実写版『美少女戦士セーラームーン』ファンブログ


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【第481回】新・北川景子『みをつくし料理帖』リターンズの巻(上段)


片山修監督作品『ヒートアイランド』(2007年)より


 北川さんも28歳かぁ。お誕生日おめでとうございます。

1. 十代だろうが四十代だろうがどんとこい。



 8月も後半になり、いよいよセラミュが始まりましたね。沢井さんの舞台も。
 百日紅さんのコメントによると、今年のセラミュも好評らしい。
 私は、お盆休みを沢山とりすぎたので、残念ながらもう、どれにも参加できません。でも今年の夏休みは、息子と二人旅で、独居老人の父の住む実家に帰省して、小学校最後の夏休みの課題を一緒にいろいろこなして、楽しかったです。ウルトラマンライブに行ったり、東京に住む大学1年の娘にも会えました。娘は半年足らずの寮生活で10キロ以上痩せていたので、実家に呼び寄せて、オムライスとかハンバーグとか、好物をいろいろ作って食べさせました。



 映画も行きました。『仮面ライダー鎧武』と『烈車戦隊トッキュウジャー』の二本立て。2D版のみ。
 東映特撮シリーズは、2009年夏の『侍戦隊シンケンジャー』で初めてデジタル3D化が試みられ(そのため、劇場版なのに20分ぐらいしかない超短縮版だった)、翌年の2010年夏『仮面ライダーW』と『天装戦隊ゴセイジャー』、さらに2011年夏の『仮面ライダーOOO(オーズ)』と『海賊戦隊ゴーカイジャー』までは、どちらも2D版と3D版が制作された。でも2012年からは邦画全体が3Dから撤退を始めている。海外ものは、ゴジラとかも3Dでまだまだ盛んだが、日本映画で、この夏に封切られた3D作品って『STAND BY ME ドラえもん』くらいではないだろうか。
 ただまあ結論から言えば、それは今回どうでもいいことであった。私の最大の目的は、言うまでもなく泉里香だ。でも今回の劇場版『仮面ライダー鎧武』に泉里香は登場しない。行ってから初めて知ったよ。いや、M14さんのところで読んだような気もするが、とにかく忘れていた。



 ブラウス姿の泉里香が、こっちへ向かってずんずん迫ってくる姿を立体的に観られないのなら、そもそも3Dで制作する意味もないしな『鎧武』は。
 一方、私にとってサプライズだったのは劇場版『烈車戦隊トッキュウジャー』だった。ゲストで福原遥が出演していたのだ。





 まいんちゃんキレイになりましたね。
 かつて私は、朝起きると『クッキンアイドル アイ!マイ!まいん!』(2009年〜2013年、NHK教育テレビ)を観ながら娘の弁当を作るのが日課だった。なのでいろいろ想い出があるのだ。その娘も大学生になって東京に行っちゃって、まいんちゃんも高校1年生になってしまった。おおきくなっても可愛いですね。



 そういえば福原さんが『ピチレモン』のモデルになったころ、なんか同誌の表紙の撮影メイキングが公開されて、それを見たファンから、彼女がいじめにあっていると話題になったことがある。私もその動画を見た。ピチモ三人(関根莉子・森高愛・福原遥)で表紙の写真を撮っていて、たしかに福原遥だけ、あとの二人のノリについていけなくてとまどっていたり、撮影後のハイタッチに入り損ねて、ひとりぼっちな感じはする。
 普通に見れば、新参者だから、なかなかすぐには溶け込めないよな、ぐらいの感想しか出てこない。深読みすれば、すでに子役で人気を博した子が、一人だけ別格扱いみたいな感じで新しくメンバーに加わってきたわけだから、先輩モデルたちには、多少は含むところがあったのかも知れない、という気もする。それ以上は分からない。



 ともかく、その時の「いじめた」とされる側の子の一人、森高愛が、いまトッキュウジャーでトッキュウ5号(ピンク)を演じているその子だとは知らなかった。今回の映画では、ここぞとばかりに仲良しぶりをアピールしているが、そうそう、お互い仲良くやって欲しいとお父さんは思っているぞ。
 映画の方は「小さいお友達向けに特化した仮面ライダーの併映作品」というスタンスを十二分に活かし、娯楽に徹した脚本がみごとであった。さすがわれらが小林靖子である。その小林靖子のアイデアかどうか分からないけど、最後にまいんちゃんファンのためのサービスも用意されていて、もう全編、福原遥の魅力がいっぱい。すごく楽しかったです。



