかった(朝日新聞デジタル 2015年5月28日)


 二週に一回くらいのペースで銀座のクラブのママとホテルに通っている社長さんがいて、社長の奥さんが怒り心頭のあまり、このママに慰謝料400万円を求める裁判を起した。訴えられたママは「ホテルには行ったけど、何もしてません」とか言っているらしい(笑)。
 ところが出てきた判決は、ママの「やってません」の真偽を審査することもなく、「お得意さまと寝るのもホステスとしての営業活動にあたるので、これは浮気にあたらないから訴えを却下」というものだ。ちょっと絶句した。すごいな。そうなのか。
 前回観たとおり、『ネオン蝶』シリーズには、ホステスの身体は大事な商品だから、安売りしてはいけないが、ここぞという時に売らないのもダメ、というセリフが出てくる。それはそうなんだろうけど、裁判所が積極的にそれを是認するとは思いませんでした。



 ということで『ネオン蝶』第二幕なんだけど、今週はあまり時間がないので全編は無理です。
 ドラマの内容は前回より見応えがある。実はこのシリーズ、一作目の物語があまりに起伏に乏しく、平坦なんだけど、そのせいで二作目、三作目はものすごくドラマチックに感じる。そういう効果を狙った高等テクニックかも知れない。ただ一作目を観て続きを観るのをやめちゃった人も多いかも知れない。




 叔母さんの紹介で、銀座のクラブ『手毬』にやってきた桜子(小松彩夏)は、ママの肝いりで入店初日からナンバーワンの加奈(太田千晶)のヘルプを命じられる。あからさまな特別扱いに、先輩たち(一木恵理花・西方凌)の態度も冷たい。

 


加 奈「桜子さんだっけ、あなたどうしてこの世界に入ったの?」
桜 子「叔母が銀座のホステスだったんです。叔母さんすごく綺麗で、小さい頃から叔母さんみたいになるのが夢だったんです」
加 奈「ホントにそんな理由でこの世界に入ったの?」

 


 「バカじゃない?」「冗談でしょ」と口々に嘲笑する先輩たち。



 そこへ支配人(伊藤猛)が「加奈さん、坂本様がお見えです」とやってきた。
 「斎藤様」ってのは、よく観りゃテレビのリポーターとしてお馴染みの阿部祐二。



というわけでヘルプに入る桜子だが、教養が足りなくて話についていけない。

 


加 奈「中国支社の方は大丈夫でした?」
坂 本「いやウチも反日デモには頭抱えているんだ。中国の営業利益、当初の予想よりも大きく下回るのは確実だし……まあ二百億は下方修正しないとダメかな」
加 奈「でも国慶節の連休が明ければ客足は戻って来るって新聞に書いてありましたよ」
坂 本「うん、今はそれに期待するしかないかな……君はどう思う?」


桜 子「私は……すいません。わかりません」
坂 本「あ、そう」
加 奈「ごめんなさい。この子今日が初めてなの。許してあげて」
坂 本「ああ、OKOK」

 


 ヘルプなのにナンバーワンに気を使わせて、みごとに役立たず。当然、ますます冷たい先輩。でもそんな桜子を節子ママ(あいはら友子)は優しく見守り、辛抱強く育てる。小松彩夏だから。

 


マ マ「桜子ちょっと……」
桜 子「……すみません」
マ マ「客の心を掴むにはね、喋る、飲む、寝る。この三つのうちどれかが必要なの」
桜 子「喋る、飲む、寝る?」
マ マ「うん。加奈は三つとも全部持ってる。だからウチのナンバーワンなのよ。桜子はどれを選ぶ?」
桜 子「私は……分かりません」


マ マ「ま、じっくり考えておけばいいわよ」
桜 子「……はい……」
マ マ「佳代ね、うちで働いていたのよ」
桜 子「叔母さんが?」
マ マ「そう。佳代が来たのは二十五、六歳だったかなぁ。あの子にはずいぶん稼がせてもらったわ。銀座でナンバーワンのホステスだったんだから。ただね、才能はあるんだけど、男に甘いのが致命的なの。桜子は大丈夫ね」


マ マ「明日もよろしく頼むわよ」
桜 子「はい」

 

 

