さてお盆といえば甲子園。スポーツをどのように観戦するかは自由だし、時にはかなり特殊な見方もありうるが、ネット上にそういう視線を共有する空間があることは5年前に知った(ここ)。それ以来、毎年この季節になると、ちょこっとノゾキに行くのだが、2014年もやってるやってる。初日から熱心だなぁ(ここ)。
あるいは、お盆といえばウルフェス。毎年夏に池袋サンシャインシティで開催されるウルトラマンフェスティバルである。例年どおり、今年も息子と行った。息子も小学六年生なので、これが最後かもしれないなぁ。
特設レストランではウルトラの母が出迎えてくれるが、これが一瞬、いわゆる「裸エプロン」みたいに見えるのは、私の人間性の問題か。
この等身大看板、熟女好きにはたまらないアイテムであろうが、子供が見ているので良い大人が万引などきしないようにね。しないか。
「ふれあいステージ」。日にちを間違えて小池里奈が来ちゃっていないか確認してみたが、残念ながらウルトラマンナイスしかいなかった。小池里奈の出演予定は8月26日だそうなので、東京近郊の方はぜひどうぞサンシャインシティへ。ちなみにワンゼロの最上もが(でんぱ組. inc)は8月18日だって。もうすぐだ。
というわけで本日はお盆の特別企画、実写版セーラームーン台本紹介である。ちなみに当サイトでは、これまでM14さん、ひろみんみんむしさん、こっちよ!さんからご提供いただいた資料に基づいて、過去に計9本の実写版台本を紹介している。(Act.1、Act.8、Act.12、Act.13、Act.15、Act.16、Act.40、Act.48、Final Act)
そして、記念すべき10本目となる今回は名作の誉れ高いAct. 5だ。これは誰からもらったものか覚えていない。どうもネットで拾ったのではないかと思う。最近は記憶力がアレで。
詳細なレビューは控えるので、本文をじっくりお読みいただき、各自で実際の映像作品と比較していただきたい。でも、ちょっとだけ総括しておくと、前半はおおむね撮影台本に忠実に映像化されていて、台本がいかに、土台となる人間関係やキャラクターの心理をしっかり捉え、描いているかがよくわかる。
そして中盤から少しずつ、カットされた部分やオリジナルな要素が出てくる。カットされたシーンの中で、私が最も印象ぶかく感じたのは、パジャマパーティーの夜、亜美がたおれてしまい、うさぎと二人、気まずい場面があった後の描写です。完成作品ではすぐに翌日になって、レイがクラウンでうさぎに「私はおかしいと思っていた」と言うわけだが、台本ではその前にもうひとつ前夜のシーンある。深夜、みじめな気持ちで帰宅した亜美が『本当の友達になれる本』をゴミ箱に突っ込み、「バカだ……、こんな風になりたくないから頑張ったのに。結局、自分のせい」とうなだれる。こんなときも亜美は自分を責めてしまう。せつない。
後半のアクションシーンはだいぶ変更されている。以前からこのブログでしつこく述べて来たが、そもそも実写版の(台本段階での)マーキュリーの戦闘属性は、原作者の本来のモチーフを活かしたものである。原作の初期設定では、マーキュリーは加速装置のついたアンドロイドで、すばやさ、敏捷さを活かした攻撃が持ち味だったという。原作でさえ、必ずしも十分に活かしきれなかったこの属性を「原作原理主義」というポリシーを掲げた実写版台本は強く意識している。だから、身軽な動きで機先を制し、「逃げても無駄よ!」「こっちよ!」と敵を翻弄するマーキュリーの姿がしばしば描かれる。