 相変わらず脇道にそれてすまない。そろそろ本題にまいりましょう。北川さんのお誕生日を記念して、『みをつくし料理帖』レビューの再開だ。そろそろ最終ターンに入ります。
 あ、その前に、先日の日テレ『秘密のケンミンSHOW』(2014年8月21日)で久しぶりに見かけたなるママ、渡辺典子。大分県出身。



 49歳だそうだ。それなりの成熟を感じさせつつ美しい。そのバランスの良さがインパクトの弱さとなって、角川三人娘の中ではいちばん地味な印象を与えたわけだが。



 転勤サラリーマン夫婦が全国を転々としながら、各地の名産や県民気質を紹介する番組内ドラマ『連続転勤ドラマ 辞令は突然に』も、今回は大分篇である。こういう回に当該県の代表としてゲストに呼ばれるっていうのは、地味に見えつつもスタッフに熱烈なファンがいる証拠だと思う。



 当然、渡辺さんは、ドラマの主人公の転勤先の上司の妻役で、出ずっぱり。




 このドラマ、なんかゲストがやたらと豪勢だった。会社の上役で竹内力さん。



 そしてなぜか会社でヒンズースクワットを始めるドラゴン藤波辰巳さん。



 さらによく分からないが、とにかく会社関係で、スターにしきのあきらさん。




 ま、そんなところで。ついでにオマケだ。一緒に出演していた宮崎県の浅香唯さん。浅香唯は44歳だそうだが、可愛いよね。



 そういう意味じゃ北川景子28歳、まだピッチピチである。じゃ本題。

2. 豊年星 「う」尽くし


 『みをつくし料理帖』シリーズといえば、角川春樹事務所のハルキ文庫から出ている高田郁の原作小説が、この夏、第10作目『天の梯』(2014年8月9日刊)の刊行をもってめでたく完結した。
 私自身まだ読んでいないので、ネタバレをおそれてネット上のレビューなどもスルーするしているんだけど、ちらと目の隅に触れた範囲では、ほとんど大絶賛されている。短篇連作でありながら、シリーズ全体として大きな物語が進行していく大河ドラマでもあり、主人公がそのなかで成長していく教養小説でもあるので、よほどうまいこと、すべてが収まるべきところに収まっていなければ、これほどの高評価は得られないだろう。たいへんなことである。読むのが楽しみ。



 そういうわけで、原作のストックはまだまだ沢山あるから、このドラマもその気になれば、あと何本か続編が制作できそうではある。ただ、むしろ間違っていてくれた方が嬉しいのだが、私は片山修と北川景子の『みをつくし料理帖』は今回が最後なんじゃないかと予想している。最大の理由は、前にも述べた松岡昌宏の扱いである。
 澪と小松原の恋愛感情は、ドラマ版の今回あたりがピークで、もし次回作以降があったとしても、二人はこれ以上の関係には成りえない。原作どおりの展開ならば、澪は悩んだあげく、武家の妻ではなく料理人となる道を選び、小松原はその想いを酌み、澪を傷つけないよう自ら身を退く。替わって、身近なところから澪を見守る存在として、町医者の永田源斉が存在感を増してくる。
 しかし松岡昌宏(ジャニーズ事務所所属)と平岡祐太(アミューズ所属)というキャスティングでそういう展開が可能かというと、難しいように思う。といってこれ以降も松岡君を前面に出してドラマオリジナルの話にしていくと、そもそも『みをつくし料理帖』ではなくなってしまうしね。
 とはいえ、これはあくまでもドラマの外側の事情であって、ドラマ版の物語そのものが続編作りを拒むような構成になってわけでは、まったくない。むしろ続編への引きみたいな要素もある。たとえば「ご寮さん」こと芳(原田美枝子)の息子、佐兵衛の消息は、このドラマ版ではさっぱり分からないままである。
 佐兵衛はかつて江戸へ出て「天満一兆庵」の支店を開いたものの、澪たちが江戸へ出てきたときには店は潰れており、佐兵衛は行方知れずになっていた。今回、その息子について、ほんのわずか情報がもたらされる。ドラマ中盤で、富三(光石研)が不意につる家に姿を見せたのだ。富三は、大坂天満一兆庵が江戸に支店を出すときに、左兵衛とともに江戸に渡った板前だったが、その後、佐兵衛と共に行方不明となったままだった。