 ここはかつて桜子の叔母さん、つまり一作目で池袋のスナックをやりくりしていた佳代(大島葉子)が、伝説のナンバーワンホステスとして君臨した店だった。ママは、かつて「ずいぶん稼がせてもらった」彼女への義理と、その遺伝子を継ぐ桜子の潜在能力に対する期待から、特に目をかけているのだ、と、理屈ではそうなる。
 でもそういう設定だったら、もうちょっとその、桜子の才能の片鱗を見せつける描写が必要だよね。ほらスポ根ものでいうと、基本フォームすら出来てないけど一流選手をハッとさせるような一球を打つ、みたいな。まだまだ未熟な新人で、何かとハラハラさせるくせに、ピンチになると天才的な切り抜け方で客を魅了する。(なに、この子)と目を見張るトップの加奈と、遠くからにっこり見守る節子ママ、とか。いやすまん、原作を読んでいないから分からないが、ドラマを見る限り、これは水商売の世界を舞台にしたスポ根なのだよ。
 ところが小松彩夏はそういう感じにぜんぜん見えない。抜群の美貌と、細身に胸のあるセクシーな体と、庇護したくなる薄倖そうな雰囲気、外見だけはホステス向きに見えるけど、いざお客の相手をさせると、オドオド、もじもじしているだけで、どっちかというと「早く帰りたい」というオーラを全身から発散している。私が支配人なら、いくら伝説のナンバーワンの姪だと言われても、ちょっとこの子には将来性を感じないけどな。
 ただそれが小松彩夏とも言える。思い出して欲しい、実写版セーラームーンの愛野美奈子がいつ、世界的スターの可能性を秘めたナンバーワンアイドルに見えただろうか。それでも我々は一年間、そういう設定に付き合った。なぜなら小松彩夏だから。私の言う「小松彩夏原理主義」とはそういう意味だ。
 このあと桜子は紆余曲折しながらも、奇跡のような幸運に支えられて銀座でナンバーワンの「ネオン蝶」の座へと昇り詰めていく。接客は一向に上手にならなくても、客は自然に惹きつけられてくる。なぜでしょう。それは彼女が小松彩夏だからだ(たんに説明を放棄しているだけのような気もする)。
 

2. 極道の妻の旦那


 とはいえ「小松彩夏だからナンバーワンホステスになれる」という理由で納得できるのは私たちだけだ。ドラマの中ではもうちょい違う描写がある。つまり彼女は、叔母さんを見てホステスの世界にあこがれて、いきなりこの世界に飛び込んできたウブな子なので、珍しいほど何も知らない。その何も知らない彼女に、一からいろいろなことを教え込んでいける。これは確かに、プロフェッショナルなホステス相手ではできない遊びだろう。
 ある日『手毬』に呉服屋の御曹司(だと思う)高畠(高知東生)が姿を見せる。

 


高 畠「このご時世に流行ってるね」
支配人「ママの力ですよ」

 


しばらく足が遠のいていたが、ふと気が向いてやって来た、という風情で店内を見渡し、ひとりだけ負のオーラを発散している小松彩夏に目を留める。こうして見てると高知東生って、大阪市長の橋下徹さんにちょっと似てる。大阪「都」構想なんて、大阪に皇居を移してどうする計画なんだろうと思っていたら、別にそういう意味ではなかったらしい。しかし私の中の常識では、天皇の住むところが「都」なんだけどな。まあいいや。

 


高 畠「あの子は?」


支配人「先週入った桜子さんです」


高 畠「ふーん、桜子、源氏名?」


マ マ「いらっしゃいませ、どうも」
高 畠「あっママ久しぶり」
マ マ「本名よ」
高 畠「本名……可愛い子だね」
マ マ「でしょ。まだ二十歳」
高 畠「どっから見つけてきたの?」


マ マ「あの子ね、誰かに似てると思わない?」
高 畠「誰?」
マ マ「佳代の姪っ子」
高 畠「佳代って、あの佳代!」
マ マ「うん。……呼んでちょうだい」
支配人「はい」



マ マ「最初の指名が入ったわよ。こちら高畠様。銀座で老舗の呉服店を経営してらっしゃるの。頑張んなさいよ」


桜 子「桜子です。よろしくお願いします」

 