このAct.5のアクションシーンもその一例である。台本のマーキュリーは、なんと木の上にすばやく飛び上がってそこから攻撃を試みる。そのために戦闘場面が林に設定されているのだ。しかしさすがに映像化はちょっと難しかったようだ。まあ素人でもそうだろうなと思う。技術的な問題もあるだろうし、ワイヤーアクションみたいなことをやっている余裕もなかったことだろう。でも木立ちを忍者のようにひらひら舞うマーキュリーってのも、ちょっと見てみたかった気もする。
語り出せばきりがない。まあそんなこんなで、みなさんも、まだ観たことがないという方は、レンタルDVDなどでぜひ台本と作品を比較鑑賞していただきたい。よろしくお願いします。
毎度の注意書き。これは実写版セーラームーンマニアのための研究資料として提供するものです。閲覧されるみなさまは、その点をよろしくご了承のうえ、扱いにはくれぐれもご注意ください。
『美少女戦士セーラームーン』Act.5
原作:武内直子/脚本:小林靖子
1. 前回より
セーラームーン達がリズムに乗って妖魔達を倒す。
亜美の声「仲間になる事に抵抗感を持っていたレイさんだけど、月野さんのペースに巻きこまれて、協力して妖魔を倒す事ができました」
帰り道のうさぎ、レイ、そして亜美。
亜美の声「三人でいるのは何となく嬉しくて……」
2. 亜美のマンション・亜美の部屋(朝)
うさぎ、レイ、亜美で撮った写真が飾られている。
ベッドで目を覚ました亜美が、真っ先にそれを見て、微笑む。
亜美の声「私は初めて友達って呼べる人達と一緒にいるのかもしれません」
3. 同・ダイニング
起きてきた亜美(メガネなし)が、ラジオのスイッチを入れ、トーストに牛乳という簡単な朝食の準備を始める。
壁にあるホワイトボードには、『おはよう、急患なので病院いってきます 今度の模擬テスト、期待してますね ママ』とある。
ラジオは音楽が終わり、占いコーナーに。
亜美は特に関心なさそうにチャンネルを替えようとするが、
声 「そして今日の運勢ワースト1位は、ごめんなさい、乙女座です」
という言葉に、ちょっと止まる。
声 「友人関係に要注意。あなたが思ってる程、友達の友情は強くないかも」
亜 美「……」
ちょっと引っかかるが、すぐにチャンネルを替える。
5. 商店街
歩いてくる亜美。
女子高生A「そうそう、そういう子。ホントうざいよねー」
という声に足が止まる。
街頭モニターに流れているインタビュー映像。
女子高生A「勝手に友達になんなっつーの」
女子高生B「でも本人全然気づいてないっぽいんだよね」
亜 美「……」
6. クラウン・受付
亀と一緒にカウンターにいる古幡。
入ってきた亜美が、パスを提示しつつ会釈する。
亜 美「こんにちは」
古 幡「いらっしゃい。あれ、今日は一人? ケンカでもしたの〜?」
と、何気なく言う古幡。
亜 美「え、いえ……、待ち合わせしてるんです」
亜美、奥へ行きかけて、また戻ってくる。
古 幡「?」
亜 美「あの……、仲悪そうに見えますか?」
面食らう古幡。
亜美は真剣に古幡を見詰めている。
亜美の声「私は初めて友達って呼べる人達と一緒に――」
7. クラウン・部屋の中
一人座っている亜美。
壁には、三人で撮ったポラが何枚か貼ってある。
亜美、曲がっている写真を直してみたりする。
ドアが開いてうさぎとレイが入ってくる。
うさぎ「だからとりあえず聞いてみてってば」
レ イ「いらないって言ってるでしょ。私カラオケ嫌いなの」
うさぎはMDをレイに押しつけようとしている
うさぎ「カラオケじゃないよ。愛野美奈子の歌が入っているの。聞けば絶対好きになるから。お願い一回だけ」
レ イ「うさぎ、しつこい」
間に入れなかった亜美が、やっと声をかける。
亜 美「月野さん」
