実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第503回】またまた出張ですの巻


 すみません。日曜日から海外に出向くことになっているんですが、準備がぜんぜんできていなくて、もちろんブログも書けていない。
 出張先はインドと中東へ併せて2週間……のはずだったんですが、当然ながら中東は取りやめになった。私だって命は大切だ。1週間と少しのあいだ、インド方面に行ってまいります。
 イスラム過激派の残虐行為で邦人ジャーナリストの命が奪われて一週間。先週の日曜日は、その緊急ニュース特番が入ったせいで、小林靖子先生の新作『烈車戦隊トッキュウジャー』の最終回が流れてしまった。なので、私は今回、トッキュウジャーのエンディングを観ないまま旅立たなければならない。残念である。



 『烈車戦隊トッキュウジャー』は、全体的には『特命戦隊ゴーバスターズ』のリメイクみたいな話だ。遠い昔、両親や家族と引き離され、いわば「選ばれし者」となった幼なじみの主人公たちが、大人になって愛する者たちを取り戻す戦いに身を投じる。ただしゴーバスターズの場合、かつて幼かったリュウジ、ヨーコそしてヒロムの3人は、13年の訓練を経てゴーバスターズとなったわけだが(あ、でもヒロムは訓練してないのか、まあいいや)、トッキュウジャーの主人公たちはちょっと違う。




 はじめ彼らは、幼いころ仲良しだった記憶はあるが、その後どんなふうにして大人になったのかはさっぱり憶えていない、という状態で登場する。そして中盤、実は彼らには記憶がないのじゃなくて、そもそも本当はまだ成長していなかったことが明らかになる。時空の歪みのなかで、一瞬のうちに子供から大人の姿になってしまったのだ。これは『仮面ライダー電王』のアイデアの転用だと思う。



 小林靖子は『電王』で、ヒロインのハナ(白鳥百合子)が突然の降板となったとき、子役のコハナ(松元環季)を出して苦境をしのいだ。なぜハナがいきなり幼女になっちゃったかというと、えーと、時空の分岐点のズレの影響で子供の姿になったんだったかな、そういうムリヤリな説明だったと思う。トッキュウジャーの「主人公たちは本当は幼い少年少女」という着想の元はここからだろう。「電王で、時空を旅する電車に乗っているうちに女の子が幼女になっちゃったんだから、今度は少年少女が青年なっちゃってもいいか」みたいな感じではないかな。



 で、実写版セーラームーンとの関係でいうと『トッキュウジャー』の興味深い点はふたつあって、ひとつはオレンジの戦士ことトッキュウ6号である。
 小林靖子が実写版セーラームーンのころから意識している課題のひとつに、追加戦士の扱いということがあるんじゃないかと思う。スーパー戦隊の女子版のようなかたちをとった実写版において、セーラーヴィーナス(セーラーV)は、戦隊もので言えば6人目の戦士、いわゆる「追加戦士」として扱われることになった。ということは初期の『M14の追憶』に指摘されているとおりだ(こことかこことかここ)。
 でも、小林靖子はキャラクター同士の人間関係を軸にドラマを紡ぎ出していくタイプの作家である。実写版セーラームーンでも、Act.5の亜美とうさぎのすれ違いとか、Act.8のレイとまことの対立とか、さまざまな感情的なもつれを乗り越えて、4人が戦士としての絆を強めていく姿が描かれていた。そのせいで、後から追加される戦士が、すんなり仲間として溶け込んでいくことがなかなか難しい。



 実写版セーラームーンのヴィーナスは、最後までほかの4人とは距離をおいている。もちろん、共に過ごす時間は短いけれど、特にレイとの確執を通して、次第に戦士たちと心の深くで結びついていく。そういうふうに描かれてはいる。でもやっぱり、最後の戦いには参加できずに一足先にドラマから退場しているし、いろんな意味で別枠である。
 途中参加の追加戦士を、最初からのメンバーにどう絡めるか。そもそも追加戦士が中途参加することに意議はあるのか。そういう問題を小林靖子先生はセーラームーンの頃から考えていたのだと思う。『シンケンジャー』のシンケンゴールドは、侍としての使命をもたない寿司屋で、屋台を引いて別行動をとっていた。『ゴーバスターズ』のビートバスターは亜空間から転送されたアバターで、実体をもっていなかった。
 で、今回のトッキュウ6号なんだけど、これがオレンジ色なのである。しかも、ほかの戦士たちに対する距離感というか、疎外感というか、別枠の戦士だけれども、それでも仲間であるというたたずまいが、いろいろな意味でセーラーヴィーナスを連想させるのですね。



 と、ここまで書いたところでタイムアップである。『トッキュウジャー』には、あともうひとつ見逃せないポイントがあって、それは、終盤に入って、トッキュウ1号がプリンセス・セーラームーンのようにダーク化して暴走したり、ほかの戦士たちを救った代償として、みんなの記憶から消えてしまったりと、実写版セーラームーンの最終回をリメイクするかのような展開をみせ始めたってことなんだけど、省略します。はたしてどんなエンディングを迎えるのか、実写版とぜひ比較したい……のだが、私はこれから旅に出るのでちょっと観られません。




簡単ですみませんが、んじゃまた。来週の更新はお休みします。