 佳代の面影を認めて、なんとなく茫然とした表情の高畠。高畠は過去、佳代に義理があるのだ。そうとも知らず、持ち前の暗さと話題の乏しさのせいで、一向に指名のなかった桜子は、突然に上得意の指名を受けて舞い上がり(まあママのヒイキも大きいけどね)、この相手をがっちり掴まなきゃ店にも申しわけない、とでも思ったのか、いきなり高畠さんに肉弾戦を挑む。この雰囲気とか前フリのなさも、小松彩夏っぽい。 

 


桜 子「高畠さん、お店が終わったらお食事に誘ってもらえませんか?」
高 畠「どうして?」
桜 子「ひと晩、お伴します」

 


 こういうシチュエーションで、こういうホステス姿の小松彩夏に「抱いて」と言われたら、たぶん建康な成人男子の100人中250人くらいが受けいれると思う。でも高畠さんは乗らなかった。彼の遊びのルールに反しているから。

 


高 畠「断る。そういうかたちで寝るなんてスタイルじゃない」
桜 子「スタイル……」


高 畠「確かに客は、ホステスとのアバンチュールを楽しみたくて通う。クラブで遊ぶっていうことは、大人のゲームを楽しみたいからなんだ。ホステスを口説くのに、押した方がいいのか、退いた方がいいのか、そうやって距離を縮めて行くのが愉しいんだ。もちろん惚れた女にはじっくりゆっくりと口説く。だから自分から寝るなんて簡単に言っちゃだめだ」
桜 子「はい」

 


 たかが夜遊びでも、いろいろこだわりがあるんだね。
 でも、みじめな気持ちでうつむく桜子を放っておくこともしなかった。そのうち説明が出てくるけど、高畠はかつて、若くてやんちゃだった頃、アネゴ肌だった桜子の叔母、佳代にひとかたならぬ世話になっているみたいなんだよね。加えて、そのころ銀座ナンバーワンだった佳代に密かにあこがれていた感じもある。その佳代の面影も濃い桜子を邪険にはできない。

 


高 畠「なんか説教くさいこと言っちゃったかな?」
桜 子「いえ。勉強になります。いろいろ教えて下さい」
高 畠「だったら、終わったら鮨でも食いに行くか。ゆっくりじっくりホステスの心得を教えてやるよ」


桜 子「はい」

 


 高知東生、いい奴ではないか。
 以前『M14の追憶』に「平成の日本のアイドルは未完成の状態でデビューして、彼女たちの成長の度合いを慈しむというスタイルに変わっている」と書かれていた(ここ)。もうちょっと言うと、未完成な少女たちがデビューして成長していく間、ヲタクはライブやイベントにせっせと通い、声援を送ることで「おれたちが彼女たちを育てているんだ」という、一種の育成シュミレーションゲーム的な楽しみを得るわけだ。
 いやこれ私だって、実は自分が育成しているわけでも何でもないんだが、こんなブログをかれこれ10年近くやっていると、戦士の皆さんがそれぞれしっかり芸能界でがんばっている姿に「いや〜みんな立派に育ってくれたなぁ」なんて、勝手に親みたいな感慨にふけってしまうわけね。だからこういう育成シュミレーションゲーム型の楽しみは、すっごくよく分かる。
 小松彩夏は、ほとんど生娘のままこの世界に入って、まあ前回、諏訪太郎に処女を売ってしまったけど、まだまだホステスとしてはぜんぜんウブだ。素材としては一級品だし、そういう娘にあれこれ教え込んで育てるって、そりゃもう楽しそうである。ただ、悪いけど高知東生ではまだ役不足だな。
 と思っていたら、それは高知東生も自覚していたみたいで、ちゃんと小松彩夏を育成するのに相応しい大物を連れてきた。エライ。私はこの作品を観て高知東生への好感度がかなりアップしたよ。
 

3. セブン・チャンス


 ということで、高畠さんは文字どおり「すごい人」を小松彩夏に紹介する。どのくらいすごいかというと、モロボシ・ダンなのだからたまらない。

 


支配人「いらっしゃいませ高畠様」
高 畠「桜子、すごい人を連れてきたよ、森田会長」


マ マ「まあ森田会長!お久しぶりでございます」
森 田「やあ元気でやってるかい」
マ マ「はい。おかげさまで」
森 田「君が桜子か?」
桜 子「はい……」
マ マ「あっ、ぼんやりしないでお席にご案内して!」