うさぎ「あー、亜美ちゃん、まだ『月野さん』なんてい言ってる」
亜 美「え……」
うさぎ「レイちゃんなんてね、いきなり呼び捨てなんだよ」
当然といった感じですましているレイ。
うさぎ「亜美ちゃんもさ、『月野さん』なんてやめようよ。何か、友達じゃないみたい」
亜 美「……!」
レ イ「いいじゃない、呼び方なんてどうでも」
うさぎ「えー、結構重要だと思うけどな。とにかくレイちゃんは、これを聞いて。ね、亜美ちゃんも薦めてよ」
レ イ「いいってば」
また押し問答する二人を見つめる亜美。
亜 美「……」
8. 商店街
考えながら歩いてくる亜美
商店街ラジオが流れる。
声 「今週の運勢ワースト1は、友情運が傾いている乙女座です、残念」
前方に、倒れ伏し、見向きもされない亜美の姿が見える。
(*上のト書きの部分が、完成作品では、サスペンスドラマ風の妄想シーンに変更されている。)
亜美のM「気にしすぎ……」
亜美は、通りかかった本屋を見る。
店頭に積まれた本の中に、『本当の友達になれる本』というタイトルがある。
手にとってみる亜美。
本の声「あなたは、友達とケンカしても仲直りする自信がありますか?」
亜 美「……」
9. 亜美のマンション・亜美の部屋(夜)
机で、本を読んでいる亜美。
本の声「気軽な雑談が出来ず、本音を語れなかったりしていませんか――」
イメージ。
屋上で、一人で昼食をとっている亜美。
本の声「これでは本当の友達とは言えません――」
本の声「みんな、いつか離れていってしまうでしょう」
亜美が顔を上げる。
亜 美「離れる……。月野さん達が……」
飾ってある写真。
亜 美「……そんな事……。でも……」
占い、女子高生達、古幡、商店街DJの声がランダムに重なり――
うさぎのM「友達じゃないみたい」
亜 美「……」
亜美が再び本に目を落とす。
本の声「大丈夫です。本当の友達になるために――」
亜美が熱心に本を読み進める。
11. 同・玄関
一角に立っている亜美。
登校してきたうさぎが靴を履き替えるのが見える。
口の端をギュッと挙げて笑顔を作る亜美。
亜 美「う……うさ……」
小さい声しかでない。
思い切ったようにもう一歩踏み出す亜美。
亜 美「うさぎ!」
「え?」と振り返るうさぎに、亜美が笑顔で駆け寄る。
亜 美「うさぎ、おはよう!」
驚くうさぎ。
うさぎ「お、おはよう。うそ……、亜美ちゃん、名前で呼んでくれたんだ」
亜 美「うん。やっぱり友達なんだし、もっと打ち解けた方がいいと思って」
という亜美の拳が緊張で硬く握られているのに、うさぎは気づかない。
うさぎ「え〜、どうしちゃんたの?! でも、何か嬉し〜!」
うさぎが亜美と腕を組む。
12. 同・教室
うさぎが「おはよ!」と入ってくる。
それに続いて、
亜 美「おはよー!」
最初気づかなかった生徒達も、「え」と見る。
本の声「勇気を持ってあなた自身が変わりましょう。本当の友達になるために!」
笑顔をずっと保っている亜美。
チャイムが鳴り――
授業中。
桜田が前に立っている
桜 田「はい、小テストー。赤点とった人が今日の掃除当番でーす!」
クラス中からブーイング。
それを見た亜美も真似をする。
本の声「何も難しい事も、無理する事もありません――」
昼休み。
とまどった表情のなる、香奈美、桃子。
弁当を食べるために並べた机に、亜美が入っている。
亜 美「よろしくお願いします」
笑顔を作る亜美。
本の声「ただ友達と笑い合い、語り合い――」
生徒数人と一緒に掃除をしているうさぎと亜美。
うさぎ「まさか亜美ちゃんが赤点とるなんてねー! 信じらんない!」
亜 美「たまには……」
本の声「そして助け合う、それだけでいいのです」