 突然ふらりと顔を見せたかつての奉公人に対して、当然ながら芳は、いったい今まで、どこでどうしていたのか、息子はどこにいるのかと詰問する。富三の話は長いが、要約すればこういうことだ。
 六年前、天満一兆庵の江戸店を開いたときには、何もかも順調だった。だが三年目を迎えたころ、堅物だった主の佐兵衛が吉原の女に入れ込み、店の経営を傾かせるほどになる。ついには、身請けをしようとまで思い詰めた遊女に袖にされ、かっとなってその遊女を絞め殺してしまう。刃傷沙汰を闇に葬る吉原のしきたりどおりに、事件は表沙汰にはされなかったが、それっきり佐兵衛は行方知れずになってしまったのだという、あまりの話に呆然とする芳と澪。
 


 ただし結局のところ、この話がどこまで真実なのかも定かではなくなる。富三は、これまで身を隠していた不義をわび、罪滅ぼしにと、無償でつる家の手伝いを申し出るのだが、どうも素行が怪しい。料理の味はイマイチで、料理人の命ともいうべき包丁はボロボロ。仕事の合間に、佐兵衛の消息を調べるために吉原に行くと言っては、芳から「費用」をせびる。さらに、つる家の店の金が紛失してしまう。次第に富三に対する疑惑を深めていった澪は、ついに富三を詰問する。すると富三は開き直り、本性をあらわす。



 澪 「富三さん、あんた、ほんまに若旦那さんを捜してはるんですか? あんさんが捜すというから、ご寮さんかて……」


富 三「何が若旦那さんや。はっ! 女郎にうつつを抜かし、店もほったらかし」



富 三「こっちはさんざん、尻ぬぐいしてやったんや。金ぐらい出してもろうたかて、罰は当たらへんやろ」


 澪 「富三さん、待ってください!」
富 三「何すんねん離せ」
 澪 「旦那さんが、支払いのお金が今朝からいくら探してもないと言うてはるんです」



 富三はすがる澪を突き飛ばし、腹いせに殴りつけようとする。



だがその時、富三の肩を背後からがっちり押さえつける腕が。タキシード仮面の登場だ。



小松原「天満一兆庵の若旦那はどこにいる?天満一兆庵江戸店の若旦那に店を手放させたのは、どこのどいつだ? 遊ぶ金欲しさに巽屋とグルになり、若旦那をはめたのはお前ではないのか?」
富 三「くそうっ!」


小松原「刃物を捨てろ」



小松原「さもなくば……」




 芳 「小松原様。堪忍してください」


 芳 「息子のことを……息子の行方を知っているのは富三だけなんです」


富 三「うわあぁぁっ」
 澪 「富三さん!」
 澪 「ご寮さん!」



 芳 「もうええ!もうええ……」


 澪 「ご寮さん……」





 そういうわけで、若旦那の佐兵衛の行方は分からずじまい、頼みの綱だった富三は、この一件を最後に姿を消し、すべては振り出しに戻る。そして相変わらず松岡昌宏にはカッコ良い場面があてられる。
 でも澪は、小松原がちらりと見せた抜き身の暴力的な雰囲気に、住む世界の違いをまざまざと思い知り、やがて来る別れを予感しているように見える。澪の瞳のなかには、育ての親のご寮さんを想う気持ちや、信頼していた兄弟子、富三の裏切りに対するやるせなさ、そして自らの悲恋の予感など、様々な哀しみが幾重にも折り畳まれている。ビジュアル重視の片山修演出は、カットを細かく割ってアングルを変え、アップを多用して、アクションより視線の行き来に重点を置いて、画面の流れを組み立てている。そういう感じを再現したかったのだけれど、ちょっとキャプチャ画像が雑で分かりにくいかも知れない。すみません。

