実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第486回】新・北川景子『みをつくし料理帖』リターンズの巻(下段)

1. 武闘派の亭主


 さる2014年9月20日にテレビ朝日系で放送された土曜ワイド劇場『内田康夫サスペンス 福原警部』シリーズ5作目の冒頭(脚本:森宮栄、撮影:栗林克夫、監督:伊藤寿浩)。



 遊び人の公認会計士の萩原(伊礼彼方)と、どこでこいつに引っかけられたのか、よく分かんない女まり子(沢井美優)。なんかアホみたいな会話をしている。



萩 原「君の瞳に乾杯」



まり子「やだー!」



萩 原「昔のハリウッド映画のセリフだよ。ハンフリー・ボガード主演の『カサブランカ』」



まり子「へえ〜、知らない。何でも知ってるのね、萩原さんて」


 伊礼彼方はミュージカル『テニスの王子さま』で佐伯虎次郎をやっていた人だそうだが、私には分からない。すみません。お母さんがチリ人とのことで、2009年と2010年のNHK『テレビでスペイン語』に出演していたという。ちなみに相手役の沢井美優は、2008年と2009年の『テレビでフランス語』に出ていた。NHK語学番組しばりのカップルである。いやそれとも伊礼彼方はセーラームーン好きなのか。



 いいムードの二人だが、ふと窓の外に目をやってぎょっとする沢井美優。それもそのはず、スキンヘッドの猛者が歯を剥いて立っている。保(一ノ瀬ワタル)だ。
 


 一ノ瀬ワタルは『仮面ライダーフォーゼ』の筋肉部(笑)部長とか、『桜蘭高校ホスト部』の柔道部部長とかで見かける人なので、私のなかでは学園ドラマの体育会系要員というイメージが強い。とにかく、伊礼彼方と沢井美優がよろしくやっているのを見て怒っている。てことは、ひょっとして?



 保 「他人の女房に何ちょっかい出してんだオラァ」



萩 原「いきなり失敬だぞ」



 保 「その顔が気に入らねえんだよぉ」





まり子「やめて、やめてよお」
 保 「うるさいんだよ!」



萩 原「バカな真似は止めろ」
 保 「バカな真似してんのはどっちだよ」
まり子「やめてってば」



 保 「うるせえんだよ」




 ヤサ男の萩原に手もなくヒネられてしまう保。
 実際の一ノ瀬ワタルさんは、真樹日佐夫の道場の沖縄支部に在籍したり、タイにいってムエタイの修行をしたり、K-1にチャレンジしたりと、なかなか経験豊富な格闘家らしいんですけどね。



まり子「タモツ……大丈夫?」



萩 原「こんなところで物騒なもの振り回すな。みんなの迷惑だろ」
 保 「おぼえとけよ!」



萩 原「マリちゃん楽しかったよ」


 沢井美優の役の上での結婚歴は渋江譲二と内博貴。今度のダンナはまた、まったく異なるワイルド系である。
 とにかく、意表をつく冒頭で、これがどう発展していくのかと思ったら、沢井さんの出番はこの冒頭だけで、ここでかっこよくダンナをやっつけた相手役の萩原は、事件の第一の被害者になってしまう。つまり、最初の被害者が遊び人であることを説明するためだけの出演であった。なんだよ。
 もうちょっと沢井さんにまとまった出番をくれないですかね。


 そういえば、話はぜんぜん変わるが、うちの息子が今シーズン、日テレの『ST 赤と白の捜査ファイル』というドラマにハマって、一緒に観ていたのだけど、その第3話に、上野なつひが出た。ホステス焼死事件で、聞き込み捜査に行ったクラブのママさん役が上野なつひ。




 ちなみに被害者のホステスは小田あさ美。不審死だったばっかりに主人公の法医学者(藤原竜也)に検分されて、整形の事実が次々に明かされてしまう。セリフはないし整形疑惑の種になるし、踏んだり蹴ったりだな小田あさ美。





 このドラマ、演出や画面が、なんかモロに『シャーロック』なんですけどね。いや、そんなことはどうでもよかった。すみません。ともかく『ST 赤と白の捜査ファイル』の第3話に、クラブのママ役でボックスコーポレーションの上野なつひが出たのである。そして、第5話には、同じくボックス所属の逢沢りなが出た。けっこう重要な役だった。この子は本当に可愛いね。




 第3話に上野なつひ、第5話に逢沢りな……ということは次は第7話に誰が出てくるか、予想できるでしょ。
 第7話は、二人の美人ヴァイオリニストが、ストラディヴァリウス強奪殺人事件にかかわる話だ。ひとりは、海外で大きな賞をとって一躍脚光を浴びるようになった新進気鋭の演奏家。もう一人はそのせいで、ちょっと前まで「美人すぎるヴァイオリニスト」と騒がれていたのに、最近あまりマスコミにも相手にされなくなって、嫉妬に燃える音大の講師である。
 当然これは小宮有紗と沢井美優が演じなければいけない。小宮有紗が若過ぎるなら中山エミリでもいいが、とにかく沢井美優は外せない。どう考えてもそれ以外にありえない。第3話上野なつひ、第5話逢沢りなというゲストの連係はそのための布石である。
 ……と思っていたのだが、しかしフタを開けてみると、気鋭の美人ヴァイオリニスト役はプロダクション尾木の黒坂真美、音大講師役はスターダストプロモーションの関めぐみにとられてしまった。