笑顔の亜美。
うさぎ「ね、この後私んちでなるちゃんとパジャマパーティーやるんだけど、亜美ちゃんも来ない? 塾忙しい?」
亜 美「え、今日……」
と、一瞬あるが、
亜 美「うん、行く」
うさぎ「ホント、やった!」
亜美の笑顔
本の声「難しい事も、無理する事もありません……」
13. 火川神社・全景
14. 同・境内
境内を掃除しているレイと手伝っているうさぎ。
レ イ「え? 亜美ちゃんが?」
うさぎ「うん。何かすごい積極的で、お弁当も一緒に食べたんだよ」
レ イ「ホントに?」
うさぎ「でさ、今日パジャマパーティする事になったんだけど、レイちゃんも来ない?」
レ イ「うさぎの学校の子で集まるんでしょ? どうして私が」
うさぎ「友達増えたら楽しいじゃん」
レ イ「増えればいいってもんじゃないわよ。亜美ちゃんだってそうだと思うけど」
うさぎ「だから亜美ちゃん変わったんだって。これで、なるちゃん達とも仲よくなってくれたら、もっと楽しくなりそ」
レ イ「……」
15. 亜美のマンション・全景
16. 同・ダイニング
メガネをかけてない亜美が、ホワイトボードを見ている。
『夜勤なので明日まで帰りません。今日の塾の模擬テスト、頑張って』とある。
見詰めた亜美が、最初は恐る恐る、やがて勢いよく文字を消す。
そしてメガネをかけて荷物を持つと飛び出していく。
18. ダーク・キングダム
ベリルの前に跪くネフライト。
ネフライト「ベリル様。また幻の銀水晶らしきものの情報が」
ベリル「ネフライト、わらわの欲しい物は『らしき』物ではない。幻の銀水晶、それそのもの」
ネフライト「わかっております。 急ぎ確かめて、本物であれば必ずお手元に」
ベリル「そうなれば、お前にも望む物全てを与えよう」
ネフライト「私の望むものはベリル様ただお一人」
フッと笑うベリル。
20. 同・うさぎの部屋の中 (夜)
パジャマ姿のうさぎ、亜美、なるがいる。
うさぎがハンディカラオケで歌っている。
ちょっと距離を置いて座っている亜美となる。
亜美は、チラッと時計を見る。
亜美のM「今塾に行けばまだ……」
一番を歌い終わったうさぎが、マイクを亜美に差し出す。
うさぎ「次、亜美ちゃん亜美ちゃん!」
マイクを見た亜美が、次の瞬間受け取ると、笑顔を作って立ち上がる。
歌い始める亜美。
盛り上げるうさぎ。
な る「うそ……、水野さんのイメージが……」
熱唱する亜美。が、拳が硬く握りしめられている。
テーブルの上に散乱する食べ散らかされたお菓子。
一瞬放心したように笑顔だけを張り付かせている亜美。
な る「あ、そうだ!ねぇ、これこの間出たマスカラ。睫毛すっごい長くなるよ。バサバサ」
と、マスカラを取り出す。
うさぎ「うそ! それ私も欲しかったのー! つけさせて!」
な る「うん、どうせなら、ちゃんとやろうよ」
化粧ポーチをとり出すなる。
うさぎ「あ、じゃ私もこの間買った新色リップ」
うさぎも化粧道具を並べ出す。
見ていた亜美が、マスカラに手を伸ばす。
亜 美「私もやってい?」
うさぎ「当然。やろやろ」
亜美はうさぎ達に背を向けてメガネをとると、手鏡を見ながら不器用にマスカラを塗る。
うさぎが、何気なく亜美のメガネをかけて、
うさぎ「あれ、ほとんど度が入ってないね。はずしても大丈夫なんじゃない? はずした方がかわいいし」
と亜美の顔を覗こうとするが、亜美は前髪を引っ張って隠したり、顔を背けたりする。
亜 美「うん……。でも、かけてないと何か照れくさくて……」
亜美がマスカラを塗り続け――
うさぎ達がほどほどにメイクし終わっている。
な る「あ、うさぎ、その色似合う」