3. 花一輪 ふわり菊花雪


 ところでもういちど、澪が富三に突き飛ばされて倒れたところを見てみましょう。女の人を突き飛ばしちゃいけないが、こういうシーンで和服の襟からのぞくうなじってキレイですよね。そうじゃないですか。



 特に北川さんのように色白でほっそりした首筋だと格別である。そこで片山監督も、もう一回、澪が突き飛ばされてうなじを見せるシーンを視聴者に提供しようと考えた(推定。というよりただの妄想)。
 ちょっと前に紹介したエピソードに戻るが、このあと、つる家は突然ぱたりと客足が途絶えてしまう。瓦版に悪評を書き立てられたのだ。江戸で一番人気の歌舞伎役者、坂田寿三郎が突然すべての公演を休演したが、その理由はつる家の茶わん蒸しにあたって泄痢(食中毒)を起こしたせいだという。
 実はこの「つる家」とは、先にも澪の新作料理をスパイした元「登龍楼」の板前、末松の店だった。登龍楼を追い出された末松は、今度はパチもんの「つる家」を開店、女料理人を連れてきて茶わん蒸しを作らせるなど紛らわしい仕掛けで、一時は評判を得ていた。しかし歌舞伎役者の疫痢騒動があってあっさり休業。自業自得だが、澪たちのつる家までもが世間の非難を浴びるにいたったのだから、たちが悪い。







 怒りのあまり戦闘モードのスイッチが入り、女だてらに単身、ニセつる家に殴り込みをかける澪。



 澪 「もし!誰かいませんか!もし!」



末 松「なんだ……また何かイチャモンか?」



 澪 「あんた、神田登龍楼の……」



末 松「なんだおめえ、何の用だ」
 澪 「何の用かは、あんたが一番ようわかってはるのではないんですか? つる家は……つる家というのはだんなさんが亡くなった娘さんの名を取ってつけた、大事な店の名前です。それを勝手に……」
末 松「言いがかりをつけるんじゃねえ!つる家って屋号はおめえんとこだけのもんか、え?」



 澪 「あんたの店が食あたりを出したおかげで……あんたは同じ料理人として、恥ずかしくはないのですか?」



末 松「何が同じ料理人だ。女のくせに料理人気取りか、生意気な女が。料理番付に載ったぐらいでいい気になりやがって。とっとと失せろ!」



 澪 「あっ」



 不意の雷鳴と共にあたり一面かき曇り、とつぜん夕立が降り始める。投げ出された澪のうなじにも、大粒の雨水が叩きつけられる。




ここね。雨に濡れた北川さんの細く白い襟足。ここがポイント(何の?)。




 澪 「卑怯者!卑怯者!卑怯者……」


 結局、ざんざん降りの雨の中、悔しさを噛みしめ、なす術もなく店に戻るしかない澪。



 客一人いない店には、種市が澪の帰りを心配して待っていた。ここからは澪の心象にあわせて、夕陽を浴びた室内の陰翳を活かした画面づくりになっていて、キャプチャでは何が映っているか分からないかも。




種 市「噂とは恐ろしいもんだな。誰かのたったひとことがあっという間に広がり、人は店に足を運ばなくなる」


 澪 「旦那さん申し訳ありません」
種 市「なんでお澪坊が謝るんだ?」



 澪 「もとはといえば、うちの責任です。ご寮さんにあれだけ言われたのに、うちは富三さんに板場をまかせ、その上こんなことに……料理を真似されたんも、つる家という名前をつけられたんも、うちがあの登龍楼の板長に、反感を買うようなことをしてしもうたから……」


種 市「お澪坊は女だからな」
 澪 「え?」
種 市「この江戸じゃ、女の料理人ってだけで、いやでも目立っちまう。目立つということは良いこともあるが、その何倍も大変なことも起こる。妬み、嫉み、反感も買う。そこんところを、俺もお澪坊も、分かっていなかったのかも知れねえな」


 澪 「旦那さん……」


種 市「さあ、今日はもう店じまいにしよう。開けといても誰も来ちゃくれねえよ。はは」



 澪 「なんでこんな事に……」


ふ き「涙は来ん来ん」


ふ き「涙は来ん来ん」



 澪 「ふきちゃん……」



 澪 「ありがとう」


本日はここまで。はたして、つる家再興のチャンスは訪れるのでありましょうか。なんてミエミエのことを言ってみたりして。