 別にお二人にうらみはないんだが(当たり前だ)いったいボックスコーポレーションのマネージャーの人は何をやっているのか。私はちょっと憤りを隠せないぞ。


 いやすまん。つい愚痴ってしまった。
 話を『土曜ワイド劇場』に戻すと、沢井美優を口説いていた色男の萩原は、この後また性懲りもなく、ペンションオーナーで人妻の原史奈を呼び出し、ホテルのレストランで食事したあと、部屋まで連れ込む。
 つまりこの人セーラームーン好きなのだと思う。でも、このあと死んじゃうのである。






 それにしても美人だね原史奈。「美人すぎる○○」は世にあふれているが、この人は本当に「美人すぎる美人女優」ではないかと思う。


 

さらには、この原史奈を見守る幼なじみのエリート商社マン役で、黄川田将也が出てくるのだから、このドラマ、セーラームーンのファンとしてはちょっと目を離せない。




 がしかし、こんなことをやっていては、今回も『みをつくし料理帖』に話を戻すことはできない。仕方がない。まあ沢井さんの出番は冒頭しかなかったし、涙をのんで、この話はここいらへんで切り上げ、本題に進みたい。済まない元基。



 それでは『みをつくし料理帖』レビューの再開だ。話はどこまで進んだんだっけ。

2. 想い雲 ふっくら鱧の葛叩き(間違い編)


 大きな商談をまとめたいときは、前夜にあさひ大夫と枕を交わせば必ずうまくいく。そんな噂のある吉原一の遊女、あさひ太夫(貫地谷しほり)は、ごく数人の大口のパトロンに囲われて、めったに人前に姿を現さない。だから「幻の花魁」などと呼ばれている。
 でもその素顔は、むかし澪の幼なじみだった野江ちゃんそのままの、面倒見のいい姉さんだ。
 先日はそんな性格が仇になった。ある客が一人の遊女に入れ込み、見境をなくして刃物を振り回したとき、身をもって仲間をかばい、自分が深手を負ってしまったのだ。



 さいわい峠は越えたようだが、本人の気力が弱っていて、なかなか本格的な回復に向かわない。



又 次「食べるものも食べないんじゃ、良くはなりませんぜ、太夫」



野 江「治ったところで、しょせん花魁は篭の鳥。また元の暮らしに戻るだけ」



野 江「いつになりんしたら、ここから出られるのやら」


 あさひ太夫を囲っている旦那衆のひとりが、郷里の味を食べさせてみてはどうかと、上方からハモを取り寄せた。しかし関東ではほとんど扱わない素材である。廓の料理人にハモをさばける者はいない。又次もうっかり、指を深く噛まれてしまった。そこで又次(高橋一生)は、女人も吉原へ入ることを許される八朔の日に、澪(北川景子)を翁屋まで連れてきて、料理してもらうことを思いつく。あさひ太夫を誰よりも大切に思う幼なじみの澪なら、あるいは太夫の元気を取り戻せるかもしれない。
 しかし翁屋のあるじ伝右衛門(本田博太郎)は、又次が連れてきた料理人が女と知っておおいに激怒した。ハモは登龍楼の板長にまかせることにして、澪をそのままつまみ出そうとする。そのとき待ったをかけたのが、やじ馬の戯作者、清右衛門(片岡鶴太郎)だ。



清右衛門「どうだ?その強情な女に、登龍楼板長の腕を見せつけてやっては」



清右衛門「うん?」


 役者はそろった。清右衛門の一声で、澪はその場を追い出されることだけは免れた。
 だいたいこの辺までだったかな。



 登龍楼の板長(日野陽仁)は、ハモを見るのは初めてのくせに、一目見るなりウナギやアナゴと同じ、と高をくくる。



板 長「どんな難しい魚かと思って来てみりゃなんの事はねえ。鰻や穴子と同じ見てくれだ」



伝右衛門「うちの料理番が手を噛まれたのだ。扱いには充分に気を……」



板 長「上方から船で三日。吉原にゃ酔狂な客が多いが、そんなに時をかけて運んじゃあ、噛むの噛まないのっていう話にはなりゃあせんぜ。おい、よこせ」


と余裕しゃくしゃくに命じるが、澪や伝衛門の心配どおり、うかつに手を出した若い衆が指先を噛まれて大騒ぎ。







 澪 「引っ張ったらいけません!指が食いちぎられてしまいます!」




伝右衛門「手当てをしてあげなさい」



 いきなり醜態をさらし、主の釆女に恥をかかせるハメになってしまい、動揺を隠せない板長。呼吸を整えて鱧の料理に取り掛かるが、刑事役は経験豊富でも料理人はあまりやったことがない日野陽仁、大苦戦である。