うさぎ「ホント? 亜美ちゃんは?」
が、亜美を覗き込んで「!」となる。
亜美の化粧は下手でかなり濃い。
うさぎ「亜美ちゃん……」
あっけにとられたうさぎとなるが吹き出す。
うさぎ「やりすぎだよ〜」
亜 美「え、ホント?」
な る「やっぱ天才はひと味違うわ」
笑ううさぎ達に、亜美も笑顔を作る。
21. 同・洗面所 (夜)
化粧をした顔を鏡に映す亜美。
亜 美「……」
亜美が勢いよく顔を洗う。
素顔になって大きく息をつく。
亜 美「どうしてかな。なんか、勉強より疲れ――」
その途端、くらっとなり……
22. 同・うさぎの部屋の中 (夜)(本編には無し)
聞こえてきた大きな物音に、うさぎ達が飛び出す。
24. 同・うさぎの部屋の中 (夜)
額にタオルを乗せた亜美がベッドに寝ている。
側に付いているうさぎ。
育子が顔を出し、
育 子「うさぎ、ママ、なるちゃん送ってくから、亜美ちゃん頼むわね」
うさぎ「うん」
ドアが閉まる
亜 美「ごめんね……せっかくのパーティーなのに……」
うさぎが首を振る。
亜美、メガネが枕元にある事に気づき、すぐにかける。
うさぎ「……亜美ちゃん、ムリしてたんだ」
亜 美「え?」
うさぎの手に友情の本がある。
うさぎ「バッグから落ちてた」
亜美がハッとうさぎの手から本をとる。
うさぎ「何で? こんな事しなくたって友達じゃん」
亜 美「……」
うさぎ「もうやめてよ。倒れちゃうような事、よくないって」
亜 美「でも……、でも、月野さんだって、名前で呼ばないと友達じゃないみたいって! 変わったら喜んでくれたじゃない……!」
うさぎ「そうだけど……。ウソだったんなら嬉しくないよ。そういうの、一番友達っぽくないと思う」
亜 美「……!」
うさぎ「……」
気まずく黙りこむ二人。
うさぎ「……お水とってくる……」
うさぎが部屋を出ていく。
亜美が抱えた本を握りしめ――
25. 亜美のマンション・亜美の部屋 (夜)
件の本をゴミ箱に突っ込む亜美。
亜美のM「バカだ……、こんな風になりたくないから、頑張ったのに……」
三人の写真
亜 美「結局自分のせい……」
亜美がうなだれる――
26. クラウン・全景(日替わり)
27. 同・中
うさぎとレイがいる。
うさぎ「あーあ、何か落ち込み」
レ イ「私はおかしいと思ってた」
うさぎ「私はホントに亜美ちゃんがなるちゃん達とも仲良くなれると思った」
レ イ「うさぎはさ、ホント名前の通りに駆け足ね。何でも」
うさぎ「え?」
レ イ「そんな急には変わらないって」
うさぎ「……」
そこへルナの通信。
ルナの声「みんな。幻の銀水晶かも知れない宝石があるの。大至急来て!」
28, 亜美のマンション・亜美の部屋 (本編には無し)
携帯を手にした亜美。
亜 美「……」
31. 同・受付
普通に制服で入ってくるうさぎとレイ。
受付嬢「こちらの名札に名前を書いて付けて下さい」
うさぎとレイが名札を作る。
うさぎ「亜美ちゃん、来ないのかな」
レ イ「さぁ。とにかく二手に分かれましょ」
とうさぎと別方向へ歩き出す。
33. 同・通路
周囲を見回しながら歩いてくるうさぎ。
その時、床に落ちている名札に気づいて拾う。
うさぎ「チジョウ……エイ……?」
衛の声「チバマモルだ」
驚いて振り返るうさぎ。
そこに衛がいる。
うさぎ「あ!」
衛 「ったく、どこにでも現れる奴だな」
うさぎ「そっちこそ」
衛、うさぎから名札をとる。
衛 「普通読めるだろ、これぐらい。ちゃんとこの間の塾行ってんのか?」
うさぎ「ほっといてよ。お礼ぐらい言いなさいよ」
衛 「拾ってくれてどうも」
衛、うさぎの名札を見る。
衛 「月のコブタ」
うさぎ「うさぎですー! うさぎうさぎうさぎ!」