桜 子「はい。どうぞこちらへ」

╳    ╳    ╳


マ マ「森田会長、今日は何にいたしましょうか」
森 田「ルイ十三世でも入れさせたいんだろうが、今日のところはベルナルドリモージュあたりにしておくか」
マ マ「まあ、ありがとうございます。お願いね」
高 畠「森田会長……都内にいくつもビルがあるのを知っているだろ」


桜 子「あの森田ビルですか?」
高 畠「会長なんかから較べたら、オレなんかヒヨッコみたいなもんだ」

 


 かつて名古屋で『ウルトラマンプレミアステージ』っていうのがあった。単なる着ぐるみのライブアクションではなくて、変身前の俳優たちも出演する、けっこう大掛かりな舞台で、2007年から2009年まで3年連続で、ゴールデン・ウィークに中日劇場で行なわれた。それから2011年には『ウルトラマンプレミア2011』として、名古屋のみならず東京・大阪公演でも開催された。私と息子はすべてに参加している。



 いろんなウルトラマン俳優の方々が出演されたが、皆勤賞はモロボシ・ダン(森次晃嗣)とハヤタ・シン(黒部進)のお二人だった。特に森次晃嗣さんは実質的な座長として役者たちを統率していて「ああこの人はかなり親分肌だなぁ」と思った。舞台では唐突にオカマキャラを演じたり(これは十八番らしい)、流行りの芸人のネタをパクったギャグを楽しそうに披露したり、インタビューではウルトラマンゼロ(ウルトラセブンの息子という設定)を「正式に認知したわけではない」と発言したり、なかなかお茶目でもある。



 だいたい、ゼロがセブンの息子なら、アンヌとの関係はどうなんだ(それともアンヌが産んだのか?)と我々世代は思うわけで、森次さんの「認知しない」(笑)発言はそのへんのオールド・ファンへの配慮でもあったわけである。要するにこの人は親分肌の役にふさわしい。
 しかしそんなウルトラセブンも七十歳である。ウルトラセブンティだ。

 


マ マ「でも会長、ずいぶんご無沙汰でしたわね」
森 田「私も歳だ。七十過ぎると急に衰える」
マ マ「じゃああの、究極の道楽はまだ?」
桜 子「究極の道楽って何ですか?」
マ マ「何も知らない無垢な子を自分好みに育て上げる。心も身体も自分好みにね」
高 畠「確かに男の夢ですね」
森 田「でもそんなことは実際にはできないだろう。私はもう、夜の方はもう無理だよ。ははは」


高 畠「会長、あれは飲まないんですか」
森 田「いやいや、二年前に心臓を患ってな、医者から飲んだら死ぬぞって言われている。だからジュースで」

 


 銀座のクラブが舞台のドラマというと、ヲタク的にはあまりそそられない。レミーマルタンのベルナルドリモージュのケンタウロスボトルなんて、普通に買っていくらするかさえ分からない。銀座のクラブでボトルで入れたらどういうことになるんだろう。ヲタクで酒飲みの私にとっても、もうどうでもいいという気になる。
 が「何も知らない無垢な子を自分好みに育て上げる」という育成ゲーム的設定、しかも育てるのが森次晃嗣で、育てられる素材が小松彩夏ということになると、これはがぜん興味が湧いてくるよね。

 


マ マ「じゃあまず乾杯しましょうか」




桜 子「会長、会長は理想の女性にお会いしたことがあるんですか?」
森 田「一人いた。君の叔母さんだ」
森 田「佳代はどんな叔母さんだった?」


桜 子「私がネオン蝶になろうと思ったのは、叔母さんの影響なんです。子供の頃よく遊びに来てくれて、そのたびにあこがれて……」


森 田「桜子……私が面倒をみようか」


桜 子「そんな……今日会ったばかりなのに……」


森 田「桜子とは今日初めて会った気がしないんだ。懐かしい気がする」

 


 さあセブンが本気モードを出してきた。ヴィーナスはこの申し出をどのように受けとめるのであろうか。
 というあたりで、すみませんが今回はお開き。『ネオン蝶』シリーズ、一回につき一話ずつ紹介して、一カ月程度で終わらせる予定でいたが、2回目で早くもズレが。一体どうなる。