 澪 「あっ…」



 ウナギは関東では背開き、関西では腹開きというのは有名である。どちらが良いかは分からない。私は関東で生まれ育ったので関東風の食感を好むが、これは開き方とはあまり関係ないか。関東風は開いたあとで蒸すけど、関西風はそのまま焼く。あっ、でも関西風の直火のぱりっとした感じも好きだ。優柔不断ですみません。
 ちなみに名古屋には、蒲焼きを細かく刻んだひつまぶしという独特の食べ方があるけど、基本は関東風が多いように思う。そんなにしょっちゅうウナギ食べてるわけでもないので分からないけど。でもこれが、尾張名古屋を離れて三河地方に行くと、たとえば愛知県岡崎市あたりは腹開きの関西風になるだら。このあたりは東と西の文化がせめぎあっていて、いろいろ面白いことがある。
 余談であった。ハモは骨が堅いので腹側から開く。それを、関東風のウナギのさばき方で、背中から包丁を入れたので、澪は思わず「あっ」と言ってしまったわけだ。それをうるさそうににらみつける板長。だが、包丁が思うように動かない。




板 長「なんだこの骨は…?」




板 長「見世物じゃねえ!」



 焦って包丁の手元も狂い、みるみるあふれた血がはねて、目の中に飛び込んでしまう。



板 長「うっ…ああー!」



 澪 「拭いたらあきません!鱧の血には毒があるのです!」



「えっ!?」「板長大丈夫ですか?」「早くこっちに」と、口々に騒ぎ出す弟子たち。こうして登龍楼はギブアップしてしまう。
 あれ、でもウナギ、アナゴなど、ウナギ目の魚の血はみんな毒があって、加熱せずに口に入れれば呼吸困難が起こり、目に入れれば結膜炎になる。ハモだけじゃなから、登龍楼の板長だって知ってなきゃいけないと思うんだが……まあいいか(適当)。

3. 想い雲 ふっくら鱧の葛叩き(下ごしらえ編)


 さあいよいよ澪の出番だ。ここぞとばかりに又次(高橋一生)が、あるじの伝右衛門(本田博太郎)に訴える。



又 次「これ以上この板長に鱧を任せるのは無理です」



又 次「この人は鱧を扱った経験があるんだ」



清右衛門「つまらぬ意地を張らずその女にやらせてみればよい。駄目なら責任を取らせればよいだけの話」



伝右衛門「責任……」



清右衛門「失敗したら料理人を辞めさせる…というのはどうだ?」



清右衛門「泄痢さわぎで遅かれ早かれ、つる家は潰れるだろう」



清右衛門「さあどうする?」




 澪 「やります」



 澪 「それがあさひ太夫のためであるならば」


 鶴太郎の時代がかったセリフ回しがうまくハマって、さあ盛り上がって参りました。
 北川景子はこのドラマのために、ハモの骨切りを練習して、吹き替えなしに撮影に挑んだということだ。それがどれほどの修練を要することなのかは、よく分からない。学生時代に京都に住んでいたけど、ハモって骨切りして湯引きしたものをスーパーなどで売っていたな。私は食べ慣れていないから買わなかったけど、京都の人って、普通に家の食卓にハモの落としなんか出して、ああ夏がきたなぁとか、言うのだろうか。万丈。
 なんてことはともかく、北川さんは全てにおいてさばモグの人で、芝居にも真面目に全力で取り組む反面、変なところで力みすぎてしまう。とくにこういう、完全な主演作品となると、気合いの入り方も違うから、そこをある程度ガス抜きしておかないと、芝居に無駄な力こぶが入ってしまう。そういう意味では、ハモの骨切りの練習にエネルギーを消費したぶん、バランスがとれて、いい芝居ができたのではないだろうか。ひょっとすると、北川景子に主演作品をやらせるときはいつも何らかの(女剣士とか、バイオリニストとか、筆談ホステスとか)特殊な訓練を要するキャラクター設定にしておく方が良いのかも知れない。




 いずれにせよ、ここから先の料理シーンについては、ドラマとしてではなく、北川景子さんの練習の成果を記録したノンフィクションとして見なくてはいけません。それでは料理スタート!



包丁でしごいてヌメリをとります。



腹を肛門まで開いてワタを出します。



がんばろう!



骨に沿って開き、中骨をはずします。



いいぞいいぞ!



中骨がはずれました。



背びれは、尻先に包丁を入れて、頭側に引っ張って取ります。



これで基本の下ごしらえは終了。


と、いよいよ佳境に入ったところで、だいぶ字数も使ったし今回はこれまでだ。次回、いよいよ感動の最終回(になればいいけど無理かも知れない)。