衛は知らん顔して立ち去っていく。
うさぎ「うー、地場衛? イヤな奴の名前覚えちゃった」
ぷいっと反対方向へ歩くうさぎ。
衛は周囲を見回す。
衛のM「どこだ……水晶は……」
34. 同・裏手
亜美が一人、やって来ている。
中へ入ろうかどうか躊躇している。
その時、花器の水を捨てに出て来る講師。
その目の前へ突然降り立つ妖魔。
講 師「!」
悲鳴も出ずに気絶する講師から、妖魔がペンダントを奪って走る。
「!」と見た亜美が走り出す。
亜 美「マーキュリーパワーメイクアップ!」
亜美がマーキュリーに変身、後を追って走る。
36. 林
逃げてくる妖魔。
その前に立ちはだかるマーキュリー。
マーキュリー「待ちなさい! 水と知性の戦士セーラーマーキュリー! 水星に変わっておしおきよ!」
妖魔がマーキュリーに攻撃を仕掛ける。
身軽に避けていくマーキュリー。
木の上に移動して必殺技を構える。
マーキュリー「マーキュリーアクア――」
だが、妖魔がマーキュリーの足下の枝を攻撃。
弾けた枝と共に落下するマーキュリー。
足を痛めて立ち上がれない。
マーキュリー「う……!」
妖魔が刀を振り回して迫って来る。
後じさるマーキュリーは、携帯アイテムを取り出す。
うさぎの携帯の番号を押すが――
うさぎの声「一番友達っぽくないと思う」
マーキュリー「……」
躊躇するマーキュリー。
さらに迫って来る妖魔。
振り下ろされる刀にマーキュリーが目を閉じる。
その時、炎とブーメランが妖魔を弾く。
マーキュリーの前に立ちはだかるのはセーラームーンとマーズ。
マーキュリー「!」
セーラームーン「よくも亜美ちゃんを〜!」
マーキュリー「……!」
マーズ「おしおきよ!」
セーラームーン「ムーンライトトワイライトフラッシュ!」
マーズ「妖魔退散!」
二人の必殺技で妖魔が消滅する。
反動で飛んだ水晶を、タキシード仮面がキャッチ。
セーラームーン「タキシード仮面!」
水晶を見るタキシード仮面だが、
タキシード仮面「違うな。幻の銀水晶じゃない」
セーラームーンに水晶を投げると、立ち去っていく。
セーラームーン「タキシード仮面……」
マーズはマーキュリーを助けて立たせる。
マーズ「大丈夫?」
セーラームーンもハッと振り返る。
セーラームーン「亜美ちゃん、痛い? どうして助け呼ばなかったのー。もっと早く来れたのに」
うつむいているマーキュリー。
マーキュリー「うさぎちゃん、私――」
セーラームーン「あ!その呼び方の方が亜美ちゃんらしくて好きかも!」
マーキュリー「……」
セーラームーンがにっこりする。
マーキュリーの肩に手を置くマーズ。
マーキュリー「うさぎちゃん、レイちゃん……!」
セーラームーン「亜ー美ちゃん」
セーラームーンがマーキュリーに飛びつく。
笑顔のセーラームーンとマーズ。
マーキュリーも笑顔になり、三人が歩き出す。
38. 同・教室
昼休み。
うさぎが、なる、香奈美、桃子と弁当を食べている。
な る「どういう事、結局亜美ちゃん元に戻ったよね。お弁当も医書に食べないし。一体何だったの?」
うさぎ「あー、えー、何だろねー」
香奈美「やっぱ、うさぎには悪いけど、亜美ちゃんみたいな天才と一緒は疲れるわ」
桃 子「だね」
うさぎ「……」
うさぎが、ふと顔を上げる。
うさぎのM「あれ? なるちゃん達、亜美ちゃんって呼んでる」
気づかず話し続けているなる達。
40. 同・教室
笑顔のうさぎ。
うさぎのM「レイちゃんの言う通り、急には変わらないけど、ちょっとずつ変わっていくかも」
窓から見える屋根の上にはルナがいる。
ル ナ「集結の日は近いわ……、四人目の戦士がきっと……」